🕯191)─2─民意の8割が「死刑賛成」の多数派。〜No.401No.402 

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 2023年10月10日 MicrosoftStartニュース 弁護士JPニュース「国民8割が「死刑賛成」は国益に “負”の影響? 「死刑のある国とは条約を結ばない」 “国際基準”の人権意識とは
 「密行主義」と指摘される日本の死刑制度(bee / PIXTA
 © 弁護士JPニュース
 今日10月10日は「世界死刑廃止デー」だ。日本では、国民の約8割が死刑制度に賛成(※1)しているが、世界に目を向ければ、2022年時点で死刑制度を存置している国は55カ国。その多くは宗教的な背景から死刑が続いているアジアや中東の国々であり、先進国のほとんどの国では、すでに死刑制度が廃止されている(※2)。
 ※1 世論調査内閣府、2019年)によれば、死刑制度について「やむを得ない」と回答した人は80.8%で、「廃止すべきである」の9.0%を大きく上回っている
 ※2 経済協力開発機構OECD)を指標にすれば、先進国で死刑制度が残っているのは日本、アメリカ、韓国のみ。ただし、韓国では10年以上も死刑執行がなく、アメリカでも半数以上の州で死刑を廃止、あるいは執行が停止されている
死刑制度があるから「国外逃亡犯」を裁けない?
 今年8月、東京・表参道で2015年に発生したイギリス人の男らによる強盗事件をめぐり、イギリスの裁判所が、国際手配されていた男の日本への身柄引き渡しを認めないとする判決を言い渡したことが大きく報じられた。
 本来、「犯罪人引渡条約」を結んでいる国同士であれば犯罪人の引き渡しが相互に義務付けられる(一定の場合を除く)が、日本はこの条約を、アメリカと韓国としか締結していない。2カ国という数字は、たとえばイギリスやアメリカが100カ国以上と締結している状況を踏まえれば、極端に少ないことは明らかだ。
 その背景には、日本が「死刑存置国」であることが大きく影響しているとも言われている。
 国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル日本」の死刑廃止ネットワークでボランティアとして死刑廃止の運動を続ける片山博彦さんは「犯人が国外逃亡してしまったら、国内で裁くことすらできないという状況。いまだに『死刑』という前近代的な刑罰があること自体が、国益にも負の影響を与えている」と指摘する。
 “先進国”の日本で「人権意識」低いワケ
 先進国であるはずの日本だが、こと人権意識においては、国際社会から批判を受ける機会が少なくない。
 先述の「犯罪人引渡条約」をほとんどの国と締結できていない現状しかり、最近ではジャニーズ性加害問題に端を発した「国連ビジネスと人権の作業部会」が訪日調査後に発表した声明で、日本には人権を専門とした「国家人権機関(NHRI)」がないことも含めて「政府の取り組みに、大きな穴が開いている」と指摘されたことは記憶に新しい。
 前出の片山さん(アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワーク)は「日本人の人権意識の欠落は、国の人権教育の欠落そのもの」と批判する。
 「死刑をめぐっては『悪いことをしたのだから仕方がない』『被害者や遺族の気持ちを考えろ』という声も多いですが、そもそも死刑は『国家が人の生きる権利をはく奪する』という、前近代的な感覚を非常に色濃く残した刑罰です。
 しかし、今でこそ死刑執行された死刑囚の氏名や拘置所は公表されるものの、『密行主義』と指摘されるように、その実態はほとんどベールに包まれています。そのため、国民が死刑について知る機会、考える機会がそもそもないのです。
 また、世論の約8割が死刑制度を支持していることから、政府や政治家にとっては死刑廃止を声高に訴えても“票”につながらないため、これまでの仕組みをただ守ることに固執して、ある意味“思考停止”に陥ったまま、毎年1件以上の死刑執行を続けています。
 国がこのようなありさまでは、国民が死刑を『人権問題』として捉えることはおろか、人権意識をアップデートすることも難しいのではないでしょうか。
 多くの国民が『日本は先進国だ』という自負を持つ一方で、それと相いれない『死刑制度』を支持している状況は、まさに日本の人権教育の欠落が如実に表れているのだと思います」(片山さん/アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワーク)
 日本の政府は「世論」を言い訳にすべきでない
 最新の死刑統計によれば、2022年に死刑を全廃した国は、カザフスタンパプアニューギニアシエラレオネ中央アフリカ共和国の4カ国。また、赤道ギニアザンビアの2カ国も、通常犯罪に対する死刑を廃止している。
 「アムネスティが1977年に死刑廃止運動を始めたとき、すべての犯罪において死刑を廃止している国は16カ国しかありませんでした。ところが2022年末時点で、死刑を全廃している国は112カ国に上り、通常犯罪でのみ廃止している国は9カ国になっています。
 これまで死刑を廃止してきた国々は、必ずしも『死刑廃止』が世論の多数派だったわけではありません。死刑が反人道的であることや国益などの観点から、政府がリーダーシップをとって廃止に至った国も少なくないのです。
 紛れもなく、死刑は前近代的な刑罰であり、人間の進化の過程でなくすべき制度です。それに加えて、『死刑存置国』であることによって条約締結などで国際的な不利益が出てきている以上、日本の政府は世論を言い訳にせず、死刑廃止と向き合ってほしいと思います」(片山さん/アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワーク)
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