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関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本人は、自然を愛し、自然を守り、自然を大事にしている、はウソである。
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日本列島とは、春夏秋冬、季節に関係なく、広範囲に同時多発的に頻発する複合災害多発地帯である。
日本の自然は、数万年前の旧石器時代・縄文時代から日本列島に住む生物・人間を何度も死滅・絶滅・消滅させる為に世にも恐ろしい災厄・災害を起こしていた。
日本民族は、自然の猛威に耐え、地獄の様な環境の中を、家族や知人さえも誰も助けずに自分一人、身一つで逃げ回って生きてきた。
日本の宗教・文化・言語は、こうして生まれてきた。
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令和6年 能登半島は1月に地震と9月に豪雨と複合災害に見舞われ、冬には豪雪が襲う危険性が大である。
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太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーは、自然を破壊している。
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ウィキペディア
熱海市伊豆山土石流災害は、2021年(令和3年)7月3日午前10時半(JST)頃に、静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川で発生した大規模な土砂災害である。災害関連死1名を含む28名が死亡した。最多時は約580人が避難し、建物136棟が被害を受け、2022年6月時点で被災地は原則立ち入り禁止となっている。
被害が拡大した原因として上流山間部の違法盛土の崩壊があり、さらにその後の調査で国や自治体のずさんな盛土規制と大量の違法盛土が全国的に存在していることが明らかになり、盛土規制の大幅強化へと発展した(「#事件後の動き」参照)。
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2024年9月29日 YAHOO!JAPANニュース FRaU編集部「放置林が洪水を引き起こす可能性も…間伐などの育林作業が「防災対策」になるワケ
国土の約7割が森林に覆われている日本。ですが、その森林の約4割を占める人工林でさまざまな問題が起きています。日本特有の状況や林業の課題について、基本を学びます。
Q.いま注目されている自伐型林業とは?
A.環境保全と経済の持続性。両方を考える小さな林業です。
細かな分業化がなされていた林業ですが、いま注目されているのは、山の所有者や、所有者から土地を借りた若い人々や移住者が、自ら山に木を植え、草刈りなどをしながら丁寧に育てて伐採までする「自伐型林業」です。大規模な会社経営ではなく、小さな家族経営をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
メリットは、自分たちで作業を行うことによって利益を出し、規模は小さくても、安定した経営ができること。また、皆伐をせずに、森の環境保全と両立した林業を行うのも特徴です。自分たちで管理できる面積を扱うので、山に生えている一本一本の木、すべての林道、その林道で使える機械などを把握でき、必要な量を効率的、かつ環境にやさしく伐採が行えるのです。禿げ山を造らないことで土砂災害を防いだり、人が山に入ることで獣害対策になるといった利点も。
自伐型林業だけで生計を立てているケースは稀ですが、林業は季節労働なので副業として携わりやすく、地方創生の新たな鍵として自治体が力を入れ始めています。
Q.人工林は自然災害に弱いのですか?
A.必ずしも弱いわけではないですが、一部の傾斜地でリスクが高まります。
山や森林で自然災害のリスクが最も高いのは、木や草が生えていない裸地です。人工林は木が育っているので裸地ほど自然災害に弱いわけではありませんが、間伐が行われていない放置林では、木によって太陽光が遮られ、下層部にほとんど植生が発達しなくなります。すると、雨水が地表に直接当たるように。雨は落ち葉を流してしまうので、やがて地表は土が露わになったツルツルの状態になります。
すると今度は、雨水が地表を滑るように流れてゆくことに。これでは地層深くまで水が浸透しづらく、森の貯水機能が落ちてしまうのです。そうした状態では川に流れ出す雨水の量が不安定となり、洪水が起きる要因になります。こうした理由からも、間伐をはじめとする育林作業は防災対策となるのです。
Q.人工林に生物多様性を蘇らせるにはどうすればよい?
A.針葉樹林に広葉樹を交じえて、「育成複層林」を目指すことです。
成熟した森林では、さまざまな木、植物が入り交じって多層構造が生まれています。かつての日本では「択伐」によって、林業従事者が森林の木々の一本一本を丁寧に管理し、さまざまな樹種、樹齢の木々が育つ森林を造っていたのですが、高い管理技術が求められるので、現在ではほぼ行われていません。
代わりに主流となったのは、単一の樹木を一斉に植える「育成単層林」の人工林です。しかし、そうした森林は集まる虫や動物が限定されてしまいます。その状況を変えるために目標とされているのが「育成複層林」です。
林齢や樹種が異なる土地をパッチワークのように組み合わせた人工林で、コストや技術の面から一本一本の管理とまではいきませんが、単層林を複層林に変える動きが始まっています。その時に必要なのはゾーニング。
「木材生産のための人工林」「これまでの人工林に広葉樹を交えて造る天然林」「これまで通りに維持する天然林」といったように、目的別の区分を明確にし、木材生産だけでなく、自然災害対策や多様性保全といった、森の公益的な機能も重視しなければならないでしょう。
補足として伝えておきたいのは、言葉の定義がまだ曖昧だということ。例えば「育成単層林」といっても、数十年管理をしていれば、自然と低木層が育つので、「育成複層林」と呼べる環境になります。名称についての科学的な議論はなされていないのが現状です。
Q.木材を供給する以外の森の役割を教えてください。
A.水を育む。生物の住処となる。土砂災害を防ぐ役割もあります。
森林の役割は木材を造ることだけではありません。ですが、森林の活用を議論する場では「林業」の側面が多く語られるので、その公益性が忘れられがちです。
第一に、森は生命を育む場所です。多様な動植物が生態系を営んでいることを忘れてはいけません。地球温暖化を緩和すること。土砂災害を防ぐこと。大気を浄化したり、騒音を吸収したり、私たちが暮らす環境の快適さにも関与しています。
そして、水源。この国の豊かな水は森林の地層によって浄化されたものです。ほかにも、スキーや登山などレジャーの場となったり、四季折々の風景から伝統文化や芸術が生まれたりと、森林から受ける恩恵は語りつくせないほどあります。
Q.未来の森を守る仕事「フォレスター」とは?
A.環境面も経済面も考慮しながら長い目で森を管理する技術者です。
フォレスターとは、科学的根拠に基づいて、森林の管理や林業経営に対する指導を行う技術者です。環境と経済の両方を考慮しながら、行政や林業を営む企業と共に、持続可能な森林を育てていきます。欧米には専門の学校もあるくらいで、国によってはマイスターの称号を与えられることもある名誉ある仕事です。
日本にも森林総合監理士(日本版フォレスター)という仕事がありますが、教育制度が十分とはいえず、欧米のフォレスターほど発言権のある立場にはなっていません。この状況を改善しなければ、場当たり的な森林開発や上辺だけの環境保護が繰り返されるだけでしょう。
知識と立場のあるフォレスターの元では、森林所有者は正しい森林管理技術指導を受けられます。行政は森林活用に適切な助言をもらったり、区分や取り扱いを定める整備計画を立ててもらうこともできます。
森の未来を考える時、その目は数十年、数百年先を見据えていないといけません。フォレスターとは、森と人の付き合い方を多角的に考えられる人物なのです。
Q.日本の森林のために私たちにできることは?
A.この国に根づく“木の文化”に目を向けてみてください。
欧米の「石の文化」に対し、日本は「木の文化」だと言われています。縄文時代から住居や生活道具に木が多用され、神社仏閣や工芸品にも様々な木材が用いられてきました。木は信仰の対象でもあり、樹齢を重ねた巨木は御神木として崇められています。森林は日本人の生き方や精神性に密接に関わってきたのです。
現代でもそれは同じ。コンクリートやプラスティックばかりを身近に感じているかもしれませんが、今でも戸建てのほとんどが木造で、壁紙を剥がせばすぐ裏に木組みが現れます。国産のミネラルウォーターは山々が雨水を濾過したものですし、私たちの日常には森の恵みが溢れています。そうしたことを少しでも意識することが、この国の森林を守る第一歩になるはずです。
●情報は、FRaU2024年8月号発売時点のものです。
講談社 JOSEISHI.NET
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8月7日 YAHOO!JAPANニュース FRaU編集部「日本の森林について正しく知るための12の質問。
日本の山にスギとヒノキが多いのはなぜ?森林大国・日本で今起こっている問題
国土の約7割が森林に覆われている日本。ですが、その森林の約4割を占める人工林でさまざまな問題が起きています。日本特有の状況や林業の課題について、基本を学びます。
Q.日本の山にスギとヒノキが多いのはなぜですか?
A.戦後の拡大造林で全国に人工林が造られたからです。
北海道から九州まで、日本には多様な広葉樹が自然分布していますが、目に付くのはスギやヒノキといった針葉樹が整然と並ぶ人工林だと思います。こうした人工林は戦後の拡大造林によって造られました。戦時中は軍事用に大量の木々が伐採され、戦後も焼失した家を建て直すために木材が必要でした。その結果、全国どこもかしこも禿げ山に。それで国を挙げて、スギやヒノキを大量に植林したのです。針葉樹が選ばれたのは、まっすぐ育ち、軽くてある程度の強度があって建材に適しているから。その頃に植えた木々は樹齢50~70年。十分使える大きさに育っていますが、国産材の需要が落ち込んで伐採が進まず、今の林業にとって大きな課題となっています。
Q.日本の森林における人工林の割合は?
A.約1000万haで、日本の森林面積の約4割です。
日本の国土は3779万haで、約7割にあたる2505万haが森林です。森林には自然の力で育った「天然林」と、人が植林した「人工林」があり、日本の天然林は1348万ha、人工林は1020万ha。人工林の半分弱がスギの単層林で、次いで多いのがヒノキです。ちなみに天然林の中でも、人の手が一度も入っていない「原生林」は、日本には屋久島や白神山地の一部などわずかしかありません。
林業が行われるのは人工林です。植えた木が育つと伐採して売り、再び植林して繰り返し土地を利用します。この循環がうまくいかないと放置林となり、自然な状態とは大きくかけ離れ、林業のための山としても利用できなくなってしまいます。
Q.日本は森林大国なのになぜ木材自給率が低いのですか?
A.1960年代に木材の輸入自由化が進んだことが理由のひとつです。
日本の木材自給率は41.1%です(2021年)。2000年代初頭には18.8%まで落ち込んでいたので、それからすると上昇傾向にはありますが、世界有数の森林大国にしては高い数値ではありません。
国産材が使われない理由はさまざまです。ひとつは1960年代に段階的に進んだ、外国産木材の輸入自由化。円高と高度経済成長期を通じて、安い丸太が十分な量、安定して輸入できたために、国内の木材自給率が落ちてしまったと言われています。当時は、植林したスギやヒノキも使える大きさではなく、木材不足を補うための止むを得ない選択でしたが、その後も輸入材に頼る状況が続いています。
これだけ知ると、国産木材=高いというイメージになるかもしれませんが、日本の立木(山に立っている状態の木)の価格は下落しています。1980年に1㎥当たり2万2707円だったスギが、2023年には1㎥当たり4361円に。実に1/5の値段になっています。「国産材は高い」と言われる時の“材”とは、製材後の木材やそれを使った製品のこと。林業は分業化しているので、取引の過程で価格が上がっているのです。他には、必要な時に十分な量が手配しづらい、木の種類が限られているといった意見もあります。
Q.林業にはどんな人々が関わっていますか?
A.山の所有者や造林業、伐採業、製材業など細分化しています。
一般の人々は、山の所有者が木を植え、伐採し、それを木材にして売ると思っているかもしれませんが、林業は昔から細かく分業化されています。一般的に、山の所有者は造林業者に発注して造林(木を植えて育てること)を行います。数十年後に木を切り運び出すのは伐採業者。丸太の売買取引は木材市場。仕入れた丸太をカットするのは製材業者。それを売る木材店や家を作る工務店も関わります。専門性が高まりますが、各業者が仕入れて売るを繰り返すので価格は上昇。情報伝達もしづらく、「この木が売れる」という木材店や工務店の声が造林業者に届きづらい状況もあります。
Q.伐採にはどんな種類がありますか?
A.除伐、間伐、択伐、主伐、皆伐などを目的によって使い分けています。
「除伐」は、販売する木を育てるために、丈が低く幹が太くならない灌木類を10~20年育った頃に伐採することです。その後、木の形を整えながら大きく育てるために、ある程度まで育った木を間引くように切るのが「間伐」です。間伐は臨時収入を得るための場合もあります。そうして数十年かけて育てた木をいよいよ伐採するのが「主伐」です。農業における収穫ですね。主伐後は再び苗を植え、また数十年かけて木を育てます。
「皆伐」は、育ったすべての木を伐採すること。主伐に含まれますが、一斉に伐採して区画を更地にする意味合いが強くなります。それとは対照的な主伐方法が「択伐」で、かつて日本で主流だった伐採方法です。育った木を計画的に間引くようにして切り出し、空いた場所には再び植林をして森を更新します。完全に更地になるのを防ぐことで森の生態系が守られ、土砂災害を防ぐ効果も。伐採できない期間がないので、持続的な林業ができると、現在は欧米で提唱されています。
「択伐」に求められるのは経験と知識。伐採量の見極めや樹齢の違う木々をバランスよく育てるノウハウ、伐採後の丸太を木々の間を抜けて運び出す方法など、高い技術と資金が必要で、かつての日本の林業は世界的に見ても極めて高度な技術力を持っていました。
Q.伐採後の土地で再造林は進んでいるのでしょうか?
A.残念ながら、再造林は3~4割。残りは禿げ山のままです。
再造林、つまり伐採した土地に再び木を植える作業は、残念ながらほとんど進んでいません。林野庁によると主伐した面積に対して、再造林がされるのは30~40%ほど。再び木を植えようとする山の所有者が少ないのは、木材価格の低迷によって、木を売ったお金で植林ができるほどの収入を得られないから。各地に伐採したままの禿げ山が増えてきています。
また、再造林や樹木の保育といった仕事に携わる人が減っていることも理由のひとつ。2000年代に約4万人いた育林従業者は、2015年に2万人弱にまで減ってしまいました。人手不足を補うためにも、ドローンによる苗木運搬など、林業のさらなる機械化、デジタル化が求められています。
●情報は、FRaU2024年8月号発売時点のものです。
Supervisor:Hajime Utsugi(Forestry and Forest Products Research Institute) Illustration:Sara Kakizaki Text & Edit:Yuka Uchida
今田美桜さんが表紙!「木と森との暮らし」特集のFRaU8⽉号、発売中!
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2024年7月17日 FoE Japan
森林保全/日本の森林再生 荒廃する人工林
日本の森林再生 荒廃する人工林
森林保全
荒廃する人工林|間伐材の推進|日本の森林認証制度
日本は国土の2/3が森林に覆われた世界屈指の森林国です。その半分近くは人工林、植えてから伐り出すまで人の手で育てていく森です。
放置される人工林
日本では戦後、木材生産を目的にスギ、ヒノキなどの大規模な造林を行いましたが、木の成長より早いスピードで木材需要が高まり、1960年、木材の輸入が始まりました。輸入は拡大し国内林業は衰退、人工林は荒廃しています。
放置された人工林は、過密で林内が暗くなり、他の植物が育たなくなることで生物種が減少、土壌がむき出しになることで地すべりや洪水などの災害が起こりやすくなります。
関わり薄れる里山
里山といわれるかつての薪炭林や共有林も住民の高齢化、生活の変化などによって人手が入らなくなり、ヤブ化したり外来種が侵入したりしています。
かつて里山は生活に結びついた場として、住民の生活に利用されてきましたが、その中で里山を生息地とする動物、植物も出現し、希少種の5割が生息しているとも言われています。
ライフスタイルが変化したいま、里山と人間の関わりは薄れ、その役割の多くは失われています。しかし、里山林の独特な生態系が持つ希少種の保護や景観の維持、そして現代の人間と森林の関係を見直す機会の提供など、里山を利用・保全していくことは重要です。全国各地の里山林で、環境教育の場、憩いの場、遊び場として、様々な取り組みが行われています。
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日本熊森協会
TOP 森と野生動物の現状
森と野生動物の現状
奥山の荒廃
奥山の豊かな森は、人間も含め全生物が生きていくために必要日本の奥山に祖先が大切に残してきた森は、大型野生動物を保全し、土砂災害を防ぎ、陸川海の全生物の命と産業を支えてきた滋養豊かな水源の森です。
しかし、戦後、奥山の森は破壊され、針葉樹の人工林ばかりに戦後の国策であった「拡大造林政策」により、奥山の広大な森が伐採されました。
跡地には林業用にスギ・ヒノキ・カラマツなどの単一の針葉樹が植林されましたが、林業不振が続くなどして、これらの人工林の多くは手入れもされず荒廃していきました。
日本の森林の歴史
1950年代
焼け野原となった戦後の住宅復興用にと、国は広大な奥山原生林を伐採するなどして、約1,000万ヘクタールものスギやヒノキなど針葉樹の造林を推し進めました。
1960年代
工業大国を目指した日本は、輸出拡大のため木材の輸入を自由化し、国内林業は壊滅状態になりました。
現在
生活様式の変化などで、木材需要は激減し、林業の担い手も減り、林業が成り立たなくなったため、多くの人工林は放置され、伐採期を迎えた林の内部は大荒廃しています。
荒廃した奥山には生物が息づかず、荒廃の一途をたどります。
荒廃し、スギ以外の生物は棲めない人工林
間伐や枝打ちなどの手入れがされない林内は暗く、林床に下草も生えません。木一本一本も細く、根は大きく張れていません。
林内は生物の多様性が低く、大型野生動物の食糧はありません。
動物は食べ物を求めて里へ
豊かな森を失い、人工林では生きられない野生動物たちは、食糧を求めて里へ出てくるようになり、農作物被害も発生。地元の人々は悲鳴を上げ、野生動物たちは大量に駆除されています。
土砂崩れなどの災害が多発
荒廃した人工林は崩れやすく、山崩れや土石流が各地で発生しています。近年の大雨や台風の増加で、さらにその危険性が増しています。
水資源の不足
荒廃した人工林は保水力が低下し、大雨が降ると洪水に、雨が降らないと渇水に。森林からの湧水が激減しています。
わずかに残された奥山天然林も荒廃。
再エネ名目で大量伐採も受けています。
ナラ枯れによる実のなる木の大量枯死
近年、ナラ枯れというドングリの木の大量枯死が進み、野生動物はすみかや食糧を失っています。
温暖化などによる昆虫類の激減・植生変化
ササや下草が消え、昆虫が激減し、昆虫が花粉を運ぶ木々の実りも消え始めています。
再エネやリニア新幹線などの開発による破壊
尾根筋風力発電や大型太陽光発電施設のための大規模な森林伐採や、リニア中央新幹線のトンネル掘削による奥山の破壊が進められています
水源の森と野生動物を守るくまもりの活動
豊かな自然を守り、全生物と共存するために、様々な活動を行っています。
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2011年7月31日 Wedge ONLINE
Wedge REPORT
水害の多発からニッポンの森林を考える
荒れた人工林の放置が最大の問題
WEDGE編集部
豪雨の被害に対し、こころよりお見舞い申し上げます
記録的な豪雨となった新潟、福島両県で大きな被害が出ている。両県は2004年7月にも「7・13水害」とも呼ばれる大水害に襲われたばかり。テレビニュースでは「100年に1度クラスの豪雨がこの短期間に2度も・・・」と言葉を失う住民の姿が映された。
洪水、水害というと、ダムや堤防といった河川への人工的対策ばかりが注目されやすいが、河川と森林には深い関わりがある。日本の森林の実情について、専門家に取材した。
日本の森林の現状を
太田猛彦氏に聞く
歴史的に見て、日本の森林が現在どのような状態にあり、求められる対策は何か。治山・砂防、森林管理など森林に関わる幅広い分野が専門の太田猛彦・東京大学名誉教授に聞いた。
●日本の山は荒れているのですか?
それは多分にイメージ先行です。
実は、日本の森林は400年ぶりの豊かな緑に満ちており、山崩れは減少し、川の水も減り気味です。こういうと、誰もが信じられないと言うのですが、戦前や戦後すぐのころの写真を丹念に見ると、どこの農山村も背景の山は、いわゆる「はげ山」です。
例えば100年前に撮影された愛知県長久手町の写真を見ると、自然や環境をテーマにしたあの愛知万博の会場付近が、非常に荒廃しています。データを見ても、ここ半世紀の間、森林面積は変化していないのに、蓄積量(体積)は2倍以上に増えています。大半は人工林ですが、天然林も増えています。
江戸時代も山、特に里山に木はあまり生えていなかったと考えられます。左上の絵のように、有名な歌川広重の「東海道五十三次」に出てくる森は、下草が全然ないし、木はやせ地でも育つ松ばかり。広重に限らず、家茂の上洛図などさまざまな絵で、はげ山に近い情景が描かれていることを考えれば、これは決して技法ではなく実態だったのです。日本人は、木を資源、燃料として大量に使っていたからです。
明治政府は保安林制度や治山・砂防事業で荒廃地の復旧を行いましたが、国民の大部分は里山資源を必要とする農民であり、戦争もあって荒廃地は減りませんでした。そして戦後の資源不足で、奥山も大規模に伐採されました。
転機は昭和30年代です。拡大造林(大規模植林政策)の一方で、化学肥料や石油資源への転換、安価な外材(外国産木材)の輸入が進みました。国産材の需要は減りました。その結果、植生が劇的に変わりました。荒廃山地、採草地、薪炭林は消え、かわりにスギ・ヒノキを中心とする人工林が1000万ヘクタール超となり、全国の森林の約4割を占めています。
●森は荒れていないということですか?
いいえ。以前の荒廃と現代の荒廃では意味が異なります。現代の荒廃は、量ではなく質的荒廃です。最大の問題は人工林の手入れ不足です。
森林は多面的機能を持っています。国土保全機能や生物多様性の保全などです。量が増えたことで、国土保全機能は向上しました。しかし人工林は、放置され間伐が遅れると、木が込み合い、日光が林内に入らず、下草が育たなくなります。落ち葉や下草から作られる土壌が貧弱になると、林地に表面侵食が起き、土砂崩れが起きやすくなります。森林の洪水緩和機能も、土壌が「落ち葉や下草つき」で豊かでなければ発揮されません。
つまり、昭和30年代に比べれば森林は多面的機能を回復させてきたが、育った人工林が放置されているために土砂崩れや洪水が起きやすくなるという新たな問題が起きているのです。
●林業の再生が必要ということですか?
日本は、石油などの資源に依存することで、森林を回復させたわけですが、これは持続性がありません。何億年も前の太陽エネルギーの塊である地下資源に依存する生活から、現在の太陽エネルギーの塊である木材を利用する生活に転換する必要があります。国民が木材をもっと使い、林業が再生することは欠かせません。
しかし、木は切らなければ使えませんが、切りすぎると山は人間にとって危険な存在にもなります。江戸や明治の山を思い出してください。物質利用と環境はトレードオフの側面があります。林業は再生させつつ、使う山と守る山を区分する体制が必要です。また下流の都市住民は、上流の山林地域の住民による森林管理によって安全を保たれている面があるのですから、もっと関心を払わなければなりません。
森と水の関係を
蔵治光一郎氏に聞く
内閣府「森林に関する世論調査」によれば、国民が森林に期待している上位3項目は、「地球温暖化防止」と「災害の防止」と「水資源の確保」である逆に「木材生産」は2007年には8位(下から2番目)まで落ちこんだ。災害や水資源と森林の関係について、森林水文学(すいもんがく)が専門の蔵治光一郎・東京大学講師(愛知演習林長)に聞いた。
●科学の知見を教えてください
大前提として自然の営みは非常に多岐にわたり複雑ですから、簡単に解明できるものではありません。大雨や大災害はめったに起こらない確率的な事象でもあります。また、森林や林業分野の予算や人材は他の分野に比べて少なく、研究の蓄積は決して十分ではありません。ですから、わかっていることは限られているということを、まず理解してもらう必要があります。
森が水の流れに及ぼす作用には大きく分けて「平準化作用」と「蒸発作用」の2つがありますが、森が生き残っていくために備えているものですので、必ずしも人間にプラスに働く「機能」に直結するわけではありません。
平準化作用とは、雨水を一時的に保水し、川や地下水にゆっくりと流していく作用です。この作用は、大雨の一部を保水し下流に流れる速度を抑えることで「洪水緩和機能」にプラスに働きますし、雨が降らない期間、川にゆっくり水を流し続けることで「水資源涵養機能」にもプラスに働きます。
蒸発作用とは、雨水を一時的に保水し、水蒸気として大気に戻す作用です。根から吸い上げた水分が葉より大気に戻される、あるいは葉や幹に付着した雨粒がそのまま水蒸気となるといった形で、いわば木が水分を消費しているわけです。
この作用は、大雨の一部を保水、蒸発させることで「洪水緩和機能」にプラスに働きますが、保水した水は川に流れませんので「水資源涵養機能」にマイナスに働いてしまいます。以上のことは、森と水の関係を研究する森林水文学の基礎的な知見です。
●手入れ不足の荒れた人工林は、どういう作用と機能を持つのでしょうか?
放置人工林は木が密集して生えているため、蒸発作用は大きい。しかし、平準化作用は、木の樹冠ではなく林床の土壌の状態で決まるため、落ち葉や下草がないために土壌が流出し、根が地表に見えているような放置人工林では、平準化作用が小さくなります。結果、総保水力が管理人工林より小さくなり、洪水緩和機能も小さくなることになります。
荒れた放置人工林と、間伐され管理された人工林を比較すると、大雨が降ったときに、河川の流量の増水の仕方に差が生じることが予想されます。放置人工林は管理人工林に比べ、総保水力が小さく早いタイミングで増水し、一気にピークに達してしまいます。
また、蒸発する水を「緑の水」、川に流れ、人間が利用できる水を「青の水」とも表現しますが、下流域の人間が期待しているのは「青の水」を増やす森林の作用です。これが小さい放置人工林は、水枯れも引き起こしやすい可能性が高い。
では、人工林のどの程度が放置人工林なのか。行政にはデータがありません。私たち研究者とボランティアグループが共に取り組んできた「森の健康診断」では、矢作川流域全体の人工林の約6~8割が、間伐遅れの不健康人工林と診断されました。人工林管理放棄問題は、喫緊の課題です。
日本の森林の最大の問題は「荒れた人工林があふれていること」にある。荒れた人工林を放置すると、山の総保水力が小さく、河川の流量が一気にピークに達することが予想されているようだ。今回の豪雨では多いところでは降り始めから1000ミリを超えており、このような記録的豪雨に対しても、森林の整備でどれほど防御力を高められるのかはまだ詳しいことはわかっていないようだが、近年の水害の多発から森林への意識を高めていくことは欠かせないだろう。
※本記事は月刊『WEDGE』2010年9月号特集「日本の森林 孤独死寸前」の一部を再構成したものです。
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日本地理学会発表要旨集
2004年度日本地理学会春季学術大会
会議情報
主催: 日本地理学会
人工林の荒廃が洪水・河川環境に及ぼす影響
*恩田 裕一, 辻村 真貴, 竹中 千里
著者情報
キーワード: 人工林, 浸透能, ヒノキ林, 洪水
会議録・要旨集 フリー
記事の概要
抄録
1. はじめに
戦後の拡大造林ブームにより植裁されたスギ・ヒノキ等の人工林が徐伐・間伐の時期を迎えており,適切な施業・管理が強く望まれる時期である.しかし,林業労働力の不足,材価の低迷のため,適切に管理されずに放置され荒廃した林分が年々増大している.また,ピーク流出水量が増大するために下流域に洪水を引き起こす可能性が指摘され,さらに,渇水期の流出水量が減少すると予想されている(図1)。
従来の研究によれば,人工林,特にヒノキ一斉林では,樹冠の閉鎖が進むと下層植生が消失し,浸透能が低下して降雨時に容易に地表流が発生し土壌の表面侵食が起こることが知られている。しかしながら,従来の浸透能測定は,主に円筒管型の浸透計が用いられており,クラスト形成が指摘されている裸地化した林床における浸透能を正確に表現していない恐れがある(湯川・恩田,1995)。
そこで本研究では,樹幹上から散水をする浸透計を用い林内における浸透能の把握をすることを目的に研究を行った。
2. 調査地域および方法
調査斜面は,三重県一志郡白山町にある三重県林業技術センター実習林内の一斜面である。この実習林の内部には,様々な林相の施業がなされている。この中の林齢約30年のヒノキ人工植栽地に,間伐を行っていない区画があり,林床は裸地化している。
このヒノキ林のほぼ中央上部に,仮設やぐら(高さ約12m)を建てた。このやぐらの上部は林冠上まで達しており,その四隅にスプリンクラーを設置した。このスプリンクラーにホースをつなぎ,林道からポンプで水を供給することにより,林冠上からの人工散水を可能とした。
実験に使用する水は,調査斜面の下流の沢水を用いた。この水を4トン積みの散水車を用いて,調査斜面近くの林道まで運搬した。その後,散水車から水を容積150Lの容器に移し,そこからポンプで散水タワーに導いた。
3. 結果および考察
平均降雨強度45mmの人工降雨を3回,林冠上から散水した結果,浸透能が平均31.2mmと極めて低い値を示した。この値は,霧雨型の浸透試験結果460mm/h,冠水型試験結果354mm/hと比較しても極めて低い値を示す。したがって,荒廃した森林の洪水に及ぼす効果を定量化するためには,大型の散水装置を用いて浸透能を定量化するとともに,流域のプロットスケール,小流域河川水の流出分離に基づく表面流出成分の把握が必要となろう。
文献:
(1) 湯川・恩田 (1995):. 日本林学会誌, 77(3), 224-231.
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2021年9月25日 東洋経済ONLINE「ライフ意外と知らない「暮らしの水」ウソ?ホント?
無謀な森林伐採が「土砂災害」を招いている事実
林業が山間部の災害に与える小さくない影響
国が林業の成長に力を入れ始めた一方で、林業における取り組みよって土砂災害や洪水が起こりやすくなっている可能性もある。写真は2019年の台風19号で大きな被害を受けた球磨川流域の皆伐地(筆者撮影)(写真:筆者撮影)
日本の治水対策がこのほど大きく変わったのをご存じだろうか。今年5月「流域治水関連法」が公布され、7月にその一部が施行された。改正の背景には、豪雨災害、土砂災害が激甚化・頻発化していること、さらに気候変動の影響により今後、降雨量や洪水発生頻度が増加することが見込まれていることがある。
「流域」とは降った雨が一筋の川の流れとして収斂するエリア。一級河川で考えると日本には109の流域がある。従来は、主に河川管理者が、「河川区域」において、堤防やダムなどを整備し治水を行っていた。
が、改正後はこれに加え、流域に関わるあらゆる関係者が協働し、山間部など上流部の集水域から、平野部で洪水に見舞われることの多い氾濫域まで、流域全体を視野に入れて治水に取り組むことになったのだ。
森林が山崩れや洪水を防ぐことへの期待
流域における治水を考える上で、重要なのが森林の存在だ。林野庁によると、森林は国土面積の67%を占める。内閣府による世論調査では対象者の約半数が森林に「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」を期待しており、多くの人が森林は下流における災害を食い止める役割を果たしている、と考えている。
ところが、その森林の存在を脅かしているのが林業である。戦後木材自給率は輸入材に押されて低下し、2002年には18.8%と最低を記録したが、この事態を打開するため、国は林業の成長産業化を推進。国産材を安定的に供給するために、これまで不明だった森林境界や所有者を明確にしたり、高性能林業機械の導入や林業作業道の整備などを進めている。
需要を促進する手も打った。住宅用以外に公共建築物、強度・断熱性・耐震性を高める加工をしたうえでのマンション建材、バイオマスエネルギー用材としての活用を促進。その結果、2019年の木材自給率は37.8%と、2011年から9年連続で上昇している。
実際、こうした林業の取り組みが、洪水や土砂災害につながる可能性を示唆した調査も出ている。9月15日に自伐型林業推進協会が発表した「災害と林業〜土石流被害と林業の関係性の調査報告」がそれだ。
「2011年、台風12号の影響で紀伊半島では、一部地域で雨量が2000ミリを越えるなど記録的な豪雨に見舞われました。このとき雨量が同じでも、林業の施業方法によって、崩れている森林とそうでない森林がありました」と、自伐型林業推進協会の中嶋健造理事長は調査のきっかけについて語る。
林業には2つの方法がある
「林業の施業方法」は、「短伐期皆伐」と「長伐期多間伐」の主に2つある。短伐期皆伐施業とは、一般的に「木は植えてから50年で切る」と決め、広範囲を一斉に伐採。禿山になった後、再造林(植林)を行う。
伐採や運び出しを効率的に行うため、例えば20トン級のバックフォーや10トン級のトラックなど、大型機器を利用する。こうした機器を森林に入れるため、作業道の幅も4メートル以上と広くなるのが特徴だ。
一方、長伐期多間伐施業は、所有・管理する山林を約10年に1度の頻度で、2割程度の間伐(密になった林地の木を切ること)を繰り返す。残った木が高品質の木に成長する。小型機械を使用するため、作業道の幅は2メートル〜2.5メートル程度だ。
今回、自伐型林業推進協会が重点調査した土砂災害現場は以下のとおりだ。
2016年台風10号豪雨災害(岩手県岩泉町)
2017年7月九州北部豪雨災害(福岡県朝倉市)
2018年7月西日本豪雨災害(岡山県西粟倉村)
2019年台風19号災害(宮城県丸森町)
2020年7月豪雨災害(熊本県球磨川流域)
これらの多くの場所で、皆伐地や林道作業道を起点とした、崩壊が発生。2019年台風19号災害(宮城県丸森町)と、2020年7月豪雨災害(熊本県球磨川流域)については、衛生画像、ドローンなどを活用しながら詳細な調査を行った。
2019年に関東、甲信、東北地方に甚大な被害をもたらした台風19号では、丸森町で10人死亡、1人行方不明と、自治体単位では全国で最多の犠牲者を出した。
一般的に土砂災害の原因は、雨量、地形・地質、土地利用にあるとされる。台風19号が襲った2019年10月12日から13日の総雨量は700ミリを超え、丸森町内の阿武隈川本流と支流が氾濫。このため「想定外の雨が原因」と報道された。だが、地形や地質も見逃せない。丸森町は傾斜が急で、斜面崩壊が起こりやすい。また、崩れやすい真砂土(花崗岩が風化したもの)のエリアも広がる。
崩壊の起点は林業作業道
一方、これまであまり言及されていなかったのが林業である。自伐型林業推進協会は丸森町で崩壊の多かった廻倉地区を調査した。
(出所)自伐型林業推進協会調査
54の崩壊箇所のうち、皆伐地が35件(65%)、作業道起因の崩壊が16件(30%)、林道・公道起因の崩壊が2件(4%)と、林業施業が起因となった崩壊が98%を占めた。放置人工林や未整備林の自然崩壊は1件(2%)。これまで災害時に崩れるのは手入れをされていない人工林が多いと言われていたが、今回の調査では1件だった。
2021年12月、筆者は中嶋氏とともに丸森町廻倉地区に行った。崩壊場所の1つは、11世帯39人が暮らした集落だった。3人の命が失われ、1人が行方不明となった場所だ。
丸森町廻倉地区の崩壊現場(著者撮影)
崩壊の起点は林業作業道だった。崩れ始めた場所の幅は2メートル程度だったが、土砂が斜面を流れるうちに、崩れやすい真砂土を巻き込み巨大な土石流となったようだ。真砂土は水分を含まない時はさらさらとしているが、水分を含むとべとべとの泥になり、がっちり固まって斜面を削りながら流れてくる。
崩壊地のなかに植林されたエリアもあった。2002年に大規模な山火事が発生。火事後に植林されたが、スギはまだ樹齢が若く、土地を安定させるには至っていなかったと考えられる。
次に、2020年7月豪雨災害についても調査を行った。球磨川流域では50人が亡くなり、現在も2人が行方不明のままだ。
ここでも雨量、地形・地質、土地利用という観点から考えてみる。まず、大雨をもたらす線状降水帯に流域全体が覆われた。気象庁によると線状降水帯は東西276.5キロにおよぶ過去最大規模のものだった。7月3日午後9時〜7月4日午前10時の13時間にわたって熊本、宮崎、鹿児島にかかり、総降水量の最大値は653.3ミリだった。ここでも「想定外の雨が災害の原因」という報道が多かった。
地形や地質を考えると、球磨川流域では降った雨が、谷筋から支流に入り、人吉盆地で球磨川本流に合流する。また、もともと崩れやすい地層で、雨が降ると土砂災害が発生したり、川底での堆砂が進み、洪水を誘発する。
最後に土地利用(林業)だ。自伐型林業推進協会による調査によると、球磨村の183の崩壊箇所のうち、皆伐地が82件(45%)、林業の作業道、林道・公道起因の崩壊が90件(49%)、放置人工林や未整備林の自然崩壊は11件(6%)だった。
(出所)自伐型林業協会調査
崩れ方はさまざま
筆者は2021年9月に球磨川流域へ行き、作業道の崩れ方を調査した。崩れ方はさまざまである。たとえば法面の崩壊だ。道幅を確保するために切土(アカ色)が高くなり、また盛土(黄色)が水分を含むことにより崩壊が発生していた。
(筆者作成)
また、本来は水が流れる谷なのに、水の流れを無視して道を作ったため、豪雨時にその部分が崩れたケースもあった。水の流れを予想して管を道路の下に入れておいたが、脆弱な土壌がパイプのなかにつまり、豪雨時に道を吹き飛ばしたケースなどさまざまだ。
下の写真は被害の大きかった八代市坂本地区で撮影したものだが、谷をまたぐ作業道をつくるときに管によって排水処理を行おうとしたものの流出した土砂によって目詰まりしている。
八代市坂本地区(写真:筆者撮影)
球磨川の上流域である、水上村、五木村、多良木町、人吉市へ向かう林道を調査すると、皆伐地の崩壊箇所が数多くある。かなりの土砂量が出ている。それらの土砂は球磨川に入り、川底での堆砂が進み、洪水の原因になっている。
一方で林業施業は改善されてはいない。阿武隈川流域(宮城県丸森町が所属)でも、球磨川流域でも「上下流・本支川の流域全体を俯瞰し、国、県、市町村が一体となって流域治水を実施する」ことになっている。
「災害の火種を」作り、「火消しに奔走」
【2021年9月27日12時45分 追記】記事初出時、皆伐面積について誤認識がありましたので、修正いたします】
しかし、球磨川流域では、土砂災害が派生した場所の上流部で、伐採が進んでいる。大型の機械を用いて、1日で50ヘクタール以上を皆伐し続けている。これが第2、第3の災害を引き起こす可能性がある。
一度崩れた山は崩れ続ける。砂防堰堤を作るしかないが、それはすぐに埋まってしまう。対症療法にしかならない。「災害の火種」を自分たちでつくり、自分たちで砂防ダムをつくるなど「火消しに奔走」している。
こうした現状から脱却すべきだ。流域治水の実効性を上げるには、流域全体における土地利用を見直す必要がある。特に山間地の土砂災害が及ぼす影響に十分配慮し、流域自治体相互の連携を深める必要がある。
橋本 淳司 水ジャーナリスト
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アピステコラム
森林伐採
森林伐採と土砂崩れの関係、森林を活用した土砂崩れの防止策
山の多い日本は、台風や大雨などで土砂崩れが発生しやすい国土環境にあります。また、近年は集中豪雨などにより、土砂崩れに関するニュースやその被害を目にする機会も増えています。
こうした災害が起きた時、山地の森林伐採が土砂崩れに繋がっていると考える方も多いようですが、樹木の生い茂った斜面が崩れ落ちることも珍しくありません。
そこで今回は、日本における森林伐採と土砂崩れの関係や、森林を活用した土砂崩れの防止策などについてご紹介します。
目次 [非表示]
1.土砂崩れのメカニズム
2.森林伐採と土砂崩れの関係
3.森林があるにも関わらず土砂崩れが増えている原因
人工林の管理不足
異常気象の増加
4.森林を活用した土砂崩れの対策
①.人工林の手入れ
②.野生鳥獣による森林被害を防ぐ
③.広葉樹林の保全
5.まとめ
1.土砂崩れのメカニズム
森林伐採と土砂崩れの関連についてご紹介する前に、まずは土砂崩れのメカニズムについて解説します。
土砂崩れとは、斜面表層の土砂や岩石が地中のある面を境にして滑り落ちる現象のことを言います。
もともと斜面の表層は重力で常に下へ引っ張られていますが、地盤の摩擦力などそれに抵抗する力によってその位置を保持しています。
しかし、大雨や地震などで重力が抵抗力を上回ると、地層の表層の一部が断ち切られ、岩盤の上に乗っている土砂が崩れ落ち、土砂崩れとなります。
2.森林伐採と土砂崩れの関係
ここからは、森林伐採と土砂崩れの関連性をご説明します。
樹木の細根には、網のように土壌層をつなぎ止め、基岩層の亀裂まで入り込み、すべり面(土壌層と基岩層の境)を固定する機能があります。これが、地盤の浸食や崩壊を防ぐ役割を果たしています。
また、落ち葉が混ざり込んだ隙間が多い土壌は、降水時の水分を多く吸収し、地表流の発生を抑える働きがあります。
しかし、森林伐採によって樹木が減少すると、すべり面のストッパーとなるものがなくなり、傾斜が急な場所ほど土砂崩れが発生しやすくなるのです。
3.森林があるにも関わらず土砂崩れが増えている原因
前章では、森林が伐採された場所では土砂崩れが起きやすくなるとご説明しましたが、実は日本の森林面積は50年前とほとんど変わりません。
しかし、山地に樹木が生い茂っているにも関わらず、大雨や台風による土砂崩れで住宅が倒壊し、多数の死傷者を出すといった事故が増えています。
森林があるのに、なぜ土砂崩れが増えているのでしょうか。ここからは、その要因を考察していきます。
人工林の管理不足
日本の森林面積はほとんど変わりませんが、その内訳を見ると天然林が減少し、人工林の比率が拡大しています。
下刈りや間伐などで定期的に手入れされた人工林は、根の発達が促されて風雪害に強い森林となるほか、林内の光環境が良く、下層植生が繁茂し、表土の流出を防ぐという本来の役割を果たす森林になります。
しかし、1980年をピークに林業産出額が減少の一途を辿っています。
林業の採算性が悪化しているほか、林業離れによる後継者不足や就業者の高齢化などもあって、資源として利用できる森林蓄積は年々増えているにも関わらず、多くの人工林がそのまま放置されているのが現状です。
下刈りや間伐がされない山の地表は日光が届かず、草木の根が張らないため、土が痩せていきます。このような状況で大雨や台風などが発生した場合、根が水を吸いきれずに土砂崩れが発生しやすくなってしまうのです。
異常気象の増加
近年は「〇〇市は1日で200㎜の降雨を観測」など異常気象が増えていますが、そんな猛烈な雨が手入れされていない人工林に降った場合、やはり根が水を吸い切れず土砂崩れを引き起こす恐れがあります。
手入れされている人工林は下層植生の発達が良好であり、雨水が染み込みやすい枯れ葉を含んだ土壌を作ります。そこに降った雨は地中をゆっくりと移動し、澄んだ水となって川などに流れ出ます。しかし、手入れされていない人工林では下層植生が衰退し、水が浸み込みにくい土壌になるため、雨水は素早く地表を流れ落ちることになります。
これは水源かん養機能と呼ばれ、この機能が下がると、とてつもない量の雨が降った場合、表土の流出はもちろん、土砂崩れのリスクが高まります。
4.森林を活用した土砂崩れの対策
最後に、森林を活用した土砂崩れの対策を3つご紹介します。
①.人工林の手入れ
人工林を機能させるためには、間伐などによって森林を育てる手入れを定期的に行う必要があります。
現在は植栽以降放置されている人工林が目立ちますが、植栽後も下刈りや除伐、間伐、主伐など手入れを継続することで、残存木の幹は太くなり基岩層の亀裂に根を張り、地盤の浸食や崩壊を防ぐ機能を取り戻します。
また、人工林の手入れを行うことで、森の中に日光が差し込み、今まで発芽できなかった色々な木の種子が育ち、本来の天然林の再生を目指すこともできます。
②.野生鳥獣による森林被害を防ぐ
人工林を手入れしても、鹿や熊など野生鳥獣の食害や剥皮被害を防がないことには、土砂崩れに強い森林を整備することはできません。
林野庁によると、2015年度の野生鳥獣による森林被害面積は約7万8000haであり、年々拡大傾向にあります。これを放置すると、下層植生の消失や剥皮による森林の枯死などで土砂崩れのストッパーが減り、災害のリスクが高まります。
人工林が災害時に有効に機能するためにも、防護柵や食害防止チューブなどの設置、駆除による適切な個体数の管理といった対策が必要になります。
③.広葉樹林の保全
土砂崩れ対策として、人工林だけでなく広葉樹(天然林)の保全も有効です。
その場所で育った広葉樹林は、多様な樹種を持ち、地域への適応力も強い森林です。現在の植生が持っている表面侵食防止機能や土砂崩壊防止機能を守るために、不用意な伐採を避けるなどの保全が求められます。
その植生の維持や健全化のためには、天然更新や樹木の成長を助ける作業など、天然林であっても人手による管理が不可欠です。
5.まとめ
現在の日本の森林は、過伐採ではなく人工林の放置などが原因で土砂崩れが多発している状況といえます。
国内林業の採算悪化や人手不足などの問題はありますが、異常気象の増加で土砂災害のリスクは増えています。少しでもその被害を減らすために、人工林や広葉樹林の管理の徹底が求められています。
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