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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
2018年8月25日10:35 産経WEST「【西日本豪雨】爆発・水害にもへこたれず 岡山・総社の下原地区、住民離れずに復興へ一丸
岡山県総社市の下原地区自治会長の小西安彦さん(左)と自主防災組織役員の川田一馬さん=20日
岡山県総社市の下原地区では西日本豪雨のさなか、アルミニウム工場が大爆発した。近隣の家の屋根や窓が爆風で吹き飛び、さらに1・5メートル超の浸水被害に見舞われた。
しかし、住民が一丸となった避難で重傷者や犠牲者はゼロ。「へこたれない」。110世帯中の7割が避難中だが、ほとんどが戻る予定で、復興への歩みを着実に進めている。
屋根が大きく崩れ、ブルーシートやベニヤ板で覆われた家が並ぶ下原地区。8月中旬、公会堂脇のテントには自治会役員らが交代で詰めていた。「女房や孫が音におびえて困る」「うちもだよ」。顔見知り相手に、ひとしきり愚痴をこぼした男性は、顔をほころばせて帰っていった。
地区の「朝日アルミ産業岡山工場」が爆発したのは、7月6日午後11時半ごろ。浸水が原因とみられ、飛び散ったガラスなどで多数の住民が切り傷などを負った。住宅火災も発生。市はさらなる災害に備え、住民に避難を求めた。役員らが戸別訪問して、翌7日午前4時ごろまでに避難を完了させた。
地区では運動会や裏山の清掃など、総出の行事が多い。2011年の東日本大震災を契機に自主防災組織をつくり、夜間の避難訓練を実施。高齢者や障害者ら「要配慮者」の名簿も作っていた。役員の川田一馬さん(70)は「日ごろの付き合いがあったので避難がうまくいった」と言う。
地区に戻った住民の前には、泥にまみれた家財、散乱した農機具が転がっていた。「膝から力が抜けた。でもへこたれてはいられない」と自治会長の小西安彦さん(71)。ボランティアの手を借り、7月中には片付けを一段落させた。
住民の前向きな姿に、ボランティアから「『どうして下原の人は明るいのか』と何度も言われた」と、小西さんは笑う。1階が壊れたままの自宅で、夫と子供3人と暮らす女性(49)は「狭いけど、慣れた下原がいい」と語る。
仮設住宅や民間賃貸住宅に入る世帯も、ほとんどがいずれ戻る意向という。川田さんは「住民がまとまってここまで来た。これからも皆でがんばりたい」と力を込めた。」
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8月25日11:00 産経WEST「【オトナの外来】相次ぐ災害…避難生活の「社会環境ストレス」に注目、医療関係者の支援にも配慮必要
大阪北部地震で避難所に避難した家族連れ=大阪府茨木市
先日、大阪で地震が起きて慌てているうちに、今度は西日本豪雨で多くの犠牲者が出ました。日本は災害大国で地震・台風・豪雨などが次々と襲いかかり、確実に安全な場所はないと考えたほうがいいでしょう。政府も巨大堤防や砂防ダムなどを作って防災対策をしていますが、住民に「根拠のない安心感」を与えることにもなります。
「ここは大丈夫」と根拠もなく思うのは、心理学では「正常性バイアス」と言います。予期しない出来事が起こったときは脳がいちいち過剰反応していたら疲れてしまうので、少し鈍感になって大げさにとらえないようにしています。そして、多くの人は自分の経験のなかで大丈夫と判断して、逃げ遅れるかもしれません。災害時には人は楽観的に考えようとするので、実際に被災した時のストレスは並大抵ではありません。
災害で直接受けたストレス、例えば建物の倒壊や火災の目撃やけが、財産の消失などは心的トラウマと呼ばれ、それが長く(1か月以上)続いた場合はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されます。
避難所などの不慣れな生活によるストレスは「社会環境ストレス」と呼ばれ、最近注目されています。1、2日くらいなら大勢の方が肩を寄り添って過ごすことができたとしても、数日以上になるとプライバシーがないことで大きなストレスを感じるようになります。
災害援助は水や食料などのライフラインの確保に重点が置かれていますが、被災者のプライバシーの確保が大きな問題となってきています。
特に高齢者や女性、子供には配慮が必要です。最近では授乳中の女性も含めて、子供連れの家族専用の避難所を検討している自治体もあるようですが、まだ一般的ではありません。各自治体の防災委員会のメンバーはほとんど男性で、女性目線での対策が遅れる原因となっており、メンバーに女性を増やすことが急務だともいわれています。
赤ちゃんの泣き声や子供の声を気にして、避難所の駐車場に自家用車を止めて寝泊まりする人も多いようです。車での寝泊まりは足を動かすことが少なく、トイレの回数を気にして水分を制限すると足の静脈に血栓ができて肺梗塞を起こす、いわゆる「エコノミー症候群」のリスクが高くなります。
実際に平成28年に発生した熊本地震では倒壊などの直接死は50人でしたが、関連死は212人でそのうちの少なくとも33人がエコノミー症候群によるものとされています。多くの関連死はストレスによるもので、もとの病気が悪化したり、心血管系の病気が発症したりすることが原因です。
このようにストレス対策を十分に行わないと災害の直接死以上の犠牲者が出ることになります。阪神・淡路大震災後には心筋梗塞(こうそく)の患者が増えたり、東日本大震災後には血圧が上がった人が増えたりしていることが確認されています。
震災後のストレス予防にはまずは避難所でのプライバシーや降圧剤などの常備薬の確保が大切です。また睡眠不足は大きなストレス要因ですので、睡眠をとりやすい環境を確保したうえで、眠れない時には睡眠薬の処方も必要でしょう。
もちろん心のケアも必要ですが、東日本大震災後の支援で問題になったのは睡眠薬の過剰投与とこころのケアと称して多くの研究者が押しかけたことです。
医療関係者の支援のあり方も配慮が必要です。行政がすべてを整えてくれるのはまだまだ時間がかかるので、多くの国民が「次は自分も被災するかもしれない」という覚悟をもって日頃から準備しておくことが大切でしょう。
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【プロフィル】石蔵文信(いしくら・ふみのぶ) 昭和30年、京都市出身。内科、循環器科専門医。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授。三重大医学部卒業後、国立循環器病センター、大阪警察病院などに勤務。米メイヨークリニックへの留学後、大阪大学大学院医学系研究科准教授を経て現職。平成13年より大阪市内で「男性更年期外来」を開設し、中高年の心と体の専門家として丁寧なカウンセリングと治療に定評がある。「親を殺したくなったら読む本」など著書多数。」
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