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人口激減で衰退しつつある日本には、人工爆発代でバブル経済までのシニア世代の成功例、ビジネス・モデルは通用しない。
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2023年11月23日8:03 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「「ジャニーズ大騒動」でもさっぱり変わらない…!「日本のドラマ」を“まだまだ”つまらなくする「テレビ局」と「芸能事務所」の「あきれた権力構造」
ジャニーズ問題で誰も語らない2つのこと
あれだけ大騒ぎになったのに、ジャニーズ問題では肝心なことが語られない。
それは、日本のテレビドラマがジャニーズをはじめ芸能事務所にキャスティング権限を奪われたために、まったくつまらなくなってしまったという問題だ。
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こうした状況に私が不満を抱いているのは、映画やドラマが大好きであることに加え、日本のコンテンツ産業にとっての一大事であるからだ。
「ジャニー喜多川」問題は、3つのことがポイントである。ひとつは「性加害問題」であり、これはBBCの放送によって十分に世論を喚起した。しかし、「タレント搾取の問題」であること、そして何より「日本のドラマをつまらなくした問題」であることは熱心に議論されているとは言い難い。
本稿では、芸能事務所によって「性加害」や「タレント搾取」が起こることで、いかに「日本のドラマをつまらなくすること」となったのか、その関係を紐解いていこう。
タレントが被る「性加害のメカニズム」
性加害が起きるのは、加害を与える人の力と与えられる人の力の差があり、かつ、その事実が隠蔽される仕組みがあるからである。
タレント希望者は何としてでも番組やドラマに出演したいが、ジャニー喜多川は出演させるかさせないかの大きな力を持っていた。そのため性加害が可能となったのである。
しかし、通常であれば、性加害は報道によって明るみに出る。芸能事務所はなぜ、明るみに出させないほどの力を持ったのだろうか。
それは、ジャニーズ事務所は、報道されれば所属タレントをテレビに出さない等の報復措置が取れたからだ。テレビ局は、それを恐れて報道しなかった。
しかし本来、テレビに出演させるかさせないかの権限は、テレビ局が持っているはずである。その権限を芸能事務所が奪うことができたのは、なぜだろうか。
芸能事務所が多数の視聴率を取れるタレントを抱え、それをテレビ局に配給するからである。なぜ、それほど多数のタレントを輩出できるかと言えば、売れたタレントと売り出すためのタレントの抱き合わせで出演させることができたからだろう。
すでに売れたタレントと抱き合わせで売り出すためのタレントを出演させることができたことも、多数の性加害が可能となった理由だろう。
才能をつぶしてきた業界
テレビ局は「制作力」をなぜ失ってしまったのか…Photo/gettyimages
もう一つ重要な問題がある。
あるタレントに魅力があるかないかは、微妙な問題だということだ。多くの場合、売りだしてみなければ、売れるかどうかは誰にも分らない。誰がタレントとしての才能を発揮するのか、それを事前に、また客観的に判断するのは難しい。判断を下す術がないのだから、芸能事務所のボスの好き嫌いですべてが決まる。
もちろん、誰しもが認める才能のある者はいる。
オーディションに来たタレントを見て、テレビ局のプロデューサーや演出家が「あいつに決まってるだろう」と判断できれば、芸能事務所のボスの力は排除されたはずだ。
日本では芸能事務所が独占力を持ったために、本当の才能の発掘が妨げられてきたのである。
コンテンツ作りから逃げた「テレビ局」
公共電波に流れる「ドラマ」は復活するか…Photo/gettyimages
ジャニーズ事務所が顕著だったように、日本ではテレビ局の制作担当者がすべきことを芸能事務所が代行するようになってしまった。
なぜそうなってしまったのだろうか。
テレビ局のドラマ作りは、才能のある人を集め、その才能を発揮させる良質なコンテンツを作り、かつ時間と費用を管理することである。
ところが、日本の年功序列・終身雇用のシステムはそれにふさわしくなかった。
サラリーマンには、ある時期に才能を発揮した人でもやがて発揮できなくなるということが起こる。しかし、給与は発揮された才能とは無関係に年功で決る。すると、やがて才能を集めてその才能をコンテンツの質とともに最大化させるという肝心の仕事がどんどん劣化して行き、時間と費用管理だけが仕事となる。
こうしてテレビ局は、番組制作の力を失い、才能を集めて発揮させる仕事は芸能事務所のものとなった。
しかし、ここで完全に忘れられてしまったのは、コンテンツの質のことである。なぜなら芸能事務所の目的は、タレントの出演料を増やして事務所の取り分を最大にすることであり、番組の値打ちを上げることではないからである。
こうしてテレビはつまらなくなった。
その結果が、以前寄稿した『ジャニーズ問題で見えた…! 「日本のテレビドラマ」をつまらなくした、メディア界の「悪しき権力構造」』で紹介したとおり、日本のアニメーションや韓国ドラマがアジア流としてネットフリックスを席巻する一方で、テレビの実写版ドラマは世界的に歯牙にもかからないという惨劇を生んだのである。
では、どのように解決していくべきなのか。
後編『ジャニーズに飼いならされた「テレビ局」にドラマは作れない…! 「本物の才能」を世界に送り出す「テレビ界の大改革」を提案します! 』で、その方法について考えていこう。
原田 泰(名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員)
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11月23日8:03 YAHOO!JAPANニュース 現代ビジネス「ジャニーズに飼いならされた「テレビ局」にドラマは作れない…!「本物の才能」を世界に送り出す「テレビ界の大改革」を提案します!
原田 泰名古屋商科大学ビジネススクール教授 元日本銀行政策委員会審議委員
プロフィール
世界に通用しない「日本のドラマ」
ジャニーズ問題は、いまだ肝心な議論が抜けていると言わざるを得ない。
前編『「ジャニーズ大騒動」でもさっぱり変わらない…!「日本のドラマ」を“まだまだ”つまらなくする「テレビ局」と「芸能事務所」の「あきれた権力構造」』で指摘したように、芸能事務所によって「性加害」が行われ「タレント搾取」が起こることで、いかに「ドラマをつまらなくすること」となったのか考えることが大切である。
ジャニーズ騒動では、議論が尽くされていないことがある…Photo/gettyimages
本来、テレビドラマのキャスティングをはじめ制作においてその「質」の責任を負うのは、テレビ局の制作担当者だ。しかし、ジャニーズ問題が明らかにしたように、芸能事務所のボスが権限を持ちそれを代行するようになってしまった。
芸能事務所の目的は、タレントの出演料を増やして事務所の取り分を最大にすることであり、番組の値打ちを上げることではない。これは、当たり前のことだが、日本のテレビ会社は制作現場に対して強大な権限を握った芸能事務所の大ボスを放置してきた。こうして、日本のテレビドラマは世界に全く通用しないものとなってしまったのである。
では、どのような解決方法があるのだろうか。
芸能事務所の力を弱める方法
芸能事務所の力を削ぐ方策として、一部では芸能事務所のエージェンシー業務とマネジメント業務の分離が提案されている。実際に、ジャニーズ事務所は新会社を設立してエージェント機能を強化するとのことだ。
エージェンシー業務とは出演契約を獲得することであり、マネジメント業務とは予定管理やキャリア形成の支援をすることである。さらにここでのマネジメント業務には、ジャニーズ事務所のように子どものころからタレントを養成する育成機能も含まれる。
設立されるジャニーズの新会社はエージェント制度を採用するという Photo/gettyimages
育成機能を持ちながらエージェンシー業務を行うことでタレントの能力開発から実際の売り出しにまで絶大な権力を握り、ジャニー喜多川の性加害にまで至った芸能事務所のボスの力を削ぎ落すために、エージェンシー業務とマネジメント業務を分離させるのである。
しかし、これだけでは根本的な解決にはならないだろう。
まず、タレントには性格的に自分の予定管理などが苦手な人もいるだろうから、マネジメント業務は必要だろう。これは、ひとつの事務所がすべての仕事を管理しなければできない。
しかも、そこに育成のコストまで加わるのだから、事務所は売り出した際の収益性が必要となる。つまりは独占契約となる。
売れていないタレントなら、1人のマネージャーで数人のタレントの予定管理をすることもキャリア形成の支援をすることも可能だろう。タレントが自分でマネージャーを雇うより安く済むから、タレントにとってもいいシステムともいえる。
しかし、キャリア形成が成功したかどうかは仕事が取れるかどうかで決まる。すなわち、キャリア支援と出演契約を取ることは一体のはずである。分離すれば、キャリア支援の仕方が悪いのか、エージェンシー担当が悪いのかが分からなくなる。
もちろん、エージェンシー業務とマネジメント業務を分離することで芸能事務所の力が弱まるなら、それは多少の解決策になるかもしれない。しかし、市場規模の大きなハリウッドであれば、すでに有名になったタレントがエージェンシーを雇うという仕組みが成り立つだろうが、いまの日本ではハードルが高いかもしれない。
実際に、闇営業問題にゆれた吉本興業でもエージェンシー制を導入されたが機能しなかったという。もっと良い方法があるだろう。
見直すべきは「タレント独占」を許す契約形態
解決策は、芸能事務所のタレントとの独占契約の力を弱めることである。
プロ野球やプロサッカーの選手との契約を参考とするべきだろう。
球団は、選手と独占契約を結ぶ際、契約金と契約年限を設ける。
高校や大学で活躍したからと言って、プロで活躍できるかどうか分からないから、こうした契約金と契約年限を設けることで、選手と球団の双方にメリットとリスクを配分しているといえる。
プロスポーツ選手を参考に、タレントと事務所の契約形態を見直す方が良いかもしれない Photo/gettyimages
契約金と契約期間が公正なものかどうかは客観的には分からないが、一つの解決策である。
先述したとおり、芸能プロダクションは売れるかどうか分からないタレントを育てて売り込み、たまたま成功したタレントを年限の定めのない独占契約で縛ることでコストを回収しているのである。ジャニーズ事務所のタレント契約には、独占的な性格が非常に強く、契約は無期限であったことがこれまでの報道からもうかがえる。
タレントの発掘、育成、売り込みにコストがかかるから契約で縛るというのは分かるが、無期限の契約だったり、芸能事務所の取り分が多すぎたりすると独立を目指すタレントが出るのは当然である。ところが、芸能事務所は独立を目指そうとするタレントを干しにかかり、あろうことかテレビ局もこれに協力してきたのである。
いちばん簡単なのは、契約期間を定め、それを合理的な年限とすることである。
あるいは、タレントをシステム的に干す期間を設けること。つまり契約を打ち切る代わりに、一定期間、番組などの露出を制限することも有効だろう。
SMAPの分裂、独立問題は芸能事務所とテレビ局の問題を浮き彫りにしたはずだった…Photo/gettyimages
業界にこうした規制を促すために、公正取引委員会が介入するのも良いだろう。
しかし本来ならば、テレビ局こそがこうした改革を行うべきだ。契約期間を短縮して芸能事務所の力を削ぐことに利益があるのは、テレビ局であるということを忘れてはならない。
なぜなら、芸能事務所のボスに制作現場を荒らされたことで大損したのはテレビ局なのだから。
しかし、残念なことにテレビ局にはその自覚がない。
テレビ局は「損」をしている自覚がない
普通に考えると、テレビ局は絶大な権限を持っているように思える。
世界を見渡せば、性加害を行なってきたのは出演者を決める権限のある人間であるが、日本とアメリカでは大きな違いがあった。
日本のドラマの制作現場にはハリウッドと違う力学が働いている…Photo/gettyimages
ハリウッドのセクハラとは、映画会社のプロデューサーのすることだった。ところが日本では、テレビ局のプロデューサーやディレクターが邪な心を持ってタレントにセクハラをしたのではなく、タレント事務所のボスがやったのである。
いずれにせよ、そんな邪な行いは許されないのは自明だが、ここに日米の制作現場の権限の在りかが見て取れる。つまり、日本のテレビ局のプロデューサーやディレクターはコンテンツの制作に絶大な権限がないに等しいということが露わになったと私は言いたいのである。
テレビ局の目的は何かと言えば、コストを管理しながら作品を作り、視聴率を上げることだろう。
もちろん、スポンサーである石鹸や食品や自動車など消費財の大企業のさわやかなイメージを損ねないように、またクレームがつかないようにしながら社会的、芸術的価値を上げる必要もある。これらすべての目標が合致すれば、最高のコンテンツが仕上がるのである。
しかし、日本のテレビ局はそうなってはいない。なぜなら、テレビ局は芸能事務所の言いなりになったことで損をしているという自覚が感じられないからである。
それは、自分で真剣に番組を作ろうとしていないからではないか。
プロデューサーの「コスト管理」が前提のハリウッド
一方で、日本のドラマ制作の現場(プロデューサーやディレクター、映画監督)にはコスト管理ができない人が多いと言われている。
アメリカのジョージ・ルーカス監督やスティーブン・スピルバーグ監督がコスト管理ができないようには思えない。クリント・イーストウッド監督も時間とコストを完璧に管理できる人らしい。事前に演技をさせ、カメラを回すと1回で終わるとのことである。
クリント・イーストウッド監督。名監督の条件はコスト管理なのかもしれない Photo/gettyimages
そこに相応しい俳優を連れてきて撮ることもコスト管理のためには重要だろう。
ドラマの制作で費用の掛からないところは、脚本である。俳優も要らず、カメラも回さない。必要なのは作家だけである。だから、脚本は練りに練られる。だらだらせずに展開が早く、違和感を覚えさせない脚本を練ってそれにふさわしい俳優を選んで演技をさせる。これが作品の質を高める。コスト管理をする上でも重要だ。コスト管理をしないで芸能事務所の言いなりでは、面白いドラマが作れるはずもない。
それは、そもそもテレビ局が監督やディレクターを育てる気がない、ひいては面白いドラマを作る気がないということなのかもしれない。
だったら、テレビ局は違う方法でより儲ける方法を考えるべきだろう。
テレビ局は合理的に「番組作り」から撤退すべし
この際、テレビ局は完全な「箱」になり、すべての番組制作を制作会社に依頼して質を競わせれば良いと思う。
デパートが自ら商品を調達せず、商業ビルになるのと同じである。
Netflixの人気コンテンツになるようなドラマはつくれるか…Photo/gettyimages
いまのYouTubeのようになれと言うのではない。
コンテンツを選ぶそれなりの目利きを養い、公共電波を使用する節度を持って運営するのである。テレビ局はすでにそうしていると考えている人もいるかもしれないが、すべてが中途半端になっている。
テレビ局の利益や給与に比べて制作会社の利益や給与が少なすぎるのは、中間搾取が大きすぎるからだろう。小屋だけ儲かって役者が儲からないような興行は、長続きしない。
それをやめて、思い切ってテレビ局は視聴率と社会的評価と金額だけを設定し、最小限の仕事しかしないというのはどうだろう。
スポンサーの支出の最小限の割合しか受け取らなければ、ドラマの制作現場が報われる仕事にもなるだろう。作品におけるすべての責任は、制作会社のプロデューサーということになる。コンテンツの質を競い合い面白いドラマをつくれば、大きく儲かりダメなら別のプロデューサーにとって変わられる。
日本のテレビドラマを面白くするには、誰が作品の質の責任者になるのかの確定が必須なのである。
さらに連載記事『ジャニーズのセクハラ問題でわかった…!日本のドラマが「漫画」と「韓国」に負けた「本当の理由」』でも、この問題について論じているので、参考としてほしい。
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