🎑54)55)─1─外国人移民が理解しやすい「やさしい日本語」が新しい「正しい日本語」となり、古い日本国語・大和言葉は死語になる。~No.127No.128No.129No.130 @ 

やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書)

やさしい日本語――多文化共生社会へ (岩波新書)

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 多文化多言語共生社会において、翻訳できない語彙、理解できない敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)、無駄無意味な配慮の言い回しは消滅する。
 おかげさま。おたがいさま。もったいない。
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 大量の外国人移民を受入れ国内での外国人居住者が増えれば、彼らが理解できない日本語の語彙は使われなくなり、いつしか死語となって消滅する。
 現代日本には、そこまで民族言語・日本国語への執着心は無く、便利が於ければ進んで外国語の語彙を取り入れて日本語の語彙を捨てた。
 日本ほど外国語が日本国語に氾濫し、母国語が乱れている言語も珍しい。
 やさしい日本語とは、日本人しか理解できない日本国語を噛み砕いて破壊し消滅させる事である。
 怠け者で安易に走りやすい日本人は、楽な事を「なうい」として積極的に取り入れて、教養高い難解な伝統文化を捨てる傾向がある。
 言語のグローバル化において、世界共通語としてのグローバル言語は地方限定のローカル言語を駆逐する。
 人類史・世界史・大陸史において、数多くの民族・部族特有の言語・方言が消滅した。
 日本でも、地方のローカルな方言が中央の共通語(明治に新設された口語・日本国語)によって駆逐され消滅の瀬戸際にある。
 地球規模から見れば、日本国語は消滅に向かう定めのローカル言語である。
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 2016年10月20日号 週刊文春「文春図書館 私の読書日記 酒井順子
 論語と日本語
 ……
 しかし今、住む外国人は増えている。日本語を母語としない人たちが、日本社会の中で居場所を見つけていくためには『やさしい日本語』が必要、と提言するのが『やさしい日本語』(庵功雄 岩波新書 840円+税)。
 『やさしい日本語』という観点が登場したのは、阪神・淡路大震災の時。必要な情報を手に入れられなかった外国人が多かったことから、社会言語学者やNHKアナウンサー達により『やさしい日本語』が研究されていった。
 それは、子供に話すようなやり方ではない。敬語や漢語的表現(お守り的言語のような!)を取り除き、シンプルな語彙で整理する等、一定の原則に基づいた日本語がつくられていったのだ。NHKでは既に、やさしい日本語で記されたウェブニュースも提供しているのだそう。
 外国のルーツを持つ子供達は日本の義務教育の対象でなく(外国籍の場合)、都内では高校進学率が30%程度らしいおいう事を、本書によって初めて知った。今後も日本で生きて行く彼等が教育を受けられないことは、彼等にとっても日本にとっても、良いことではないわけで、やさしい日本語の必要性は、今後も高まるだろう。
 また、日本手話を母国語とするろう者にとって日本語は母語ではないという事も、私は知らなかった。ろう者や知的障害者にとっても、やさしい日本語はまた有効なのだ。
 大日本帝国憲法日本国憲法という流れを見てもわかるが、かつては知識人だけのものであった日本語、特に文語は、時を経て普通の人々のものとなってきた。そして多文化共生社会へ変わろうとする今、もう一段階『易し』くて『優し』い日本語が、登場しようとしている。外国人観光客が増加し、東京オリンピックもあるという状況で、様々なレベルの日本語に対応する能力は、私達に求められている」
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 大陸では民族言語である母国語に誇りを持ち、外国語を排除してまでも民族言語・母国語を守ろうとする。
 民族言語・母国語を捨て外国の言語を公用語に採用する事は、その公用語を母国語とする国家の属国となり、母国語を民族言語とする人間に奴隷として奉仕する事を誓う事である。
 欧州諸国の中では、自国語以外の他国語を公用語にしたり、複数言語を日常言語としている国はあるが、諸国・諸国民の元(祖先)を辿れば同根である以上、取り立てて多文化多文化の優れた事ではない。
 譬えて言えば、鹿児島弁の人間と津軽弁の人間が江戸言葉か京言葉を話す様なものである。
 欧州言葉は、発音や言い回しが異なっても、言語文化は同じで文法においてもそれほど極端な違いはない。
 その証拠に、支配階級・上流階級・富裕層の国籍は違っていても、男系女系の家系、血筋を辿れば大半が国境を越えた親類縁者である。
 欧州で騒がれているボーダーレスは、まやかしに過ぎない。
 日本に例えれば、関東・武蔵国・江戸・江戸言葉、関西・難波国・大坂・大坂言葉、近畿・山城国・京・京言葉、といった所である。
 本当のボーダーレスを言うのであれば、民族・宗教・文化・言語・習慣・風習がまったく違う異質なモノが交わる事で、西洋文化価値観を共有する諸国が交わる事である。
 それが現実的に出来ない、不可能である事を証明しているのが、EUで深刻な問題となっているアフリカ・中東からの移民問題である。
 ボーダーレスは、まやかしであり、誤魔化しに過ぎない。
 欧州と日本の違いは、欧州の中心がキリスト教文化のバチカンローマ教皇で、日本の中心が日本神道・日本仏教混合文化の日天皇であった事である。
 中世欧州言葉を階級で乱暴に分けると、支配者階級及び知識階級が話すグローバルなラテン語と被支配階級及び無教養階級が使う幾つかのローカルな方言に分けられる。
 そのローカルな方言が、現代の欧州諸国の言語となりグローバル言語に成長した。
 中世に於いて、日本の庶民(百姓や町人)は俳句・短歌・和歌など短詩を自由に創作して詠っていたが、欧州の民衆・人民は聖書を教会で詩は詩人から言葉として聞かされ文字を持たなかった。
 日本国語・日本言語が日本神話・天孫降臨神話・日本天皇歴代記を中心古層としているのに対して、欧州言語はキリスト教以外にギリシャローマ神話、北方神話、ゲルマン神話ケルト神話など複数の雑多な古層から成り立っている。
 日本は、一本の根から一本の幹が伸び、幾つもの小さな枝葉に分かれている。
 欧州は、幾本もの根から一本の幹が伸び、幾つもの大きな枝葉に分かれている。
 日本が欧州とは違うのは、接ぎ木能力と再生複製能力が強いと言う事である。
 欧州は荒っぽく2つに分ければ、大陸部のフランク(フランス・ドイツ・イタリア・他)と沿岸部のノルマン(イギリス・他)である。


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やさしい日本語

やさしい日本語

  • 作者:平嶋顕紘
  • 出版社/メーカー: 梓書院
  • 発売日: 2016/10/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
「やさしい日本語」は何を目指すか: 多文化共生社会を実現するために

「やさしい日本語」は何を目指すか: 多文化共生社会を実現するために

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: ココ出版
  • 発売日: 2013/10/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
読み手に伝わる公用文: 〈やさしい日本語〉の視点から

読み手に伝わる公用文: 〈やさしい日本語〉の視点から

  • 作者:岩田一成
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2016/07/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)