⛩12)─1・B─熊野信仰と熊野カルデラ。地球全体の気温は10℃以上低下で大量絶滅。~No.23 

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 日本の民族宗教である神話宗教・崇拝宗教・精霊宗教での八百万の神々は、甚大な被害をもたらした自然災害に由来する事例が多い。
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 熊野の深み
熊野カルデラ
 かつて熊野に巨大な火山があった
 熊野にはかつて巨大な火山がありました。
 その火山は1400万年前に多量の火砕流を噴出、空洞化した地下に地表が落ち込み、巨大なカルデラを形成し、カルデラ火山となりました。
 カルデラとは火山活動によってできた大きな凹地のこと。熊野の巨大カルデラの規模は長径約41km、短径約23kmと推定されます。日本最大のカルデラである屈斜路カルデラ(長径約26km、短径約20km)をはるかに越える巨大さ。
 熊野カルデラ火山の地下内部ではマグマが上昇し火成岩の岩体を形成。その後の風化・浸食によりカルデラの地形は留めていませんが、熊野カルデラ火山の火山活動の痕跡は今の熊野のそこかしこで見ることができます。
 神戸大学名誉教授、巽好幸氏らの研究によれば、この時の噴火によって噴出し、堆積した火山灰の厚さは、約2000m以上になったという(火山灰は風雨によって侵食され尽くしている)。この噴火のため、地球全体の気温は10℃以上低下し、大量絶滅が起きた。実際に、約1500万年前~1400万年前には、地球上で大量絶滅が起こった事が知られている。また、この噴火は、約7万4000年前に起こったトバカルデラ破局的噴火(噴出物の総量は2800㎦ DRE)や、イエローストーン国立公園で起こった約210万年前の破局的噴火(噴出物の総量は939㎦ DRE)と並ぶ、地球史上でも最大規模に近い破局的噴火でもある。
 (熊野カルデラ - Wikipedia
 世界に大量の死をもたらしたという世界最大級のカルデラ火山の火山活動がのちに熊野に聖地や景勝地を生み出したのです。
 熊野カルデラ火山の火山活動の痕跡
聖地
 花窟神社
 丹倉神社
 神内神社
 那智の滝
 神倉神社
 御船島
 河内島
景勝地
 楯ヶ崎
 一枚岩
 虫喰岩
 天柱岩
 那智の滝がかかる崖は熊野カルデラ火山が生み出した岩体。神倉神社のゴトビキ岩も、熊野速玉大社の例大祭「御船祭(みふねまつり)」で祭礼の場となる御船島も熊野カルデラ火山が生み出した岩体。
 和歌山県で唯一の「日本の地質百選」に選定された「古座川弧状岩脈」も熊野カルデラ火山が生み出した岩体(古座川の一枚岩や高池の虫喰岩、浦神の虫喰岩など)。
 熊野の霊場景勝地も熊野カルデラ火山が生み出したものなのです。
 温泉についても地下深くにある熊野カルデラ火山が生み出した岩体が熱源になっているとの説が唱えられていましたが、現在では紀伊半島の下に沈み込んでいるフィリピン海プレートが熱源になっているとの説が唱えられています。
 下の2枚の画像は、新宮市教育委員会と後誠介先生にご了承いただき、掲載させていただきました。ありがとうございます(※温泉の熱源が熊野カルデラ火山が生み出した岩体だと説が唱えられていたときの資料です)。
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熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地
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 Ameba
 『近畿の地質的景観』 第5回(最終回) 熊野カルデラ
 2021-02-27 16:00:00
 テーマ:近畿の地形
 『近畿の地質的景観』 
 第5回(最終回)
 <熊野カルデラ
 <熊野カルデラ誕生>
 熊野にはかつて巨大な火山がありました。
 この火山は、約1500万年前頃に活動の最盛期を迎えた瀬戸内火山帯(現在は活動していない 別名 二上火山帯)に属している。
 二上火山帯に出来たカルデラ 
 その火山は1400万年前に多量の火砕流を噴出、空洞化した地下に地表が落ち込み、巨大なカルデラを形成し、カルデラ火山となりました。”カルデラ”とは火山活動によってできた大きな凹地のこと。熊野の巨大カルデラの規模は長径約41km、短径約23kmと推定されます。日本最大のカルデラである屈斜路カルデラ(長径約26km、短径約20km)をはるかに越える巨大さ。
 この時の噴火の規模は、※VEI-8で、流紋岩質の火砕物、溶岩などが噴出した。噴出物の総量は、約2700㎦ 以上で、大規模な火砕流も発生した。噴火時の温度は750℃~850℃。
 (※VEI-8:区分は、噴出物の量でなされる。0から8に区分され、8が最大規模である。
 ちなみに、日本最大といわれる喜界カルデラ姶良カルデラ阿蘇カルデラはVEI-7である。)
 神戸大学名誉教授、巽好幸氏らの研究によれば、この時の噴火によって噴出し、堆積した火山灰の厚さは、約2000m以上になったという。
 この噴火のため、地球全体の気温は10℃以上低下し、大量絶滅が起きた。実際に、約1500万年前~1400万年前には、地球上で大量絶滅が起こった事が知られている。 また、この噴火は、約7万4000年前に起こった”トバカルデラ”(インドネシアスマトラ島にある世界最大のカルデラ湖)の破局的噴火(噴出物の総量は2800㎦ DRE)や、”イエローストーン国立公園”で起こった約210万年前の破局的噴火(噴出物の総量は939㎦ DRE)と並ぶ(VEI-8)、地球史上でも最大規模に近い破局的噴火でもある。
 (左:トバ湖 右:イエローストーン公園)
 熊野カルデラ火山の地下内部ではマグマが上昇し火成岩の岩体を形成。
 現在は、紀伊半島特有の豊富な降水のために、著しい侵食を受け続け、当時のカルデラ壁等のカルデラ地形は、侵食され尽くし僅かな跡を残す程度となっている。
 <熊野カルデラの痕跡>
 “那智の滝
 滝の背後の崖は熊野カルデラ火山が生み出した岩体。滝の背面をなす絶壁は、花崗斑岩と分類され、火山の地下にたくわえられたマグマが冷え固まった巨岩。急激に冷却された収縮で出来た割れ目が「柱状節理」です。
 “神倉神社のゴトビキ岩”、”熊野速玉大社の御船島
 熊野カルデラ火山が生み出した岩体。このような球形に風化した岩は”コアストーン”と呼ばれます。火山のマグマが冷えてできた花崗斑岩です。
 (左:ゴトビキ岩 右:御船島
 “古座川弧状岩脈”
 ”熊野カルデラ”形成に伴いマグマが地表へ噴出する際の通路として形成されたものです。
 和歌山県で唯一の「日本の地質百選」に選定されました。
 ”古座川の一枚岩”
 熊野カルデラ火山が生み出した岩体。高さ150m、幅500mのこの巨大な岩壁は、延長20km以上にわたる”古座川弧状岩脈”の一部です。火山のマグマが冷えてできた流紋岩質火砕岩です。火砕岩は、マグマが地上に噴き出す寸前に地下で固まったガラス質の火山岩の一種。均質かつ硬く
 固結しているため、風化・浸食せず残ったと考えられている。
 ”高池の虫喰岩”
 古座川弧状岩脈の一部で、流紋岩質火砕岩からなる岩体が風化し、タフォニ(岩盤や岩塊の表面に形成される風化穴)を形成したものです。風化の原因は、表面から塩類を含む水が蒸発する過程で、石膏などの微結晶の成長によって岩盤表面が剥がれ落ちてくるからだと言われています。
 “花窟(はなのいわや)神社”
 高さ18mの巨岩は、熊野カルデラのマグマが地上に噴き出し、火砕流となり固まったものです。流紋岩質火砕岩と呼ばれています。
 “橋杭岩
 1500万年前の火成活動により、泥岩層の間に流紋岩が貫入したものである。貫入後に差別侵食により、柔らかい泥岩部が速く侵食され、硬い石英斑岩が杭状に残されたものである。
 “楯ヶ崎の柱状節理”
 熊野の地下には、およそ1500万年前に活動した「熊野酸性岩類」と呼ばれる火成岩が広がっている。「酸性岩」とはSiO₂(二酸化ケイ素)が多く含まれる岩石のことで、溶岩として地表に噴出して固まると「流紋岩」になる。共に白っぽい岩で明るい景観を作る。
 楯ヶ崎の花崗岩は、地層の割れ目に入り込んだマグマが冷えてできた貫入岩だと言われている。
 断面の一辺が1~2mもある大きな角柱の柱状節理が見事である。
 <熊野の霊場と熊野カルデラ
 熊野の霊場も景勝も、熊野カルデラ火山が生み出したものなのです。
 熊野の霊場は、マグマに由来する岩体なくしては成立しません。
 那智の滝やゴトビキ岩など岩体そのものや、修行場の滝や洞窟、険しい修験道はどれも、熊野カルデラの痕跡なのです。
 <温泉と熊野カルデラ
 活火山の存在しない紀伊半島の南端部で、なぜ、これほどの高温の温泉があるのかということについては、地質学における謎のひとつとなっています。
 温泉(源泉の温度92℃)についても地下深くにある熊野カルデラ火山が生み出し地下2000m程には、直径60㎞、厚さ20㎞もの花崗岩が未だ冷え切っていなくて、それが熱源になっているとの説が唱えられていましたが、現在ではフィリピン海プレートが熱源になっているという説も提唱されています。、紀伊半島のプレートの海底下でフィリピン海プレートの岩石中に取り込まれた水が、南海トラフからスラブとして沈み込み地中深くへ運ばれ、そこで地中の圧力によって岩石中から脱水し、高温流体が弧状岩脈や周辺の割れ目を上昇し、湧出したとする考え方です。熱い海水が地上に上がってけるため、南紀の温泉は塩分が濃いのです。周辺に火山の無い白浜温泉や有馬温泉も同様なしくみで温泉が湧き出ていると考えられます。
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 excite.ニュース
 タモリ、熊野を訪問 世界最大級の「カルデラの根っこ」の存在を初めて知る視聴者続出
 Sirabee2019年4月28日 08:00
 タモリ、熊野を訪問 世界最大級の「カルデラの根っこ」の存在を初めて知る視聴者続出拡大する(全2枚)
 (©ぱくたそ/写真はイメージです)27日に放送された『ブラタモリ』(NHK)では、前回の放送に引き続き、タモリ一行が和歌山県の熊野を訪問。熊野観光に欠かせない橋杭岩の成り立ちに迫る一方で、熊野にかつて存在していたものに視聴者の注目が集まっている。
橋杭岩の成り立ちとは
 橋杭岩和歌山県串本町にある奇岩群。直線上に岩が立ち並ぶ姿が橋の杭のように見えるため、この名前で呼ばれている。およそ1400万年前、熊野の地下深くでは活発な火山活動が起きていたと考えられており、この時、泥や砂が固まった岩にマグマが入り込んで冷えて固まった。やがて地面が隆起し、海の波などの侵食を受けて現在の橋杭岩ができたという。
■熊野にカルデラが存在
 熊野の各地に姿を現している橋杭岩のような奇岩や巨石は、そのほとんどが1400万年前の火山活動によってもたらされた。この火山活動は、地面が陥没するほどの超巨大な「カルデラ噴火」によるもの。なお、カルデラとは火山活動によってできた大きな窪地のことだ。かつて熊野には、東西が23キロ、南北が40キロほどある大きな熊野カルデラがあった。この大きさは阿蘇の倍にもなり、世界最大級の大きさ。しかし、この熊野カルデラは風化してしまい、現在は残っていない。だが、カルデラの形はないが、根っこの部分は今でも残っているという。
■山が好きな人の割合は…
 しらべぇ編集部が、全国20代~40代の男女1,343名を対象に調査したところ、男性では6割、女性でも5割以上が「山が好き」と回答している。
タモリ、熊野を訪問 世界最大級の「カルデラの根っこ」の存在を初めて知る視聴者続出
日本各地には熊野カルデラ以外にも、世界最大級の阿蘇カルデラや、複数の小規模なカルデラが侵食により繋がった箱根カルデラなど、様々なカルデラが存在。番組で紹介されたことにより、これからさらに興味を持つ人が増えるかもしれない。
・合わせて読みたい→【木の根や岩をよじ登れ!】怖いけどご利益あり!?絶対行きたい秘境の神社・お寺5選
 (文/しらべぇ編集部・綿 つゆ子)
 【調査概要】
 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」
 調査期間:2017年7月14日~2017年7月17日 対象:全国20代~60代の男女1,343名(有効回答数)
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 ウィキペディア
 熊野カルデラは、約1400万年前に活動した、直径南北41㎞東西直径23㎞の大きさをもつ大型のカルデラである。紀伊半島南部熊野地方に、現在は僅かな痕跡として存在している。
 概要
 このカルデラは、約1500万年前頃に活動の最盛期を迎えた、瀬戸内火山帯(現在は活動していない 別名 二上火山帯)に属している。
 現在は紀伊半島特有の豊富な降水のために、著しい侵食を受け続け、当時のカルデラ壁等のカルデラ地形は侵食され尽くし、今では古座川弧状岩脈、ゴトビキ岩、天柱岩(いずれも流紋岩質の火山砕石岩)等の僅かな跡を残す程度となっている。
 この紀伊半島の地下2000m程には、直径60㎞、厚さ20㎞もの花崗岩があり、熊野地方では温泉(源泉の温度92℃)が多数見られる。これは地下の花崗岩が、未だ冷え切っておらず、放熱が継続されているからである。
 熊野カルデラは、約1400万年前の1回のみ噴火した。この時の噴火の規模は、VEI-8で、流紋岩質の火砕物、溶岩などが噴出した。火山噴出物の総量は約3000㎦ DRE以上で、大規模な火砕流も発生した。噴火時の温度は750℃~850℃。神戸大学名誉教授、巽好幸氏らの研究によれば、この時の噴火によって噴出し、堆積した火山灰の厚さは約2000m以上になったという。(火山灰は風雨によって侵食され尽くしている)この噴火のため地球全体の気温は10℃以上低下し、大量絶滅が起きた。実際に約1500万年前~1400万年前には、地球上で大量絶滅が起こった事が知られている。また、この噴火は約7万4000年前に起こったトバ火山の破局噴火(噴出物の総量は2800㎦ DRE)や、イエローストーン国立公園で起こった約210万年前の破局噴火(噴出物の総量は939㎦ DRE)と並ぶ、地球史上でも最大規模に近い破局噴火でもある。
 参考資料
 洋泉社発行 日本列島5億年史      *NHKスペシャル列島誕生ジオジャパン2 激動の日本列島誕生の物語(神戸大学名誉教授巽好幸氏の解説)             *小学館発行 日本大百科全書ニッポニカ
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火山で読み解く古事記の謎 (文春新書)
聖地の条件 神社のはじまりと日本列島10万年史
『火山で読み解く古事記の謎』トラベルガイド【文春e-Books】