🕯109)─1─少子高齢化による墓仕舞いは日本的家墓の絶滅をもたらす。〜No.235No.236 

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 2023年9月3日 MicrosoftStartニュース 産経新聞「書評 少子化映す埋葬様式 『絶滅する「墓」』鵜飼秀徳著
 『絶滅する「墓」』
 © 産経新聞
 近ごろ、身近でも「墓じまい」の話を聞くことが増えた。墓の所在地に縁者がいなくなり、維持管理ができないのだ。だが自分が入る墓は必要なので、そちらは新たに用意する。墓じまいの離檀料と新規購入代金を足せば百万円は下らない。大仕事だ。
 そのため、手軽なロッカー式の墓や散骨などの新しい埋葬(?)方式を選ぶ向きも増えているという。
 一見極めて現代的なこの風景。だが、本書によれば同じような現象は案外昔からあったらしい。
 たとえば喪の儀式が複雑化・長期化し、かつ墓が巨大化した古代日本では、大化の改新後に「薄葬令」なる法令が出されたそうだ。読んで字の如く葬を薄くせよ、つまり簡略化せよとの令である。理由は「造墓のせいで人民が貧乏になっているから」。古人もまた、死後の安寧より生者の安泰に重きをおいた。さらに仏教勢力主導だった火葬の広がりや、都市人口が増えた江戸時代の墓事情など、各時代の埋葬様態をつまびらかにするが、それが日本人の心性の形成史にもなっていて非常に興味深い。
 こうした歴史的経緯を縦糸に、各地の埋葬習俗などを丁寧に取材した民俗学的見地、さらに地方の過疎化や国際化で発生した事例の社会学的な考察を横糸にして「日本の墓問題」を立体的に描きだした。優れた構成だ。
 墓は〝守る者〟がいて初めて成り立つ。であれば、少子化が進む昨今、墓や葬送儀礼の縮小は必定。埋葬様式の多様化はその序幕だろう。
 人は必ず死ぬ。そうである以上、わが墓をどうするかは誰もが考えなくてはならないが、利便性や懐事情だけを勘案するのではなく、自分にとって、そして日本人にとって墓とは何であるのかを深く考えておきたい。そんな時、本書が明らかにする〝墓の歴史と民俗〟は思考の一助になるはずだ。同時に、仏教僧でもある著者が投げかける安易な墓不要論への疑義もまた、重く受け止めるべきだろう。(NHK出版新書・1210円)
 評・門賀美央子(文筆家)
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 無宗教現代日本人は、「死ねば無に返る」というイデオロギーから宗教的「死後の安らぎ」に墓を必要としない。
 墓無用を煽る、メディアで活躍するアドバイザー、コメンテーター、教育者達。
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 数万年前の縄文時代から受け継がれてきた「家族・親族が身内の死者を弔う」民族固有の家祭祀は、人口激減で消滅しつつある。
 日本が多文化共生の移民国家になれば、民族所縁の全てが薄れて消える。
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