⚔39)─1・A─徳川家康は後北条氏の領地経営を学んで関東を切り開き、江戸の街を築いた。~No.165 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本民族日本人は、自然災害多発地帯を生きる智恵として、歴史を教訓とし、自然を崇拝して土地に学び、先人の成功と失敗を調べ、国内外の最新の知識や技術に日本流に転換・変換・改造を加えて導入して利用した。
 徳川幕府は、日本人を奴隷として売買して大金を稼いでいたキリスト教徒白人の西洋を警戒していた。
 中世キリスト教会を排除するという制限付き鎖国政策は、正しい選択であった。
 キリシタン禁制を含めた鎖国政策を非難する事は、日本人を奴隷として売買していた西洋の商取引を正当行為と認める西洋礼賛である。
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 2017年5月号 正論「よしなしこと 相澤正久
 後世に語り継ごう江戸の街づくり
 徳川家康が江戸を100万都市にした立役者ならば、後北条氏がその下地を作ったはずだと私は述べた。たとえば後北条には『北条水軍』と呼ばれる部隊があって、これが活躍したことが知られている。これだってまず関東一円で水運が発達していなければ成り立たない話なのだ。江戸時代、運河を整備し、船が自在に横行できる物資輸送網を整備した功績は確かに徳川によるものだが、それには後北条氏の〝種蒔き〟が前提としてあったはずなのだ。関東という未開の地を徳川がゼロから開拓したという話では決してない。
 小田原征伐に勝利した秀吉にしても、難攻不落で手を焼いた小田原城総構に倣うがごとく、京都の街を取り囲むような土塁『御土居』を築きあげた。土塁や濠で囲まれつつも中に入れば商業地もあって、そこだけで暮らしていける──後北条氏のまちづくりはそういうもので、間違いなく全国の戦国大名に多くの示唆を与えた。関東だってその礎、下地を築いたのは後北条氏だった。そのことが公正に評価されてほしいものだし、それは、江戸を世界一のまちに育て上げた家康はじめ徳川の功績と両立するものだ。
 ところで、学校の歴史教育では徳川の幕藩体制鎖国、宗教政策といった面ばかりが強調され、肝心の江戸のまちづくりについて語られることはあまりないように思う。私が思うに家康の第一の功績、これは江戸の内海(東京湾)に流れ込んでいた利根川の流れを銚子沖へと注ぐよう改修する河川の付け替え工事だろう。これが実現すれば江戸の街に洪水の被害が及びにくくなり、脅かされることが減るに違いない。そうすれば、農業生産も庶民の暮らしも飛躍的に安定する。
 家康の諸改革のなかで河川の活用は重要な位置を占めている。例えば江戸と川越を結ぶ荒川に着目、川越で作った野菜を江戸に船で運び、帰りには都心にあふれる人糞を乗せて上流に運んで肥料として活用する新河岸川の開発──といった究極の循環社会を築いたのもこの時期だった。これまた河川の水上交通網を整備するという家康はじめ徳川家のダイナミックな諸施策には驚かされる。
 利水面でも徳川期に多くの挑戦がなされた。当時の江戸は日比谷まで入江が迫っていて、たくさんの河川が注いでいた。家康は日比谷の入江を埋め立てて土地を増やしていくのだが、一方で人が住むには水が欠かせない。ところが、埋め立て地から得られる水は海水の影響で塩分が強く使い物にならない。そこではじめはため池の水を使うのだが、それもすぐに足りなくなった。
 そこで考えたのが武蔵野の地、今の井の頭公園のあたりの水源から水道を引くことだった。木管や石管を丹念につなぎ合わせながら3系統にわけて都心に水を通していく──という気の遠くなるような話で、それでも水の需要が供給が追いつかなくなると、今度は玉川上水を設け、水道網を充実させていく。今でも都心の中心部を歩くと『水道橋』『平河町』『溜池』といった水や河川に関わる地名が残っている。これらは、かつてのわれわれの先祖と河川、水との関係を物語るものばかりだ。
 そして徳川が取り組んだ第三の取り組み、それが貨幣の造幣である。秀吉が天正通宝などの貨幣を造幣し、商いを育てたことに倣って、都心に金座や銀座などの造幣拠点を作った。わざわざ京都からそのための技術者を招く念の入れようだった。
 このように見てくると後北条氏同様、徳川氏がいかに民生の安定に尽力していたかがわかる。自分達が築き上げた支配構造をいかに長く続かせるか、という観点ばかりが学校の歴史教育では強調されがちだが、いかに当時の支配者は庶民の暮らしを大切にし、育てたか。こういう視点に乏しいと思うことが少なくない。そもそも私たちが今生きている日本の首都、東京がいかにしてできあがったのか。誰がどのように努力して今の東京ができたのか、という話は私たちが後世に語り継がなければならないはずである」

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