🏕32)─1─神宮外苑再開発に「何かおかしい」と図面を片手に学術調査。~No.60No.61 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 現代の日本人は、自然を愛し自然を大事にし自然を後世に残そうとした昔の日本人(日本民族)とは違う。
 現代日本には、数万年前の旧石器時代ヤポネシア人)・縄文時代(日本土人)の遺産・遺伝子は残っていない。
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 2023年4月4日 MicrosoftStartニュース AERA dot.「神宮外苑再開発に「何かおかしい」と図面を片手に学術調査、女性都市環境学者の原点 中国、ブータン東日本大震災復興でコモンズ再生を実践
 東京の明治神宮外苑に根をおろした約1000本の樹木を伐採する開発計画に、学者として敢然と異を唱えたのが中央大学研究開発機構教授の石川幹子さんだ。昨年1月に自ら現地を調べ、伐採本数を突き止めて発表したら反対運動に火がつき、12万を超える署名が集まった。
 石川幹子さん=2023年3月、中央大学の隣にある文京区立礫川公園
 © AERA dot. 提供
 外苑の再開発は、多くの反対署名があるにもかかわらず、ほぼ原案通りに進められようとしている。援軍が乏しい中でも「サイエンスに基づいた論理的な闘い」を続ける覚悟は揺るがない。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)
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――今年1月25日に、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「イコモス(国際記念物遺跡会議)」国内委員会理事として、事業者による神宮外苑再開発の環境影響評価書(アセスメント)が「非科学的だ」と訴える記者会見を開きました。
 資料編もいれると約1000ページになる評価書を詳細に分析して、「非科学的方法論による虚偽の構造」を明らかにしたんです。植物社会学に基づく生態学方法論の適用が必要なのに、方法論を習得していない調査者が担当していた。現況調査に根本的な誤りがありますから、これに基づく評価・予測は砂上の楼閣で、虚偽の構造となっています。1月30日の環境影響評価審議会では「ゴーサインは出せない」との発言があり、審議会の場でイコモスの指摘に答えるよう事業者に求めることが決まったのに、東京都は2月17日に再開発事業を認可しました。きわめて深刻な事態です。
 私は昨年1月に「何かおかしい」と思って、事業者が出している図面を片手に現場を調べ、約1000本が伐採されるとわかった。その後、事業者が1018本と発表しましたから、私の調査はかなり正確だといえますよね。
 再開発自体をやめてほしいと思いますが、そうもいかないのだろうと伐採樹木が2本で済む計画をつくりました。昨年4月26日に東京都に提出し、公表もしました。ところが事業者の三井不動産は話も聞かない。日本を代表する企業が返事すらせず、都合の悪いことには完全に沈黙を決め込んでいる。もう、予想外の展開ですよ。民主主義はどこにいったのか、って思います。
――東京都や事業者はなぜ真剣に検討しないのでしょうか?
 開発利益があるからです。本来、外苑のような「都市計画公園」には、超高層ビルは建てられません。しかし「公園まちづくり制度」という新しい制度がつくりだされ、民間事業者の力を活用し「再開発等促進区」を定め、制限をなくすという、とんでもないことが行われました。この制度は「長い間公園整備ができず、開園していない未供用区域」で、かつ「建築制限により市街地の更新が進んでいないところ(密集市街地等)」に適用されるものですが、今回は、計画的に整備された外苑に、秩父宮ラグビー場が「常時、開放されていない」というだけの理由で適用されてしまったのです。15mの高さ制限がある風致地区に、185mの超高層ビルが建つのですよ。考えられますか? 法の秩序はどこにいってしまったのでしょうか?
 外苑って、みんなの財産なんです。「苑」って特別な字でしょ? 新宿御苑の「苑」で、公園の「園」ではない。明治時代にここで万国博覧会を開こうとしたんですが、日露戦争後の財政難を理由に中止となり、まもなく明治天皇崩御された。そこで伊勢神宮の内宮と外宮にならい、内苑は「聖なる森」として、外苑はみんなが美しい景色の中でゆったりと楽しめる場として整備されたんです。
 内苑について書かれた『明治神宮造営誌』と、『明治神宮外苑志』を読むと、この2つの緑地の意味がわかります。外苑のほうは「志」という字を使っていて、ゴンベンがありませんね。自分たちが「志」を持ってつくった、ということがここに出ているんですよ。国内外の献金と献木、そして青年団の奉仕によって外苑はでき、1926年には日本最初の風致地区に指定されました。度重なる変更はありましたけど、基本的骨格は約100年継承されています。伊勢神宮という日本の伝統が、近代にしっかりトランスファーされているところが本当にすごい。
――ご説明を聴くと、貴重な歴史的資産なのだとよくわかります。
 私の研究は、社会的共通資本(コモンズ)としての緑地がどのようにつくり出されてきたのか、守られてきたのかを、近代都市計画の原本に遡りながら明らかにしていくことでした。困難な仕事でしたが、誰も研究していない未知の領域で、「旅」をするように心ときめくものでもありました。
 コモンズとしての緑地をつくるには理念が必要です。でも理念だけではできません。社会に実装するには法と政策が必要で、具体的なデザインと具体的なお金もいる。理念、計画、施策、デザイン、財源の5点セットがないと新しい社会的共通資本はつくれません。
――なるほど。
 私が最初に国際競技設計にチャレンジしたのは、スペイン・マドリードの「21世紀の公園」でしたが、これはEU環境基金が財源でした。貧困層の生活環境を改善するために巨大なゴミ捨て場を森林公園へと転換するというプロジェクトで、建築家の伊東豊雄さんとチームを組んで応募し1位になりました。
――すごい!
 公園は2003年から10年かけて完成させました。その後も伊東さんとは一緒に良い作品をずいぶんつくっていますよ。相手を尊重してくれるのが彼のいいところ。建物はお庭や風景の中で生きてくるものですから、お互いに相手を尊重して仕事をしてきました。
 大きな社会的仕事を実現していくには「協働」が必須です。私は、その場その場で、本当に素晴らしい方々に巡り合ってきた。2008年に発生した中国の四川大地震の農村復興支援プロジェクトは現在も続いています。東日本大震災では、私の故郷の宮城県岩沼市津波被害を受けたので、そこの復興会議議長を務めて住民と一緒に新しいまちづくりを進めてきました。
 震災のときに、ブータンの王様が被災地の福島県にお見舞いにきてくださり、そのお礼に福島の皆さんとブータンに行きました。そうしたら、首都が開発の波に翻弄されていて、王様にコモンズをつくることを進言しました。素晴らしい王様で、王族に呼びかけ、王宮の周りの棚田や森林を保全し、コモンズがつくり出されています。
 外苑の樹木の保存活動は、こうした社会奉仕の一つです。考えてみると、私はずっと奉仕活動を実践してきました。キリスト教系のミッションスクールで育ったからかもしれません。
――本当に幅広いご活躍ですね。お生まれは宮城県岩沼市なんですね。
 はい、仙台の南、電車で30分ほどの海沿いのまちです。うちは祖父が政治家をしていて、いつもいろんな方が出入りしていて、プライバシーなんてない状態。私はそういうのがとっても嫌で、もっと真っ当な暮らしをしたい、それは学問だろうと思っていました。
 中学高校は仙台の宮城学院です。お嬢様学校で、休み時間になると机の中から箱を出してレース編みをやるの。競争でね。私なんかフランス刺繍、上手でしたよ。
 あのころは駅のすぐそばに学校がありました。当時は戦争で夫を亡くされた方がたくさんいました。朝、家で育てた野菜をかついで塩釜に行ってそれを売って魚を仕入れて、その魚を売る「かつぎや」のおばさんがいっぱいいて、みんなたくましいの。電車にはそういうおばさんも大勢乗っていて、仙台駅の前には市が立っていた。ここにはアコーディオンを弾く傷痍軍人さんもいて、戦争の被害を受けながら必死に生きる人たちが大勢集まっていて、とにかくカオス。そこを通り抜けていくと、まるで天国のような学校がありました。荘重なパイプオルガンと賛美歌で、一日が始まる。
 毎朝、そういう複雑なものをたくさん見て育ったので、いろんなことを考えました。戦争の悲惨さとか、平和の大切さとか、人を愛することがどれだけ大事かとか。
 高校3年生のときに、役所に勤めていた父が亡くなりました。要するに大学は学費の安いとこにしか行けない。お嬢様学校で、受験勉強なんかしていないから現役では受からない。東京に叔父がいたので、そこで1年間受験勉強をして東京大学に入りました。
 植物の勉強をしたいと思っていました。高校の先生に里山にいろいろ連れて行っていただいて、野草大好き、植物大好き人間になりました。でも、あのころは高度成長期で開発もすごかった。大好きな森がある日突然、ブルドーザーが入ってなくなってしまう。こういう理不尽なことを学問によって解決できないかと思っていました。
 ところが、入学しても学園紛争でバリケード封鎖されていて、中に入れなかったんですよ。私の次の年は入試が中止。そういう世代です。私は何でストライキやっているのかわからない。結局、勉強しようと思って大学に来たのに勉強ができなかった。その思いはずっとありました。
>>【後編:3人の子どもに「お母さんはやっぱり勉強したい」主婦から大学教授になった石川幹子さんの分岐点】に続く

石川幹子(いしかわ・みきこ)/1948年宮城県岩沼市生まれ。1972年東京大学農学部卒、1976年ハーバード大学デザイン大学院修士課程修了(M.L.A)、1976~1991年東京ランドスケープ研究所・設景室主幹。1994年東大大学院農学生命科学研究科博士課程修了(農学博士)。工学院大学特別専任教授、慶應義塾大学環境情報学部教授を経て2007年から東大大学院工学系研究科都市工学専攻教授、2013年から中央大学理工学部人間総合理工学科教授・学科長。2019年から中央大学研究開発機構教授。中国の四川大地震復興支援に対し、2020年に都江堰市から最優秀人材栄誉賞を、2022年に成都市から公園都市建設を先導した貢献をたたえるメダルを受けている。
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 4月5日 MicrosoftStartニュース スポニチアネックス スポーツニッポン新聞社坂本龍一さんが懸念していた明治神宮外苑の樹木伐採、新宿区長がコメント 生前の手紙に言及
 東京・新宿区の吉住健一区長が、5日までに自身のSNSを更新。3月28日に死去した音楽家坂本龍一さんを追悼するとともに、坂本さんが生前に懸念していた東京・明治神宮外苑の再開発による樹木伐採について見解を示した。
 吉住健一新宿区長公式ツイッター(@yoshizumi_ken)
 © (C) スポーツニッポン新聞社
 吉住区長は4日夜、「お問合せの多かった神宮外苑の件について正式なコメントを発表する用意が整いましたので下記の通りプレスリリースをしました」として、区のホームページに「神宮外苑を構成する緑の保全」及び「坂本龍一氏のご逝去」についてのコメントを掲載したことを報告。
 関連するビデオ: 明治神宮外苑 再開発で樹木伐採に手をつないで抗議 (テレ朝news)
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 テレ朝news
 明治神宮外苑 再開発で樹木伐採に手をつないで抗議
 環境問題に積極的に取り組んでいた坂本さんは生前、小池百合子都知事宛に「神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。どうかご一読ください」と手紙を送付。「率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません」と、再開発の見直しを求めていた。
 この日、神宮外苑を擁する新宿区は「神宮外苑地区のまちづくりに関する行政手続きにあたる、東京都風致地区条例に基づく樹木の伐採許可について、区民の皆さま、関係者の皆さまから、『明治天皇の事績を敬い、全国の篤志家のご奉仕によって造成された神宮外苑の歴史と緑環境を守るべき』との様々なご意見・ご要望を頂いています」とした上で「区は、東京都からの意見照会に際し、『創建時からある既存の樹木は保全に努められたい』、『神宮外苑の創建趣旨を踏まえ、歴史や文化を踏まえた計画とされたい』、『計画全体の中で緑の質の向上を図り、緑豊かな都市環境の保全・強化に努められたい』と回答してきました」として、区としての考え方を提示。「建国記念文庫周辺の神宮外苑の創建時からある移植可能な樹木について、当該地で移植が困難な場合には、区有地に移植するなど、将来的に神宮外苑地区の歴史ある風致を継承できるよう協力する」「明治神宮外苑造営の趣旨を後世に伝えるため、事業者に対して、史実の検証を求め、改めて樹木の保全等への協力を要請する」などの4項目を発表した。
 また、「坂本龍一氏のご逝去について」と題した別紙では「敬愛する音楽家、故坂本龍一様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げます」と追悼。「生前の坂本龍一様からのお手紙をはじめとして、関係者の皆さまからのご意見やご質問をいただき、本日コメントを発表する予定でしたが、突然の訃報に驚いております。区は、都市マスタープランや環境基本計画に基づいて『7つの都市の森』の保全や拡充、まちなかの緑化などを通じて緑被率を高めてきました。今後も、賑わいと潤いのバランスのとれたまちを目指して取り組んでまいります」と声明を発表した。
 この声明発表には「新宿区区長、素敵な第一歩です!」「真摯なコメントに敬意を表します」「現状の景観を残しつつ再開発、が良くないですか?」「真摯なご対応をありがとうございました」と、さまざまな意見が寄せられた。
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 5月8日 MicrosoftStartニュース 日刊ゲンダイDIGITAL「小池都知事の“我関せず”もう通用せず! 神宮外苑「樹木伐採問題」を海外メディアも猛批判
 “我関せず”は通用しない(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ
 © 日刊ゲンダイDIGITAL
 東京都の明治神宮外苑の再開発に伴い、大量の樹木が伐採される問題を巡って、海外メディアが連休中に批判記事を展開し、話題になっている。事業を認可した小池都知事は、これ以上無視できるのか。
 米AP通信は先月29日配信の記事で〈神宮外苑は文化的・歴史的な宝物〉と強調し、〈小池氏は、環境への影響に疑問があるにもかかわらず、一部の建設を許可している〉と指摘。〈都の計画は(ニューヨークの)セントラルパークに「超高層ビル」を設置するがごとくだ〉と批判している。
 30日には、米紙ニューヨーク・タイムズ電子版が〈未来に向け、日本は野球の歴史に別れを告げようとしている〉との見出しで報じた。再開発に伴う神宮球場の解体に焦点を当て、〈ベーブ・ルースが活躍し、小説家・村上春樹が影響を受けたスタジアムである明治神宮(球場)を、極端な再開発計画で平らにしてしまうのだ〉と指摘。村上春樹神宮球場で野球観戦していた際に、処女作「風の歌を聴け」の着想を得たエピソードを紹介し、歴史ある球場の消失を惜しんでいる。
 3月28日に亡くなった音楽家坂本龍一さんが生前、小池知事を含む5氏に再開発の見直しを求める手紙を送っていたことが分かり、国内メディアが事業の問題点を報じているが、いよいよ海外メディアまでもが注目。小池知事の“敵”が続々と増えている状況だ。
 “忖度なし”の海外メディアからのプレッシャー
 小池知事はこれまで、再開発の主体が三井不動産などからなる「事業者」であることを強調し“都は関係ない”というスタンスを貫いてきた。しかし、再開発工事を認可したのは、まぎれもなく小池知事だ。その点を海外メディアにもスッカリ見透かされている。もはや“我関せず”は通用しなくなるのではないか。元都庁幹部の澤章氏はこう言う。
 「小池知事は『都は関係ない』という態度で逃げおおせると思っていたのでしょう。しかし、坂本龍一さんの手紙をきっかけに猛批判にさらされ、さらに“忖度なし”の海外メディアの追及も加わったわけですから、相当なプレッシャーを感じているはずです。“我関せず”という態度を示し続ければ、どんどん批判が集中することになるでしょう」
 2021年の東京五輪を巡っては、当時、大会組織委員会会長の森元首相が、女性蔑視発言を海外メディアに猛批判されたことをきっかけに辞任に追い込まれた。なめていると小池知事も痛い目を見るに違いない。
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