🌈61)62)63)─1─日本民族の性格を作り出した文化-遺伝子共進化と自己家畜化。~No.100No.101No.102No.103No.104No.105  ⑨ 

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 何故、日本民族日本人は災害や戦争に見舞われ悲惨な状況に追い込まれた時、自制心を失い、社会通念を捨て、強欲となり、暴動や騒乱を起こして殺人や強奪や強姦などの重犯罪に走らなかったのか。
 日本民族日本人は、ユダヤ人と同じように「従順な羊」であった。
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 2020年2月号 Voice「人類は『自己家畜化』に陥っている
 ヒトは、自ら築き上げてきた文化による進化を繰り返してきた。デジタル化はこうしたプロセスの一部にすぎない
 ジョセフ・ヘンリック  取材・構成:大野和基
 なぜヒトだけ文化を形成できたのか
 ──(大野)ヒトは他の動物に比べてあらゆる点で『優れている』とわれわれは考えがちですが、あなたの著書The Secret of Our Success(邦訳『文化がヒトを進化させた』白楊社)を読むと、個々の能力では、他の動物と比べていかに無力かを痛感します。本書ではヒトは文化を形成しているがゆえに集団としては強い、と述べられていますね。どういうことでしょう。
 ヘンリック この本で主張したのは、ヒトの種としての成功の秘密は問題を解決する個々の能力ではない、ということです。人間は厳しい環境に取り残されたとき、食べ物を見つけたり、シェルターをつくったりといった他の種ならばできる基本的なことさえも、容易ではないことがあります。
 そこで、ヒトがいかにして北極やコンゴアマゾン川流域のような危険な場所で暮らしてきたかを調べると、先代から受け継がれた膨大な文化的情報に頼って生き延びていることがわかりました。道具のつくり方や食べ物の見つけ方、料理の仕方などについての情報です。
 ヒトは前の世代から行動様式を学んで改良し、新しいアイデアやテクノロジーを次世代に伝えることで、何世代にもわたって適応してきました。そして数世代を経て、非遺伝的に伝えられた適応情報をもつようになる。これが遺伝上の進化と並行して、第二の継承システムをつくるのです。
 ──つまりヒトは、世代を経るごとに賢くなっていくということですか。
 ヘンリック 文化の伝播(でんぱ)によって、われわれは環境に応じてうまく適応できるようになったということです。
 さらに、汎用知能と考えてもいいものを人間はもっています。滑車(かっしゃ)やバネは、それを使っていろいろなものをつくる手助けになります。でもそれらを発明するのは一筋縄ではいかない。
 たとえばwheel(輪、車輪)が発明されたのは人類史において比較的遅かったのですが、その後、荷馬車に使われ、陶器製造にも使われます。wheelを発明するのは難しいものの、利用するのは簡単であり、多方面に活用できる。最終的にwheelのおかげで、水車やギアなどあらゆるののが発明されました。
 ──そもそも、なぜヒトだけが文化を形成できたのでしょう。
 ヘンリック 『真似る』ことができたからです。ヒトは他人から学ぶことで、文化を手に入れました。運動パターンや身体のポジションだけではなく、ヒトがもつ目標やモチベーション、戦略などを真似ることで、文化を築いていきました。
 ──霊長類のなかには、ヒトの他にも真似ることを実践する種があると思います。人間の特殊性をどう考えますか。
 ヘンリック たしかに人間以外の霊長類や他の種においても、ある程度の社会的学習をしていることを示す研究がたくさんあります。もし私がチンパンジーで、木の実の割り方を学ぼうとするならば、他のチンパンジーに群がってそのやり方を覚えるでしょう。他の動物に見られるいくつかの習性はそうしたやり方です。
 チンパンジーや他の霊長類がヒトよりも優れた社会的学習機能を備えていることを示す実験もありますが、それはヒトがもつ領域には及びません。ヒト以外の動物は厳しい問題に直面したとき、他の動物の行動を真似るよりも、自分の経験を重視します。
 ──ヒトの行動や心理を説明する際、『Nature vs Nurture(遺伝か環境か)』という論争があります。本書はその論争に一石を投じたといえるでしょうか。
 ヘンリック 本書で決着をつけよとしました。すなわち、われわれは優れた文化的学習者になるために自然淘汰され、他人の行動に注意し、情報を統合するようにつくられてきたということです。それが『文化をつくる』ということの意味です。こうした見方は『遺伝か環境か』について進化論的に考える方法を提供してくれると同時に、破壊的な二項対立の解決に寄与します。
 ──われわれはいまだも『遺伝か環境か』という二項対立の論争を楽しんでいますね。
 ヘンリック そうです。ヒトが文化に依存していることを理解すれば、『環境』という仮説を文化進化論のアプローチから捉えられます。衣類や調理方法といった文化の産物が、ヒトの脳や身体に遺伝的な変化をもたらしました。おの文化と遺伝の相互作用を、私は『文化─遺伝子共進化』と呼んでいます。
 ヒトの脳は分業によって拡大してきた
 ──以前、私はユヴァル・ノア・ハラリ氏(ヘブライ大学歴史学部終身雇用教授)にインタビューしたことがありますが、彼は著書『サピエンス全史』で、人類が最も幸福だったのは狩猟採取時代だった、と書いています。この考えについて、あなたはどう思いますか?
 ヘンリック その質問に答えるのは非常に難しいですね。昔のヒトはいまよりも働く時間が短く、家族に囲まれて、みんなが密接に繋がっていました。それは良い面です。
 ところが、かつては殺人や収奪が横行し、病気や怪我の際、はるかに大きな問題になりました。食料がつねに十分にあったわけでもない。いまはお金さえあれば、スーパーマーケットに行って食料を確保できます。資源が安定していることが不安定な状態より良いのは間違いないでしょう。
 ──ハラリ氏はなぜ、狩猟採取時代のほうが幸福だった、と言ったのでしょうか。
 ヘンリック 当時は人間関係を楽しみ、現代よりもシンプルなライフスタイルで、競争やストレスが少ないことが彼の脳裏にあったのではないでしょうか。
 ──今般のデジタル化は、これまでの技術進展とは比べものにならないほど急速に進んでいます。ヒトが文化によって発展してきたのならば、このデジタル化は進化のなかで特異なものといえるでしょうか。それとも、その延長線上にすぎないでしょうか。
 ヘンリック それについて随分考えてきました。テクノロジーを進化の点からみると、人類はこれまで『集団脳』という同じ原理を使ってきたことが理解できます。新しいアイデアやテクノロジーの登場は、社会の大きさと関係があります。われわれがあらゆる交通機関や情報テクノロジーを通してグローバルに接続され、新しいアイデアは既存の考え方を結合し直すことで生まれます。
 ──デジタルの時代は『真似る』ツールが際限なく増えるため、『真似るユートピア』とも解釈できると思います。しかし、ヒトが自ら考える思考能力が低下するのではないか、との指摘もあります。あなたはどう考えます。
 ヘンリック じつは、ヒトの思考能力の低下という問題は、はるか以前から起きていると思います。人類は自ら築いてきた文化によって、生物として特徴を取り換えてきました。
 1つ例を挙げてましょう。料理で使う火は、基本的に体外での消化です。火を使えことによって食べ物を分解し、たんぱく質を変化させます。すなわち、消化を助ける細胞を少なくする。そのためわれわれは、サルがもっているような大きな胃やゴリラのような立派な胸郭(きょうかく)は必要ありません。
 さらにいえば、ヒトの脳は分業によって拡大してきました。私は自転車やスマートフォンのつくり方を知りませんが、その情報は他の人の脳に蓄積されています。われわれは個人として無力でも、集団社会として団結することができます。人間は、offoad(タスクを他に移すことによる負担軽減)することができる。それが本であれ、AI(人工知能)であれ、同じことです。人間個人にかかるプレッシャーは少なくなります。
 ──自分たちが無力だと感じる必要はない。
 ヘンリック そうです。たとえ自分だけでは知りえない情報でも、インターネットに蓄積されています。
 ──記憶する必要はないということですね。
 ヘンリック はい、自分の脳にはもっと重要なことを少し入れておけばいいのです。
 同性愛は人間特有ではない
 ──ヒトの文化を考えるとき、本書でも述べられているように『家族』は1つのキーワードです。日本は諸外国に比べて、父親が家長として家族を養う『家制度』の余韻(よいん)が残っていますが、これをどう考えますか。とはいえ、日本でも『夫は働き、妻は家にいる』という慣習は徐々に薄まりつつありますが。
 ヘンリック 家族の問題は、先ほど話したヒトの分業に関係しています。ヒトがつがいの絆を発達させてきたのは、男女が子どもを育てる目的で一緒になるためです。われわれが知るべき文化情報が増えるにつれ、男性はある1つの役割を学び、女性は別の役割を学びました。哺乳類ではオスとメスで果たす役割に違いがあったように、ヒトにおいても例外なく、女性は子育てや食料採集に勤(いそ)しみ、男性は家から離れて狩猟、出張、貿易などに従事しました。
 私は日本の家制度について詳しく知っているわけではありませんが、家の中は妻の領域で、家の外は夫の領域であるということですね。哺乳類の昔からの分業が、日本ではそのまま継続しているのだと思います。
 ……
 ──同性愛は人間特有のものだと思っていました。
 ヘンリック いえ、幅広い種で確認されています。人類に最も近いとされているボノボはとくに有名で、多くの同性間の性行為が見られます。メスは『同盟』を築くためにそれを活用するようです。
 ……
 人類の『自己家畜化』
 ──アンドロイド、自動運転、そしてゲノム編集(遺伝子を改変する技術)など、科学の進歩はとどまるところを知りません。人類は『パンドラの箱』を開けてしまったといえるでしょうか。
 ヘンリック ゲノム編集について考える際、言えるのは、すでにヒトは一種の淘汰を続けてきたことです。人類は、自分たちのグループに何を求めているかの条件について、いくつかの狩猟採取民族が罪を犯した人を処刑してきたように、社会的淘汰をわれわれはずっと行ってきました。
 これは人類の『自己家畜化』と言います。ヒトがイヌや馬を家畜化したように、われわれは他のいかなる類人猿よりも大人しく、従順で、同調するようになりました。人類の反応的攻撃姓は他の類人猿よりはるかに小さい。チンパンジーボノボと違って、われわれは必ずしもバイオレンス(暴力)をもって反応しないし、自己コントロールができます。ヒトは自分の進化をすでに方向づけていると言えます。
 クリスパーと呼ばれるゲノム編集はかなり速く進んでいます。普通、選択プロセス(淘汰プロセス)は無意識に行われますが、ゲノム編集は自らが欲するものを人間が選んでいるのと同じです。その選択が将来どの方向に行くのか誰もわかりません。」
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