🎑113)─2─漫画『デビルマン』で描かれたトラウマ必至の“人間たちの蛮行”~No.256 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 1980年代頃までの子供は、人間の醜さや残酷さや悍ましさをテーマにした恐怖漫画、グロテスク漫画を好んで読んで、大人が勧めるディズニー・アニメを鑑賞しても「バットマン」や「スーパーマン」などの勧善懲悪マンガはあまり読まなかった。
 少年少女が好んだのは、大人が批判し有害図書として禁止した「アシュラ」「銭ゲバ」「半魚人」その他であった。
 イデオロギー反戦天皇の「はだしのゲン」は大人による推薦図書であったが、子供達は大人が期待したほど読んでいなかった。
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 テレビのアニメは、大人の論理「きれい事」で原作マンガを無味乾燥の駄作に変えて子供に見せていた。
 その好例が、テレビ版「デビルマン」である。
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 2023年10月15日 YAHOO!JAPANニュース ふたまん+「悪魔より怖かった…? 漫画『デビルマン』で描かれたトラウマ必至の“人間たちの蛮行”
 講談社漫画文庫『新装版 デビルマン』第1巻(講談社
 『ハレンチ学園』に『マジンガーZ』、『キューティーハニー』など数々の名作を世に送りだしてきた漫画家・永井豪氏。1972年から1973年にかけてメディアミックス作品として発表された『デビルマン』は悪魔をヒーローとした漫画だが、時代劇のような勧善懲悪や主人公の強さのみを描いた作品ではなく、人間の弱さ・醜さを描いているところが魅力のひとつだろう。そして、テレビアニメ『デビルマン』の後に漫画を読んだ場合“グロさ”に驚いてしまうようなシーンも多々ある作品として、発表から50年がたった今も語り継がれている。
■【写真】屈指のトラウマ敵「ジンメン」顔出しパネルで記念撮影をする永井豪氏■
 そこで今回は、昨年50周年を迎えた漫画『デビルマン』で、トラウマになった人間たちの蛮行をいくつか振り返りたい。
■悪魔殺しのために水爆ミサイルを使用
 主人公・不動明は、親友・飛鳥了に諭させれて悪魔と合体し、「デビルマン」となった。それは、「悪魔(デーモン)」が200万年の眠りから復活し、人間がデーモンに対抗するためだという。デビルマンとなった明は、「シレーヌ」「ジンメン」などの強敵デーモンを倒していく。
 ところが、あるときから人間が怪物化して怪死する事件が多発する。これは、理性状態の人間にデーモンが合体すると、拒絶反応を起こし死んでしまうためだ。もちろん、デーモン側もこの合体の原理については知っている。しかし、あえて理性ある状態の人間と合体し怪死することで、人間を恐怖と混乱に陥れようとした。
 そして人間がデーモンに対抗するためにしたこととは……水爆を落とすこと。ソ連領のツリングラードという地域に落とされ、その地域は消滅したとのこと。たしかに、水爆を落としたことでデーモンを抹殺できた。しかし、そこにいたデーモンの数十倍、数百倍の人間が犠牲になった。
 デーモンの侵略を阻止するためとはいえ、無関係な人間たちまで犠牲にする必要があったのだろうか。 
デビルマンを捕らえて、生体実験
 続いての蛮行は、デビルマンの体を使った生体実験だ。デビルマンといっても、不動明のことではない。デビルマンとは、悪魔の体を持ちながらも人間の心を持つ者を指す。前述したデーモンの無差別合体攻撃で、偶然にも拒絶反応を起こさなかった少女がいた。この少女は酸を吐くデーモンと合体し、誰にも言えず悩んでいた。ところが、不良少女からイジメを受けていたときに激高し、酸で不良たちを殺してしまった。
 その後彼女は捕らえられ、ノーベル賞受賞者である雷沼教授の生体実験に利用されてしまう。
 頭部にヘッドギアをはめられ、体のいたるところにコードを繋がれ、電流を流される。酸の体液を吐き出しながら苦痛に悶える少女。実験というよりも拷問といっても差し支えない。デーモンをよく知らない人間にとっては、デーモンもデビルマンも変わらないのだ。
 デビルマンは体はデーモンだが、心は人間。漫画の終盤で明が悪魔特捜隊本部を襲撃した際に、「きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に!悪魔になったんだぞ!」というセリフがあるが、この言葉に共感せずにはいられない。
■作中最も愚かな行為「人間狩り」
 『デビルマン』の蛮行で、作中最悪にして最凶の「人間狩り」は外せないだろう。政府は人間社会に紛れ込んでいた悪魔を一掃するために「悪魔特別捜査隊」を結成。また、雷沼教授は悪魔との戦争で捕らえたデーモンや、デビルマンとなった人間を使った実験・研究を行っていた。
 雷沼教授は、その研究成果を発表。その内容は、悪魔の正体は人間で、現代社会生活の不満が増大した結果、その不満を別の生物になることで満たそうとした、というトンチンカンなもの。
 雷沼教授の発言を受けて政府は、現代社会に不満を持つ人間は「悪魔」になる恐れがあるから、抹殺することとなった。そして、人類は「隣人も悪魔に変化しうる」という疑心暗鬼に陥り、人間が人間を殺すという結果になってしまった。中世ヨーロッパであった「魔女狩り」の愚かさを繰り返すこととなった。
 疑心暗鬼に陥った結果、世界中で戦争が勃発。悪魔狩りと称した人間狩りがはびこり、世界は荒廃しきってしまった。 
 結果、地球上にはデーモンたちとデビルマンたちが生き残り、人間は絶滅。地球の支配者顔でいた人間は、愚かな結末を迎えてしまった。
 漫画『デビルマン』は、終始暗くどんよりとした展開が続き、現代社会・現実世界に通ずる教訓めいたものを受け取らざるを得ない。「しょせんは、漫画の中の出来事」ではなく、現実にあってもおかしくないと教えてくれる名作だろう。
 林田祐太郎
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