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2022年10月30日 YAHOO!JAPANニュース ロイター「アングル:「原神」逃した米MS、中国ゲーム発掘強化でソニーに対抗
10月25日、中国のビデオゲーム「原神」と提携して成功を収めたソニーに倣おうと、米マイクロソフト(MS)が中国製ゲームの発掘に力を入れている。上海のゲーム店で23日撮影(2022年 ロイター/Aly Song)
[香港 25日 ロイター] - 中国のビデオゲーム「原神」と提携して成功を収めたソニーに倣おうと、米マイクロソフト(MS)が中国製ゲームの発掘に力を入れている。中国のゲーム産業は単なるプレーヤー市場から大人気作品の開発拠点へと移行しており、MSの動きはこの流れを強固なものにしそうだ。
ソニーとMSは何年も前から小規模な開発企業に大金をつぎ込み、プログラムの育成とライセンス取得を目指してきた。しかし、原神の大成功ぶりは、MSの切迫感を強めるインパクトがあったと関係筋は話す。
アクション・ロールプレイングゲーム(RPG)の「原神」を開発したのは、上海の若いスタジオ「miHoYo(米哈遊網絡科技)」。リリースから2年で数十億ドルを稼ぎ出し、さまざまな機器や端末上で遊べる「マルチプレーヤー」、「クロスプラットフォーム」型ゲームの水準を引き上げることになった。
ソニーが「プレイステーション(PS)プラス」、MSが「ゲームパス」という月額制のサブスクリプション(サブスク)サービス向けに中国で探しているのは、こうした種類のゲームだと先の関係筋は述べている。
アナリストによると、西側諸国が中国製ゲームへの関心を強めていることは、同国のゲーム開発産業の成熟ぶりを反映している。調査会社のニコ・パートナーズのシニアアナリスト、ダニエル・アーマド氏は、中国のゲームは予算の多い西側のゲームと肩を並べるまでになったと言う。
「中国のゲーム開発企業は、自前の開発ツールを標準化し、先進的な制作プロセスを生み出し、非常に大規模なチームを結成するために投資しようとしている。このことは、究極的に地理的にもプラットフォーム面でも幅広いユーザーを獲得するための競争力につながる」とアーマド氏は説明した。
業界筋2人が明かしたところでは、MSは中国製ゲームを発掘するためのチームを結成している。これまで自社のサブスクで配信してきたのは主に大手ブランドのゲームだが、今では独立系スタジオにまで巨額を提示して提携を働きかけているという。
MSはまた、サブスクサービスをゲーム機「Xbox」だけでなくパソコンや携帯端末にまで拡大しつつある。これにより、「原神」に代表される「マルチプレーヤー」、「クロスプラットフォーム」型ゲーム開発で定評を得た米哈遊のような中国開発企業の魅力はさらに増す。
3年前にMSのサブスクサービス「ゲームパス」で自社ゲームを配信するライセンス契約を結んだあるスタジオの幹部は、同社から最近、シリーズ全体にその何倍もの金額を提示されたと明かした。「シリーズが完成すれば、さらに大きな額が提示されると思うのでまだ、契約は結ばない」という。
届出書類によると、MSはゲームパスで恐竜アクションゲーム「ARK:サバイバル・エボルブド」を配信するために250万ドル、「ARK2」シリーズに230万ドルを払っており、相場の高さがうかがえる。いずれも中国のスネイル・ゲームズ社が所有する米開発企業のスタジオ・ワイルドカードの作品だ。
また、上海のゲーム開発企業リクリエイト・ゲームズの幹部は、「パーティー・アニマルズ」という開発中のマルチプレーヤー型ゲームをXboxに独占提供することで、MSと昨年契約を結んだと話した。
MSは、ロイターのコメント要請に回答しなかった。
<原神逃し後悔するMS>
MSはスタート地点で、ソニーに遅れを取った。ソニーは2017年、中国企業によるプレステ用ゲーム開発を支援する「チャイナ・ヒーロー・プロジェクト」を始動。17作品を支援し、うち7作品が商業化された。
同プロジェクトの元責任者、Kuangyi Zhou氏は4月、ロイターに「この2年間は沈黙していたが、プログラムは今も快調に進んでいる」と述べた。「このプログラムから生まれて成功したゲーム全てを誇りに思っている。新たな作品群が生まれて来ることは、疑いようがない」とした。
ソニーが、当時無名だった米哈遊と提携したのは2019年。1年後にリリースされた同社の「原神」は世界中でヒットした。このゲームはパソコンと携帯端末の両方で遊べるが、ゲーム機版はプレステが独占している。
2人の関係筋によると、MSは原神を逃したことを後悔している。開発の初期段階で米哈遊と接触したが、契約には至らなかったと関係筋の1人は話した。
別の関係筋によると、MSが現在、中国開発企業の発掘に精を出しているのは、この経験がバネになっている。先の関係筋の1人は「原神を発掘したことで、ソニーは大金を稼いだ」という。
プレステ版の原神の売上高は公開されていないが、センサー・タワーのデータによると、携帯端末版の売上高は5月時点で30億ドルに達している。
<激変する中国市場>
中国のゲームプレーヤーは21世紀に入って長らく、海外から輸入されたゲームで遊んでいた。国内のゲームは質が落ちるとされ、中国のゲームを主導する騰訊控股(テンセント・ホールディングス)ですら、最初は外国作品を提供していた。
ゲーム産業が世界最大規模へと成長していくのに伴い、地元スタジオは投資を増やして質の高いゲームを開発。中国当局が新規オンラインゲームの認可を規制し、輸入作品の数も制限したことで、開発競争は加速した。
仏ユービーアイソフト・エンターテインメントや米アクティビジョン・ブリザードといった世界トップ級のスタジオで働いていたエンジニアが中国に戻ったことも、質の向上に貢献した。
原神のほかに、2021年には中国第2のゲーム企業「ネットイース(網易)」が開発したサバイバルアクション・ゲーム「NARAKA(ナラカ):ブレードポイント」も大成功を収めた。
中国のゲームは大半が無料で、ゲーム内課金によって儲ける仕組みだが、この作品は販売価格が20ドルと有料であるにもかかわらず、1000万本余りを売り上げた。作品の質が評価されたからだ。
関係筋2人によると、MSとソニーの両方がこのゲームに注目。このうち1人によると、ネットイースはMSとの交渉を優先し、6月にゲームパスで独占配信を始める運びとなった。
(Josh Ye記者)」
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