⛩20)─5・B─日本民族が世界に誇る伝統的魚食文化と正統性天皇の宮中祭祀。〜No.43 

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 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本民族の歴史において、中国や朝鮮の様に「自分一人が生きる」為に僅かな食糧・食べ物を奪う殺し合いは少なかった。
 日本にも飢餓の歴史はあったが、西洋や中華(中国や朝鮮)とは全然違っていた。
 日本人は、特別に優秀といううわけではないが、大陸で生きている人びとには見られない特殊さを持っていた。
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 賢く秀でている日本人は2割、馬鹿で愚かな日本人は3割、平凡で凡庸な日本人は5割。
 現代の日本人は、昔の日本人とは違って民族的な歴史力・文化力・伝統力・宗教力が乏しいか、ない。
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 昔の日本人は、食生活が欧米化し、飽食化、食べ物を捨てる現代の日本人とは別人である。
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 どうして和食の食材は豊富なの?~日本の自然環境 - NHK
scene 01
 ユネスコ無形文化遺産「和食」
scene 02
 砂浜海岸、リアス海岸、干潟…
scene 03
 海岸線の違いで獲れる魚が違う
scene 04
 海流がもたらす恵み
scene 05
 四季折々の山の幸
scene 06
 さまざまな気候がもたらす多様な食材
scene 07
 青森県の「雪下にんじん」
scene 08
 各地の気候に適した野菜栽培
scene 09
 果物と自然環境・地形との関係は?
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 日本の魚
 魚とともに歩んできた日本の食文化(仮訳)
 小泉武夫氏インタビュー
 2013年12月にユネスコ無形文化遺産にも登録された和食。様々な食材を繊細な感性で料理に仕上げる和食文化のなかでも、魚は特に重要な存在だ。和食と魚について幅広い知識をもつ発酵学者・食文化論者の小泉武夫氏にお話をうかがった。
――日本は魚とどのようにかかわってきたのでしょうか。
 日本は周囲を海で囲まれた海洋国家です。昔から魚を捕る機会は多く、縄文時代中期(約5000-4000年前)からすでに魚食をしていた記録が残っています。親潮黒潮の流れが小魚を沿岸近くに運び、それを追って大きな魚たちが集まってくるので、豊かな漁場が沿海に数多くありました。
 海から内陸に視線を移すと、日本は国土の中央に山脈が走っており、年間2000ミリ近い雨量があります。大量の雨は山脈で分かれて太平洋側と日本海側に多くの川を形成しながら流れ落ちます。これによって清流にアユ、ウグイなどが育ち、淡水魚にも恵まれています。さらに稲作民族なので水田のために用水池や沼があり、そこにも魚がいるという状況であり、今から100年ほど前まで日本人はほとんど肉食をせず、魚を主な動物性たんぱく源としていました。
――和食においての魚の存在はどのようなものですか。
 和食は7つの主材と1つの副材で成り立っています。主材とは根菜類、菜っ葉、青果、山菜、大豆を主とする豆類、海藻、米を主とする穀類です。これに副材である動物性たんぱく質、つまり魚・肉・卵などが加わります。
 動物性たんぱく質は体内でアミノ酸になり、スタミナ源として機能しますが、栄養面では主材の大豆の植物性たんぱく質でも十分なので、副材はなくても和食は成り立ちます。ただ、魚は動物性たんぱく質のなかでも日本人が長い歴史の中で食べ続けてきたという点で、和食文化には重要な存在です。動物への畏敬の念と愛護精神が強い日本人は、飢饉のときですら四足動物を食べなかったといわれる民族ですが、魚だけは命をいただくことへの感謝を持ち、はらわたや骨まで無駄にせず食べてきたのです。
――UMAMIが世界共通語になりつつありますが、魚は旨味文化にどのようにかかわっていますか。
 生理学的に味覚は甘い、辛い、酸っぱい、苦い、しょっぱいの五味だと長くいわれてきましたが、今ではそれに旨味が加わり六味とされています。大豆を発酵させるとタンパク質がグルタミン酸を主体とするアミノ酸に変化し、魚はタンパク質がイノシン酸主体の核酸に変化します。この2種が合わさると相乗効果で人間は何倍にも旨味を感じることがわかっています。この旨味を世界に教えたのが日本人であり、だからこそUMAMIが世界共通語になってきているのだと思います。
――日本の魚の特徴として挙げられることは何でしょうか。
 第一に、魚の種類が大変豊富であるため、「旬」に合わせてその時々でもっともおいしく、安く、栄養価がある魚を様々な調理法で楽しめるという点です。第二に、海淡水魚ともに新鮮な魚を生食する点です。第三に、魚によく合う調味料「醤油」の存在を挙げることができます。大豆を発酵させて造る醤油の旨味ほど魚に合うものはありません。
 日本では、現代の子どもは魚を好まないともいわれますが、それは小さな頃から大人がしっかりと魚を食べさせる習慣をつけないから。子どもたちが今食べているものの影響は30年後に表れます。小さいうちから魚をはじめ大豆や野菜が主体のヘルシーな和食をもっと食べさせるべきだと声を大にして言いたいです。
 RIEKO SUZUKI
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 和食普及研究会
 和食普及研究会って?
 『和食と魚』
 日本は魚食国です。魚食といえば和食、和食といえば日本固有の食文化・食生活と連想されます。
 それが、飽食の時代に入り、魚ではなく肉を食べる欧米型の食事が増えてきたようです。それに伴い今まで日本人に少なかった生活習慣病なども増えてきたのだと思います。
 新聞かなにかに、アメリカのマクガバンという人が今でいうところの生活習慣病の発生原因を世界各国の食生活との因果関係から調査して米国人の食生活が原因であるとした記事を読みました。その中で肉ばかり食べていないでもっと魚を食べようと言っています。私も賛成です。
 魚のタンパク質はアミノ酸バランスがいい!良質なタンパク源なわけです。更に、砂糖の代わりにごはんから糖質を取るようにともあります。 ごはんに魚…それって和食じゃないですか。 最近、和食、魚が見なおされてきていますが、共働きが増え家庭で調理する時間が少なくなっています。魚を料理出来ない人までいます。
 案外知られていないことですが、かまぼこって魚からできているので、魚と同じように良質なタンパク源って知ってました?!しかも、かまぼこになると脂質の量が少なく低カロリー。ダイエットにもいいらしい。
 かまぼこは切るだけで簡単に食べられますし、高タンパクで低カロリーなのですから、忙しいお母さんにもお薦めってわけですね。魚を料理出来ない人にもお薦めですね。ちょっとした工夫で魚、和食に近づけます。
 調べてみれば、かまぼこも日本の日本固有の食文化なのですね。
 身体にいい、和食、日本の固有の食文化を取り入れた食生活が増えて欲しいものですね。
 (T.S)
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伝えよう魚食文化、見つめ直そう豊かな海 - 水産庁
 第Ⅰ章
 特集 伝えよう魚食文化、見つめ直そう豊かな海
 第1節 伝えよう、魚食文化 
(1)我が国が育んだ豊かな魚食文化
 (日本人の生活と密着した水産物
 日本人なら誰しも、魚が日本文化の中に溶け込んでいるとの印象を持っていることでしょう。お正月のお節にも、小魚を煮付けた田作りや昆布巻きなど水産物を使った総菜は不可欠です。成人式や結婚式といったお祝いには、尾頭付きの鯛が供されます。幸福をもたらすとして信仰されている七福神のうちタイを抱えた恵比寿様は、現在、商売繁盛の象徴とされていますが、もともとは漁業者が大漁を祈願した漁業の神でした。さらに、海や河川、湖は、食生活だけではなく、レクリエーションや自然との触れ合いの機会も提供してきました。このように日本では、水産物が日々の生活と密着しており、季節の節目に行われる儀式の中にも組み込まれてきたのです。
 (自然の恵みを余すことなく利用してきた、日本人の知恵)
 豊かな海に囲まれ、高い生産性を持つ汽水域や湖にも恵まれた日本人は、地域や季節に応じて多種多様な水産物を利用してきました。その歴史は古く、縄文時代貝塚からはアサリの貝殻、アジやマダイの骨が出土しています。そして、獲れた水産物の保存性を高めるとともにおいしく食べるための方法を生み出しました。塩分と乾燥によって独特の食感と濃縮された旨味を引き出した干物のほか、近海で獲れた小魚を保存する目的で生まれた練り製品は改良が重ねられ、カニ風味カマボコは、欧米においても人気の食材となっています。鰹節や昆布などはその旨味をだしとして利用するなど、自然の恵みを余すことなく利用してきました。
 (江戸に生まれ、世界に広がる「にぎりずし」)
 江戸時代には、東京湾でとれた水産物を使ってにぎりずし、天ぷら、佃煮、鰻のかば焼といった料理が誕生しました。中でも、にぎりずしは江戸のファーストフードとして誕生し、今や世界中に広まり、日本が世界に誇る魚食のひとつとなっています。
 (魚食を支える匠の技)
 にぎりずしの誕生によって、マグロを醤油に漬け込んだりコハダを塩と酢でしめるといった、すしネタの保存性を高め、魚介類の旨味を引き出すための調理方法も発達しました。
 また魚を調理する際には、用途に応じて様々な包丁を使い分けています。骨を切る時には出刃包丁を使い、刺身はその切り口によって食べた時に感じる舌触りや旨味が異なるため、その特徴を活かすように、魚に応じた工夫が刺身包丁に施されています。
 さらに魚を食べる際には、魚の骨や皮をお箸できれいに取り除く、のりを一枚だけお箸でとるなど、箸を上手に使う技術も自然と身につけてきました。
 水産物の消費が拡大するにつれて、流通業も発達してきました。東京都中央卸売市場築地市場)は、江戸時代、幕府に魚を納めた残りを漁師たちが日本橋で売り始めたことが始
まりといわれています。仲買人達はより良い魚を求めるため、魚の鮮度を目の色で判断したり、マグロの尾を切り落とし、その断面の色や脂の溶け具合で品質鑑定を行い、目利きの技が発達しました。
 こうして、仲買人やすし職人など水産物に関連した独特な技術をもつ職業が発達しました。我が国の魚食は、個別専門化した技術を持ったプロ集団がそれぞれの役割を果たすことで発達してきたのです。
 (「魚食文化」とは何か)
 日本には包丁などの道具、様々な調理法で生み出される多彩な料理、箸の使い方など、魚を食べることを中心とした、独特の「魚食文化」が存在します。
 単に魚を沢山食べるとか、食卓に魚を並べるだけでは「魚食文化」とは言えません。魚を獲る技術や処理、品質を評価する目利き、加工・保存の方法、調理道具や方法など、魚を中心とした食生活の中で受け継がれ、蓄積されてきた知恵や知識を総称する概念が「魚食文化」であると考えられます。
 次節では、「魚食文化」を支えている「魚食」の現状を明らかにします。
{コラム 世界に広がる我が国の魚食文化
 海外において日本食は、健康的、美しい、安全・安心、高級・高品質として高い評価を得ています。健康志向が高まる中、海外の日本食レストランの数は急増しており、日本の食文化を身近に体験できる機会を提供しています。
 米国には日本食レストランが約9千あるといわれ、その数は10年で2.5倍に増加しています。このうちすしをメニューとして提供するレストランは約6割も存在します。かつては生の魚を食べる習慣がなかった米国でも、すしは「Sushi」としてすっかり定着し、カリフォルニア・ロールといった新たなすしも生み出されています。
 さらにロシアも欧米の影響を受け、日本の魚食文化が伝わっています。経済発展に伴い、伝統的に食されてきたニシンやスケトウダラに加え、ティラピアアメリカナマズといった多種多様な水産物を消費するようになっています。日本の魚食文化は、その国の食文化と融合して形を変え、定着しつつあります。
 このように日本で育まれた魚食文化が世界に広がることは、食を通じた国際交流が深まるとともに、世界の食文化や食生活の豊かさに貢献するとして期待されています}
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 知見録トップ G1/大学院セミナー なぜ日本料理はコメ・魚が中心なのか 世界を魅了する日本の食文化 Part1/3 京都吉兆・徳岡氏×国士舘大学・原田氏×辻料理学館・辻氏×辰巳 琢郎氏
 2015.03.24 G1地域会議
 なぜ日本料理はコメ・魚が中心なのか 世界を魅了する日本の食文化 Part1/3 京都吉兆・徳岡氏×国士舘大学・原田氏×辻料理学館・辻氏×辰巳 琢郎氏
 G1地域会議2014 関西
 第7部 分科会C 「世界を魅了する日本の食文化」Part1/3
 四季折々の豊かな食材、季節の移ろいごとの室礼、うつわや作法--古代から連綿と受け継がれてきた日本の食文化は、世界の食通たちを魅了してやまない。2013年にはその文化が、ユネスコ無形文化財に登録された。各地の個性溢れる風土が育んできた食文化を継承し、日本の生活文化として発信し、次世代に託していくために、現代を生きる我々は何をするべきだろうか。日本の食のキーパーソンたちが議論する(肩書は2014年10月19日登壇当時のもの。視聴時間24分58秒)。
 辰巳 琢郎氏
 俳優
 徳岡 邦夫氏
 株式会社京都吉兆
 代表取締役社長
 総料理長
 原田 信男氏
 国士舘大学21世紀アジア学部
 教授
 辻 芳樹氏(モデレーター)
 学校法人辻料理学館 理事長
 辻調理師専門学校 校長
 【ポイント】
 〈日本の食文化について〉
・日本人の食の中心はコメと魚だが、コメと対照的ものには麦があり、同様に重要なものだった
・麦は寒冷地が適していてユーラシア大陸の北西は小麦文化。小麦文化には牧畜がつくので、牛乳と肉。それが今の西洋文化につながらる
温暖湿潤を好むのが米でアジアモンスーン地帯に発達する。日本はその極東に位置する。水が必要なので魚がいる。コメと魚はそれでセットになる
・魚を発酵させて、調味料の魚醤が生まれた。これが発展して大豆に換えてできたのが味噌
・稲作地域では魚では栄養に偏りがあるので、豚を飼う。コメ、魚、豚が一つのセットになる。日本にも豚が入ってきたが、殺すと稲作に悪影響が及ぶという信仰が影響して豚がなくなり、魚に集中することになった(以上、原田氏)
・多様性が失われる現状について。残ってきたものは、環境で必要だから継続されている。守って残っているものもあるが少数。必要だから人気だということ(徳岡氏)
 〈日本食のハイブリッド性について〉
・料理の様式は時代ごとにある。神饌料理(神に捧げる料理)、大饗料理(貴族が食べる)、ここまでは生や干物など、あまり味をつけていなかった
・次にくる精進料理がイノベーションだった。食品そのものに味をつけたのがここから。室町時代から本膳料理となり、これが今の日本料理の原型。だしをとるのもこの時期から始まった
・その後、茶の文化とむすびつき、茶の前に食べる懐石料理となり、おもてなしの工夫もはじまる
・はじめから日本料理があったのではなく、中国や朝鮮半島かなはいってきてアレンジして日本料理になった。14~15世紀からにすぎない(以上、原田氏)
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東洋経済オンライン
 外国人が驚いた日本の「魚料理」の当たり前
 魚焼きグリルや昆布を使う技術に驚嘆
阿古 真理 : 作家・生活史研究家
2019/07/19 5:30
 外国人が驚いた日本の魚料理に関する技術とは(写真:shige hattori/PIXTA
 今やすしは世界中で親しまれるようになっており、日本のすし屋にも「本場の味」を求めて外国人が殺到している。だが、例えばイタリアやギリシャなど比較的魚を多く食べる国に対して、アメリカといえばいまだに「魚より肉」というイメージが強い。そんなアメリカ人にとって、日本の魚料理や魚食文化はどう映るのだろうか。
 そんな疑問を日本の出版社から投げかけられ、自ら日本で取材して答えを出したのがジャーナリストのキャスリーン・フリン氏だ。昨年10月に来日し、築地や豊洲市場を訪れたり、自ら魚料理を学んだりして得た日本の魚文化について、自身の人生にからめて『サカナ・レッスン』にまとめた。
 実はフランスの名門料理学校を卒業しているフリン氏は、自ら料理教室を開催するなど料理の世界には明るい。が、そんなプロの料理家である同氏でさえ日本の魚料理は新たな発見の連続だったようだ。
 食事会で参加者が驚いた昆布のうまみ
 中でもフリン氏が驚いたのが、魚料理における2つの「技術」だ。1つが、料理の下ごしらえ。「脂分が多いサバの臭いを取り除くために、酢と塩を使うなんて、今まで思いつきませんでした。今はほかの脂分が多い魚にも、この方法を使うようになりました。魚に塩を振りかけて水分を抜き取り、味を引き出す下ごしらえも、すばらしい」とフリン氏は言う。
 もう1つが、肉類のだしではなく昆布のうまみを活用する技術。「とくにスープで、うま味と塩のレイヤーができる。おかげで私の料理技術も向上し、料理の材料について改めて考える機会にもなりました。昆布を魚と一緒に煮ることで、うま味を移す技術も覚えました。
 大勢を招待しこの方法で料理した魚を出したところ、食べた人たちから『この魚にある木のような香りは何?』と聞かれ、『昆布よ』と言うと、皆驚きました。西洋料理ではこのような技術は使いません。このように地球環境を守りつつ、食べものをおいしくする方法を持たないことは恥ずかしいと思いました」
 「魚焼きグリル」との出会いもフリン氏には新鮮だった。同氏は本に入れるレシピを書くために、ガスコンロに内蔵する引き出し式と、上部にふたがついた独立型の2つの日本式のグリルを購入。現在は、夫がソーセージを焼くのに愛用しているという。「完璧に茶色に焼けますし、キッチンに煙を出すこともありません。ベーコンも試しました。カリカリに焼けるのだけれど、後でグリルを洗うのが大変ですね」と笑う。
執筆に際し、シアトル公立図書館で、57冊もの英語で書かれた日本料理の本を読み込んだフリン氏。バランスよく食べるために5色の食材を組み合わせる考え方や、漬物の作り方を知り、買いすぎてしまった野菜をピクルスにするなどその知恵を生活に取り入れるようになったという。
 みりんやしょう油、米酢など日本の調味料にも興味を持ち、「数少ない調味料で、合わせ方によってバラエティー豊かな料理ができるのはとても興味深い」と語る。そんなフリン氏がとくに気に入ったのがみそだ。
 「以前、すしを食べたときの献立で気に入っていたのが、みそ汁でした。そこから私は夢中になって10種類ものみそを買いました。今でもみそを数種類冷蔵庫にストックし、スパゲティソースなど、何にでも入れて料理しています」
 日本人には魚に対する敬意がある
 日本人と魚の「親しみ方」にも驚くポイントがあったという。
 「日本ではたくさんの魚がちゃんと消費されています。私は取材で魚のさばき方を学んだ東京すしアカデミーでヒラメの肝臓を食べさせてもらい、とてもおいしくて感動しました。魚になじんで育った私ですら、肝臓を食べることは思いもよらなかったからです。
 また、魚をどのように獲り、締めて新鮮さを保つかについて、とてもよく考えられていることに感動しました。それは、魚に対する敬意だと思う。アメリカの水産企業では、新鮮さを保つことが必須とされていないのです」
 フリン氏が、日本の魚食文化を「敬意を払うべき完璧さ」があると考えるのは、日本の歴史や、すし経済と歴史をたくさん調べたからだ。
 「アメリカには200年しか歴史がありません。なので、日本でとてもたくさんの固有の歴史があることに驚いたのです。私はフランスにも住んだことがあるので、やはり固有の歴史を持つフランスと比べることが、日本の歴史を理解する助けになりました。日本の歴史を読めば読むほど、その文化がどこから来たのかがわかり、魚食文化についても、よく理解するのに役立ちました」と話す。
 フリン氏が日本の魚食文化に感銘を受けたのは、日本とは大きく違うアメリカの魚食文化があるためかもしれない。先祖がスウェーデン人だというフリン氏自身は、子どもの頃から魚料理が好きだったというが、一般のアメリカ人にとって魚料理に親しみを持っている人はあまり多くないのだ。
 「魚にはとてもたくさんたんぱく質が含まれ、野菜的な要素と多少のデンプン質もあります。イギリスでは肉であり、2つの野菜でもあると言います。しかし、アメリカで魚は“皿に載った小さな一切れ”にすぎないことが多い。そこにアメリカ人の考え方が表れていると思います」
 「アメリカでは、魚と言えばフライと考えている人も少なくない。それは子どもの頃からフライを食べて育ってきたことにも問題があると思います。私の両親は釣りをして、それを料理しました。切り身を食べて育ったので、フライは奇妙な食べ方だと思っていました。しかし、私の夫のマイクはフライを食べて育ち、それが魚料理だと思っていたのです」
 だが、夫は取材来日を機に、苦手だった生魚のすしを食べるように。世界中で食べられているすしをマイク氏が苦手だった理由は、日本以外では冷凍魚をよく使うからではないかと話す。「今では少し高くても、質の高いすしを食べるようにしています。シアトルではそれが可能ですから」。
 魚を食べ慣れていないことの“弊害”
 とはいえ、すしが身近になったからといって、アメリカ人が魚を好むようになったとは言えない、とフリン氏は話す。
 「人々は今でも、3、4種類の魚しか食べていません。スーパーには、鮭、ティラピアなど7、8種類しか置いていないのです。その魚には香りがありません。多くのアメリカ人にとってそれは、単に鶏の胸肉のように白くておいしくない『たんぱく源』にすぎないのです。たまにマスを見つけることはできますが、それもめったにない。だから多くのアメリカ人は魚を食べないのです」
 前作や『世界一受けたい授業』(日本テレビ)に出演したことで、日本にもファンが多いフリン氏。今回のプロジェクトでも多くの日本ファンからコメントが寄せられたという(撮影:梅谷秀次)
 魚を食べ慣れていないことによる“弊害”もある。「多くの人はメロを好んで食べますが、レストランで注文するとき、それがどこで獲れたものなのかまでは誰も気にしていません。
 チェーンの安いレストランでは、お皿いっぱいに魚を出しているけれど、人々はその半分も食べないで、残りは捨てられてしまう。そういう光景を見ると胸が痛みます。メディアなどで取り上げられてはいるけれど、アメリカ人にとって食品ロスは関心のない話なのだと」。
 今回の企画に際し、フリン氏は手はじめにSNSで魚食についての調査を行っている。すると1日で400人、最終的には1100人からコメントが寄せられ、魚食に関する問題には関心が高いが、混乱している人が多いと感じたという。なぜなら、魚は高たんぱく低脂質とヘルシーな一方で、世界的に乱獲が問題になっているからだ。
中でもシアトルなど西海岸の人たちは意識が高く、「乱獲を防ぐためには、養殖の魚を食べればいいの? でも、それも体に悪いと聞いているし、何を食べるのが正しいのかわからない」「サケを食べるたびに、(それをエサとしている)シャチを殺しているのではないかと心配になる」という声が寄せられたという。
 対して、フリン氏も住んでいた内陸の中西部は「悪い状態の魚はすべて捨てられてしまうことで有名」なほど、魚慣れしていない。「スーパーで魚を買ってきたけど、家に帰ってきたらなんか臭う気がする。家がくさくなるから捨ててしまった……という経験からちゃんとした魚を選んだり、調理したりする自信をなくしてしまっている人が少なくないのです」(フリン氏)。
 丸ごと買えば生きものだったことを意識できる
 では、より魚とうまく付き合うにはどうしたらいいのか。1つは、乱獲の現状を知り、意識を高めることだろう。フリン氏はこれについて規模の巨大さで知られるアメリカのモントレーベイ水族館にメール取材を行っており、「魚介類の観察」というプログラムがあると回答を得た。「この魚は『青信号』なので好きなだけ食べられます。この魚は『黄信号』なので食べるときは注意が必要。この魚は『赤信号』で、乱獲されているので食べるのを避けたほうがよいでしょう」といった表示をしているのだそうだ。
 『サカナ・レッスン』(書影をクリックするとアマゾンのサイトへジャンプします)
また、フリン氏自身は料理を教える際、「例えば鶏を丸ごと買うことをすすめています」と話す。「そうすると、これがもともと生き物だったと意識できるうえに、低コストだからです。魚や動物、たんぱく質について、考えを改めてもらわなければいけないと思います」。
 フリン氏は、魚大国の日本の食文化の奥深さを、外からの目で教えてくれた。塩であらかじめ水分を抜くことで臭みを抜き、味を引き出す基本や、たいていのキッチンにあり、塩焼きの魚をパリッと塩焼きにする魚焼きグリルは、独自の積み重ねで生まれた知恵だったのである。
 しかし同時に、日本は諸外国に比べて漁獲制限が進んでいないという指摘もある国だ。漁業者の高齢化が進み、将来の漁業が安泰とは言えない状態でもある。
 食べる側の消費量も減少傾向にあり、農林水産省の調査によると、消費量のピークだった1988年に比べ、2016年には6割強まで減っている。FAO(国連食糧農業機関)の調査でも、2005年まで年間1人当たりの魚介類の消費量世界一だったのが、2013年には7位にまで転落している。
 今や魚は肉より割高なたんぱく源であり、買い置きしづらい食材であることもあって、仕事を持つ忙しい人が敬遠しがちになっている。誇りを持つべき文化が衰退する危険にさらされていることに対し、私たちも意識的になる必要があるのではないだろうか。
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 Kathleen Flinn/作家、ジャーナリスト、料理家、IACP(国際料理専門家協会)理事。マイクロソフト勤務などを経て、渡仏。2005 年に37 歳でフランスのル・コルドン・ブルーを卒業後、アメリカに帰国。2007 年、『36 歳、名門料理学校に飛び込む!』が、ニューヨークタイムズ紙のベストセラーに選ばれる。2017 年、『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』が日本でベストセラーに(撮影:梅谷秀次)
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