💄8)─1─紫式部は「源氏物語」で女性の不利を訴えた。~No.17 

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 2023年3月6日 MicrosoftStartニュース 東京新聞紫式部の鋭い目、女性への差別を告発 フェミニスト視点で「源氏物語」読み解くエッセーをネットで連載 小説家・奥山景布子さん
 来年のNHK大河ドラマは、紫式部が主人公の「光る君へ」。彼女の作品や生きた時代に、あらためて注目が集まる機会になりそうだ。小説家の奥山景布子さん(56)=名古屋市=は、ネットサイトで論考エッセー「フェミニスト紫式部の生活と意見」の連載を始めた。「源氏物語」を読み解くと、女性への差別的な扱いを告発する紫式部の鋭いまなざしが、浮かびあがってくるという。 (林啓太)
 紫式部の鋭い目、女性への差別を告発 フェミニスト視点で「源氏物語」読み解くエッセーをネットで連載 小説家・奥山景布子さん
 © 東京新聞 提供
 連載は、集英社のサイト「学芸の森」で昨年十一月から始めた。現在、第六回までが公開されている。
 奥山さんが着目するのは、たとえば源氏物語の有名な場面のひとつ「雨夜の品定め」。主人公・光源氏が同僚らとともに「理想の女」「ひどい女」の話で盛り上がるくだりだ。連載では、これを「女性への差別を共有しながら、男性同士で絆を深めるさまを描き出した」という角度から解説する(第二回)。「男の本音なんてこんなもの、と、幾重にも底を構えた鋭い作家の筆」と奥山さん。
 第四回のテーマは「玉のこし」を願うことのむなしさだ。光源氏の妻・紫の上や、愛人の末摘花(すえつむはな)は、身分が高い美男の玉のこしに乗った。でも、紫の上は源氏が他の女性と関係することに葛藤する。末摘花は、空気が読めないことをばかにされても気付かない。
 紫式部を描いた錦絵=「本朝名異女図鑑」から(国立国会図書館提供)
 © 東京新聞 提供
 奥山さんはこれらの状況を、女性が男性に依存したい願望「シンデレラコンプレックス」をキーワードに読む。玉のこしは「男の気持ち次第で境遇ががらりと変わる、不安定な乗り物」。降りられず不安におびえるか。能天気に乗り続けるか。「選択肢が二つしかない不自由を紫式部は伝えたかった」と指摘する。
 奥山さんは、名古屋大大学院で日本文学を専攻。男女の不平等などの観点から古典の研究をしようとした。だが、問題意識は周囲に理解されず「志は十分に果たせなかった」と振り返る。博士論文に「ジェンダー(社会的・文化的性差)」という言葉を盛り込むと、審査に当たった男性の研究者が「何がジェンダーだ」と吐き捨てるように言ったという。今回の連載では「大学院生の時に論文に出せなかったことを書きたい」と、意欲を燃やしている。
◆平安中期 男性優位社会の萌芽期 埼玉学園大・服藤早苗名誉教授(日本古代史)
 「紫式部は女性の不利を訴えた」と指摘する服藤早苗・埼玉学園大名誉教授
 © 東京新聞 提供
 なぜ紫式部が活動した平安中期に、貴族層の女性が不平等に苦しんでいたのか。この時代の女性史に詳しい埼玉学園大の服藤早苗名誉教授(日本古代史)は「男性は正妻の他に多くの女性との性愛が許される一方、女性は複数の男性と関係すべきでないとされつつあったから」と分析する。
 貴族の女性は、九世紀末ごろまでは官僚などとして、男性と並んで政治に力を及ぼした。こうした関係を背景に、男女ともに複数のパートナーを持つ「多夫多妻」が許されていた。
 ところが男性中心の律令(りつりょう)制の理念が浸透するとともに、女性は政治から排除されていった。男性に「所有」され、跡継ぎを産む役割が求められるようになった。服藤さんは、紫式部が生きた十世紀後半から十一世紀初めにかけては「男性優位の秩序が生まれつつある時代だった」と指摘する。
 服藤さんは「紫式部源氏物語で、男女の性愛関係は、どんな場合にも女性に不利だと主張した」とみる。多くの女性を苦しめた光源氏が、最後に妻に迎えた女三宮(おんなさんのみや)に浮気されたことを挙げて、「源氏が食らった手ひどいパンチに、女性の読者は拍手を送ったのでは」と想像を巡らせた。
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