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・ ・{東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
生物の進化は、強者ではなく弱者の生き残りで起きていた。
そして、強者は必ず滅んだ。
絶滅・死滅せず生きのびたのは、特殊能力を持った強者ではなく逃げ回った弱者であった。
「逃げる生き物が生き残る」、それが自然の原則であった。
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2017年10月号 新潮45「ロボットだって心を持てる
ロボットにも心を持たせることができる?今回のゲストは、そんな研究から意識や心に関心が向いたという。おいらたちの『意識』はすべて『錯覚』だといのだが。
前野隆司VS.ビートたけし
全ては無意識が決めている
……
『受動意識仮説』とは
たけし その先生の『受動意識仮説』について詳しく説明していただくと、どういうことになりますか。
前野 私たちは、嬉しいとか悲しいとか、このギャグを言おうとか、意思で決めているような気がするんですが、それは全く無意識のうちの処理が先にあって、その結果にすぎないということです。私たちは自由意志というのがあるような気がするけれど、自由意志というのは本当はない。脳の背後で動いているプログラムがあって、それが出した結果を自分がやっているように錯覚しているにすぎないというのが『受動意識仮説』ですね。例えば『コーヒー飲もう』と決める。自分でコーヒーを飲もうと決めた気がしているけれど、ほんとうは脳の中に小人(こびと)がたくさんいて、コーヒーを飲もうか、水を飲もうか、小人がいろいろ検討して決めた結果を自分が決めたように感じている。そう考えないと説明できないことが脳科学でたくさん見つかっています。
たけし 著者によれば、『小人』というのは、科学的には脳内の神経細胞のネットワークのことですよね。
前野 はい。脳はニューロン(神経細胞)という素子が約1,000億個集まってできています。ニューロン同士はたくさんの配線でつながっていて、ニューラルネットワーク(神経回路網)を形成しています。それで一つのニューロンは数個から数万個のニューロンからの電気信号を受け取っている。一つ一つのニューロンを『小人』に例えるならば、脳内はたくさんの小人が作業をしている場です。例えば、赤いリンゴを見た時に色を識別する役目、形を識別する役目、そして『これは赤く丸いリンゴだ』と答えを出す役目、それぞれの『知』の役割を担う小人がいる。一方で『リンゴを食べたい』という『意思』をつくり出す小人、おいしさを思い出し幸せな気分にする『情』を担う小人もいます。私たちが主体的に行っている考えている思考は、こうしたニューロンが無意識下で行っている自律分散計算の結果だと考えられます。その結果を受ける存在として『意識』があるということです。
たけし 『意識』だと思っているのは、その人の脳の神経回路が、つまり先生の言う『小人』が意識する前に物事を決めている。そういうことになると、例えば、おいらが映画を撮ろうと決めたときも、無意識が先に決めたということですか。
前野 少なくとも意識に上る0.何秒前に無意識下で決められていることになります。あらゆることはそうなんですね。
たけし その無意識というのはどうやって形づくられていくんですか。やっぱり経験とかですか。
前野 経験と、もともとの素質ですよね。人間は生まれた時にすでに脳内に複雑なニューラルネットワークの原型が存在しています。これは遺伝によります。しかし、ニューラルネットワークのつながり方や反応のしやすさは、その後の経験によって後天的に変わっていく。小人たちが何を経験するかによって、個性や自分らしさといった違いが出てくるのだと思います。面白いことを考える小人が多く育てば、たけしさんのようになるということです。
たけし 経験によって神経回路が変わるのは納得できますけど、例えば赤ん坊の頃、何の経験もないのに、脳が先に指令を抱いているということがありえるんですか。
前野 不思議に思えるかもしれませんが、計測してみると実際にそうなんですね。さっきも話しましたが、『指を曲げる』という実験があります。脳に電極を刺して、『指の筋肉動け』という司令の出るところのニューロンの発火を見ると、指を曲げようと意図するより0.35秒前ぐらいに電圧が上がっている。赤ちゃんで計ろうが誰で計ろうが、結果は同じです。指を曲げようと思うより前に、その行為はすでに決まっている。他にもこんな実験結果があります。被験者に二人の異性の顔を見せて『どちらが好きですか』と決めてもらう。ここで目の動きを観察していると、被験者が『こちらが好きです』と決める0.35秒前にすでにそちら側を見ている。目は脳と直接つながっていますから正直なんです。私たちが決めたと思うより前に、もう脳は決めているんです。
たけし 先生は主体的な『意識』は錯覚だと言う。『出世したい』とか『金儲けしたい』というのを人生の目的に掲げる人もいるけれど、そうしたものも全て錯覚だとすると、人はいったい何のために生きているのかわからなくなる。
前野 それがまさに私がずっと考えてきたことです。哲学とか宗教ではなくて、科学から考えると、生きる意味とは『進化』のためなんですね。進化して環境に適応できたら生き延びられるから、生き延びるために生きているという。味気ない答えなんですけれど、『生き延びるために生きている』だけで、特別な目的はない。生きることとは、出世しようが何をしようが、生き延びて子孫を残すことだと思うんですよ。
たけし 生き延びること自体が目的ならば、親が金持ちならば引きこもっていてもいいよね。あと、女のヒモになって生きるのが一番賢い生き方なのかもしれない(笑)。
前野 確かにそうかもしれません。でも、ヒモになるのと金持ちになるのとどちらが生き延びやすいかというと、金持ちになっておいたほうが生存確率が高そうな気がします(笑)。
ほどほどが幸せ
たけし いろんな人たちが『どうやって生きるべきか』を語るけれど、おいらが一番バカだなと思うのは、よく教育者で『何か自分が一番の物を見つけましょう』と言う奴だね。
前野 それはよくないんですか。
たけし おいらは『そんなものは持たなくてもいいんだ』という自由を認めろと言っているんです。『一番の物を見つけよう』なんていう変な強制が人生を間違えさせるって。
前野 私は意識の研究の他、今は『幸せの研究』もしているんです。どういう人が幸せなのかを調べて、統計を分析しているのですが、夢を持っていない人より持っている人のほうが幸せなんです。夢を持たない人の方が鬱になりやすいようなのです。だから、何か自分にできそうな夢を持っているほうがどうも幸せらしいのです。
たけし それって、夢を持つにしても、もしかしたら手に届くかもしれないような夢ってことでしょう。
前野 そうです。そういう研究報告もあります。
たけし 子どもがJリーガーになりたいと夢見ても、誰もがなれるわけではない。変に夢を強制するほうが酷だと思う。お金があれば別だけどね。Jリーグのチームそのものを買ってしまって、自分が出場すればいいのだから(笑)。
前野 幸せの研究でも、ほどほどの目標で満足する人のほうが、高望みする人より幸せだということがわかっています。これを教育者に教えたらいけないのかな。教育者は『大きな夢を目指しましょう』と言いますが、実は、ほどほどのほうがいいようなんです。
……
人間より賢いロボット
……
たけし 細かくプログラムしなくても、今はディープラーニングといって、ロボットが自分の経験から学んでいくシステムがつくれるから、勝手に個性ができてくるのでしょうか。
前野 勝手に性格がどんどん悪くなったり良くなったりすることは、やればできると思いますが、あまり性格が悪くなって、殺人ロボットになっても困る(笑)。だから、もう少しAIが進んだら、ロボットをどこまで進化させるか、歯どめの議論が出てくると思いますね。
たけし ロボットが進化していくと、ロボット自体が『何で我々が人間にこき使われるだ』と人間に逆襲したりね。逆襲しないまでも『俺たちを差別するな』と抗議する(笑)。
前野 ロボットのほうが確実に人間より賢くなりますからね。だいたいコンピューターは10年で100倍以上賢くなるんです。だから20年で1万倍は賢くなる。何十年後には人間の頭脳を抜いてしまいます。先ほどもお話ししたように、私は『幸せの研究』をしているわけですが、幸せな人はすごく利他的で、性格がいいという結果が出ている。ロボットがもしも賢かったら、幸せになりたいはずじゃなでか。幸せになるためにはいい人でなければいけないと気づくから、嫌な奴にならないと思うんです(笑)。
……
幸せは『四つの因子』からなっている?
前野 それで、幸せは『四つの因子』に分けられることができるんです。それぞれに名前を付けました。第一因子が『「やってみよう!」因子』ですね。自己実現と成長の因子です。
……幸せの第二因子は『「ありがとう!」因子』。つながりと感謝の因子です。人を喜ばせる、人の喜ぶ顔が見たいというのも含まれるので、まさにたけしさんの仕事だと思うのですが。
たけし 『人を喜ばせる』というほど、たいしたもんしゃない。ただ、おいらは舞台に出るとお金の問題は関係なくなるね。ギャラが1億円だろうが2,000円だろうがウケればいい。5人でも大爆笑してくれたら、1時間でもやっていられる。客にウケてもらえることで、自分を再認識できるんじゃないかな。
前野 第三因子は『「なんとかなる!」因子』で、前向きと楽観の因子なのですが、これはいかがですか。
たけし 普通は『なんとか』ならないじゃないの(笑)。だから、結局『ああ、しょうがねな』という感じですよ。
前野 そうやって受け入れているところがすごいです。第三因子には気持ちの切り替えの早さなども含まれているので、それができているのだと思います。第四因子は『「あなたらしく!」因子』で、独立やマイペースの因子です。これには、他人と比較しない傾向などが含まれます。
たけし 確かに他人と比較しても仕方がない。よく人がやってしまうのは、自分が不幸な時に『あいつに比べれば、俺のほうがましだ』と思ってしまうこと、逆に、自分よりすごい人間と比べて『あいつと比べれば俺はダメだけど、あそこまでいくと何か大変だろう』とか、とかく人間は自分に都合のいいように判断してしまう。それで何か自分の問題が解決するかといえばそうじゃない。だから、人と比べて幸不幸を語っても意味がないのは確かだと思っていますね。
前野 今、四つの因子の話をさせてもらいましたが、こうした因子を持っている人が幸せだというのが研究結果です。逆に言えば、この四つを意識すれば幸せになれるかもしれない。たけしさんはやっぱり『幸せな人』だと思うのですけれど。
たけし この世に生まれてきて、生きていかねばならないんだったら、不幸ばかりじゃ意味がないよね。この世を風呂屋に例えれば、風呂屋へ行ってみて『熱いのは嫌だ。ぬるいのも嫌だ』と言って、ちょうどいい温度の風呂に入るために、水で薄めることが努力かなと思うんです。いい温度の風呂につかっていることが『幸せ』だとすれば、そのぐらいの努力はしたほうがいい。でも、何で風呂に入らなければいけないのか理由は分からない。
前野 なぜ生きているのかという謎は解けませんね。だから西洋では神の存在を説いて、天国に行くために生きるということになる。ところが仏教は『欲は本当はない』と説く。何のために生きる、といった目的は徹底的にないんだと説きます。私の考は『人には全く自由意志がない』というものなので、それは結局、仏教と一緒だと思うんですよ。要するに、自分が感ずるような欲も本当ではないし、生きる意味も本当ではない。自分が感じているものは全て脳がつくり出した錯覚にすぎない。何もないんだったら、幸せに生きたほうがいいんじゃないか。お風呂の話と一緒です。何でお風呂に入っているか分からないけど、どうせ入るんならば適温がいい。だから、最近やっているのが幸福学なんです。でも、なぜ生きるかとなると決定的な理由が見つからない。
たけし 阿波踊りじゃないけど『同じバカなら踊らにゃ損、損』と。結局、昔と全然変わっていない(笑)。
前野 その通りですよ。あの踊りだって伝統です。阿波の人が考え続けて得た結論が反映されていると思いますね」
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日本列島は、自然が多様制に富み豊かで豊潤な狭い土地ではあるが、自然災害が多発しその対応に追われる厳しい土地である。
大陸世界は、自然が単調で痩せた不毛に近い広い大地ではあるが、自然災害が少なく時間がゆっくり過ぎていく穏やかな大地である。
日本列島と大陸世界とでは、生き方も違えば考え方も違う。
脅威は、日本列島では自然であり、大陸世界では人や獣であった。
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とにかく今は生きる事で、生きる意味は、落ち着いた時、安全・安心・安定がもたらされた時にゆっくり考えればいい。
反射的に正しい行動がとれるよう為に、日頃から、咄嗟に動けるようにしておく事である。
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全身の血管の総延長は、約10万キロである。
臓器同士は変化に合わせてメッセージ物質を血管に送り出し、生きる為の直接会話をしている。
人間の意識や体は、脳が全てを管理し指令を出しているのではなく、各臓器が独自に臓器間で情報をやり取りして健康な状態を維持している。
精神と肉体の健康は、脳と全ての臓器そして血管間における細胞情報ネットワークが健全に働いているお陰である。
生物は、生きた細胞の集合体である。
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