・ ・ ・
関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本はブラック社会であり、日本人は悪人であった。
・ ・ ・
2023年12月4日 YAHOO!JAPANニュース 週刊SPA!「「処刑場の跡地」が公園に…池袋が“オカルトと親和性が高い街”と称される納得の理由
サンシャイン60ストリート ©J_News_photo
―[ありのままの池袋]―
新宿・渋谷と並ぶ副都心の一つ、「池袋」。近年では再開発も進み、「住みたい街ランキング」の上位に位置するなど大きな変貌を遂げている。しかし一口に池袋について書かれたものは意外と少ないはずだ。この連載では、そんな池袋を多角的な視点から紐解いていきたい。
2004年のライトノベル『デュラララ!』が舞台としたのは、池袋だった。この物語は、地方から池袋へ上京してきた高校生の群像劇として進むが、物語のもう一つの軸となるのが、池袋に夜な夜な現れるという「首なしライダー」にまつわる噂をはじめとする、「都市伝説」である。
ある作品に描かれる街は、その街の姿をよく表しているが、池袋を舞台にしたこの作品で都市伝説のような、オカルトがテーマとして選ばれたのにはどのような意味があるのだろうか。
江戸時代の時点で怪異が起こっていた?
実は、池袋の歴史を辿っていくと、そこにはさまざまなオカルティックな出来事が姿を表す。例えば、それは江戸時代の文献に現れている。江戸時代、根岸鎮衛によって編まれた『耳嚢(みみぶくろ)』には、その当時のさまざまな奇談が集められている。
その中に、池袋の女についての話がある。それによると、幕府の役人が池袋出身の下女と通じたところ、家具や食器などが飛び回るという怪現象が起こったという。そこで、この下女を里に返したところ、こうした怪現象がぴたりと止んだのである。
この話は、「池袋の女」として知られ、この本以外の文献にも、似た内容の記述がある。こうした話の真偽は定かではないが、池袋にまつわる記述がこうした怪現象と共に出てくるところを見ると、やはり池袋とオカルトにはどこかしらつながりがあると思えてくる。
「池袋四面塔」が建立された理由は…
池袋で起こる怪異はそれだけではない。池袋駅東口から少し進んだところ、線路脇にひっそりと佇む寺のようなものがある。通称、「池袋四面塔」である。周りは繁華街で、一見するとここにあるのが不自然にも思えてくるが、ここにこの四面塔が建てられているのには理由がある。
江戸時代、まだ郊外だった池袋は、夜になると人通りも少なく、暗かった。そんな立地条件が、恐ろしい事件を引き起こした。わずか一晩で17名の命を奪う辻斬り、今でいう通り魔事件が発生したのだ。そのあまりの残虐さを憂いた村民たちがその供養のために作ったのが、この四面塔であった。
その後、この場所ではさまざまな怪異にまつわるエピソードが語られることになる。例えば、この四面塔を邪魔に思った西武グループがその位置を移そうとしたところ、工事関係者の間で負傷者が続出したという。『ルポ池袋 アンダーワールド』(大洋図書)では、こうした土地の記憶と、池袋で起こる通り魔殺人事件を結びつける記述もある。いずれにしても、どこかオカルティックな記憶が池袋には反復して現れているのである。
「処刑場の跡地」が東池袋中央公園に
池袋の怪異は終わらない。
昭和時代の出来事にも話を伸ばしてみよう。太平洋戦争における戦争犯罪者を収容するために作られた施設に「巣鴨プリズン」がある。「巣鴨」といっても、これは昭和時代の土地区分上の呼び名であり、巣鴨プリズンは東池袋の土地にあった。
実は、この巣鴨プリズンの跡地こそ、現在のサンシャインシティである。また、巣鴨プリズンには戦争犯罪人を裁くための処刑場もあったというが、その跡地は、サンシャインシティの横にある東池袋中央公園になっている。そのような記憶を持つ土地だからだろうか、特に東池袋中央公園を中心として、心霊現象の報告が相次いでいる。そこで兵隊の幽霊を見たとか、「ドスン」という謎の音を聞いたであるとか、そうした類の噂話が後を絶たない。
また、「サンシャイン60」という名前の由来が、この処刑場で殺された死刑囚の数にちなんでいる、という都市伝説などもネットでは流布している。こうした噂のほとんどが真実ではないだろうが、実際にここまで心霊現象が報告される場所も、そうないだろう。そのこと自体に興味深さを覚えるし、「池袋」と「オカルト」というテーマが近しいものであることを感じさせる一例だ。
池袋ほど“オカルトと親和性が高い街”はない
また、近年でもこうしたオカルトと池袋を結びつける例がある。
2022年にSUZAKU Gamesが発売したホラーゲーム『SENSEs:Midnight』だ。これは、都市伝説好きの主人公が、「池袋ウォーキングパークの真夜中の扉」を調査するというプロットのゲームで、ここでも「都市伝説」という言葉が池袋の名前と共に出されている。『デュラララ!』の影響もあるのかもしれないが、池袋とオカルトの親和性の高さがここでも見られるのである。
このように、池袋の歴史を追っていくと、さまざまな心霊現象なり怪異現象なりが多く報告されていることがわかる。それぞれの現象が真実なのかどうかはわからない。しかし、一つ言えるのは、ここまでオカルトと親和性が高い街もない、ということである。
『デュラララ!』の作者が、このような背景となる情報を知っていて作品を書いたのかどうかわからない。しかし、明らかにオカルト的な事件を扱う同作品の舞台として、池袋は格好の場所であったことは間違いがないであろう。
<TEXT/谷頭和希>
―[ありのままの池袋]―
【谷頭和希】
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)
日刊SPA!
・ ・ ・