💄9)─2─平安の高貴な女性たちは扇で顔を隠していた。~No.20 

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 2024年1月13日 YAHOO!JAPANニュース AERA dot.「平安の女性たちが顔を見せないのはなぜ? わざとチラ見せでスキャンダルになることも
 承香院(じょうこういん 左):平安時代の周辺文化実践研究家。子どものときカーテンで自作した平安装束に身を包んで以来、装束や文化を実践しながら独自研究/砂崎良(さざき・りょう):フリーライター東京大学文学部卒。古典・歴史・語学・現代史など学習参考書を...
 吉高由里子演じる紫式部が主人公となる今年の大河ドラマ。1月10日発売の『平安 もの こと ひと事典』の著者、砂崎良さんと監修の承香院さんに平安時代の楽しみ方を聞いた。AERA 2024年1月15日号より。
 【写真】扇。顔を隠すほか煙を散らすなど用途もさまざま
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 子どものころから源氏物語をくりかえし音読して暗記することを心の安らぎとしていた砂崎良さんと、平安のリアルを知りたいと手作りの平安装束で日常を過ごしている承香院さん。おふたりは平安沼にハマって長い。
──『平安 もの こと ひと事典』を読んでいても、何かと隠す・隠れる話が出てきますよね。牛車の乗り降りで姿が見えないように隠れるとか、部屋にいても顔を見られないよう几帳で隠すとか。
 砂崎良さん(以下、砂崎):女性が人に姿を見せないって私たちの生活からすると想像しにくいですが、中東圏ではよく似たことを今も普通にやっている国もありますよね。中東圏の場合は歴史的に治安が悪かったので、女性は狙われるから奥に隠れていなさいということなんです。見られると目をつけられてさらわれてしまうので。平安の場合も治安が悪く、通じるところがありますよね。
■平安は危険な時代
──ということは平安の女性たちが顔を隠したり、隠れたりするのは、襲われないようにするためということですね。
 砂崎:はい、危険だからですね。しかも平安時代には警察もなければ消防もない。それこそ貴族のお姫様が、男に目をつけられてさらわれて地方に連れていかれてしまっても、「親は泣き暮らしました」で話は終わってしまう。どんな要人の子どもでも、何もできない時代だったんです。またそれと同じくらい恐れられていたのが魔物。迷信のようですが、恐怖感というのは理性を超える部分も大きい。こんな美しいお嬢さん、魔物が見たら魅入られてしまう。隠せ……となるわけです。
 承香院:男性も美しい人はさらわれることがありますよね。あと魔物とか、病気に襲われるので顔を見せないということはあったようです。でも男性が扇や袖で顔を隠すパターンの場合、別の目的があったようで、例えば喧嘩した相手や、嫌いな人がいると、顔を隠した。顔を見たくないという意思表示だったり。
 砂崎:隠すための道具である女性が乗った牛車のすだれが、スキャンダルを巻き起こしたりすることもありますよね。普通の女性は牛車に乗っている時に少しでも姿を見せたくないため、すだれを二重にしたりしますが、わざと隙間を作ってチラ見させる女性もときには出てくる。それから和泉式部は、牛車のすだれを半分切って、自分のほうには垂らして見えないようにして、隣の男性はすだれを上げて見えるようにした。どういうチラ見せかわかりませんが(笑)、これがスキャンダルになったんですよね。
■無難に生きるのが理想
──『平安 もの こと ひと事典』には「平安みやこ新聞」などで架空メディアの見出しがいくつか紹介されていますが、まさに格好な見出しが立ちそうですね。
 承香院:それから当時は、慎み深いっていう感覚が何より大切にされていたことは、いろいろな日記などを読んでもわかりますよね。襲われないようにというセキュリティー上の問題もありつつ、慎み深い私をアピールせねば、という意図もあったと思います。
──本心で慎み深いのとは、ちょっと違うということですか。
 承香院:本当に慎み深さを美徳としている貴族も、もちろんいました。その一方で、世間に慎み深いところを見せたいというタイプの人もいました。何しろ縦5キロ×横4キロ強の空間に、ほぼ生まれてから死ぬまでいるわけですから、ストレスもすごかったのでしょう。とにかくお互い角を立てないように角を立てないようにと無難に生きていくのが理想だったと思いますね。
 砂崎:もうひとつ、隠す・隠れる絡みで、見ないふりという行動もあります。建物といっても、ガランとした大きなスペースに、何十人もが屏風などだけでプライベート空間を作って暮らしている。ときに隠したはずの姿が見えたりしますが、そこは扇や袖で見えないふりをしてあげるんです。
 (ライター・福光恵)
 ※AERA 2024年1月15日号より抜粋
 福光恵
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