🎃2)─4・B─承認要求が強い心優しい日本人が新興宗教・カルト教団に勧誘されやすい。~No.7 

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 2023年1月12日 MicrosoftStartニュース AERA dot.「「誰も助けてくれず、ほめてくれない」 女性が新興宗教のターゲットになる構図とジェンダー問題
 女性と結びつき、勢力を拡大してきた面がある新興宗教。その根本には、ジェンダー不平等の社会構造があるという。AERA 2023年1月16日号から。
 ※写真はイメージです(GettyImages)
 © AERA dot. 提供
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 新興宗教新宗教)と女性──。
 旧統一教会をはじめ一部のいわゆる新興宗教は、女性と強く結びつきながら勢力を拡大してきた面があると識者から指摘されている。
 安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者の母親も、旧統一教会の信者だ。81年、母親は自身にとって精神的な支えだった実母を失い、84年に夫が自殺。長男も大病を患った。思い悩み、救いを求めたのが旧統一教会だった。入信したのは91年。活動にのめり込み、総額1億円を超える献金をした。
■苦しむ女性の「受け皿」
 新興宗教に引き込まれた女性の背景に、何があるのか。
 30年以上にわたり新興宗教を取材し、『新宗教の現在地』の著書があるフリーライター・いのうえせつこさんは、「新興宗教は女性をターゲットにしてきた」と語る。
 「背景には今も昔も変わらない、女性が置かれた立場があります。特に主婦の場合、夫は外で働きお金を稼ぎ、妻は家庭で子育てをする『性別役割分業』の社会通念がある。その中で、『子どもがしっかり育たないのはお前のせいだ』などと言われる。苦しみ追い詰められた女性にとって、新興宗教が受け皿になっていくのです」
 勧誘の手段として、旧統一教会は「先祖の祟(たた)り」を持ち出すのが特徴だという。例えば、「あなたが悪いわけではない。4代前の先祖が成仏してないから」などと持ちかける。「因縁トーク」と呼ばれるもので、不幸の原因が家系にあるなどと脅し、不安をあおる。
 4代前の先祖が成仏していないという論拠は、理性で考えればおかしいと思えるはずだ。だが、狭い空間で一つのことを言われ続けると、マインドコントロールされて思考停止に陥り、信じるようになってしまうという。
 「さらに、教会に行けば、同じ悩みを抱えた仲間がたくさんいます。そして、献金を続ける限りは守ってくれます。そうした居心地のよさも、逃げ場をなくした主婦たちの受け皿になっていると思います」(いのうえさん)
 宗教社会学が専門の猪瀬優理龍谷大学教授は、女性が新興宗教に入信する背景には、現代の日本社会にいまだ横行しているジェンダー不平等な性別役割があると指摘する。
 「日本では女性が家事や子育て、介護などの『家族に対するケア役割』を引き受けることを『当たり前』とする風潮がいまだにあります。一方で、男性は家庭におけるケア責任を負っている意識は希薄です。家庭で困難があっても基本的に誰も助けてくれず、うまく対処できていたとしても誰もほめてくれません」
■宗教活動で達成感
 ジェンダー不平等な社会構造や価値観が、女性の入信の動機が「家庭的問題」になりがちであることの根本的な要因であると考えられるという。
 猪瀬教授は以前、エホバの証人を脱会した元信者を対象に調査をした。
 自ら信者になった女性らは、子育てに不安や悩みを持っていたが、明確な支援は得られていなかった。だが、エホバの証人とともに聖書研究をしたり、集会に行ったりするようになると、指針だけでなく達成感や満足感が得られた、と話したという。
 「つまり、通常の家庭生活ではこのような実感があまり得られなかったわけです。宗教集団への参加によって、家庭からの一時的な逃げ場や自己実現の可能性を得ることもできるのではないかと思います」(猪瀬教授)
 新興宗教は、子どもも抑圧している。
 「宗教2世」における女性の問題を指摘するのは、日本基督教団白河教会牧師の竹迫之(たけさこ・いたる)さん(55)だ。旧統一教会の元信者で、40年近く脱会支援活動を続ける竹迫さんは言う。
 「特に2世の女性は、自由な恋愛は禁止され、露出の多い服装も許されないなど、子どもの頃から主体性を剥奪されています。そのため、成長するに従い、教団の教義がおかしいと気がついても、それを認めることが難しいのです」
ジェンダー平等が急務
 教義の否定は、親を否定することになる。それは自分のルーツを否定することになり、自分は間違って生まれてきた人間なのかと悩み、自尊心が損なわれていく。宗教2世の女性の中には、教義はおかしいと思いながら認めることができず、脱会できなくなっている人もいるのではないかという。
 「女性が新興宗教に取り込まれてしまう背景には、日本社会におけるジェンダー不平等があります。旧統一教会はそこにつけ込んできた。勧誘する際に、そうした我慢から解放されると期待させるのです。女性の被害をなくすには、女性の妊娠や出産への手厚い政策を実施し、子育てしてもキャリアが途絶えない社会や企業文化を育てていくしかないと思います」(竹迫さん)
 猪瀬教授も、「女性の被害」をなくすには、根本的にジェンダー平等を実現することが必要だと話す。
 「それは単に、男女間の平等ということではありません。性を男と女に分類する『男女二分法』など、格差を生み出す仕組みを意識的になくしていくことが必要です」
 「女らしい」家族的役割や「男らしい」対外的役割の区分がなくなり、フラットになっていけば、女性ゆえに被害を受ける事態は減っていくはずだという。
 「新宗教に搾取される人を減らすためにも、大きな社会変革が必要であり、その中ではジェンダー平等の実現は急務です」(猪瀬教授)
 (編集部・野村昌二)
 ※AERA 2023年1月16日号より抜粋
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