「現人神」「国家神道」という幻想―「絶対神」を呼び出したのは誰か
- 作者:新田 均
- 発売日: 2014/05/01
- メディア: 単行本
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
12月 左翼・左派の教育者は、侵略戦争に協力したという戦前の反省から、平和と人道に基ずく正しい教育を行う為に全日本教員組合を結成した。
修身・日本歴史・地理について、旧来の教科書による授業停止命令。
12月3日 GHQ民間情報教育局宗教課は、部内調査を実施し、国家神道は宗教的要素と世俗的要素の両方から成り立っているが、間違いなく宗教であるとの結論を出した。
12月4日 日本政府は、伊勢神宮は皇室祭祀にとって欠かす事が出来ない宗教施設として、特別の配慮を切望した。
GHQは、国家神道に於いて伊勢神宮は重要な位置を占めていたのは事実であり、国家神道の解体には伊勢神宮の処分は避けられないとしても、皇室祭祀・宮中祭祀との関係から結論が出せないとして問題解決を先送りとした。
・ ・ ・
12月6日 GHQ内のCIE(民間情報教育局)責任者ダイク大佐は、日本人輸入業者のアメリカ映画上映の請願に許可を与えた。
東京・日比谷の映画館でアメリカ映画「ユーコンの叫び」が上映された。
敵国であったアメリカの映画を見に来る日本人はいないだろう思っていたが、上映される日比谷劇場に早い時間から日本人は行列を作って開場を待った。
上映は大盛況となり、3日間の上映予定が延長に次ぐ延長された。
日本人は、アメリカ映画に飢えていた。
アメリカは、日本人のアメリカ映画に対する関心の高さから、デモクラシー普及にアメリカ映画を利用する事にした。
アメリカ国務省は、元コロンビア映画極東代表で知日派のマイケル・ベルゲルを派遣し、翌21年2月1日にCMPEを設立した。
21年には、44本のアメリカ映画が上演され、劇場は日本人観客であふれた。
名作「カサブランカ」や「我が道を往く」「キューリー夫人」「春の序曲」などはこの年に上演された。
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12月8日 宮城県青年団60名は、みくに奉仕団を結成し、宮城の草を刈る為に宮城に入った。
昭和天皇は、焦土化した国土で敗北感で打ちひしがれている国民を労う為の地方巡幸を考えていた時に、みくに奉仕団と出会い、巡幸に出る決意をした。
宮中グループは、皇室を存続させる為には、連合国対して国民と皇室は依然と固い絆で結ばれている事を知らしめる必要があるとして、地方巡幸を計画し始めた。
気掛かりなのは、急速に存在感を見せ始めた共産主義者の攻撃から如何にして昭和天皇の玉体を守るかであった。
GHQは、日本軍はアジアを侵略し、日本軍兵士は残虐行為を行った殺人鬼であるという日本人罪悪史観を植え付けるべく、新聞各社に公平性を欠く「太平洋戦史」の掲載を厳命した。
左翼・左派のマルクス主義者は、ソ連の示唆に従って、占領下で敗戦という衝撃で虚脱感に襲われている日本人を人民革命に導く為に、アメリカの洗脳教育に協力した。
だが。日本民族日本人は、外国からの如何なる圧力や強権的威圧にあっても本質を変える事なく、日本の哀しみを乗り越える為に昭和天皇の声を待望していた。
天孫降臨神話という2000年以上受け継いできた日本の心は、伝統文化としての祭祀王・天皇制度が存在する限り揺るがなかった。
日本民族日本人にとって、神の裔・天皇および神の血筋・皇室は心の支えであった。
12月10日 宗教学者で東京帝国大学助教授の岸本英夫は、発表前の神社指令最終草案を見せられて意見を求められた。
草案は、今後の公文書で『大東亜戦争』『八紘一宇』『国體』の用語使用を禁止するとしていた。
12月13日 岸本秀夫は禁止用語から『国體』の削除を要求し、バンズは混乱を避ける為に要請を受諾した。
皇室祭祀・宮中祭祀を国柄の核となす『国體』は護られ、天皇神話を共有する日本民族日本人は生き残った。
GHQによる、神道的日本精神の大改革が失敗した瞬間で。あり、非宗教的神社神道を破壊するという神道指令は形骸化して不徹底に終わった。
12月15日GHQ民間情報教育局(CIE)ダイス局長は、イギリス人レジナルド・ブライスの助言を得て、日本の宗教改革「神道指令」神道指令を作成して発表した。
GHQは、儀礼・儀式のみの非宗教的カルトである国家神道を廃止する為に、日本政府に対して「神道指令」(国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並びに弘布の廃止に関する件)を出した。
ハーグ陸戦条約が禁止する「占領軍による宗教弾圧」という誹りを避ける為に、国家神道は宗教ではなくナチズムやファシズム同様に侵略戦争を正当化する軍国主義イデオロギーと認定した。
だが。国家神道をどう認識するかで、GHQの民間情報教育局は分裂していた。
宗教課長のバンズは、日本で英語教師をして日本人と神道の霊的な関係を見てきた経験から、「宗教と認定する」と主張した。
ホール少佐は、日本から軍国主義を一掃するべく、「信教の自由」を侵害しない為に「非宗教である」と譲らなかった。
GHQは、日本の民主主義化に邪魔になるもの全てを「非宗教」と分類して排除する事に決めた。
マッカーサーは、日本をキリスト教国家に生まれ変わらせる事を神聖な使命と確信して、異教を排除する「十字軍運動」を開始しようとしていた。
アメリカの真の目的は、日本の国家体制を立憲君主制から共和制に変更し、天皇を改宗させ日本人をキリスト教徒にしてキリスト教を国教にする事であった。
だが。民間情報教育局宗教課は、「信教の自由」の立場から、日本の伝統的宗教を守る為に日本のキリスト教化には反対であった。
GHQ宗教課『日本の宗教』「皇室祭祀は、国家神道の一部を成している」
GHQの宗教政策は、古代に起源を持ち地位に根ざした土俗的神社は残すが、伊勢神宮や明治神宮などの皇室神道と靖国神社や護国神社などの非宗教的国家神道の神社は廃止すべきと判断していた。
だが、キリスト教の明快な信仰価値観とは相容れない神道の曖昧な精神価値観ゆえに伊勢神宮や靖国神社は焼却されず、皇室祭祀・宮中祭祀は国家や国民から切り離され閉塞空間の中に押し込められて残された。
マッカーサー「これが総司令部が出す重要な指令の、最後のものである」
ニューズ・ウィーク誌「国家神道の廃止は人間宣言と同様に、日本人を迷信から解放させる」
ニューヨーク・タイムズ「マッカーサー元帥は、天皇制を支える支柱を根刮ぎ斧で切った。……国家からの資金的援助を受けられない神道は立ち消えになり、その地位を仏教やキリスト教などに明け渡す事になる」
ウィリアム・K・バンズ「神道指令は、ハーグ条約と矛盾しなかった」「日本政府は、神社神道は、宗教でないと言明して、憲法の信教自由と抵触せぬとしていた。従って国家神道が宗教でないとすれば、それに干渉する事は、宗教に対する干渉ではない。神社神道は、国が愛国心を高揚させる為の手段に過ぎなかった」
キリスト教会は日本をキリスト教化する為に、マルクス主義者は天皇制度を廃して反宗教無神論にする為に、神道指令を支持した。
教育の現場は、アメリカ型自由と民主主義のみを教える場となり、日本独自の歴史・伝統・文化・宗教が排除され神話的道徳は愛国心の基であるとして完全に追放された。
そして、教育勅語は廃止された。
ユダヤ人マルクス主義者は、天皇制度を廃止する為に皇室の私有財産を没収し、政教の分離の原則で神社に対する公の財源による援助を禁じた。
天皇神話につながる神道を根絶する為に、教育の場から神道教義を排除し、国家神道や過激な民族主義を表現する用語も社会から追放した。
『神道指令』
「1 国家指定の宗教ないし祭式に対する信仰或いは信仰告白の(直接的或いは間接的)強制より日本国民を解放する為に戦争犯罪、敗北、苦悩、困窮及び現在の悲惨なる状態を招来せる『イデオロギー』に対する強制的財政援助より生ずる日本国民の経済的負担を取り除く為に神道の教理並びに信仰を歪曲して日本国民を欺き侵略戦争へ誘導する為に意図されたる軍国主義的並びに過激なる国家主義的宣伝に利用するが如き事の再び起きる事を防止する為に国民生活を更新し永久の平和及び民主主義の理想に基礎を置き新日本建設を実現せしむる計画に対して日本国民を援助する為にここに左に指令を発す
……
(ハ)神道の教義、慣例、祭式、儀式或いは礼式に於いて軍国主義的ないし国家主義的『イデオロギー』の如何なる宣伝、弘布も禁止するしかしてかかる行為の即刻お停止を命ずる神道に限らず他の如何なる宗教、信仰、宗派、信条或いは哲学に於ても叙上の『イデオロギー』の宣伝、弘布は勿論之を禁止しかかる行為の即刻の停止を命ずる
……
2(イ)本指令の目的は宗教を国家より分離するにある、また宗教を政治目的に誤用する事を防止し、正確に同じ機会と保護を与えられる権利を有するあらゆる宗教、信仰、信条を正確に同じ法的根拠の上に立たしめるにあり、本指令はただに神道に対してのみにあらずあらゆる宗教、信仰、宗派、信条ないし哲学の信奉者に対しても政府と特殊な関係を持っ事を禁じまた軍国主義ないし国家主義的『イデオロギー』の宣伝、弘布を禁ずるものである
……
(ハ)本指令の中にて意味する国家神道なる用語は、日本政府の法令によりて宗派宗教と区別せられたる神道の一派即ち国家神道ないし神社神道として一般に知られたる非宗教的なる国家的祭祀として類別せられたる神道の一派(国家神道ないし神社神道)を指すものである
……
(へ)本指令中に用いられている軍国主義ないし過激なる国家主義的『イデオロギー』なる語は、日本の支配を以下に揚ぐる理由のもと他国民ないし他民族に及ぼさんとせる日本人の使命を擁護し或いは正当化せる教へ、信仰、理論を抱含せるものである
(1)日本の天皇はその家系、血統或いは特殊なる起源の故に他国の元首に優るとする主義
(2)日本の国民はその家系、血統或いは特殊なる起源の故に他国民に優るとする主義
(3)日本の諸島は神に起源を発するが故に特殊なる起源を有するが故に他国に優るとする主義
(4)その他日本国民を欺き侵略戦争へ駆り出さしめ或いは他国民の論争の解決の手段として武力の行使を謳歌せしめるに至らしめるが如き主義
……」
キリスト教会は優遇されてその資産は保全され、教会所有の農地は不在地主化していたが農地改革の対象外とされた。
GHQ内部では、共産主義者やキリスト教会の要請により、靖国神社、明治神宮、伊勢神宮などの主要な神社を軍国主義の精神的支えであるとして破壊を計画した。
彼らは、表向きは平等に扱うとの原則を唱えていたが、その実は見えない形での宗教弾圧を強めてれいた。
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神道指令の真の狙い、国家と宗教・神道の分離ではなく、国家から神道を切り離し公の行事から神道的色彩を完全排除する事であった。
ラウエル中佐は、憲法第98条で、日本の伝統的慣習として行われてきた宗教団体及び宗教系学校への公金支出を禁止しようとした。
特定の宗教を国教として認めている国は、イギリスである。
幾つかの宗教・宗派を共存させながら公認教としている国は、アメリカ、ドイツ、オーストリア、イタリアなどであった。
反宗教無神論を国是としていない国家では、選択の自由を認めて宗教教育を行っている。 政教分離や信仰の自由がある国では、当然の事として宗教教育が行われている。
その中で日本は、反宗教無神論国家ではないのに、宗教教育がない珍しい特異な国である。
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12月16日 近衛文麿は、GHQの戦犯指名に抗議して服毒自殺した。
12月17日 終戦連絡各省委員会議事録「神道に関し広汎なる指令ありたること御承知の如き処右に至るまでの経緯申しあぐべしとて従来アメリカ側との折衝を通し内容的には予て予想しおりたる所にして政府案とも大差なく旨時間的に今回指令が些か突然の感をあたへたる旨説明あり」
結果的には。日本側の天皇を中心とした「国體」を護持する為の、「肉を斬らせて骨を護る」という捨て身の交渉が成功した瞬間である。
万世一系の男系天皇(直系長子相続)は、古代からそうであった様に世俗的政治の立場から離れ、俗世を排除し、私心なき無心の祭祀王として「まつりごと」の場に立ち返った。
歴史に於いて、天皇親政による「祭政一致」はごく僅かな時代に起きた例外にすぎず、大半の天皇がカリスマ的リーダーシップを発揮して政治を指導した事はない。
天皇には、宗教権威としての祭祀学はあっても、政治権力としての帝王学は存在しなかった。
日本国家を「代表」し、日本民族の「象徴」として、皇祖皇宗と日本の八百万の神々をわけへだてなく平等に祀る事であった。
日本民族日本人は、生まれながらに受け継いでいる最高位の祭祀者としての神聖さに敬服し、八百万の神々に「個」を超越した存在として厳かに仕える天皇に尊敬の念を抱いてきた。
日本祭祀の核が皇室祭祀・宮中祭祀である以上、万世一系の男系天皇(直系長子相続)しか日本の国事祭祀・国事行為は出来ない。
神に、優劣、上下、強者弱者、などと差別を付けないのが日本神道である。
人である天皇は、神への信仰の様な信仰する対象ではないし、教祖として崇拝する様な個人崇拝の対象でもなかった。
高貴な生まれで高い教養を持った優れた公家でも、巨大な軍事力を持て日本全土を征服した勇猛果敢にして政治力のあるサムライ・武士でも、巨万の富を持ち貧しい者を救済する有徳者であっても、祭祀王・天皇にはなれなかった。
欧米や中国・朝鮮では、それだけ皇帝や国王になれたし、国家元首になれた。
キリスト教信者であれば、絶対神とイエス・キリストへの信仰だけで、誰でもローマ教皇に即位できた。
祭祀王・天皇だけは、神代からの神話と歴史と伝統・文化を根拠にした皇室の血がない限り即位できなかった。
故に、日本国民統合の象徴なのである。
国民的人気があるからというだえで、誰でもが天皇に即位できるわけではないのである。
歴代の天皇の中には、時の権力者(公家や武士)の都合で、年齢に関係なく強引に即位させられたり、落ち度も何もないのに強制的に退位されたり、無実の罪や関係ない政争に巻き込まれて流罪にさせられていた。
万一系の男系天皇(直系長子相続)制度の廃止を求める左翼・左派のマルクス主義者は、反宗教無神論から神の裔・天皇から神話的祭祀権を剥奪し、象徴の地位から一般市民に引きずり下ろそうと画策した。
キリスト教会も、日本をキリスト教化する為に布教活動を強化し、「領主の信仰が、領民の信仰」の原則から皇室の洗礼を急いだ。
バンズ「戦後日本の天皇の地位は、明快とはいえず妥協の産物である。天皇は私人として、神道を信仰する事ができる。しかし、国家の象徴として宗教活動に参加する事は、慎重に避けねばならない。もちろん、多くの具体的な状況によって、天皇の公私の区別を定義する事は難しい」
GHQは、日本の占領政策と対共産主義対策から昭和天皇を利用する為に万世一系の男系天皇(直系長子相続)制度を残したが、将来的に万世一系の男系天皇(直系長子相続)制度が自然消滅する様に直系宮家以外の宮家を臣下降下させた。
村上重良し「天皇は、皇室祭祀を執行する際に、私事と考えて最高祭祀を務めているのではなく、この国の祭祀王である天皇として執行しているであろう事は、いささかも疑う余地がない。この本質は、終始、天皇の宗教的権威の源基をなしてきた」
皇室祭祀と宮中祭祀は、日本中心神話で皇祖皇宗の子孫であると証明された血筋以外には出来ない。
万世一系の男系天皇(直系長子相続)と日本民族日本人は、「心」「絆」「縁」からして一心同体である。
祭祀王・万世一系の男系天皇(直系長子相続)は、日本民族を一つにまとめる唯一の統合の象徴であるあり、他に変えられない必要不可欠の扇の要である。
歴代の天皇は、すべてが日本民族日本人であり、決して朝鮮人や中国人やユダヤ人であってはならないのである。
万世一系の男系天皇(直系長子相続)制度の廃止を求める日本人は、この事実を知り抜いた上で主張し、天皇は実は朝鮮人か中国人かユダヤ人の子孫であると訴えている。
12月21日 CIE教育課ヘンダーソン課長から日本側に、新な詔書(後の人間宣言詔書)起草案が提出された。
12月22日 昭和天皇は、神道指令によって神道を守る為に、木下道雄侍従次長に「直ちに対策を講ぜよ」と申し付けた。
学習院大学教授・板沢武雄は、宮中に呼ばれて、両陛下と侍従長及び女官長等の前で、Mac司令部の指令を主題として話し合った。
12月23日 高松宮と木下侍従次長は、神道指令について話し合い、新たな詔書をGHQの押しつけではなく昭和天皇の自発による大詔渙発とする事に決めた。
東京大学学長矢内原忠雄(無教会主義クリスチャン)は、「日本の傷を医す者」という講演を行い、昭和天皇に日本の再建の為に聖書を読む事を勧める発言を行った。
「私どもは天皇陛下を愛し敬って、日本国民の国民生活の首と仰ぎ中心として祟めます。しかし陛下、今の状態ままではいけません。聖書をお学びなされば、陛下御自身の御心が平和を得、希望を得、勇気を得、頼る所を得られます。陛下に洗礼をお受けなさいとか教会にお出なさいとか、その様な事を私は申すのではありません。陛下をキリスト教徒にしようというのではありません。けれども聖書を学んで頂きたい。それがやがて国の復興の模範となり、基礎となるのであります。遠き昔伝わったところの仏教を日本の皇室が信じられて、どれほど美しい果を結んだか。その為に日本の国體は少しも汚れないのみならず、如何に美しい果を日本の歴史の上に結んだか。神が陛下に聖書をお学びになる絶好の機会を、今提供してをられるのであります」
12月26日 クリスチャンで枢密顧問官の関屋貞三郎は、ダイク局長の意見として、昭和天皇に拝謁し、皇太子への国際的教育としてアメリカ留学を奏上した。
キリスト教徒は、皇室を改宗し、日本をキリスト教国にするべく浸透していた。
12月31日 日本精神・大和心・日本人の気概の基となる修身・国史・地理の授業は即時中止された。日本は、変化に富んだ多種多様な価値観を捨て、画一された普遍的な価値観を受け入れる様に強制された。
マッカーサーは、統合参謀本部に、布教の為に必要な数の宣教師を日本に着任させる許可を与える方針であることを、電文で報告した。
統合参謀本部も、布教促進に同意し、300名の宣教師を派遣すると共に数万部の聖書を日本聖書協会に送った。多くの宣教師や従軍牧師は、日本人への布教活動を本格化させた。
民政情報教育局(CIE)の宗教課は、日本に「信仰の自由」の原則から、マッカーサーとキリスト教会が改宗を強制しようとしている事に批判を強めた。
翌年。マッカーサーは、日本のキリスト教化に反対し、ニュージャージー教会から寄付された聖書5万冊を配布しなかった事を理由にして、局長ケン・ダイク准将を解任した。
ニューディーラーのチャールズ・ケーディスやホイットニーらの民政局(GS)は、日本を理想国家にする為に、新憲法制定など行政や教育など多方面で左派よりの改革を強行した。
革新派の芦田均や社会主義の片山哲らは、民政局に接近して権力の座に着こうとした。
ウィロビー少将を長とする参謀部第二部(GⅡ)は、ソ連・共産主義陣営との対立が表面化するに連れた、旧軍人や公安当局の中ら優秀の日本人をスカウトして右傾化の為に利用した。
保守派の吉田茂は、GⅡに接近して革新派や社会主義派を政権の座から追放する為に協力した。
天皇は、日本的教養を持ち、国際感覚の優れた人材を登用する事を希望した。
GHQは、天皇を孤立させ、日本を自由に改造する為に彼等を軍国主義者として公職から追放した。
神社側は、連合国によってキリスト教が国教と定められ、民族宗教・神道が破壊される恐れがあるとして、翌年に神社本庁という組織を創設した。
昭和天皇は、稲田侍従長を勅使として近江神宮に遣わし、代参させた。
キリスト教会は、GHQ内のニューディーラー(共産主義信奉者ユダヤ人)と協力し、アメリカの在米ユダヤ・ロビーやアメリカ系ユダヤ人組織の支援を得て、日本をキリスト教国化する宗教政策を進めた。
非文明的民族宗教に囚われていた哀れな日本人を解放し、「愛」の信仰で生きる意味を再発見させる為に、日本に対して「信仰の自由」という外圧をかけたのである。
普遍的価値観を根付かせる為に、靖国神社や伊勢神宮や明治神宮など主要な神社を軍国主義の象徴として焼却しようとした。
そして、天皇と皇族を改宗させ為にあらゆる手段を講じた。
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1946年1月28日 「神道に関する内部調査ダイジェスト」。国家神道が宗教である以上は信教の自由から廃止する事は出来ないが、政教分離の原則から政府や地方自治体の財政支援を遮断し、学校の中立を確保する為に教育から宗教教育や愛国教育を排除した、と説明した。
だが。日本民族の誕生神話で、皇祖皇宗の血を受け継いだ天皇がその血筋を根拠として祭祀を行ってきた事を認め、万世一系の男系天皇(直系長子相続)を解体する事なく、単なる「お飾り」ではなく日本国民統合の象徴として日本国憲法内に残す事を認めた。
日本民族日本人が、統合の象徴として、古代から受け継がれて来た祭祀王・天皇を中心とした国體が護持されたのである。
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河井道「日本人にとっては、もう一つ別の神の存在を受け入れるのは容易い。けれども、たった一人の神しかいないという事を信じるのは、なかなか難しい」
植村環「日本人は、明治元年の大政奉還に至るまでは、天皇を元首としてではなく、『象徴』として考えていたのではないか。……象徴天皇こそは、一般の国民感情にピッタリくるのであります」
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- 作者:小林 よしのり
- 発売日: 2005/08/01
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