💎11)─2─地震や津波で死んだ人々の幽霊に対する欧米の捉え方。~No.27No.28No.29 

津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

津波の霊たちーー3・11 死と生の物語

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2018年3月17日号 週刊現代「インタビュー 書いたのは私です」
 リチャード・ロイド・パリー 『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』
 津波の悲劇に見舞われた遺族たちと被災地の幽霊の謎
 在日20年の英国人記者の目から見たもう一つの『震災』
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 ──本書では震災取材を通して見えてきた日本人の『我慢』という精神性についても分析しています。『日本人の受容の精神にはうんざりだった。過剰なまでの我慢にも飽き飽きしていた』と書いていますね。
 (パリー)日本人の『我慢』は文化的な概念なので、一つの単語に英訳することはできない。それほど外国人にとってはすぐに理解できる言葉ではありません。ただ、この震災において、日本人の『我慢』には二つの側面があることがわかってきました。
 一つは震災による危機的な状況における『我慢』です。食料が足りないにもかかわらず、被災者同士が冷静にお互い協力しあう。この『我慢』には日本人の受容、決意、忍耐が表れています。もう一つは無抵抗、現状を受け入れるという『我慢』です。現状を変えるべきときでも何もしない、そういった精神性ですね。
 私は2012年、代々木公園で行われた大規模な反原発デモに行きましたが、その勢いは次第に弱まり、結局、社会を大きく変えるほどの社会行動いはなりませんでした。
 本来、酷い事故がヒューマン・エラーや政府側のミスで起きたとき、人々は一丸となって立ち上がり、政府に説明を求め、政策を変えるように要求しなければならないと私は思っています。
 ……
 ──タイトルにあるように『幽霊』の話も出てきます。これも『大川小学校』のストーリーの次に重要なテーマとなっています。
 (パリー)被災地で相次ぐ『幽霊』の目撃談に興味を持ち、被災者のカウンセリングを続ける仏僧・金田住職と出会いました。外国人にとって心霊現象あ除霊の様子は日本文化と今回の震災の根深さを理解する上で必要でした。私自身、幽霊の存在を信じていませんが、それは重要ではありません。大事なのは被災者の人々が霊を信じている事実なんです。
 元々は欧米人向けに書いた本なので、日本人にとっては当たり前のことについても説明しています。それを日本人読者がどのように感じるかは少し心配ですが、日本に長年住んでいるイギリス人ジャーナリストの目から見たストーリーとして読んでいただけたら、うれしいですね。(取材・文/大野倭季)」
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 3月7日 産経ニュース「【変化を見つめて 東日本大震災7年(中)】ザ・タイムズ東京支局長 リチャード・ロイド・パリーさん 心の奥底の傷「感情の真実」伝える
 「個人や共同体がいかにして津波被害とたたかったかに興味がある」と話すリチャード・ロイド・パリーさん(宮川浩和撮影)
 「話を聞いていて、つらくて涙がとまらないこともあった。それでも、しっかりと見て書くことには意味がある」。在日20年を超える英「ザ・タイムズ」紙の東京支局長、リチャード・ロイド・パリーさん(49)は、東日本大震災からの7年の取材活動をこう振り返る。対象と一定の距離を置くジャーナリストらしい冷静な語り口に、時折柔らかくて湿った感情がのぞく。
 「震災後、東北でたくさんの人と会い、風習や民話も教えてもらった。より深く知ることで、私の日本への愛、尊敬の気持ちは強くなった気がします」
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 7年前の3月11日、東京都心のビルにある仕事場で、経験したことのない大きな揺れを感じた。書類整理棚の引き出しは勝手に開き、窓の外に目をやると堅牢(けんろう)なビルが明らかに動いていた。翌朝には取材のために車で東北へ。約23時間かけてたどり着いた宮城県の沿岸部には「信じられない光景」が広がっていた。町は泥や砂に覆われ、嗅いだことのないような臭いが鼻をついた。空港では小型飛行機が木の上に乗っかっていた。どれも津波のすさまじさを無言で語っていた。
 やがて、津波に襲われ、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった大川小学校(宮城県石巻市)の悲劇を知る。多くの子供が命を落としたのは教員による避難誘導中だった。「学校という安全な建物に先生たちといて、事故が起こった。自然災害は避けられないが、大川小の場合、人災の側面もあったのです」
 今年刊行した自著『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』(濱野大道訳、早川書房)は大川小の事故遺族の姿を追ったルポルタージュだ。わが子はなぜ死んだのか? 真実を知りたくて、行政側を訴えた遺族たち。裁判の推移を丹念にたどる一方、遺族たちの行き場のない憤りや悲しみ、さらには根深い確執をも詳細につづった。
 「最愛の子供を失った親たちが望んだのは、過ちを犯した責任ある立場の人の人間的な謝罪でした。あの災害をどのように感じたのか? 実際起こったことだけではない、人々の『感情の真実』に興味があった」
 だから、震災後に被災地で報告例が相次いだ「心霊現象」にも紙幅を割いた。
 悲しげな表情でタクシーに乗り込み、もはや建物がない住所を行き先として告げた男性の霊。がれきと化した住宅地への出動を要請する霊からの電話を何度も受けた消防署。隣人の霊と仮設住宅の居間で一緒にお茶を飲んだ話…。被災者のカウンセリングを続けてきた現地の住職が語ってくれた挿話が、災厄を生き抜いた人々の心の奥底に潜む、目には見えない傷を伝えていた。
 「被災地の人々の心霊体験は、彼ら個人や共同体が抱えた深いトラウマの表出だと思う。お化けは普通怖いと感じるはずですが、それを『見たい』と思っている人もいた。死んだ人と再会したい、その人が生きているような感覚を味わいたいのだ−と。これは人間が喪失とどう向き合うかを考えさせる出来事でもある」
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 震災後に生まれた息子が今年、7歳になる。流れゆくときの早さと重みを受け止めつつ、日本の動向を少し複雑な気持ちで見つめる。
 「福島の原発の問題などは政治の停滞もあって必ずしもうまく再生に向かっていない。『道を見失っている』というのが多くの人の実感であり、現状かもしれない」
 一方で、被災地の人々のたくましさを感じることもある。最近、自身を含む東京在住の外国人特派員を福島県の人たちが訪ねてきた。2020年の東京五輪パラリンピックで訪日する外国人に、どうすれば福島の産物をPRできるか? 彼らはそんな相談をもちかけ、記者の意見に真摯(しんし)に耳を傾けていた。
 「東北の人々にとって震災の影響は日々の生活でもまだ目に見える形で残っている。ただ、周囲からずっと『つらかったですね』といわれ続けるのもあまり良いことではない。将来に向けて新しいことにチャレンジしていく−それもまた一つの幸せだと思うのです」(海老沢類)
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【プロフィル】リチャード・ロイド・パリー
 Richard Lloyd Parry 1969年、英国出身。オックスフォード大卒。95年に「インディペンデント」紙の特派員として来日し、現在は「ザ・タイムズ」紙のアジア編集長・東京支局長。邦訳された著書に『黒い迷宮』がある。 」
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 3月10日 産経ニュース「【東日本大震災7年】「日本人の力を世界に示した」 ハガティ駐日米大使がビデオメッセージ
 ウィリアム・ハガティ駐日米大使(宮崎瑞穂撮影)
 ウィリアム・ハガティ駐日米大使が、11日で発生から7年を迎える東日本大震災に寄せてビデオメッセージを発表し、被災地の復興が「困難から立ち上がる日本人の力を世界に示した」と称賛した。米政府として今後も復興を支援する考えも強調した。
 ハガティ氏はメッセージで「生活と地域を再建するために努力する東北の方々に感銘を受けた」などと話した。また、「『トモダチ作戦』(米軍による被災地救援活動)に触発された取り組みで築かれた絆は日米国民をさらに近づけた」と評価。「私たちは、多くのトモダチの取り組みを日本のあらゆる場所で支援し続ける」と強調した。
 ハガティ氏はトランプ米大統領の側近として知られる。トランプ氏の政権移行チームで閣僚級人事に関わった経験を持ち、昨年8月に駐日米大使として着任した。(板東和正)」 
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