東京裁判 幻の弁護側資料: 却下された日本の弁明 (ちくま学芸文庫)
- 発売日: 2011/08/09
- メディア: 文庫
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
7月 東京の「宮城」を、新たに「皇居」と呼ぶことになった。
7月1日 ローマ教皇ピウス12世は、「如何なる国であろうとも、共産主義に積極的に支持を与えるカトリック信者達を破門する」との検邪聖省令を出した。バチカンは、カトリック至上主義のもと民主主義を多少犠牲にしても、反宗教無神論の共産主義を撲滅する為の方策をとる事とした。そして、日本のキリスト教化を早める様にスペルマン枢機卿を通じてマッカーサーを督促した。参謀部第2部(GⅡ)は、ニューディーラーらの牙城である民政局(GS)を骨抜きにする為に、右傾化を望む吉田茂ら保守や右翼を利用して陰謀をめぐらした。
マッカーサーは、軍事的対共産主義政策から参謀部第2部に日本の舵取りを委ねた。日本の占領政策は、政治の思想・主義・信条から戦術戦略の軍事指導に移行した。
7月20日 日本政府は、GHQの指示に従って「国民の祝日に関する法律」を施行した。
GHQは、日本大改造の為に日本人を民族固有の伝統、文化、宗教から断絶させる目的で、「神道指令」に従って歴史的宗教的文化的な名称の祝祭日を無意味なネーミングに変更させた。
真の目的は、古くさい日本天皇制度を廃絶して、日本をアメリカのような人民による共和国に生まれ変わらせる事であった。
民族的な歴史、文化、伝統、宗教、習慣・風習を一切持たないアメリカは、日本的なもの全てに価値を認めず、アメリカ化する為に徹底破壊と人工的改造を行った。
それを企画・実行したのは、反宗教無神論の共産主義者とアメリカのキリスト教会であった。
共産主義者は、日本を共産主義化してソ連の衛星国・傀儡国家にする事を大義の実現とした。
キリスト教会は、日本をキリスト教に改宗させて絶対神に貢ぐ事を神聖な使命とした。
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オランダ人判事レーリング「日本人A級戦犯には威厳があった。ナチスのA級戦犯とはまったく違う」「被告人はほとんどが一流の人だった」
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8月24日 昭和天皇は、外国の新聞記者からの「皇室におけるキリスト教帰依」についての質問に答えて、伝統的皇室祭祀の祭祀王としてキリスト教改宗を否定した。
「キリスト教帰依については、外来宗教については敬意を払っているが、自分は自分自身の宗教を体していった方がいいと思う」
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11月 東京裁判の判決。
東京裁判は、国際法上の大赦を意味する「アムネスティ条項」をA級戦犯達に適用しない事を決め、軍国日本の戦争犯罪には未来永劫にわたって時効がないとした。
東京裁判は、「事後法禁止の原則」(法の不遡及)という近代法の常識を侵して強行された裁判である。
敗戦国日本は、戦勝国である連合国が行った東京裁判を報復裁判として不服であったが、国際裁判の名によって下された判決を受け容れ従った。
東條英機は、裁判には不服であったが判決は受け容れ、生き残る為に卑屈にならず、堂々と「日本は侵略戦争ではなく、国家自衛の為に自衛戦争をした」事を主張していた。
11月23日 GHQとキリスト教会は、神道を破壊する為に、天皇が宮中で一子相伝で行ってきた皇室祭祀を廃止する為に圧力を加えた。そして、紀元節や新嘗祭などの皇室祭祀に関係する祝祭日を、国民主権で歴史や伝統とは関係ない名称に変更させた。
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東京裁判史観は、戦前と戦後を分断し、戦死者を侵略戦争の哀れな被害者として追悼する事のみを許可した。
靖国史観は、戦前と戦後を連続させ、戦死者を自衛戦争の勇敢な英雄として感謝と敬意を持って顕彰した。
靖国神社は、私的な宗教的慰霊ではなく公的な政治的統合として、幕末から大東亜戦争に至るまで祖国に殉じて命を捧げた英霊を祀った。
政府に叛旗を翻して内戦を起こした西郷隆盛は、靖国神社に祀る事なく、明治新政府樹立に貢献した事を考慮して出身地の鹿児島に西郷神社を創建した。
同様に、幕府軍として官軍と戦って戦死した逆賊も、その親族が故郷で慰霊を希望すれば独自に神社を創建する事を許した。
敵味方に関係なく戦死した者は、平等に慰霊したが、慰霊するもしないのも個人に自由とした。
信仰や崇拝を強要せず、尊厳を持って敬意を払う事を求めた。
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12月9日 朝日新聞は、バチカンからの特電を報道した。「天皇、皇后両陛下はキリスト教に多大の関心を示され、日本に於けるカトリックの慈善事業に対しても皇室からの援助が行われた。……日本のカトリック教信者の多くは、天皇がカトリックの洗礼を受ける事を祈っている」
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12月21日 第8軍司令官ウォルトン・ウォーカー中将は、憲兵司令官ビクター・フェルプス大佐と巣鴨拘置所指揮官モリス・ハンドワーク大佐に対して、書状命令12ー442号を出し、A級戦犯達の死刑を23日に日付が変わった直後に執行する様に命じた。
12月23日(皇太子の誕生日) 東条英機らA級戦犯7名は、対日理事会からのアメリカ、イギリス、ソ連、中国の各国代表が立ち会いでリンチ的絞首刑にされた。
第8軍クォーターマスター指揮官ブルース・ケンドール中佐は、処刑されたA級戦犯7名の遺体を横浜の久保山火葬場で焼き、遺骨を白い骨壺に入れて証拠が残らない様に何処かに捨てた。
A級戦犯達の遺族は、遺骨の返還を求めた。
ケンドール中佐は、遺骨処理は最高機密とされた為に、個人と特定でできないように火葬炉の中に残っていた遺骨を掻き集めて混ぜ合わせ、等分に分けて遺族に与えた。
首相や軍司令官など位人臣を極め、一国の指導者とし国家権力を行使して国民の生命と国家の命運を担った者に対する敬意も配慮も、一切なかった。
日本人とアメリカ人では、宗教観や死生観の違いから死者に対する考え方も異なる。
GHQとアメリカ政府は、昭和天皇を戦犯として裁いて厳罰しない為に、開戦の全責任を東条英機に負わせて問答無用で処刑した以上、A級戦犯達の人間性を認める人道的行為を取る事を禁止した。
GHQの民間情報教育局(CIE)は、A級戦犯ら軍国主義者が領土拡大の侵略戦争を始めた極悪非道な悪人であったという、洗脳教育を始めた。
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三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の孫娘澤田美喜は、 神奈川県中郡大磯町にある財産税として物納されていた岩崎家大磯別邸を募金を集めて400万円で買い戻し、混血孤児院施設「エリザベス・サンダースホーム」を設立した。
日本占領の為に進駐していたアメリカ軍兵士による、日本人女性への強姦、GHQ命令による官営慰安婦との売春、日本人女性との自由恋愛などで、多くの混血児が生まれていた。
祝福されずに生まれた混血孤児らは、両親や周囲から見捨てられ、どぶ川や裏通りに捨てられて死亡していた。
GHQの支配下にある日本政府には、餓死寸前の戦争孤児を救済するに忙しく、両親の分からない混血孤児まで手が回らなかった。
GHQは、出生地主義からGIベビーと言われた混血孤児はアメリカ人ではないとして見捨てた。
白人キリスト教徒は、絶対神は自分似せて白人を創造したという信仰から、人種差別が強く、非白人を獣と嫌悪して差別し、混血児も一人前の人間とは認めていなかった。
血統主義の右翼・右派は、皇国史観から混血児は日本人の面汚しとして、助けて保育せず死ぬに任せて放置した。
澤田美喜は、汽車に乗っていた時、突然、網棚から紙に包まれた混血嬰児の死体が膝の上に落ちてき驚き、大きなショックを受けた。昔、ロンドン滞在中に孤児院「ドクター・バナードス・ホーム」施設を見学していただけに、不幸を背負って生まれてきた混血孤児の救済活動を誓った。
GHQによる財閥解体で三菱財閥からの資金援助が受けられず、やむなく私財を当座の活動資金として、混血児の惨状を訴えて広く寄附を募った。
GHQは、自由の解放者というアメリカ軍の名誉を汚す行為であるとして妨害した。
進駐軍を「御上」として媚びへつらう心卑しき日本人は、財閥の娘の道楽と白眼視し、売春婦が生んだ混血児を汚らわしいと気嫌いし、混血孤児救済活動に非難と中傷を浴びせた。
自分の事しか考えない日本人は、慈善活動やボランティア活動といった社会貢献には理解がなく非協力的である、というのが国際常識となっている。
政府の公的機関も、GHQや純血主義の右翼・右派に気兼ねして表だっての財政支援を手控えた。
イギリス人女性、エリザベス・サンダースは、キリスト教の博愛精神から、澤田美喜の混血孤児救済活動に感動して最初に寄付した。
話を聞きつけた多くの人々が、「已むに已まれぬ気持ち」から敗戦後の苦しい生活を切り詰めて混血孤児院設立の為に寄附金をよせた。
引っ込み思案の日本人は、自意識が弱く「個」を持たないだけに、率先して先頭に立って活動しないというのが世界の日本人観である。
純血主義を掲げる右翼・右派の日本人は、混血孤児院の運営が始まるや、以前よりもまして罵声を浴びせ、心ない中傷や非難をがなり立て、社会に混血孤児への偏見や差別を植え付け、子供達に混血児への嫌がらせやイジメをする様に煽った。
傲慢な独善的右翼・右派は、「惻隠の情」という人の善意を踏みにじっていた。
澤田美喜は、純血主義の右翼や右派による罵声や中傷にもめげず、キリスト教の隣人愛精神で孤軍奮闘した。
孤児院出身の混血児が成長して小学校や中学校に通学するや、学校内でのイジメや嫌がらせが多発し、PTAも偏見と差別から日本人学童と同じ教室で学ばせる事に猛反対した。
日本人として育てようとしたが反発が強かった為に、一般学校での就学を断念してホーム内に独自の小学校と中学校を創立させた。
文部省は、日本人児童と混血児児童との問題が深刻化する事を懸念して、1953年に公立小学校であると公認した。
澤田美喜は、一民間人として、30年間で2,000人以上の混血児を右翼・右派に煽られた周囲の偏見や嫌がらせから庇って育てた。
人種差別主義の右翼・右派は、混血児は単一民族の純血を穢す汚らわしい存在であると子供達を洗脳した。
現代日本には、各種の差別を助長する単一信仰が根強く存在し、混血児への偏見や嫌がらせが尽きない。
日本民族とは、単一の純血ではなく、混血であり、雑種である。
日本民族は、特別に優秀なわけではない。
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- 作者:大岡 優一郎
- 発売日: 2012/12/17
- メディア: 単行本