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2024年1月6日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本は「ひとつではない」とはどういうことか…日本人が見落としてきた「庶民の歴史」の大きな意味
『忘れられた日本人』で知られる民俗学者・宮本常一とは何者だったのか。その民俗学の底流にある「思想」とは?
「宮本の民俗学は、私たちの生活が『大きな歴史』に絡みとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事」だという民俗学者の畑中章宏氏による『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』が5刷と話題となっている。
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日本はひとつではない
日本全国をすみずみまで歩き、人びとの話を聞いた宮本常一。
『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』では、「古代社会は統一された『ひと色の文化』のなかにあったのだろうかと疑問を抱く。そして『日本』がひとつではないことを描き出していった」と、「日本はひとつではない」という指摘を掘り下げている。
〈網野善彦は、『忘れられた日本人』を中心とした宮本の仕事が、戦後歴史学、あるいは近代歴史学自体の根本問題を鋭く突くものでもあったと指摘する。
さらに当時の学界では東日本は後進地域と考え、東国は畿内に比べてはるかに後進的とされてきたが、宮本がそういう差異を、先進・後進という割り切り方をしない点についても評価している。
宮本は、東日本については同族集団、同族結合が基本であり、縦の主従関係を基本にした家父長制的な傾向の強い上下の結びつきを特徴とし、それに対して西日本の場合、フラットな、横の平等な関係を結びあうのが特徴だとする。
縦の主従関係が東日本に見られるのに対して、寄り合いや一揆のような横の組織は、西日本に発達するという考え方である。東日本では年齢階梯制は非常に希薄で、年寄り組、若者組、娘組のような年齢階梯制が見えないことも強調する。〉(『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』より)
「世間師」という存在
さらに宮本の知見で重要なのは、「世間師」なる人びとだ。
『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』では、「共同体の外側にあり、多様な価値で成立している『世間』を渡り歩く存在」と表現される。
しかし、現在は聞くことのない存在となっている。
〈『忘れられた日本人』に描かれた世間師たちの努力の大半が埋没していった。
しかし、単線的な成長や発展を望むべくもないいま、世間師が果たした役割、共同体を公共性にひらいていくための意志と営為は見直されるべきであり、また庶民こそが歴史をつくってきたことも忘れてはならない。〉(『今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる』より)
つづく「日本全国「80歳以上の老人たち」の話が教えてくれたこと…幕末生まれと明治生まれの人の「決定的な差」」では、宮本のフィールドワークの手法にはどのような特色があったのか、それは彼のどんな体験から編み出されたものだったのか、「よい老人」とは誰か、などについて掘り下げている。
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