💍9)─3─日本の皇室が手本とすべき欧州の男系女系双系継承制度。〜No.52No.53No.54 ⑨ 

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 欧州の男系女系双系継承制度は、王女が結婚した外国人との間に生まれた子供に継承権を与えていた。
 欧州では、外国人でも自国の国王に即位する事を認めていた。
 つまり、中国人や朝鮮人が日本天皇に即位し日本国を統治し日本人を支配する事を認める、と言う事である。
 女系母系継承賛成派とは、それを認める日本人である。
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 東洋経済
 なぜ「女系・女王」をイギリスは容認してきたか
 「男系・男子」に限る日本との歴史的な違い
 宇山 卓栄 : 著作家
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 2019/06/09 6:00
 日本皇室と女王・女系王容認のイギリス王室とはどのような違いがあるのでしょうか(写真:oversnap/iStock)
 日本とイギリスでは何が異なるのか?
 先月、令和の時代が幕開けました。新天皇の御即位とともに、皇位継承に関する報道なども増え、この問題に注目が集まっています。
 現在、わが国では、皇室典範の規定により、男系男子にしか皇位継承を認めていません。男系で、かつ男子の皇位継承者を永続的に多人数、確保することは容易ではないため、男系男子以外にも皇位継承権を広げるかどうかという問題提起や議論がなされています。
 なお女系天皇は、母のみが皇統に属する天皇を指します。天皇個人の性別についての「女性天皇」とは異なる概念です。つまり男系男子とは、父が皇統に属し、かつ天皇個人の性別が男性であるということです。
 先般もある通信社の世論調査によると、「女系・女性天皇に賛成7割」という結果が出ました。
 この問題を考えるうえで、イギリス王室の例がよく引き合いに出されます。「イギリスにはエリザベス女王がおられるのに、なぜ、日本では女性天皇が認められないのか」「チャールズ皇太子が即位すれば女系王になる、なぜ、日本では女系天皇が認められないのか」などの声があります。
 イギリス王室と日本皇室とでは、歴史背景、文化・伝統、制度・政治などすべてが異なり、単純比較することはできません。それでも、イギリス王室が歴史的に女王や女系王を認めたという事実や経緯を知ることは、日本皇室との違いを認識するうえで役立ちます。
 12世紀、イギリスで初めて女王が出ました。イングランド王ヘンリー1世は男子の継承者がなく、娘のマティルダを王位継承者としたのです。しかし、マティルダは従兄との王位継承戦争に巻き込まれたため、父王の死後、ほんのわずかな期間、在位したにすぎず、追い出されてしまいます。
 マティルダはフランス貴族のアンジュー伯と結婚しており、男子がいました。このマティルダの子が力をつけ、イギリスに攻め込み、イギリスの王位継承権を獲得、1154年、イギリス国王ヘンリー2世となります。ヘンリー2世は女系王として、プランタジネット朝を創始します。
 こうして、イギリスでは、女王(マティルダ)と女系王(ヘンリー2世)の前例がつくられました。この前例から派生したイギリスの王族子孫らは、女王や女系王を否定することができなくなります。それでも、王位継承の男子優先という原則が守られたため、その後、しばらく女王は出ませんでした。
 女系で広がった王位継承権の拡大
 14世紀、フランス王シャルル4世が継承者を残さず没すると、イギリス王エドワード3世は自らの母がフランス王家の出身であることを理由にフランス王位を要求します。フランスはこれを認めず対立、百年戦争がはじまります。
 エドワード3世はフランスにおいては女系になります。イギリスでは、女系にも王位継承権が認められていたので、エドワード3世はフランス王位継承権を自らの権利であると主張したのです。
 イギリスのように、女系王容認という立場であれば、母が外国からやってきた場合、その子には母の出身国の王位継承権があるということになります。母、祖母、祖々母とさかのぼって、母系の出身国のすべてに、王位継承権があるという理屈になります。
 そして、ここが非常に大事なところなのですが、逆に、他国に嫁いだイギリス王族女性の子にも、王位継承権があるということです。例えば、スペイン王に嫁いだイギリス王族出身の女性から生まれた子孫はすべて、女系子孫として、イギリス王位継承権があるということになります。つまり、その場合、スペイン王族がイギリス王位継承権を主張することができるわけです。このように、女系継承により、際限なく、王位継承者が広がるのです。
 実際、現在のイギリスの王位継承者は約5000人もいます。その中には他国の王も含まれます。
 主な継承者とその順位の例として、ノルウェー国王ハーラル5世は第68位、プロイセン王家家長ゲオルク・フリードリヒ・フェルディナントは第170位、スウェーデン国王カール16世グスタフは第192位、デンマーク女王マルグレーテ2世は第221位、ギリシャ王妃アンナ=マリアは第235位、ギリシャ国王コンスタンティノス2世は第422位、オランダ前女王ベアトリクスは第812位、オランダ国王ウィレム=アレクサンダーは第813位となっています。
 男系家系の派生範囲は限定的であるけれども、そこに女系が加わるとその範囲は膨大になります。このような継承者の範囲拡大を防ぐため、日本皇室では、皇族女性が嫁いだ際には、皇籍を離脱させます。女系継承を認めないという皇室の原理は天皇家の外に対しては際限のない継承者拡大を防ぐためであり、天皇家の内に対しては王朝の断絶を防ぐためであるのです(女系王即位による王朝断絶については、具体的にはヴィクトリア女王の子が即位したときに起りましたが、後段で改めて紹介します)。
16世紀前半に絶対君主として、ヘンリー8世テューダー朝)が君臨しました。ヘンリー8世の死後、嫡男のエドワード6世が王位を継ぎますが、病弱であったため、15歳で逝去します。ヘンリー8世の子は、エドワード6世以外は女子であったため、メアリー1世エリザベス1世の姉妹が王位を継ぎます。
 メアリー1世エリザベス1世の2人の女王には子がなかったため、女系王はこの時代、誕生しませんでした。2人の女王は国内外の政治的事情が複雑に絡み、結婚できませんでした。エリザベス1世は「私は国と結婚した」という有名な言葉を残しています。ただし、レスター伯をはじめ愛人とされる男は多くいました。それでも、子に恵まれず、テューダー朝は断絶します。
 次のステュアート朝でも、17世紀末から18世紀初頭、メアリー2世とアンの姉妹が王位を継ぎますが、後継者に恵まれず、断絶します。やはり、ここでも女系王は誕生しませんでした。
 女系継承容認という価値観が国民にも共有されてきた
 そして、19世紀に登場する女王がヴィクトリア(ハノーヴァー朝)です。ヴィクトリア女王大英帝国の最盛期を担い、1837~1901年の64年間にわたり、君臨しました。ヴィクトリア女王1840年ザクセン=コーブルク=ゴータ家のアルバート公と結婚します。ザクセン=コーブルク=ゴータ家はドイツのザクセン家という有名な貴族の家系から派生した分家です。
 コーブルク(ドイツ、バイエルン州北部の都市)とゴータ(テューリンゲン州の郡)を領有していたため、このような家名で呼ばれます。この家系が1831年以降、新たに独立したベルギー王位を世襲し、今日のベルギー王室に至っています。
 ヴィクトリア女王が逝去すると、アルバート公との間に生まれた長男のエドワード7世が即位します。エドワード7世は女系王です。女系王であるため、父の家名に変更され、イギリスはザクセンコーブルク=ゴータ朝(英語読みでサクス=コバータ=ゴータ朝)となります。つまり、ハノーヴァー朝の断絶です。
 しかし、イギリスでは、女系継承容認の立場から、ヴィクトリア女王の直系血筋が断絶したわけでないため、ハノーヴァー朝の継続を主張する人もいます。また、ハノーヴァー=サクス=コバータ=ゴータ朝という折衷名が使われることもあります。
 現在のイギリスはウィンザー朝です。エリザベス女王の後を、チャールズ皇太子が継ぐと、エリザベス女王の夫で、チャールズ皇太子の父であるエジンバラ公の家名を加えたマウントバッテン=ウィンザー朝と家名を変える予定です。
 マウントバッテン朝ではなく、マウントバッテン=ウィンザー朝という折衷名にするのはやはり、ヴィクトリア女王の時代と同じく、エリザベス女王の直系血筋が絶えるわけではないという考え方で、ウィンザー朝の継続というニュアンスを出すために、この王朝名を引き続き使おうとしていると考えられます。
 このように、女系継承容認というのがイギリス王室の歴史的文化・原理として長い間培われ、国民にもその価値観が共有されてきたのです。
 イギリス王室はその歴史背景において、日本皇室とまったく異なります。その差異がどのようなものであるかを再認識することによって、皇室の歴史文脈の独自性が色濃く浮かび上がります。皇位継承問題を考えるにあたり、こうした観点は有用な視座を与えてくれるものであると思います。
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 日本において子供の親の名前を聞いた時、教えてくれるのは父親の名前・姓名であって、母親の名前ではない。
 つまり、細川忠興と答えても、お玉(細川ガラシャ)とは答えない。
 もし、お玉(細川ガラシャ)と答えたら、日本人は父親の主君殺しの明智光秀を思い出すが、病死した母親の煕子(ひろこ)を思い出さない。
 お玉(細川ガラシャ)のな名から、夫の細川忠興の父親である細川藤孝細川幽斎)を思い出すことはない。
 親の名前に、男系父系として徳川秀忠と答えれば徳川家康であり清和源氏清和天皇で、女系母系としてお江と答えれば浅井長政であり織田信長の妹・お市その親の織田信秀であり、浅井長政の母となってその女性の名前も生家も分からなくなる。
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 男系父系では一筋の家系図になり何処までも辿る事ができるが、女系母系では複数の筋となって家系図は作成できず祖先が辿れず血筋は自然消滅する。
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 昭和天皇の、父親は大正天皇・母親は貞明皇后で、祖父は明治天皇・祖母は昭憲皇后で、曾祖父は孝明天皇・曾祖母は不明である。
 貞明皇后や昭憲皇后の、親や実家の事を知る者は少ないし、祖先の事は誰も知らない。
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 日本人は、子供の性格・人格・才能・人となりを父親の名前を聞いて判断するが、母親の名前から情報を引き出す事はないし、それ以前に気にはしない。
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 日本には昔から「親の因果が子に報(むく)う」という諺があるが、子供に祟りをもたらす親の因果とは父親の悪因・悪業の方が母親の悪因・悪業より多く重い。
 親の愛情は、母親の方が深く、父親は浅い。
 何故か、それは日本民族縄文時代の昔から母性崇拝・母胎信仰を持っていたからである。
 その証拠が、縄文土偶である。
 縄文土偶には、女性像がほとんどで男性像が少ない。
 日本の歴史・文化・伝統・宗教の深層には、母性崇拝・母胎信仰がある。
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 正統性は、軍事力や経済力ではなく、長い歴史・文化・伝統・宗教によって与えられ、男系父系にあって女系母系にはない。
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 正統性とは途切れる事のない永続性であり、正当性は断絶を伴う限定性である。
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 正当性は、その時代の実力者、その時の権力者の思いや一存や閃きで作られ、絶えず変化する。
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 女系母系にあるのは、人間としての正当性のみである。
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 東洋経済
 世界の王室から読む「女系・女性天皇」の可能性
 皇位継承問題を考えるうえで知っておきたい
 宇山 卓栄 : 著作家
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 2019/11/03 8:00
 国民の多数は女系・女性天皇に賛成していますが、男系継承を維持すべきと考える人々も一定数います。世論や政治が継承問題に及ぼした影響や結果を世界王室の事例から読み解いていきます。(写真:TTwings/PIXTA
 「即位礼正殿の儀」や「大嘗祭」など、皇位継承に伴う儀式が続きます。政府は「安定的な皇位継承を確保するための諸課題」に取り組み、有識者会議を開き、議論を進める予定です。
 有識者会議などの検討結果については、「速やかな国会への報告」も求められています。有識者会議では、女性および女系天皇皇位継承についての是非も議論されると想定されています。
 どうなる?皇位継承
 2005年の「皇室典範に関する有識者会議」では、女性天皇および女系天皇を認め、皇位継承順位は男女を問わず第1子を優先とするべきという報告書が出されています。この報告書には、女性宮家の設立を認め、女性天皇および女性の皇族の配偶者も皇族とするべきということも含まれていました。仮にこの報告書のとおりに法改正されていたならば、小室圭氏が眞子さまと結婚すれば、皇族になれるということです。
 ただ、この報告書は悠仁さまの誕生(2006年)により、白紙となりました。その後、安倍首相は2006年10月3日の参議院本会議で、「慎重に冷静に、国民の賛同が得られるように議論を重ねる必要がある」と発言しています。
 国民の多数は女系・女性天皇に賛成しています。2019年4月の時事通信社世論調査によると、女系・女性天皇に賛成69.8%、反対11.2%という結果が出ました。この調査では、女系天皇女性天皇の区別を明確にせず、一緒にして質問をしていました。
 その後、朝日新聞(4月)や産経新聞・FNN(5月)の調査では、女性天皇女系天皇を分けて、調査がされました。女性天皇については、朝日新聞で76%が賛成、産経新聞・FNNで78.3%が賛成、女系天皇についてはそれぞれ、74%と64.2%が賛成と出ました。女性天皇については圧倒的多数が賛成、女系天皇についても多数が賛成でした。
 男系継承を維持すべきと考える人々(男系派)は、歴史的な男系の皇統を維持するのに、世論調査を考慮する必要などあるのかという疑問を呈しています。
 国民世論や政治が皇統の継承の伝統を変えることなどできないという主張もありますが、必ずしも、そうではないのです。
 戦前までの典憲体制(皇室典範憲法が同等に置かれた法体系)と異なり、現在、皇室典範憲法の下位に事実上あると解されます。国民に選ばれた国会議員が皇室典範を改正することもできます。その意味において、「国民主権」に委ねられている範疇に、皇位継承問題もあると法理的に解することもできます。
 主権者たる国民の意志をまったく無視することは難しいでしょう。政府も「慎重に冷静に、国民の賛同が得られるように議論を重ねる必要がある」というスタンスを維持しています。
 世論戦では、男系派は女系派に勝てないので、もはや政治判断で、政権が旧宮家復帰のための法整備を整えるなど、粛々とやるべきことをやるべしとする意見もあります。たとえ世論に反することであっても、政治判断で行動することは代議制において認められる民主主義の一つの形態であるとされます。しかし、世論に反することを行えば、激しい反発を食らうことが避けられないので、これまで、誰もやりたがらなかったのです。
 安倍首相は10月8日、参議院本会議で、「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを踏まえ、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」と述べています。
 世論が継承問題を主導した
 世論や政治が継承問題に及ぼした影響や結果を世界王室の事例から読み解いていけば、今後、日本で、どのようなことが起こるかが見えてきます。
 直近の例として、イギリスを見てみましょう。2013年、王位継承法制定で、男女の区別のない長子継承へと移行しました。それまで、イギリスでは、女王も女系王も認められていましたが、男子がいる場合は、男子が優先的に王位を継承することになっていました。その条件が2013年以降、廃止されたのです。
 2010年、ウィリアム王子とキャサリン妃が婚約したとき、世論調査が実施されます。YouGov(ユーガブ)とサンデー・タイムズ紙の合同調査で、「王位継承順位において、男女は平等であるべきですか」と問われ、そう思うと回答した人が70%、そう思わないと回答した人が17%、わからないと回答した人が12%でした。
 こうした世論調査を受けて、当時の保守党デービッド・キャメロン首相は男性優先の王位継承について、「異常であり、男女平等に反する」と述べました。ニック・クレッグ副首相も「時代遅れ」と断じました。そして2011年、議会で王位継承法の改正が通過し、2013年にエリザベス女王の裁可を得て、施行されます。
 このような法制定を主導したのが左派の労働党ではなく、保守党であったということ、そして、政治が多数派の世論に従ったということは留意されるべきです。
デンマークでも、王位継承は「男子の継承者がいない場合に限り、女子も認める」という条件がつけられていました。しかし、男女同権の観点から、2009年の王位継承法改正で、その条件が撤廃されて、男女の区別のない長子継承制に変更されました。
 他の北欧諸国では、すでに長子継承制が導入されていました(1980年にスウェーデンが、1990年にノルウェー)。デンマークで、長子継承制が導入されていないのは、「後進的で不条理」、男女同権という観点からも「甚だ問題がある」という批判が巻き起こっていました。
 一部、保守派からの強い反対がありましたが、世論に押され、議会は改正へと動きました。法改正を、左派の社会民主党が主導したのではなく、右派の自由党(「ヴェンスタ」)が主導したということは特筆されるべきことです。自由党の強硬派議員はいずれの改正にも、当初、反対していましたが、結局は世論に屈しました。
 国民投票の結果は改正に賛成が85.4%で、反対が14.6%で、圧倒的多数で可決されました。法改正されたものの、マルグレーテ2世の長子のフレデリック王太子がすでに王位継承者であったため、王太子に変更はありませんでした。
 国民投票の前に、マルグレーテ2世自身は改正に反対であったと伝えられていましたが、当時の首相アナス・フォー・ラスムセンは2005年、議会に改正案を提出する前に、マルグレーテ2世をはじめ王室のメンバーと話し合いをしたと証言しています。しかし、マルグレーテ2世がこの問題について、公式に発言したことはありません。
 男系継承が残るのはスペインだけ
 ヨーロッパ王室は次々と男女の区別のない長子継承制に移行しました。スウェーデンが1980年、オランダが1983年、ノルウェーが1990年、ベルギーが1991年、そして、前述のデンマークが2009年、イギリスが2013年と続きます。
 現在、ヨーロッパで王室のある国は7カ国あります。この7カ国は上記の6カ国とスペインです(ルクセンブルクモナコリヒテンシュタインの3公国は除く)。つまり、スペイン以外、ほかのヨーロッパ王室はすべて長子継承に移行しました。
 スペインの王位継承は日本と同じく、原則として男系男子による継承です。しかし、日本と異なるのは、直系の男子がいない場合に限り、女王が認められます。この規定により、現在、スペインの王位継承者はレオノール王女となっています。スペインは19世紀の8代目国王イサベル2世の時以来の女王の登場となる見込みです。
 スペインではかつて、男女平等の観点から男子優先を廃止し、長子優先にしようとする動きが国会でありました。
 レティシア王妃(当時は王太子妃)が男子を生む可能性が想定されて、長女のレオノール王女の継承順位が下がるのを防ぐため、早期に、法改正をすべきということでしたが、2006年にレティシア王妃の第2子が王女であると発表されたため、法改正は行われませんでした。現在のところ、国王のフェリペ6世に男子はありません。
 各国で長子継承制が導入されたことにより、今後、続々と新女王が誕生する見込みです。スウェーデン、オランダ、ベルギー、スペイン、これらの国々で、王女が第1位の王位継承者となっています。ヨーロッパで王室のある7カ国のうち4カ国で、新たに女王が誕生する見込みというのは少なからず、インパクトがあります。
 こうしたヨーロッパの王位継承法の改革と長子継承は、主に男女同権という観点から推進されました。これは一般社会で男女共同参画が進んだことと呼応しています。
 男系派・女系派ともに真摯な議論を
 ヨーロッパのこうした動向は日本の皇室とは関係がないとする見方が保守派を中心にあります。「天皇は別格」としたい人々の気持ちもよくわかりますが、民主主義において、君主を頂くという社会構造について、日本はヨーロッパと同じです。ヨーロッパで起こったことは日本でも起こりえます。
 皇統の男系継承派は不利な状況になっています。男系継承の合理性とは何か、また、それを維持するための戦略はあるのか。男系継承は「伝統だから」「理屈じゃない」というのは議論や思考の放棄にも見えてしまいます。
 一方、女系派は世論を味方につけ、今後も、その勢いを増していくのか、改革の論拠をどこに求めていくのか。また、女性天皇には賛成するが、女系天皇には賛成できないという人も少なからずいると思います。国民全体を含めた、それぞれの立場からの活発で真摯な議論が求められます。
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女系皇位継承は日本の伝統