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2024年3月18日 YAHOO!JAPANニュース 産経新聞「消滅する天然昆布、大阪だし文化の危機 10年前から97%減「海が変わってしまった」 昆布の未来は 産地の異変
天然真昆布の入荷が乏しいと嘆く「こんぶ土居」店主、土居純一さん=大阪市中央区
昆布に〝危機〟が迫っている-。昆布店や生産者の間でそんな認識が広がっている。大阪のだし文化を支えてきた北海道産の天然真昆布(まこんぶ)は漁獲量が激減し、ほとんど手に入らない。不足分をまかなう養殖昆布も将来が不安視される。食生活の変化もあいまった「昆布離れ」で、店をたたむ昆布店も相次いでいるという。昆布に何が起こっているのだろうか。
【グラフでみる】過去10年の真昆布生産量の推移
■ほぼ流通せず
「天然ものが欲しいといわれても十分用意できず、新規顧客の開拓もできる状態じゃない」
大阪・空堀商店街の老舗昆布店「こんぶ土居」(大阪市中央区)の4代目、土居純一さん(49)は話す。江戸時代に北前船で運ばれて以降、大阪では真昆布の扱いが主流だ。
だが、天然真昆布は10年ほど前から生産量が落ち始めた。主要産地の南かやべ漁業協同組合(北海道函館市)によると、令和4年は近年のピーク時(平成26年)の703トンから約97%減の19トン。ほぼ流通はないに等しい状況だ。
1年養殖の促成品は流通が安定しているが、同店は買いためてきた天然ものと天然ものに品質が近い2年栽培の養殖品でやりくりし、店頭販売や得意先への数量は何とか確保している。伝統の味を伝えるため、引き続き天然ものにこだわるつもりだ。
ただ最近は2年養殖も生産量が落ちている。昆布の減少と相まって、大阪昆布商工業協同組合の加盟業者はここ6年ほどで2割強減った。土居さんは「事態が好転することを信じて何とか持ちこたえたい」と話す。
■漁獲量は半減
「海底に草(海藻)がまったくない。小さなウニが大量発生していた」
南かやべ漁協が立地し、函館市の太平洋岸に広がる南茅部(かやべ)地域。昨年11月ごろ、水中眼鏡で海中をのぞいていた昆布漁師、吉村良一さん(68)は息をのんだ。海底は海藻が消失する「磯焼け」と呼ばれる状態。食害の要因となっているウニの姿が目立った。「7~8年前までは、昆布やいろんな海藻が順番に芽吹いていたんだけどな」
天然昆布は7月に漁の解禁を迎えるが「今季も厳しい。海が変わってしまった」とため息をつく。
真昆布、利尻昆布、羅臼昆布など国内産昆布の生産量の約9割を占める北海道。道内全体の生産量も、この20年ほどでほぼ半減した。漁業者の高齢化や昆布の減少があげられ、中でも真昆布の減少は際立つ。原因は特定されていないが、海水温の上昇など海洋環境の変化や、ウニの食害などが指摘されている。
昆布は冷たい海を好み、環境の変化に敏感だ。これまでも気候や水温によって増減を繰り返してきた。吉村さんは、昆布が繁殖する10月中旬ごろの水温の計測を続けている。ここ数年20度を上回っており、以前より3~4度高いという。
昆布の生態について、北海道大・北方生物圏フィールド科学センターの四ツ倉典滋教授は「わずか1度の海水温の変化で成長が大きく変わり、少しの水流や水質の変化でも昆布の群落は姿を変えてしまう。それほど敏感」と解説する。
海水温の上昇は、日本海から津軽海峡をへて太平洋などに流れ込む対馬暖流の勢力が強くなった影響とみる。水温が上がるとウニの食欲が増し、食害が進むという。
気候変動に伴う将来予測も厳しい。北大の研究グループによると、北海道周辺に分布する11種の昆布のいくつかは、温暖化の影響で2090年代までに姿を消す可能性があるという。
■資源確保課題
北海道の昆布漁業は、古くから天然漁獲で成り立ってきた。現在は養殖が主流になっているものの、天然資源の確保は課題だ。四ツ倉教授は「これからは陸上の農作物のように、耕して種をまき〝害虫駆除〟などをすることが必要」という。気候変動という厳しい状況下だが、取り組めることをやろうという考えだ。
海底の岩についた雑海藻(雑草)を削り、昆布が着生するスペースを設けて胞子(種)をまく。種まきには、成熟した天然昆布を網に入れて海に沈める方法などがある。
まいた種が海底に定着する確度をあげようと、四ツ倉教授らはさらに、胞子を高粘度のセルロースと混ぜ、昆布が根づきそうな岩を狙ってまく技術も開発。一部地域で実用化されている。ウニの駆除も必須だ。
これらの作業で、わずかながら昆布が回復した例もあるという。根本的な解決策が見当たらないなか「地道にやりつづけることが大事」と話す。(北村博子)
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北海道の昆布 北海道大の四ツ倉典滋教授によると、世界には昆布の仲間が19種あり、そのうち11種は北海道とその周辺にしかないという。
だしを取る昆布は主に、真昆布▽利尻昆布▽羅臼昆布▽日高昆布-の4種類。中でも南茅部(白口浜)産真昆布は高級品とされ、松前藩が朝廷などに献じたことから「献上昆布」とも呼ばれていた。
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3月21日 YAHOO!JAPANニュース オルタナ「「海水温の上昇」に「氷河の後退」、「気温だけではない」気候の非常事態が明らかに
①世界気象機関(WMO)が年次報告書「地球の気候の現状2023」を発表した②気温のほか、海水温、氷河や南極の海氷の減少などでも記録を更新した③WMO事務局長は現状を「レッドアラート(非常事態)」と警鐘を鳴らす
2023年は地表温度のほか、海水温の上昇や氷河の後退などでも記録を更新
世界気象機関(WMO)は3月19日、年次報告書「地球の気候の現状2023」を発表した。2023年の平均気温は、産業革命前の水準を1.45℃上回り、174年の観測史上、過去最高を記録した。海洋の温暖化、氷河の後退、南極の海氷減少なども、これまでの記録を更新し、WMO事務局長は「レッドアラート(非常事態)」と警鐘を鳴らした。(オルタナ副編集長・北村佳代子)
WMOの報告書によると、2023年は史上最も温暖な年であり、世界の平均地表温度は産業革命前の基準値を1.45℃(不確実性マージンは±0.12℃)、上回った。この10年間は記録的な暖かさとなった。
また2023年は、温室効果ガスの濃度、地表温度、海洋熱、海面上昇、南極の海氷面積の減少、氷河の後退についての記録も更新した。
WMOのセレステ・サウロ事務局長は、「WMOは世界に向けて、レッドアラート(非常警報)を鳴らす。2023年に目撃された事象の中でも、前例のないほどの海洋の温暖化、氷河の後退、南極の海氷の減少は、特に懸念すべき要素だ」とコメントした。
アルゼンチン出身の気象学者で、2024年1月にWMO事務局長に就任したサウロ事務局長は、海洋の温暖化については「ほとんど不可逆的」だと述べ、「元に戻るには数千年かかる可能性がある」との懸念を表明した。「このトレンドは実に憂慮すべきものだ。水は、大気よりも長く熱を保つという特性があるからだ」。
■海面の水位上昇速度は加速
2023年の海水温は過去65年間で最も高くなった。2023年には90%以上の海が熱波を経験した。
海洋熱は北大西洋に集中し、2023年後半には平均気温が3℃上昇した。海水温の上昇は、デリケートな海洋生態系に影響を及ぼし、多くの魚種が、より低い海水温を求めて北上している。
2月には南極の海氷面積(少なくとも15%の氷に覆われた総面積)が過去最低を記録した。前回の過去最低記録から100万平方キロメートル減少しており、その規模はエジプトの面積にほぼ等しい。
氷河もまた、北米と欧州での極端な融解を背景に、1950年以降で最大の減少幅を記録した。ヨーロッパのアルプスの氷河は極端な融解に見舞われ、スイスの氷河は、過去2年間で残りの体積の約10%を失ったという。
氷河や氷床の融解に加え、海水の膨張を引き起こす海洋熱の上昇が継続したことで、海面も、過去30年間で年平均3.34ミリメートル上昇した。
海面は、1993年から2002年までに、年間2.13ミリメートル上昇したが、2014年から2023年までの10年間で見ると、年間4.77ミリメートルの上昇と、上昇幅は2倍超となった。
*オルタナオンラインでは、温室効果ガスの濃度や、「深刻な食糧不足」に直面する人の増加、2024年の気候の見通しなどについても報じています。
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