⚔4)─3─トンデモない陰謀論が続出する夢見る戦国時代史観の破綻。〜No.12 

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 2020年11月22日 産経新聞「【話の肖像画】作家・安部龍太郎(65)(1)戦国時代史観に異議あり!!
歴史小説を書くために正しい歴史像を追い求めている」と語る(酒巻俊介撮影)
 《作家生活30年、従来の通説に“挑戦状”を叩(たた)きつける斬新な史観の歴史小説を世に問うてきた。とりわけ戦国時代には異議あり!》
 20年以上前、織田信長を書こうとしたとき、従来の戦国時代史観は根本的に違っているのではないか、最大の理由は大航海時代に入っていた世界の中の日本の位置づけ、外交、交易、先端技術といった「外国からの視点」が欠けていることではないか、と気付いたのです。
 戦国時代を理解する上で大事な要素が3つ。キリスト教・鉄砲・銀です。アジアへ進出したポルトガルやスペインは石見(いわみ)銀山の開発などでシルバーラッシュに沸いていた日本の銀や火薬の原料になる硫黄がほしい。代わりに鉄砲や硝石(しょうせき)、鉛などを売る。それを繋(つな)いだのがイエズス会の宣教師です。彼らはキリスト教の布教だけで日本へ来たのではなく、交易と、その先の支配まで視野に入っていた。一方、戦国大名も信長に代表されるように経済や流通を押さえ、最新鋭の武器である鉄砲や弾薬を獲得した者が勢力を拡大してゆく。戦国時代は高度経済成長を謳歌(おうか)した重商主義の時代でした。
 《なぜ、そうした視点が軽視されたのか》
 鎖国が続いた江戸時代の史観に明治以降もとらわれてしまったからでしょうね。商業を低く見た「士農工商」の身分制度史観もそうです。いまだ(高校の)授業で、日本史と世界史を分けて教えているのもおかしいですよ。
 日本史学者らの反応ですか? うーん、「小説だから」「作家が書くもの」といった冷ややかなものが多かった。ただ最近、僕がいう歴史観に沿ったテレビの歴史番組が続けて作られるなど新しい流れが出てきています。やっと時代が僕に追いついてきたのかなって(苦笑)。
 《歴史小説は史実に忠実であるべきか? エンターテインメントなのか?》
 僕が歴史小説を書く上で大事にしているスタンスは、読者が楽しみながら面白く読めて、しかも「過去から学ぶ」こと。そのためには、ちゃんと、過去を踏まえていなければなりません。残された史料を集めて、それをどう解釈するかは、人によって違いがあって当然ですが、僕は自分が信じる解釈、歴史観を土台として作品を書く。歴史と対峙(たいじ)した経験は、知識を知恵に変えます。そこから生まれた発想力は未来の問題解決の突破力にもなる。僕はそこまでを作品で提示したいと思うのです。(聞き手 喜多由浩)
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 【プロフィル】安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)
 昭和30年、福岡県出身。久留米工業高専卒。東京・大田区役所勤務などを経て、平成2年『血の日本史』で単行本デビュー。17年『天馬、翔(か)ける』で中山義秀文学賞、25年、戦国期の絵師、長谷川等伯(とうはく)の生涯を描いた『等伯』で直木賞を受賞した。令和2年『京都府文化賞』受賞。主な著作に『信長燃ゆ』『宗麟(そうりん)の海』『家康』など。歴史エッセーも多い。」
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