⏳7)ー1ー日本の少子化対策は「カネと労力の無駄遣いでほとんど効果がない」。~No.18No.19No.20 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 文化マルクス主義の敗戦利得者が、敗戦国日本を少子超高齢社会として人口激減に追い詰めた。
 超エリート層と言われる高学歴の政治的エリートと進歩的インテリ達、エセ保守とリベラル左派が、外国人移民(主に中国人移民)で人口回復を目指している。
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 2023年7月13日 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「日本の少子化対策」は「ほとんど効果がない」…過去数十年で世界中のデータで明らかになった「衝撃の事実」《必要な税金は毎年3.5兆円》
 「少子化対策」は本当に効果があるのか―? あるとしたらなぜ? ないとしたら、効果のある対策とは? 
 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ
 カネを配る、保育所を増やす、共働き夫婦を支援する―。政府は、そうすれば少子化を克服できると喧伝してきた。だが蓄積されたデータが示すのは、もはや万策尽きたという「不都合な真実」だ。少子化問題に関する「真実」を取材した。
「バラマキ型」の対少子化政策
 授業参観の日、教室に入りきれない親が廊下から覗きこんでわが子を見守る。子供たちは壁際までぎっしりと並んだ机に座り、元気いっぱい「ハイ!」と手を挙げる―。
 いま70代なかばにさしかかった「団塊の世代」が幼いころには、こんな風景を全国の小学校で見ることができた。第一次ベビーブームが最高潮に達した'49年の出生数は、およそ270万人。急ピッチで同じ地域に「第二」「第三」と学校を造り、さらに建て増しして教室を増やさなければ追いつかないほどだった。
 いま、日本の新生児の数は当時の3分の1を下回るまで激減している。
 6月2日に厚生労働省が発表した最新の統計では、'22年に生まれた赤ちゃんは約77万人。もちろん、戦後最少だ。コロナ禍の影響もあるとはいえ、あまりにも少ない。
 〈2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスです〉
 「次元の異なる少子化対策」を目玉政策に掲げる岸田文雄総理は、6月13日の会見でこう語り、児童手当の所得制限をなくす、大学授業料の減免対象を拡大するなど「バラマキ型」の政策を次々に実行すると意気込んだ。
 子育て支援が「出生率上昇」に貢献するかは「不明」
 それには年間3兆5000億円もの巨費を要する。しかし、たとえば児童手当は、これまでも「年収1238万円」を下回る世帯は支給の対象になっていた。しかも、そもそも年収1200万円以上の割合は、国民全体の5%にも満たない。「高所得者に児童手当を支給すれば子供が増える」などとは、当の岸田総理さえ思っていないだろう。
 「日本人の『少子化問題』に対する考え方は、根本的にズレています。子育て支援出生率上昇に大きく貢献するかどうかは不明なのに、この20年間、まったく議論の前提が変わっていない」
 岸田政権の「少子化対策」をこう評するのは、東京大学教授で社会学者の赤川学氏である。
 たしかに少子化は難問であり、一朝一夕には解決しないだろう。だが、「子育て支援に期待はできない」とは、いったいどういうことか。いささか不穏当ではないか―。そう思うかもしれない。
 過去数十年の世界中のデータで「効果なし」…⁉
 しかしいま、過去数十年にわたるデータと統計の蓄積が、これまでの定説をことごとく否定し、「少子化対策は、ほとんど効果がない」という結論を指し示しつつある。そして、さらにその先には「少子化はなぜ起きるのか」という長年の大きな謎の答えが、徐々に姿を現し始めているのだ。
 岸田政権に限らず、日本政府が掲げてきた少子化対策の代表格が「親に経済的余裕ができれば、子供は増える」との考え方にもとづく政策だ。前述したような児童手当を支給する、あるいは出産・子育て費用の一部を公的に肩代わりするといったものがある。
 だが、児童手当の制度が'72年に始まってから半世紀にわたり、日本の出生率はほぼ一貫して下がっており、その効果は皆無だったと言っていい。さらに、日本より手厚い児童手当を用意する諸外国でも、かつては「効果アリ」説が主流だったが、この10年は効き目に翳りが見えている。
 「日本が『少子化対策のお手本』と位置付けるスウェーデンでは、'90年代末に児童手当を含む家族関係社会支出が拡充されてから出生率が上がり始め、'10年には1・98に達しました。しかしそれ以降は右肩下がりで、'20年になると、特に何の手当もないアメリカと同等の1・66まで下がっています」(同前)
 2つめの記事『「働く女性が増えれば子供が増える」というのは本当なのか…多くの人が誤解している少子化対策の「定説」』へ続く。
 「週刊現代」2023年7月1・8日合併号より
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 7月13日 YAHOO!JAPANニュース 週刊現代講談社「日本の少子化対策は「カネと労力の無駄遣い」だった…データが示す「不都合な真実」と「策は尽きた」といえる根拠
 月曜・水曜発売プロフィール
 「少子化対策」は本当に効果があるのか―? あるとしたらなぜ? ないとしたら、効果のある対策とは? 
 カネを配る、保育所を増やす、共働き夫婦を支援する―。政府は、そうすれば少子化を克服できると喧伝してきた。だが蓄積されたデータが示すのは、もはや万策尽きたという「不都合な真実」だ。少子化問題に関する「真実」を取材した。
 2つめの記事『「働く女性が増えれば子供が増える」というのは本当なのか…多くの人が誤解している少子化対策の「定説」』より続く。
 移民にも期待はできない
 出生率を上げるためのいわば奥の手として、「移民に来てもらえばいいのだ」という議論も近年では盛んになっている。あるいは「婚外子をもっと増やすべきだ」という主張も、婚外子が多いフランスの出生率が高いことを論拠としてなされることがしばしばある。
 「確かに欧州では、移民の出生率はもともとの自国民の出生率を大きく上回っています。しかし、移民が多いフランスやイギリスでもその割合は人口の15%未満で、国全体の出生率を移民が引き上げているか否かは疑問符がつきます。
 加えて、移民第1世代は子供が多くても、2世・3世になると出生率が移民先の水準に近づく可能性もあります。
 『婚外子が増えれば出生率が上がる』という主張については、フランスでは子供が生まれた後に入籍するカップルが多いだけで、因果関係があるかは不明です。しかも、そのフランスでも近年では出生率が下がっています」(赤川氏)
 移民を増やす、結婚制度を変えるといった政策は、いわば国民の常識を書き換えなければ実現しないものだ。国論が割れることは間違いないうえ、さんざん苦労して実行しても、少子化に歯止めをかけるには至らない可能性が高い。
 日本は子供を減らせと言ってたのに
 日本において、少子化が社会問題として認識されたのは、'92年の国民生活白書が最初だとされる。それから30年あまりが過ぎ、さまざまな対策が講じられてもきたが、何度も記したとおり、出生率が上向くことはなかった。
 それは歴史的な観点から見ると、必然だったのかもしれない。ベストセラーとなった『未来の年表』で、急激な人口減少に見舞われる日本の未来像を示したジャーナリストの河合雅司氏が言う。
 「現在では考えられませんが、かつて政府は子供を減らす政策を推進しました。いまの日本は戦後二度にわたる『産児制限』のツケを払っているのです。ひとつは、戦後まもなくGHQ連合国軍総司令部)が国会議員に近づき、人工妊娠中絶を法制化させたことです」
 日本との戦争に勝利した米国は「日本の人口が激増して食糧難に陥れば、再び他国を侵略しようとするかもしれない」という疑念を抱いていた。また、ベビーブームで闇堕胎が問題にもなっていた。こうした情勢を背景に制定されたのが、人工妊娠中絶を認める「優生保護法」だった。
 「'52年に占領下の日本が独立できたのは、同年に人工中絶を実質自由化したことと無関係ではないとの指摘もあります。事実、'50年代に入ると出生数は急降下し、'49年の約270万人から'55年には約175万人まで減りました」(同)
 団塊の世代を狙った日本の「2度目の産児制限
 さらに「団塊の世代」が大人になり、結婚・出産する年齢にさしかかると、再び「産児制限」が国民的なイシューとなった。
 「世論を決定づけたのが、'74年7月に政府後援で開かれた『日本人口会議』で、当時の学者や有識者が『人口爆発を抑えるために、子供を2人までにするべきだ』という宣言を発したことでした。
 当時は資源の枯渇などに警鐘を鳴らすローマクラブの報告書『成長の限界』が世界中で話題となり、中東戦争によるオイル・ショックも重なって『このまま世界人口が増えれば、食料危機に見舞われる』という考え方が主流でした。新聞は『資源と食料の枯渇、人口過密で人類は破滅を迎える危険性が大きい』と恐怖を煽り、有識者もこぞって『子供を減らせ』と主張したのです」(同)
 結果、'73年に約209万人まで増えていた出生数は、'80年におよそ150万人に急減。「団塊の世代」と「団塊ジュニア」だけが突出して多い「ひょうたん形」の異様な人口ピラミッドが、このとき生まれたのである。
 「これらの過ちがなければ、日本も欧州各国のような、緩やかな少子化で済んでいたかもしれません。しかし、団塊ジュニア後の女性人口が減り続けている以上、今後数十年のあいだ母親が増えないことは確定しています。日本は2回にわたって無理やり出生数を抑制したために、取り返しのつかない結果を招いてしまったのです」(同)
 万策尽きたか
 近年、「子供は贅沢品になった」という声が若者のあいだで上がり始めた。最新の国民生活基礎調査によれば、「児童のいる世帯」に限った平均所得は814万円と、'12年時の673万円と比べて大幅に上昇している。「金持ちしか子供を持てない」時代に、日本社会はすでに突入したのだ。関東学院大学教授で、経済学者の島澤諭氏が言う。
 「本気で子供を増やしたいなら、高齢者向けの社会保障を減らし、若者の手取り収入を増やすことくらいしか残された方法はありません。
 しかし、こうした政策は政治的にかなりハードルが高いうえ、たとえ実行しても、人口増加のために必要な『出生率2.07超え』を達成できる可能性は低い。先進国の中でこの数値を超えている国は、イスラエルだけです。結局、少子化を食い止める策は尽きたと結論づけるほかないでしょう」
 20世紀、人々は「人口爆発」の未来に怯えた。しかし、実際に始まっていたのはその正反対の「人口爆縮」のプロセスだったのではないか―。そう考えているのが、札幌市立大学名誉教授で人口学者の原俊彦氏だ。
 日本以外でも減り始めた
 「国連が昨年発表した統計によれば、すでにアフリカとオセアニアなどを除く世界の3分の2以上の地域で、出生率が2.1を下回っています。社会が高度になり、人々の平均寿命が延びれば、子供をたくさん産み育てることのメリットが薄れて、必然的に少子化が進んでゆく。このメカニズムは世界共通であり、少子化は決して日本特有の現象ではないのです。
 これまでにも人類は、飢饉、ペストなどの疫病、大戦争といったさまざまな原因で人口減少を経験してきましたが、それらはいずれも局地的で、理由がはっきりしており、減った人口はやがて回復していきました。
 しかし、いま我々が直面しているのは、世界各地で急速に人口が減り、それに歯止めをかける方法も見当たらないという、人類史上初めての事態なのです。
 これからは少子化と人口減を食い止めることよりも、それを受け入れ、どう対処してゆくかを考えることのほうが重要になってゆくでしょう」
 もはや少子化は、小手先の政策でどうにかできるものではない。それを踏まえてゼロから考え直さなければ、今後も日本は、効果の薄い少子化対策でカネと労力の無駄遣いを続けることになる。
 「週刊現代」2023年7月1・8日合併号より
 さらに関連記事『なぜ日本の少子化対策は「大失敗」だったのか?』では、少子化問題の“もうひとつのリアル”について言及しています。
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 7月13日 YAHOO!JAPANニュース 週刊現代講談社「「日本の少子化対策」は「ほとんど効果がない」…過去数十年で世界中のデータで明らかになった「衝撃の事実」《必要な税金は毎年3.5兆円》
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 「少子化対策」は本当に効果があるのか―? あるとしたらなぜ? ないとしたら、効果のある対策とは? 
 カネを配る、保育所を増やす、共働き夫婦を支援する―。政府は、そうすれば少子化を克服できると喧伝してきた。だが蓄積されたデータが示すのは、もはや万策尽きたという「不都合な真実」だ。少子化問題に関する「真実」を取材した。
 「バラマキ型」の対少子化政策
 授業参観の日、教室に入りきれない親が廊下から覗きこんでわが子を見守る。子供たちは壁際までぎっしりと並んだ机に座り、元気いっぱい「ハイ!」と手を挙げる―。
 いま70代なかばにさしかかった「団塊の世代」が幼いころには、こんな風景を全国の小学校で見ることができた。第一次ベビーブームが最高潮に達した'49年の出生数は、およそ270万人。急ピッチで同じ地域に「第二」「第三」と学校を造り、さらに建て増しして教室を増やさなければ追いつかないほどだった。
 いま、日本の新生児の数は当時の3分の1を下回るまで激減している。
 6月2日に厚生労働省が発表した最新の統計では、'22年に生まれた赤ちゃんは約77万人。もちろん、戦後最少だ。コロナ禍の影響もあるとはいえ、あまりにも少ない。
 〈2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスです〉
 「次元の異なる少子化対策」を目玉政策に掲げる岸田文雄総理は、6月13日の会見でこう語り、児童手当の所得制限をなくす、大学授業料の減免対象を拡大するなど「バラマキ型」の政策を次々に実行すると意気込んだ。
 子育て支援が「出生率上昇」に貢献するかは「不明」
 それには年間3兆5000億円もの巨費を要する。しかし、たとえば児童手当は、これまでも「年収1238万円」を下回る世帯は支給の対象になっていた。しかも、そもそも年収1200万円以上の割合は、国民全体の5%にも満たない。「高所得者に児童手当を支給すれば子供が増える」などとは、当の岸田総理さえ思っていないだろう。
 「日本人の『少子化問題』に対する考え方は、根本的にズレています。子育て支援出生率上昇に大きく貢献するかどうかは不明なのに、この20年間、まったく議論の前提が変わっていない」
 岸田政権の「少子化対策」をこう評するのは、東京大学教授で社会学者の赤川学氏である。
 たしかに少子化は難問であり、一朝一夕には解決しないだろう。だが、「子育て支援に期待はできない」とは、いったいどういうことか。いささか不穏当ではないか―。そう思うかもしれない。
 過去数十年の世界中のデータで「効果なし」…⁉
 しかしいま、過去数十年にわたるデータと統計の蓄積が、これまでの定説をことごとく否定し、「少子化対策は、ほとんど効果がない」という結論を指し示しつつある。そして、さらにその先には「少子化はなぜ起きるのか」という長年の大きな謎の答えが、徐々に姿を現し始めているのだ。
 岸田政権に限らず、日本政府が掲げてきた少子化対策の代表格が「親に経済的余裕ができれば、子供は増える」との考え方にもとづく政策だ。前述したような児童手当を支給する、あるいは出産・子育て費用の一部を公的に肩代わりするといったものがある。
 だが、児童手当の制度が'72年に始まってから半世紀にわたり、日本の出生率はほぼ一貫して下がっており、その効果は皆無だったと言っていい。さらに、日本より手厚い児童手当を用意する諸外国でも、かつては「効果アリ」説が主流だったが、この10年は効き目に翳りが見えている。
 「日本が『少子化対策のお手本』と位置付けるスウェーデンでは、'90年代末に児童手当を含む家族関係社会支出が拡充されてから出生率が上がり始め、'10年には1・98に達しました。しかしそれ以降は右肩下がりで、'20年になると、特に何の手当もないアメリカと同等の1・66まで下がっています」(同前)
 2つめの記事『「働く女性が増えれば子供が増える」というのは本当なのか…多くの人が誤解している少子化対策の「定説」』へ続く。
 「週刊現代」2023年7月1・8日合併号より
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 7月15日6:48 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「日本の少子化対策は「カネと労力の無駄遣い」だった…データが示す「不都合な真実」と「策は尽きた」といえる根拠
 「少子化対策」は本当に効果があるのか―? あるとしたらなぜ? ないとしたら、効果のある対策とは? 
 【マンガ】外国人ドライバーが岡山県の道路で「日本やばい」と驚愕したワケ
 カネを配る、保育所を増やす、共働き夫婦を支援する―。政府は、そうすれば少子化を克服できると喧伝してきた。だが蓄積されたデータが示すのは、もはや万策尽きたという「不都合な真実」だ。少子化問題に関する「真実」を取材した。
 2つめの記事『「働く女性が増えれば子供が増える」というのは本当なのか…多くの人が誤解している少子化対策の「定説」』より続く。
 移民にも期待はできない
 出生率を上げるためのいわば奥の手として、「移民に来てもらえばいいのだ」という議論も近年では盛んになっている。あるいは「婚外子をもっと増やすべきだ」という主張も、婚外子が多いフランスの出生率が高いことを論拠としてなされることがしばしばある。
 「確かに欧州では、移民の出生率はもともとの自国民の出生率を大きく上回っています。しかし、移民が多いフランスやイギリスでもその割合は人口の15%未満で、国全体の出生率を移民が引き上げているか否かは疑問符がつきます。
 加えて、移民第1世代は子供が多くても、2世・3世になると出生率が移民先の水準に近づく可能性もあります。
 『婚外子が増えれば出生率が上がる』という主張については、フランスでは子供が生まれた後に入籍するカップルが多いだけで、因果関係があるかは不明です。しかも、そのフランスでも近年では出生率が下がっています」(赤川氏)
 移民を増やす、結婚制度を変えるといった政策は、いわば国民の常識を書き換えなければ実現しないものだ。国論が割れることは間違いないうえ、さんざん苦労して実行しても、少子化に歯止めをかけるには至らない可能性が高い。
 日本は子供を減らせと言ってたのに
 日本において、少子化が社会問題として認識されたのは、'92年の国民生活白書が最初だとされる。それから30年あまりが過ぎ、さまざまな対策が講じられてもきたが、何度も記したとおり、出生率が上向くことはなかった。
 それは歴史的な観点から見ると、必然だったのかもしれない。ベストセラーとなった『未来の年表』で、急激な人口減少に見舞われる日本の未来像を示したジャーナリストの河合雅司氏が言う。
 「現在では考えられませんが、かつて政府は子供を減らす政策を推進しました。いまの日本は戦後二度にわたる『産児制限』のツケを払っているのです。ひとつは、戦後まもなくGHQ(連合国軍総司令部)が国会議員に近づき、人工妊娠中絶を法制化させたことです」
 日本との戦争に勝利した米国は「日本の人口が激増して食糧難に陥れば、再び他国を侵略しようとするかもしれない」という疑念を抱いていた。また、ベビーブームで闇堕胎が問題にもなっていた。こうした情勢を背景に制定されたのが、人工妊娠中絶を認める「優生保護法」だった。
 「'52年に占領下の日本が独立できたのは、同年に人工中絶を実質自由化したことと無関係ではないとの指摘もあります。事実、'50年代に入ると出生数は急降下し、'49年の約270万人から'55年には約175万人まで減りました」(同)
 団塊の世代を狙った日本の「2度目の産児制限
 さらに「団塊の世代」が大人になり、結婚・出産する年齢にさしかかると、再び「産児制限」が国民的なイシューとなった。
 「世論を決定づけたのが、'74年7月に政府後援で開かれた『日本人口会議』で、当時の学者や有識者が『人口爆発を抑えるために、子供を2人までにするべきだ』という宣言を発したことでした。
 当時は資源の枯渇などに警鐘を鳴らすローマクラブの報告書『成長の限界』が世界中で話題となり、中東戦争によるオイル・ショックも重なって『このまま世界人口が増えれば、食料危機に見舞われる』という考え方が主流でした。新聞は『資源と食料の枯渇、人口過密で人類は破滅を迎える危険性が大きい』と恐怖を煽り、有識者もこぞって『子供を減らせ』と主張したのです」(同)
 結果、'73年に約209万人まで増えていた出生数は、'80年におよそ150万人に急減。「団塊の世代」と「団塊ジュニア」だけが突出して多い「ひょうたん形」の異様な人口ピラミッドが、このとき生まれたのである。
 「これらの過ちがなければ、日本も欧州各国のような、緩やかな少子化で済んでいたかもしれません。しかし、団塊ジュニア後の女性人口が減り続けている以上、今後数十年のあいだ母親が増えないことは確定しています。日本は2回にわたって無理やり出生数を抑制したために、取り返しのつかない結果を招いてしまったのです」(同)
 万策尽きたか
 近年、「子供は贅沢品になった」という声が若者のあいだで上がり始めた。最新の国民生活基礎調査によれば、「児童のいる世帯」に限った平均所得は814万円と、'12年時の673万円と比べて大幅に上昇している。「金持ちしか子供を持てない」時代に、日本社会はすでに突入したのだ。関東学院大学教授で、経済学者の島澤諭氏が言う。
 「本気で子供を増やしたいなら、高齢者向けの社会保障を減らし、若者の手取り収入を増やすことくらいしか残された方法はありません。
 しかし、こうした政策は政治的にかなりハードルが高いうえ、たとえ実行しても、人口増加のために必要な『出生率2.07超え』を達成できる可能性は低い。先進国の中でこの数値を超えている国は、イスラエルだけです。結局、少子化を食い止める策は尽きたと結論づけるほかないでしょう」
 20世紀、人々は「人口爆発」の未来に怯えた。しかし、実際に始まっていたのはその正反対の「人口爆縮」のプロセスだったのではないか―。そう考えているのが、札幌市立大学名誉教授で人口学者の原俊彦氏だ。
 日本以外でも減り始めた
 「国連が昨年発表した統計によれば、すでにアフリカとオセアニアなどを除く世界の3分の2以上の地域で、出生率が2.1を下回っています。社会が高度になり、人々の平均寿命が延びれば、子供をたくさん産み育てることのメリットが薄れて、必然的に少子化が進んでゆく。このメカニズムは世界共通であり、少子化は決して日本特有の現象ではないのです。
 これまでにも人類は、飢饉、ペストなどの疫病、大戦争といったさまざまな原因で人口減少を経験してきましたが、それらはいずれも局地的で、理由がはっきりしており、減った人口はやがて回復していきました。
 しかし、いま我々が直面しているのは、世界各地で急速に人口が減り、それに歯止めをかける方法も見当たらないという、人類史上初めての事態なのです。
 これからは少子化と人口減を食い止めることよりも、それを受け入れ、どう対処してゆくかを考えることのほうが重要になってゆくでしょう」
 もはや少子化は、小手先の政策でどうにかできるものではない。それを踏まえてゼロから考え直さなければ、今後も日本は、効果の薄い少子化対策でカネと労力の無駄遣いを続けることになる。
 「週刊現代」2023年7月1・8日合併号より
 さらに関連記事『なぜ日本の少子化対策は「大失敗」だったのか? 』では、少子化問題の“もうひとつのリアル”について言及しています。
 週刊現代講談社
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 2020年9月29日 YAHOO!JAPANニュース 「なぜ日本の少子化対策は「大失敗」だったのか?
 安倍政権の総括、そこから見えたこと
 赤川 学東京大学大学院教授 プロフィール
 7年8ヵ月という、憲政史上最長の通算・連続在任日数を記録した安倍晋三内閣が退陣した。世間の話題は、安倍内閣の路線を引き継ぐと公言し、成立した菅義偉内閣の働きぶりに移っている。
 「史上最悪」だの、「アベノミクスで景気回復を達成した」だの、安倍内閣は毀誉褒貶の激しい政権ではあった。
 しかし1億人を超える巨大国家における国民の生命と財産を守る仕事に専心された姿には、一国民としては、敬意と感謝と慰労の念しかない。
 すでに安倍内閣に対する種々の論評は一段落した感もあるが、本稿では、改めて少子化対策という観点から、この政権の「レガシー」を評価してみたい。
 少子化対策は効果がなかった
 少子化が日本で社会問題化してから、今年でちょうど30年目となる。
 1990年6月9日、旧厚生省が、前年の合計特殊出生率(=女性が一生に産む子ども数の推計平均値)が当時過去最低を下回る1.57であったことを公表したこの日から、少子化は日本における最大の社会問題とみなされるようになった。おなじみの「1.57ショック」である。
 今にして思えば、合計特殊出生率が1.57というのは、かなり高い数字にさえ思える。第二次安倍内閣が成立した2012年の合計特殊出生率は1.41(第2次安倍内閣は同年12月の成立なので、この数字はほとんど民主党政権時代の数字とみてよい)。
 その後、出生率は0.1未満の範囲で微妙に上下動を繰り返しながら、2019年のそれは1.36。ほとんど誤差の範囲でしか動いていない(図1)。もちろん30年前の水準には、1度として到達していない。
 図1(データ:OECD Data、厚生労働省人口動態統計 年齢別女性労働力率は労働政策研究・研修機構
 無論これは、歴代の政権が「無策」だったからではなく、与野党問わず、ここ30年間、少子化を問題視し、なんとか出生率を高めようと努力してきた。
 エンゼルプラン(保育サービスの充実)、次世代育成、男女共同参画子ども手当ワークライフバランス働き方改革、地方創生、女性活躍など、目まぐるしくスローガンを変えながら、「官民一体」の取り組みがなされてきた、はずである。
 にもかかわらず、少子化対策は奏功しない。だとしたら、何かが間違っていたのではないか。そのような疑念が生じて当然だろう。実際、家族社会学者の山田昌弘氏は、『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』(光文社新書、2020)という著作を、今年5月に刊行している。
 ほそぼそとした歩みながら、筆者も20年ほどこの問題に関わってきた。「女性が働きやすい国や社会ほど出生率が高い」だの、「仕事と子育ての両立困難を解消すれば少子化は防げる」だのといった言説の欺瞞を、国民に真の情報を発信する実証主義の観点から疑義を呈してきた。
 それでも、筆者のように、「少子化問題は、現行のやり方では解決しないし、解決する必要もない」、「子どもが減って何が悪いか!」、「少子化対策を止めて、ステルス支援に徹しよう」という立場は、政治的、政策的には黙殺されるほかない。
 それは構わないのだが、ここ20年、「〇〇を行えば、少子化に歯止めがかかる」というタイプの言辞を弄してきた専門家、学者、評論家、政治家の方々には、真摯に反省していただく必要はあるだろう。
 そのための素材を提示したい。
 女性労働力率やM字型カーブが解消しても…
 前ページで言及した図1は、2012年(民主党政権最後の年)から2019年までの合計特殊出生率と、女性労働力率の推移を示したものである。
 図1(データ:OECD Data、厚生労働省人口動態統計 年齢別女性労働力率は労働政策研究・研修機構
 赤い棒線で明らかなように、出生率はここ7年間でまったく増えていない。四捨五入すれば1.4でピタリと止まっている。
 他方、男女共同参画ワークライフバランスの文脈でしばしば喧伝された「女性労働力率が高くなれば、出生率も高くなる」という関係はまったくみられない。
 左目盛りにあるように、15-64歳の女性労働力率は60.7%から70.9%と10%以上単調増加し、欧米「先進国」並みの水準に達しているが、出生率とは相関していない(*2)。
 また日本の女性学者やジェンダー研究者がしばしば自明視してきた「M字型カーブ(結婚・出産・子育て期に女性が離職する傾向)が少子化の原因」という説も、どうやら間違っていたようだ。
 女性労働力率を25〜29歳、30〜34歳、35〜39歳の年齢別にわけると(M字の「谷」があるとされた年齢層)、30代になると女性労働力率は数%下がって、多少の「谷」はあるものの、ここ7年間でいずれの年齢層でも、高くなっている。
 つまりM字カーブの「谷」の部分はほぼ解消されたわけだが、出生率は上がらなかった。
 特定の人々にとっては残念な結果かもしれないが、女性労働力率が高まれば、M字カーブが解消されれば、出生率が高くなるという説は、ほぼ反証されたのではないか。
 (*2)少子化対策のお手本とされる「先進国」フランスの、2019年における15〜64歳女性の労働力率は68.2%。日本は72.6%。その他の年齢別でも、日本の女性労働力率はフランスを凌駕している(ちなみにフランスの2019年の出生率は1.85)。なのに、なぜ、日本の出生率は上がらないのだろうか。
 この厳然たる事実を前になお、「女性の働き方には非正規が多いからだ」だの、「女性がただ働くだけでなく、働きやすい環境が必要だ」といった議論をする人をみかけたら、疑って、生温かくみるようお勧めしたい。
 なぜならこのような議論は、自らの仮説が間違っていた可能性を認めることなく、事後的に新たな条件を追加しているにすぎないからである。
 「後出しジャンケン」はやめましょう、という話である。
 そもそも間違った前提のもとで進められた少子化対策であるから、効果が出ないとしても、当然といえば当然だ。
 とはいえ、安倍政権の少子化問題における「レガシー」は、2016年5月、「ニッポン一億総活躍プラン」の一貫として、2025年度までに希望出生率1.8という目標を、戦後初めて公言したことである。残り5年でこの目標が達成できる見込みは、かなり低いであろう。
 このことが明らかになった暁には、ワークライフバランス働き方改革や女性活躍で「希望出生率1.8は実現可能」と煽った専門家や政治家の皆様には、なんらかのけじめをつけてもらいたいところである。
 経済成長こそ命
 とはいえ本稿の目的は、少子化対策が奏功しなかった責任を、誰かに押し付けることではない。
 そもそも少子化の弊害とされてきた経済成長の低下と、現行年金制度の不安定化は、子どもを増やすことに頼らなくても、解決できるからである。
端的にいって、名目GDPが一定水準で持続的に成長しさえすれば、現行の年金制度は維持できる(ただし「日本人が減る」という問題だけは解消されないが)。
 実は、アベノミクスのほんとうの意義は、積極的な金融緩和による円安、株高、デフレ脱却によって、人口減少下にあっても、経済が持続的に成長できることを「実証」してみせることにあった。 
 現在では、ほぼ誤解は解けたと思われるが、このような政策は「新自由主義」でも「極右」でもなく、世界標準では「中道左派」に属する政策である。
 実際、名目GDPは2012年の494.4兆円から、2019年の552.5兆円へと58.1兆円、すなわち約12%増加している。有効求人倍率も、2012年には1を割り込んでいたが、2019年には1.6。つまり、働こうと思えば、誰もが働ける時代がやってきた。
 個人的な感想で恐縮だが、大学教員として、大学生や大学院生を見守る立場を続けていると、リーマンショックや東北大震災直後と比べて、第2次安倍内閣のあいだは、笑顔で卒業する学生が増えたことに気づかざるをえない。
 もちろん経済成長についていえば、ここ7年間の名目GDPの平均成長率は1.6%(図2)。けっして褒められた数字ではなく、先進国では最低水準である。
 2013年からの3年間は着実に2%超えの成長をしていたことを鑑みると、やはり2014年・2019年の消費増税は、ボディブローのように経済成長を阻害してしまったように思われる。
 図2(データ:内閣府、有効求人倍率労働政策研究・研修機構
 消費増税で景気が冷え込んだまま、さらに2020年5月にはコロナ禍に伴う非常事態宣言が行われ、2020年度の名目GDPはかなり減少することが見込まれている。
 仮に年率換算で10%以上の減少となると、アベノミクス以降に増えたGDPの増分はほとんど無に帰してしまいかねない。
 このような非常時には、増税なしに積極的な財政出動を行ない、国民の安全と生命を維持することこそ、政府の役割というべきだろう。子育て支援についても、それが出生率を増やすかいなかとは無関係に、支出を大幅に増やすべきであろう。
失業率は下がり、自殺率も下がった
 とはいえ社会学を生業とする身としては、アベノミクスの真の「レガシー」について、改めて評価しておきたい。
 本誌で竹中正治氏が論じている通り(「失業率の改善と自殺者の激減が示す、日本経済「明確なひとつの答え」」2018年7月31日)、完全失業率と男性の自殺率の間には、きわめて高い正の相関関係が存在する。
 社会学徒にとっても自殺率は、エミール・デュルケムの『自殺論』(1897)以降、決して無視できない、社会の状態を表す指標である。
 図3の右目盛りからわかるとおり、第2次安倍内閣時代に、完全失業率は、2012年の4.3%から2019年の2.4%へと激減した。
 これに伴い、自殺率も男女ともに下がっている。特に男性の自殺率が大きく下がっている(10万人あたり31人から22.9人へ、約27%の減少)。
 自殺者数も最大時の2003年には3.4万人を超えていたが、2019年には2万人前後となっている。
 このようにアベノミクスは、毎年何千人という国民の命を救ってきた。この結果だけを取ってみても、第2次安倍内閣の「レガシー」は高く評価されるべきであろう。
 図3(データ:厚生労働省完全失業率労働政策研究・研修機構
 「フェイス」を維持できる社会を
 ただ残念なことに、このレガシーはあくまで2019年までのものであり、2020年3月以降のコロナ禍に伴う経済減速は、やがて失業率を高めて、自殺率を増加させる懸念が大きい。
 ここで、今年の日本社会学の大きな業績を紹介したい。
自殺は、単に経済や医学の問題ではなく、フェイス(面目、体面、面子)の喪失、すなわちフェイス・ロスが大きく関わっているという、故・大村英昭氏と阪本俊生氏の議論である(『新自殺論 自己イメージから自殺を読み解く社会学青弓社、2020)。
 この理論によると、失業、貧困、病気、過労などの自殺リスクは、直接的に自殺数や自殺率に影響を与えるというより、これらの要因に伴うフェイスの喪失(=面目を失うこと)、他者からの承認が得られないことによるアイデンティティ崩壊、社会関係からの排除や孤立を媒介として、自殺数や自殺率に影響を与えるという。
 この議論自体は、いっけん常識的にみえる。しかし阪本氏によれば、国際比較で見たときに失業率と出生率が相関しないという現象も、この理論によって説明できるという。
 たとえば日本は欧米諸国に比べて失業率が低いが、自殺率は高い。なぜか。阪本氏は、次のように説明する。
 「例えば、就職しやすい社会とそうでない社会を想定しよう。前者では、もともと失業率が低く、求めればすぐに仕事に就ける。後者では、もともと就職が難しい。これら2つの社会を想定すると、失業者へのスティグマの付与(筆者注: フェイス・ロスの一側面)は、日常的に就職が難しく、失業者が多い社会(後者)よりも、もともと失業者が少ない社会(前者)のほうがより強くなる可能性がある。」(同書228頁)
 つまり日本のように失業率が低い社会では、そうでない社会にくらべて、失業は恥ずかしく、本人の努力・能力の不足、怠惰が原因と思われやすい。ゆえにフェイス・ロスの可能性が高まり、失業率が高い時期の自殺率の高さにつながっていくというのである。
 この理論に基づくなら、自殺対策として有効なのは、単に失業率を下げたり、有効求人倍率を高めることではない(もちろん、それも必要だが)。倒産しても、失業しても、貧困になっても、フェイスを維持できる社会を目指すことこそ、重要なのである。
 専門的にはE.ゴフマンのフェイス論や準拠集団論の影響を受けているが、これぞ、社会学の面目躍如というべき指摘である。
 コロナ禍に伴う経済減速と失業増加は、生業を営む方々の「自己責任」ではない。
 ウィズコロナ時代における経済減速、事業不振、倒産、失業、貧困は、誰からも責められるいわれのないことである。もちろん、堂々と政府の「公助」に頼ってよい。
 新たな政権は、失業保険や生活保護にともなう、ケチくさい選別を廃して、上記のようなメッセージを大きく発信するべきではなかろうか。
 もちろんそれは、国民の生命と安全を守るという、政府第1の責務にかなうことでもある。
 安倍内閣のレガシーを受け継ぐと宣言した菅義偉内閣には、まずこの点を期待したい。
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