- 作者:清水 昭三
- 発売日: 2004/12/15
- メディア: 単行本
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本共産党とGHQは、皇統と天皇制度を守る為の最高刑死刑という大逆罪を廃止して、天皇、皇室、皇族の命を無防備に放り出した。
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福田恆存「僕たちは何を目標にして刻苦するのか、また何を基準としてそこから堕落するのか。……僕は知っている、唯一の事を知っている。──即ち文学者としての僕たちにとって、この絶望と希望との交錯の内にただ静止する以外に方法のない事を」(『近代の宿命』)
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1947年 祭祀王・昭和天皇を改宗させる為に、皇室周囲にキリスト教が深く浸透していた。
左翼・左派のマルクス主義者は、万世一系の男系天皇(直系長子相続)制度を守って来た大逆罪を廃止する為に旧刑法第116条と刑法第73条を削除し、平等の原則に従って神の裔・天皇の命は一般人の命と同等であるとした。
日本民族中心神話の核心である、天孫降臨神話に基ずく万世一系の男系天皇(直系長子相続)の正統性も否定され、神の血筋をであるという民族の物語は荒唐無稽の作り話であると抹殺された。
マルクス主義者は、反宗教無神論者で、民族宗教としての祖先を神として祀る伝統的氏神信仰を日本から抹消した。
マルクス主義者は、科学的正義を振り回して、神話の時代からの八百万の神々を殺した。
これ以降。日本は、国際的な非常識国家となり、天皇は国家元首ではなくなり、天皇と皇室は暗殺テロに対して無防備となった。
そして、日本の全ての面にあった宗教色が急速に衰退し、日本人は宗教と無縁となり信仰心をなくした。
国際社会の常識として、日本人には、人として持っているはずの信仰がないとされている。
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マッカーサーは、二代目の民間情報教育局長ニューゼントに「私の理想と信念は、日本をキリスト教国にする事」であると、熱い胸の内を語った。
ニューゼント局長は、マッカーサーが気に入る情報のみを報告し、不機嫌になる報告書は廃棄するか、内容を歪曲し改竄した。
宗教課員ウォルター・ニコラスの「日本には戦前に20万人のクリスチャンが居たが、現在では2万人」という調査報告書は、「信者200万人」と改竄されてマッカーサーに提出された。
キリスト関係者も、GHQのさらなる支援を受ける為に改宗者が増えているとマッカーサーに報告した。
上智学院のブルノー・ビッテル院長も、カトリック信者の増加を語った。
ジョージ・F・ケナンは、力の空白を狙ったソ連・共産主義の世界征服に警鐘を鳴らす、「ソビエトの行動と源泉」を匿名でフォーリン・アフェアーズに投稿した。世にいう、X論文である。)
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1月16日 北アメリカ海外宣教会議は、日本にキリスト教大学を設立する事は絶対神から与えられた神聖な使命でり、世界を共産主義の破壊と荒廃から救済には必要な事であると決意表明した。
全米のキリスト教会は、日本をキリスト教化する為にキリスト教大学設立に賛同して募金活動を開始した。
マッカーサーは、日本のキリスト教の為の重要な一歩として、キリスト教大学設立運動を支持し、募金委員会の名誉会長を引き受けた。
マッカーサー「国際基督教大学こそ、日本人にキリスト教義を通じて民主主義を徹底させる、偉大にして唯一の要素である」
「御上の御意向」に弱い日本人は、こぞって募金要請に応じた。
民間情報教育局宗教課長ウィリアム・K・バンズは、国際基督教大学設立に反対しなかったが、信教の自由の立場からGHQが正式な政策とする事には反対であった。
ジョセフ・C・グルー元国務次官は、アメリカにおける資金募金全国委員長に就任した。 グルー「日本の民主主義とその発展の目標は根本的にキリスト教の教義に基づいたものでなければならず、キリスト教の学校の設立が重大な意味を持つ事を確信する」
キリスト教徒は、ソ連・共産主義勢力への盾として利用する為に日本にキリスト教大学を設立させようとしていた。
日本銀行総裁一万田尚登(仏教徒)は、基督教大学設立の後援会長に就任するや募金運動を展開した。
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2月 ハーバーズ・マガジン誌は、原爆投下の正当性を訴えるスチムソンの論文「原爆使用の決定」を掲載した。論文は、アメリカ人兵士100万人を救う為には必要な決断であったと主張した。日本が天皇制存続を条件として降伏を申し込んでいた事も、原爆投下を事前警告しなかった事も、一切触れなかった。
グルーは、スチムソン論文は事実に反すると抗議の手紙を出した。
スチムソンは、無条件降伏の原則を緩和して天皇制度存続を許せば、原爆を使用せずとも日本は降伏した事を認める返書を出し、論文作成には自分はタッチしていないと知らせた。
スチムソンもグルーも、原爆投下が、軍事的戦略ではなく、対ソ外交の政治的判断で行われた事を知っていた。そして、100万人神話は全くの出任せである事も。
マッカーサーは、アメリカ議会に占領政策の成功例として、「日本人の過去の信仰が崩壊した事で生まれた精神的空白をキリスト教が埋めつっあり、その数は200万人を超えている」と報告した。
GHQは、教育界で共産主義が蔓延しているとの危機感から、5,000人のマルクス主義教員を追放を試みた。
世にいう、レッドパージである。
日本罪悪史観で約12万人の保守系教育者を公職追放していた為に、教育現場を混乱させるだけでマルク主義系教員の追放は失敗に終わった。
教育の現場では、祭祀王・天皇につながる伝統的文化、歴史、宗教及び民族的習慣や風習を教えず、祖国を愛し天皇を守るという精神教育は排除された。
政治家、役人、各種団体幹部、企業家など、指導者的に第一線で活躍する者22万人以上を社会の表舞台から追放した。
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3月 植村環は、アメリカから帰国し、長老派教会の婦人から預かった聖書を亨淳皇后に献上した。
貞明皇太后は、植村環に、三人の内親王への聖書講義を依頼した。
3月31日 議会は、教育基本法を審議して制定した。
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4月27日 ロイヤル文書。ロイヤル陸軍長官からトルーマン大統領へのメモランダム。「国家神道が衰退した事によって精神的空白が生まれ、日本に宗教的好機が訪れている事に感銘を受けた。マッカーサー元帥との会談において、彼はキリスト教的民主主義の重要性を深く認識しており、その考えを日本中に普及させる事に全力を尽くしている。これは、キリスト教の宣教活動を積極的に奨励するだけでなく、キリスト教の倫理、文化、政治的理念を日本社会のあらゆるところに普及させようとするものである。陸軍省はこの事業を推進して支援する事が出来る。陸軍占領地担当次官トレイシー・B・ヴァヒーズに、この事業を日本の復興計画に組み入れるように指示を出した。カトリックとプロテスタントの両教会の指導者達と会談を行い、最も適切な支援の方法について彼らの援助と助言を受けている。……
日本人の間にキリスト教的民主主義の原則を急速に広める事は、陸軍省の重要な占領政策の一つとして大いに貢献するであろう。私としては、大統領がこの事業に関心を払っていただければと存じます」
トルーマンは、ソ連・共産主義勢力に対抗する為に、日本のキリスト教化を支持する手紙を出した。
「貴方の日本の宗教に関する見通しは非常に興味深い。喜んで支援します」
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5月 民間情報教育局宗教課長ウィリアム・K・バンズは、記者会見で「プロテスタントもカトリックも天皇を自分達の宗教に改宗させようとしている」と発言して、宣教師による過熱化している布教活動に苦言を呈した。
カトリック教会やプロテスタント各派は、日本人を自分の教会の信者にする為に激しい布教合戦を繰り広げ、同じ絶対神を信仰しながら相手を口汚く罵り合っていた。
神道的日本人は、多神教徒ゆえに、宗教の多元性を持っているだけに排他的な宗教宗派対立が理解できず、多種多様な信仰観ゆえに不寛容な神学論争が理解できなかった。
祖先神・氏神信仰のごく有り触れた日本人にとって、キリスト教は理解できない宗教であり、近寄りがたい異質な宗教であった。
その為に、日本ではキリスト教は思ったほど信者を増やす事がなかった。
ヒンドゥー教徒やイスラム教徒は、マッカーサーに対して、日本古来の宗教や文化や伝統が否定され、日本人のキリスト教化が進められている事に抗議した。
マッカーサー「誠に遺憾な事だが、貴方達には間違った情報が伝わっている」
5月7日 都新聞「天皇は改宗の途中にあらせられ、皇室の方々も関心をおもちだ」
5月17日 神田共立講堂でフラナガン神父歓迎子供芸能会が開催され、上流家庭の女児が通う聖心女学院の生徒が流暢な英語で歓迎の辞を述べた。
マッカーサーは、日本を英語を公用語とするキリスト教国に生まれ変わらせる事を、絶対神から与えられた神聖な使命と信じ、将来日本を担う上流階級の女児をキリスト教に改宗させ英才教育として英語の習得を徹底させた。
アメリカのキリスト教会は、日本をフィリピン同様の国教・キリスト教、国語・英語という非民族国家に新生させようとしていた。
GHQの民間情報教育民間情報教育局(CIE)は、学校教育から国家神道はもちろん仏教など日本古来の全宗教を排除し、密かにキリスト教の「隣人愛信仰」を吹き込もうとしていた。
対して。日本のキリスト教化を推進する為に、キリスト教系の国際基督教大学や聖心女子大学や清泉女子大学を設立し、日本の新たなエリート階層を形成する秀才青年達の妻となる信仰心篤い女性の育成に力を入れた。
もし。日本が、アジアやアフリカ地域の様に、宗教や文化などに対する民族意識が弱く国語・日本語への執着が稀薄であったら、日本人はキリスト教に改宗し英語を話し始め事であろう。
そして、先進国から後進国に転落し、最貧国になっていた。
事実。アジア・アフリカ地域で、国教・キリスト教と国語・西洋語を選んだ国で豊かになって先進国となった国は一ヶ国もない。
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文部省は、民間情報教育局の承認を得て、キリスト教を教える教材として『西洋の歴史』を作成し、全国の学校に配布した。
上智大学のヨゼフ・ロゲンドルフ神父は、カトリック新聞で、神の子・イエス・キリストの神聖と偉大なる生涯を愚弄し聖書に疑惑を与えるような、反キリスト教的記述があると告発した。
キリスト教会による歴史教科書問題が発生した。
上智大学は、キリスト教の布教が如何に世界の平安と人の幸福に寄与して来たというパンフレットを作成して、全国のカトリック系学校に配布した。
カトリック・ウィークリーは、ロゲンドルフ批判を報じ、日本の天皇信奉者らによる宗教攻撃であると反日的アメリカ世論を煽った。
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中頃。GHQは、宗教政策を緩めて学校に宗教教育を復活させるかどうかの検討に入った。
民間情報教育局宗教課は、国家神道の復活と教育支配につながる恐れがあるとして慎重であった。
アメリカ教育使節団報告書「日本の新しい精神生活が宗教の仮面もとに行使する力を否定した事で前進した。宗教的な思想及び実践の自由の保障により、日本人は多くの宗教を取捨選択して、その中から日本文化に最高の意義をもたらす宗教形態を受け入れる事が出来る」
民間情報教育局教育課長マーク・T・オアは、日本人は神道を捨てキリスト教を受け入れ、学校教育の場にキリスト教を取り入れるとの確信を抱いていた。
「民主主義社会では公教育における宗教教育は必須である。……学校教育で宗教が欠落したら、教育上、危険きわまりない」
有識者の多くも、近代的教育の常識として、道徳に基ずく人間形成の為には宗教教育は必要であると提言した。
キリスト教会は、迷える子羊に正しい絶対神の教義が教えられなければ、人々の心は頽廃し、甘味な悪の誘惑に誘われて犯罪に走る恐れがあると憂いた。反宗教無神論の共産主義が、社会に蔓延る事を警戒していた。
キリスト教の根底にある人間観は、人は生まれながらにして原罪を背負った罪人であり、気を許すと悪事を働く愚か者であるという性悪説を採用していた。
日本の宗教界も、独自に、日本人としての人格形成の為に、日本の歴史や文化に根ざした宗教的情操教育の必要性を訴えていた。
日本宗教連盟は、参議院に、教員養成大学に宗教講座を設置する意見書を提出した。
羽渓了締(龍谷大学学長)「政教分離を厳しくやるとしても、宗教的情操は教育の中に取り入れていくべきではないか」
アメリカは、学校教育の場に軍国主義的国家神道の復活を恐れていた。
民間情報教育局宗教課長ウィリアム・K・バンズは、超民族主義的国家神道を封じ込める為に、神道指令を前面に出して公立学校から宗教教育を完全に締め出した。公平性をきす為に、対象を神道や仏教だけではなくキリスト教やユダヤ教など全ての宗教とした。
「教育勅語は、国家神道のバイブルである。教育勅語は、軍国主義者・超国家主義者の主張を正当化させるものである。新しい日本国憲法の精神に反するので、大学などの歴史的資料として利用する事を除き、学校で奉読したり、教科書の一部として利用……御真影を学校で掲げる事は禁止して、御真影に向かって御辞儀をしてはいけない」
民間情報教育局新聞課長ダニエル・C・インボーデン「学校教育で宗教を教える事は、国教としての神道を再び導入させる事になる。社会科の授業で宗教を教える事は、結局、神道教育に変更されて、キリスト教が犠牲になる。そうなれば、マッカーサー元帥の機嫌を損ねる事になるだろう。私は、日本の学校に宗教教育を確立させる事に反対である」
教育課は、多くの反対を受けて公立学校の公教育に宗教教育を導入する事を断念した。
個人としての「信教の自由」は保障されたが、「政教分離の原則」に従って公の場から宗教的儀式や儀礼は完全排除された。
キリスト教会連盟は、神道指令を尊重し、公立学校に宗教教育を導入するように干渉しない事を決めた。
日本キリスト教協議会は、学校に於ける宗教教育が不可能になった為に、学童に対して学校外での布教活動を強化した。
アメリカ人宣教師らは、ハワイやフィリピンで成功した布教方式で、日本の歴史や宗教や文化そして伝統的生活習慣全てを野蛮と切り捨て、キリスト教以外の神以外は存在しないとして、強引に日本をキリスト教化しようとした。
彼にとっては、称讃に価する神聖な十字軍的行為であった。
ルース・ベレディクト「その様な方法は、如何なる被支配国においても、今だかって成功を収めた試しがない。彼と同じ習慣や仮定を持たない国民に、彼の考えどうりの生活の仕方をする様に命ずる事はできない」
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6月 共産主義系教師と社会主義系教師は、反天皇を子供達に教える為に合同して新たな日教組として組織強化を図った。
日教組は、天皇制度を打倒して日本を共産主義化する為に、教育理論としてウラジーミル・レーニンの妻ナジェージダ・クループスカヤの「ソビエト教育学」を採用した。
子供を、家の仕来りという拘束から解放し、家族の絆を断ち切り、親に代わって国家が育てる。
教育現場では、押し付けによる宗教的な道徳や倫理を排除し、個を尊重する科学的な理性のみを教える。
さらに。宗教に基ずく性的差別は悪として、男女は平等であるとの考えから男女共学の普及を推進させた。
人間は「個」として尊重され、祖先神・氏神信仰という敬神崇拝は否定され、親はもちろん祖先とも精神的絆・つながりが遮断された。
神代から続く日本民族の考えは、祖先あっての自分、子孫の為の自分であった。
その考えを体現する象徴が、祭祀王にして神の裔の天皇で有り、各地にある神社であった。
ゆえに、天皇の最大の役目は祖先神を祀り祈る宮中祭祀である。
祖先から受け継いできた日本精神は、この時、断ち切られた。
ソ連は、自由・民主主義及び資本主義との戦いに子供を即戦力の革命闘士にするべく、教育を国家指導から党統制に移し「ソビエト教育学」を廃止した。
子供は、全てスターリンの子供として革命闘争に投入し、その多くを死亡させた。
日本共産党と日教組は、「スターリンの子供」に感動し、子供達を天皇制度打倒の革命闘士に育てるべく反宗教無神論のマルクス主義的教育を行おうとした。
中国やカンボジアなどの共産主義諸国では、マルクス主義に洗脳された子供達が、人民の正義を信じて伝統的文化・宗教・教養を持った大人達を容赦なく虐殺していた。
戦後の子供は、無神論による非道徳的なマルクス主義的教育を受け、戦前の子供とは異なり自己中心的となり、時代を下るにつれてイジメや校内暴力が増加し、青少年による凶悪犯罪が急増した。
人権派は、被害者より加害者の青少年を弁護し、犯罪者の青少年は少年院などで矯正教育を受けさせるより再犯をしないとの誓約を取り社会に出して適応させるべきだと訴えた。
彼らは、社会に出した青少年がさらに再犯を起こしても責任を取る事なく、やはり被害者よりも加害者を庇い、幾度でも弁護して社会に送り出していた。
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- 作者:古川 隆久
- 発売日: 2011/04/01
- メディア: 新書