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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
昔の企業・作業場では、必ず日本神道の社(やしろ)か神棚があった。
昔の日本人にとって「働く」とは、現代日本人のような強欲・貪欲な金儲けではなく、神事の一部であり、それ故に神様の前で半人前である事を恥じていた。
日本人の恥とは、神を信じ、神と自分に対する事である、その意味では「恥とは宗教心」であった。
マルクス主義的無宗教無神論を自称する現代日本人には、民族の宗教的精神的な恥はない。
日本人の神観には数多く複数あり、その代表が最高神である女神・天照大神(伊勢神宮)と自分の祖先を氏神として祀る人神(氏神神社)である。
天皇が神の裔として現人神であると同時に全ての日本民族が神の子孫であった、故に人を殺すとは神を殺す事と同じで大罪であり「罰当たり」な事であった。
ゆえに、昔の日本人は現代の日本人と違い、助け合い庇い合い慰め合い励まし合いながら、世のため人のため、天皇の為国の為世間の為に働いていた。
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昔の経営者は天皇、国、社員、国民、民族に対して志や気概を持っていただけに一流であったが、現代の経営者は全てを持っていないだけに二流どころか三流である。
政治家と官僚も三流で、メディアはそれ以下の集まりである。
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日本の経営者と言っても、戦後復興、高度経済成長から世界第二位経済大国日本までの一流経営者とバブル経済、バブル崩壊、失われた30年までの三流経営者は全然違う。
一流経営者は、信仰心が厚く、天皇主義者、民族主義者、愛国主義者、国士であり、母国を外敵・侵略者から守りたいという国防意識が高かく、そして民族神話の血筋を正統根拠とする男系父系の現皇室を護っていた正統派保守であった。
最後の一流経営者が東海旅客鉄道(JR東海)取締役名誉会長葛西敬之で、安倍晋三を再度総理にした真のフィクサーであった。
反宗教無神論者・反成長主義者・脱成長主義者、反天皇反民族反日的なエセ保守やリベラル左派が、如何にグローバル派として超難関校の高学歴を持ち世界に通用する博識と豊かな知識を持った知の巨人であったとしても、何もない焼け野原から継続的再生リノベーションと破壊的新生イノベーションによって何でもある日本を生み出した一流経営者達を語る資格はない。
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2024年7月24日 MicrosoftStartニュース プレジデントオンライン「なぜ松下幸之助と稲盛和夫は熱心に神社に通ったのか…一流の経営者に共通する「お祈りの中身」
八木 龍平
松下幸之助氏(パナソニックグループ創業者)と稲盛和夫氏(京セラ・KDDI創業者)(写真左=時事画報社『フォト(1961年8月15日号)』/PD-Japan-organization/Wikimedia Commons、右=Science History Institute/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons)
© PRESIDENT Online
パナソニック創業者の松下幸之助は、神仏に熱心に祈っていたことが知られている。『成功するビジネスパーソンは、なぜ忙しくても神社に行くのか?』(PHP研究所)の著者である八木龍平さんは「願いごとよりも、自身の『あり方』『あるべき姿』を神様に誓い続けるのが、一流のビジネスパーソンに共通の『祈り』だ」という――。
※本稿は、八木龍平『成功するビジネスパーソンは、なぜ忙しくても神社に行くのか?』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
パナソニックには「神社管理担当」の正社員がいる
大手総合電機メーカー「パナソニックホールディングス」には、会社の中に神社があります。週刊誌『AERA』の記事(2018年1月15日号)に、頭を丸めた僧侶姿の田中観士さんの取材記事が掲載されていました。
名刺には、「パナソニック本社グループ人事・総務センター 祭祀担当」(当時)の肩書が。本社をはじめ、関西エリアの事業所に設置されている計24カ所の「社内社」の祭祀一切を仏式で任されているということです。
パナソニックといえば、創業者の松下幸之助氏は石清水八幡宮(京都府八幡市)、野田恵美須神社(大阪市福島区)の総代をお務めになられました。総代は信者の代表。野田恵美須神社がある地域はパナソニック創業の地で、松下氏自身、最後まで本籍を置き続けたゆかりの地です。
総代を務めただけだと、「信仰心の篤い方」という印象ですが、祭祀担当の社員が代々いるとまでなると、なぜそこまでと不思議に思われるでしょう。先の田中さんは5代目で、本社別館の「司祭室」に勤務し、毎朝出社とともに香をたき、袈裟に着替えるそうです。
なぜ松下幸之助氏は会社内に神社を建てたのか
同社はかなり戦略的に神様(龍神)を活用しており、守護神は本社の白龍大明神を中心に、黒・青・赤・黄と5色の龍神と下天龍王、善女龍王が祭られています。
本社:白龍大明神
旧松下電工グループ:黒龍大明神
旧松下電池工業:青龍大明神
自転車事業部:赤龍大明神
旧松下電子工業・旧松下産業機器:黄龍大明神
音響映像関係の事業場:下天龍王
西宮の松下幸之助邸宅(光雲荘):善女龍王
開発研究所:天照大神
新たな事業所の開設とともに龍神の社が守護神として建立され、一時期は130カ所以上にもなりました。現在は全国の事業所に約100カ所の社があり、全ての社で幹部・管理職が同席して毎月の月例祭がおこなわれています。
松下幸之助氏が会社内に神社を多く建てた狙いは、結局のところひとつと推測しています。それは、「運を強くする」ということです。
採用面接の最後に「君は運が強いですか?」と質問した
松下氏は、採用面接の最後に「君は運が強いですか?」という質問をしたそうです。そして「運が悪いです」と答えた人はどんなに学歴や試験結果がよくても不採用にしたと伝わっています。
運を意図的によくする方法があるなら、みなさんも知りたいだろうと思います。
松下氏の運をよくする原点は松下家ゆかりの守護神である白龍大明神でしょう。創業した際、和歌山市内の生家で祭られていたのを「御霊分け」し、以来、本社に祭られています。
企業経営と宗教、両者は全く関係なさそうですが、実は多くの日本企業が様々な宗教的行為を取り入れています。
以前、東京品川の高野山東京別院を訪れた時、コカ・コーラ関連の企業が社員研修をやっていました。高野山に伝わる阿字観という瞑想法をお伝えしているとのこと。その際、僧侶の方からトヨタの社員研修をされている旨も伺いました。
瞑想法は能力開発の一環と捉えられているようです。
神社の建立や祭祀も、企業経営で活用するからには、成果をあげてナンボでしょう。実際、成果につながることをこれからお示しします。
社寺のある地域では、「住民の地域愛」が増す
社寺参拝が主に効果を発揮するのは、次の2点です。
・より誠実に、より一生懸命に取り組む
・他者の利益のために動ける協力的な人間性を育む
私の書籍をお読みの方なら、よくご存じのことですが、社寺のある地域では、住民の地域愛が増します。ある対象を愛すると、愛した対象のために貢献したい意欲が増します。より誠実に一生懸命がんばるわけですから、結果も向上します。
※このアイデアの元データは、2008年の土木学会で鈴木春菜氏ら東京工業大学の研究室メンバー(当時)が発表した論文。515名を対象に地域愛着について調査し、多変量解析でデータ分析した結果、社寺のある地域は、住民の地域愛が増す一方、他の要素(ゲームセンター・パチンコ店、川や池、田畑、森林、ファミレス、鉄道駅、商店街、公民館、大型ショッピングセンター、コンビニ、スーパー、古いまちなみ)は影響しないことを確認したものです。公園は、社寺に次いで地域愛着を増す傾向があります。
「神社のある会社」が成果をあげる理由
私がよくご紹介しているパフォーマンス向上のプロセスは、
【知る→愛する→貢献意欲が増す→パフォーマンスが向上する】
パナソニックの龍神社をこのプロセスに当てはめると、神社のある会社は、社員の会社愛が増します。会社愛が増すと、愛した対象のために貢献したい意欲も増して、より誠実に全力で仕事に取り組み、成果も向上します。
愛する要因は、相手のいい部分を知ること。会社のいい所を知り、会社愛や職場愛が増せば、「この人たちのためになりたい」と、より誠実に、全力で仕事をして結果が出るのは自然の流れでしょう。
このように神仏に祈ることで身に付く「愛を持って生きる力」は、成功するための大切な力と共通点が多いです。その大切な力は、ペンシルベニア大学心理学部のアンジェラ・リー・ダックワース教授が提唱するGRIT(グリット)です。日本語で「やり抜く力」と定義されており、次の4つの要素から成り立ちます。
神仏はあなたの「GRIT」(やり抜く力)を向上させる
・Guts(ガッツ):困難なことにも立ち向かう度胸
・Resilience(レジリエンス):苦境にもめげずに立ち直る復元力
・Initiative(イニシアチブ):自ら目標を見つけて取り組む自発性
・Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる執念
神仏に祈ることで身に付く「愛を持って生きる力」は、GRITの4要素を大いに向上させることでしょう。
ダックワース教授は、IQなど生まれつきの才能や環境よりも、努力や継続の重要性こそが成功に重要だと説いています。その主張がどこまで妥当かは本書では扱いませんが、この「やり抜く力」も成功に重要な要素であることは間違いないでしょう。
同時に、やり抜けるモチベーションの問題は大きいと思います。大変な労力がともなうのですから、人はなかなか「やり抜きたい」とは思い続けられないものです。
だからこそ、社寺の存在が促す「愛を持って生きる力」の役割も大きいと言えます。愛する人たちのために人は努力し、困難な状態においても、最後まで「やり抜ける」モチベーションを持続できるのではないでしょうか。
稲盛和夫は「おい、神様に祈ったか?」と声をかけた
「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助氏(パナソニックグループ創業者)と稲盛和夫氏(京セラ・KDDI創業者)。経営史に名を残すビジネスパーソン達はいったい何を祈ったのでしょうか?
「おい、神様に祈ったか?」
稲盛和夫氏の著書『働き方』(三笠書房)に出てくる稲盛氏の声かけです。まだ創業10年も経たない京セラにIBMから大量受注があった時のことです。IBMの要求水準は当時の京セラの技術水準を大きく上回り、いくら試作品を納めても品質検査で「不良品」と判定され、返品され続けました。
そんなある晩、職場で呆然と立ち尽くし、万策尽きたといった風情で泣く技術者に対し、稲盛氏は思わず「おい、神様に祈ったか?」と声をかけたのです。
稲盛氏の真意は、「人事を尽くし、後はもう神に祈り、天命を待つしか方法はないと言えるほど、すべての力を出し切ったのか。自分の身体が空っぽになるくらい、製品に自分の『思い』を込め、誰にも負けない努力を重ねたのか」(同書より引用)ということでした。
「力の限り努力しますが、神様もお助けください」
その技術者は、稲盛氏の言葉で再び気持ちを奮い起こして開発に取り組み、IBMから「合格通知」を受ける製品を完成させました。
このエピソードから、稲盛氏にとって神仏への祈りは、前述のGRIT(グリット)、すなわち「やり抜く力」を付けるためと推測します。人事を尽くしきる力です。
のちに僧侶になるほど仏教に傾倒した稲盛氏ですが、神社参拝にもこだわりがあり、京セラ第2代社長である青山政次氏の著書『心の京セラ二十年』(非売品)よると、初詣は京都の車折神社、八坂神社、伏見稲荷大社に連続して参拝されたようです。
特に車折神社は、当時の稲盛氏の自宅近くにあり、創業して最初のお正月に「一番にお参りしたい」と、元旦午前0時前に稲盛夫妻と青山夫妻の4人が集まりました。そして時計が0時を指した瞬間、稲盛氏と青山氏は2人一緒に鈴を鳴らして拍手を打ち、京セラの発展を祈願したと伝えられています。
稲盛氏は何事も一番が好きで、初詣も一番にお参りして、「自分は力の限り努力しますが、神様もお助けください」と、神様の加護を願ったそうです。
「経営の神様」は神社で何を祈ったのか
神仏参拝でおそらく一定の人が「引っかかる」「疑問に思う」のは、次の点ではないでしょうか。
・祈ったら得するのか?
・祈らなかったら損するのか?
この点について、松下幸之助氏の著書『PHPのことば』(PHP研究所)には、「特別にお祈りをしたからといって、とくにその人だけに恵みが多く与えられるわけでもなく、またお祈りをしないからといって、恵みが与えられないというわけではないのであります。このように考えるのは、人間の得手勝手な独断で、天地の恵みは、小さな人間の知恵を超えて、すべての人に平等に、さんさんとして降りそそいでいるのであります」と記されています。
では、いったい何のために祈るのか?
松下氏が別邸の真々庵を訪れた時に必ずしたことは、根源社という社に向かって「今日1日、素直であれますように」とお祈りし、そして「今日1日、素直であったかどうか」を反省することでした。
稲盛和夫氏は「力の限り努力すること」を祈りました。
松下幸之助氏は「素直であること」を祈りました。
自身の「あり方」「あるべき姿」を神様に誓い続けるのが、経営の神様と言われたビジネスパーソンに共通の「祈り」です。
これを読んだあなたは、どうありたいですか?
ご自身のありたい姿を、神仏にお祈りしてみてください。
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7月26日 MicrosoftStartニュース 読売新聞「「高度成長は日本人がよく寝ていたおかげ」「若者は遅寝遅起きの方がいい」…筑波大・柳沢正史教授が語る睡眠の真実
しっかりした睡眠を心がける大リーグの大谷翔平選手の活躍が脚光を浴びるなど、睡眠の力があらためて注目されている。そもそも人はなぜ眠り、睡眠にはどんな効用があるのか。睡眠研究で世界の最先端をゆく筑波大学の柳沢正史教授(64)を訪ねた。(編集委員・鵜飼哲夫)
「四当五落」…実際は「七落八当」
柳沢さんが睡眠と覚醒を調節する神経伝達物質を発見し、世界を驚かせたのは、米テキサス大の研究者だった1999年。その前年に発見した「オレキシン」の欠乏が、強い眠気に急に襲われるナルコレプシーの原因になると突き止め、この仕組みを利用した不眠症治療薬は実用化されている。
――こうした研究成果などでブレイクスルー賞など数々の賞を受け、ノーベル賞に近い研究者とされていますが、近年はテレビやSNSでも快眠法をわかりやすく解説するなど、眠りの伝道師のような活躍もされています。
柳沢 色んなデータにあるように、日本人って世界一睡眠不足で、私に言わせると、日本が元気がない原因は眠れてないから。これをなんとかしたい。それに尽きます。
――OECD(経済協力開発機構)が2018年に発表したデータによると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分とされていますね。
写真の右は、柳沢さんの会社が開発した脳波を簡易に測定するためのデバイスで、額に1枚と左右の耳のうしろ1枚の電極を貼り付けて眠れば、AIを活用して眠りの状態が計測できる(イラスト・樋口たつ乃)
© 読売新聞
柳沢 これは調査対象国の平均より1時間以上短い。調査結果を見てもわかるように、生産性が高く、リッチな国の人々はよく眠っている。
――1年に換算すると15日分も寝る時間が少ないけれど、それだけ日本人は勤勉に働いているといえませんか。柳沢先生と同世代の私の受験時代は、四当五落(4時間睡眠で勉強に励むと合格、5時間寝ると落ちる)という言葉がありました。
柳沢 科学知識が教えることは全く逆で、むしろ四落五当、いや、よく眠ったほうが記憶は整理され定着するので、七落八当といってもいい。最高のパフォーマンスを発揮するには十分な睡眠が必要。だから寝ると落ちるんじゃない。寝ないと落ちる。
まして、試験前の一夜漬けはとんでもない。徹夜明けの脳は、酒酔いと同程度まで機能が低下する。24時間戦うなんてあり得ませんよ(笑)。睡眠不足になると肥満や認知症など様々な不具合も招きやすく、いいことはない。
「寝る間を惜しむ」要注意
――充分な睡眠を心がける大谷選手が、すぐれたパフォーマンスを発揮しているのは理にかなっているんですね。
柳沢 はい。スポーツもただ練習するだけでは技能向上は頭打ちになる。そこで一晩寝ると次のレベルにいける。
寝る間を惜しんで働く人は要注意ですよ。本人は頑張っているつもりでも、寝不足では効率が悪く、作業時間がかかり、ますます寝る時間が削られる。悪循環に陥ってしまいます。
――通勤通学電車でウトウトする日本人は多いです。
柳沢 そんな姿をヨーロッパの人が見たら、「体調が悪いんだったら家で休めよ」って言われるのが普通です。
そもそも電車での居眠りは首も支えられぬような姿勢ですので、まどろみと覚醒を行き来する程度のきわめて浅い睡眠しかとれません。それをするくらいなら車内の時間はメールチェックや読書にあて、そのぶん30分でも早く就寝して、夜の睡眠時間を延ばすほうが効率が良いです。
思春期になると若者は平均夜型になるのに、自分が若かったときのことを忘れた年配者が、朝早くからの活動を若者に強いるのも不合理。若者は遅寝遅起きの方が調子が良い。朝課外をやめ夕課外にしたほうが効果はあがりますよ。
睡眠不足で「失われた30年」
――日本人はなぜ、睡眠を重視してこなかったのでしょうか。
柳沢 頑張っていいモノを作ればもうかるという成功体験が親から子に伝わり、「寝るのを惜しんで頑張れ」「いつまで寝ているんだ」という価値観が生まれたように思う。でも、それは偽りの成功体験です、私に言わせると。
ここに面白いデータがあります。「NHK国民生活時間調査」によると、私の生まれた1960年の日本人は夜10時までに就寝する人が67%もいて、今より1時間多い、8時間13分寝ていた。
次第に遅寝になっていきますが、それでも高度成長期の日本人はよく寝ていた。寝る時間を削って頑張ったから経済成長したというのは誤った認識で、よく寝ていたからこそ高度成長があったと思っていいぐらいですよ。
――ほんとですね! 調査によると、バブル崩壊の90年代になると、10時までに寝る人が30%を割り、夜ふかしが増えますね。
柳沢 単なるモノづくりより、クリエイティビティーを発揮することが重視される時代になれば、睡眠はますます大切にしなければならないはずなのに、日本は逆でした。
――そして経済は低迷、国際競争力に陰りが出てきた。
柳沢 「失われた30年」は睡眠不足による思考停止が続いている。寝不足だと一歩下がって大きな視野で見るメタ認知の能力がなくなり、目の前にある課題しか見えなくなるからです。
しかも、睡眠が足りないと、利他的行為は抑制され、怒りのコントロールもきかず、人間関係までおかしくなる。
――パワハラ、カスハラの遠因にもなりそうですね。
柳沢 深刻なのはデジタルネイティブ世代ですら、タイムパフォーマンスを上げるため「ショートスリーパーになりたい」という声が多く、睡眠は無駄、サボっている時間と思い込んでいる。高いタイパへの第一歩は睡眠なのに……。日本人の睡眠不足の根は本当に深いです。
眠りと脳は共進化
――そもそもなぜ、人は睡眠をとるのですか。
柳沢 それは一番のビッグクエスチョンですが、いまだに解けない。寝ていると敵に襲われ、災害では逃げ遅れ、眠りはどうみてもリスキーだけど、眠らない動物はいない。
――人間の睡眠の特徴は?
柳沢 ほとんどの動物は、細切れの睡眠を繰り返す多相性睡眠です。これに対して人は夜に固めて深く眠って、昼間はずっと起きている単相性睡眠です。
私の考えでは、夜に深く続けて眠る能力をギフトされたことで、人は非常に高度な脳のメンテ(維持、整備)が可能になった。つまり、夜しっかり眠ることで脳が発達し、火を 焚(た) く、家を作るなど外敵から身を守る 術(すべ) を獲得した。それによって眠りが充実し、さらに頭がよくなる。こうして眠りと脳は共進化し、大人だと7、8時間も続けて眠るようになった。その時間を簡単に削っちゃいけない。
――ただ、人間の場合は明日に不安を覚え、終わったことをくよくよ悩み、なかなか寝つけないことがあります。
柳沢 そういう時は違うことをするといい。私の場合、つまらない論文を読む。そうするとすぐに眠くなる(笑)。
最近は、藤井聡太ファンの「 観(み) る将」なので、棋譜を解説するYouTubeを見る。あれはいい。ストレスを忘れるし、私には非常に高度なので、見ていると眠たくなる。
――ところで、オレキシンは発見当初、食欲制御の物質と考えていたそうですね。
柳沢 はい。でも、オレキシンをつくれないよう遺伝子を操作したマウスで実験しても、摂取量や体重に変化はない。そこでマウスが夜行性ということに注目し、暗視カメラで夜の行動を観察すると、急に睡眠発作を起こすことに気がついた。睡眠研究はこれがきっかけで、まさにセレンディピティー(予想外の偶然の発見をすること)でした。
食欲だと思って蓋を開けてみたら、僕にとってははるかに面白い睡眠だった。だから、私はよく、科学的な「真実は仮説より奇なり」と言っています。
この言葉は自戒の句でもあって、真実という大いなるものに比べたら、仮説はしょせん人間が小さな頭で考えたストーリーにすぎないという思いも込めています。
――奥が深いですね。
柳沢 睡眠についてはまだまだ解けない謎が多い。だから研究は本当に面白い。
やなぎさわ・まさし 1960年東京生まれ。筑波大大学院修了、医学博士。筑波大国際統合睡眠医科学研究機構機構長。文化功労者。
快眠をもたらす寝室の3条件は「暗くて静かで朝まで適温」として、「夏でも冬でも、夜の間エアコンをつけ、快適な温度と湿度を保つことで得られる良い睡眠は、電気代以上の価値をもたらします」と語る。監修本に『最強に面白い睡眠』(ニュートンプレス)。
睡眠から健康をつくることを目的に2017年、株式会社S’UIMINを起業。睡眠を「見える化」するため、睡眠中の脳波を自宅で精度よく計測できる有料サービスを提供している。
(読売新聞夕刊「鵜飼哲夫編集委員の ああ言えばこう聞く」から転載)
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宋文洲のメールマガジン バックナンバー 第348号(2018.03.23)
三流の政治がもたらす二流の経済
ここ最近の日本はまさにデータ改ざんのオンパレードです。東芝、神戸製鋼などの企業によるデータ改ざん事件に聞き飽きたところに、日本政府も改ざんの実態を露呈し、世界を驚かしました。
昔、「経済は一流、政治は二流」と日本の方はよく言いました。そう言いながらどこか「経済一流」に対して政治が少々遅れていても我々民間は気にせずやっていける覇気を感じました。私はそういう政治と関係なく独自の力で世界に打って出る日本人の気迫に尊敬の念も持ちました。
しかし、ここ20年間、日本企業の総合競争力が落ちる一方であることは皆さんもご存知の通りです。中国などの新興国との差は別として先進国の中で成長力が最も欠けているのは日本なのです。これは一人当たりの国民実質所得が如実に語っています。G7の中で97年からずっと実質所得が落ちていくのは日本だけなのです。
ここまで来たらもはや経済だけでは解釈できなくなってきました。政治体制に抜本的な問題があるのではないかと考えてしまうのです。
皆さんはすぐ自分たちは米国と同じシステムだと考えるのですが、これこそ落とし穴です。コンプライアンスや経営体制がピカピカだったはずの東芝はなぜあんな大規模なデータ改ざんができたでしょうか。経営理念も管理システムも立派でありながら長期間にわたって偽装や改ざんに手を出す会社がなぜこんなにも多いのでしょうか。
私が安倍政権を批判してきた理由もここにあります。アベノミクスや三本の矢をはじめ、「世界の真ん中で輝く」、「一億総活躍」などの幼稚に近いスローガンを次々に打ち出してきましたが、時間をかけてプロセスを観察すると実際に日本経済の構造問題にいっさい手をつけていないことが分かります。日銀にどんどん資金を出させ、株もどんどん買わせ、低失業率や株高を演出してきました。そのおかげでダメな企業も生き残り、新規産業が生まれず、経済の活力がどんどん衰退していきます。
政権の人気を維持するために自ら消費税を上げる貴重なタイミングを捨てました。その時に使った言い訳は「今はリーマンショックに相当する状況にある」です。前日まで自分のおかげで景気回復したと言いながら、増税時期を伸ばすためならば、翌日に「今はリーマンショック相当」と言うのです。
ここ最近暴露された財務省による公文書改ざん事件はまさに同じ延長線上のことです。不都合を隠すためならば、日銀だろうが財務省だろうが警察庁だろうがマスコミだろうが経済界だろうが、安倍政権は直にキーマンにアクセスしてきました。戦後の歴代政治家が遠慮してきたタブー、つまり米国型民主主義ではなかなか手を出してはいけないところに手を伸ばしてきました。当然この中に合法的な部分もあればグレーな部分もあります。そしてとうとう真っ黒な違法な部分についても証拠が掴まれました。
森友学園の土地の値段を見れば誰でも分かります。そんな値段で買えるならば、誰でも買いたいのです。籠池氏が希望する価格を丁寧に聞き出し、それに合わせるためにゴミのデータを偽造しました。現場から本省まで一体となって頑張るのです。石橋を叩いても渡らないまじめなサラリーマン官僚がなぜそんなタブーにチャレンジしなければならないのでしょうか。名誉園長の安倍夫人が何らかの方法で関わっていなければ、誰にそんなモチベーションがあるのでしょうか。
「財務省がやりました。私は関係ありません。」これは東芝の元社長が改ざんについて「経理部がやりました。経理部長を処分します。私は関係ありません。」と言っているのと同じです。皆さんはどう思いますか。一部の人は「まるで途上国です。」と言うのですが、途上国を侮辱してはいけませんよ。これはシステムの問題というよりも、もう人間性の問題でしょう。さすが火中の麻生財務大臣はG20を欠席しました。行ったとしても彼が読みあげる財務省官僚が作ったデータや文章は、信憑性が薄いと、誰もが思うでしょう。
安倍総理と麻生財務大臣のこの姿勢はまさに世界的に嘲笑されました。逆に総理と仲良くしてきたマスコミや大企業のトップも同様な姿勢ではないかと思ってしまうのです。困難な改革や長期目標から逃げて好きな部下とパートナーに囲まれて好きなことをする。しかし、不都合があればすべてそれを部下に押し込み、責任逃れします。これこそダメな企業の典型です。
私は安倍政権のこの体質を数年前から批判してきました。反日になったと言う人もいますが、いっさい気にしません。それは安倍政権を支える一部の偽右翼の口癖です。こんなデータや事実を平気で自分の欲望に合わせる人は過去の総理大臣にいないはずです。皆さんはたぶんお金に関わることが私欲だと思うのでしょうが、人間の一番の私欲は自己満足欲と自己顕示欲です。憲法改正(憲法改ざんというべきかもしれませんが)を含む彼の顕示欲のために、彼がやってきたのは改革ではなく改変や改ざんです。
日中関係で言えばこんな改ざんが好きな総理の下で尖閣諸島の問題や歴史問題の折り合いがつく訳がありません。あれだけの公文書を改ざんし、頑として非を求めない政権ですから、日中領土交渉の公文書を好きなように変えないわけがありません。敗戦後に旧官僚によって不都合な公文書が破棄された中、安倍政権が過去の歴史に対して素直に事実を調査し他国の公文書を確認する訳もありません。
安倍政権が日本に与えた最大の損害は経済改革の機会損失ではなく、日本国家の信用損失であることは、時間が立てばたつほど露呈してくるはずです。データと文書を改ざんし、責任を部下に押しつける。そんなことをやっていいんだという日本国家の印象を世界中にばら撒いています。まさに三流の政治がもたらす二流の経済です。
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