🎑108)─9・⑥─アニメ市場4兆円「過去最高」の死角。国内停滞と「アニメ・バブル崩壊」の兆候。~No.243 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本は、少子高齢化でジャパン・アニメを製作する青少年が減少し、増える中国人移民などが外国人移民がアニメ製作現場にも増え彼らが持ち込む宗教・文化・伝統・言語に影響されたジャパン・アニメはグローバル・アニメに変貌していく。
 日本民族の伝統、文化、宗教は、日本国語でしか表現できず、中国語(中国共産党価値観言語)では不可能である。
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 2025年11月2日 YAHOO!JAPANニュース「アニメ市場4兆円「過去最高」の死角。国内停滞と「バブル」の兆候【Weeklyアニメビジネス】
 日本動画協会リリースより引用
 アニメ産業市場が過去最高の4兆円規模に――。今週、一般社団法人日本動画協会が発表した「アニメ産業レポート2025」(筆者も配信分野の分析と執筆を担当しています)の速報値は、日本のアニメ市場が世界に向けて更に拡大したことを示しています。しかし、この「過去最高」には死角もありそうです。
◆過去最高値となる4兆円規模となった2024年のアニメ産業市場 世界的な日本アニメの広がりが市場規模拡大をけん引 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000017625.html (2025年10月30日 ※本稿のグラフ・データもこちらから引用)
 データが示す国内市場の「停滞」
 今回の速報値はその内訳を見ていく必要があります。
 まず、成長ドライバーである海外市場は前年比126.0%と急伸しました。しかしこれは昨今の歴史的な円安による「為替差益」が大きく影響しています。ドル建てで計上される海外からのライセンス料が、円換算することで数字を押し上げている側面は考慮すべきでしょう。
 一方で注目したいのは、国内市場の伸びが前年比102.8%に留まった点です。物価上昇率なども鑑みれば、これは実質的には「横ばい」に近い状態であり、国内市場の「停滞」を示しているものです。
 その背景には、これまで市場を支えてきた「番販(テレビ局への番組販売)」の売上が頭打ちになっていることが挙げられます。テレビ局(キー局)は深夜帯アニメの製作委員会への参加を増やしIP収益の確保を図る動きを強めている一方で、番販の主な売上として計上されてきた子ども向け番組の調達は、少子化も背景に絞り込む傾向が続いているのです。さらに、筆者が担当した「配信」分野についても、国内外のプラットフォームにおいて新作の調達は引き続き好調であるものの、旧作カタログの調達は一巡した感があり、ここから飛躍的な売上増を見込むのが難しくなってきました。
 番販と配信という2つの収益源の成長の限界も見えてきたいま、アニメビジネスは、商品化(マーチャンダイジング)やイベント、ゲーム化といった展開を、いかに海外でも実現できるかが、ますます重要性を増しています。
 「バブル」の兆候と、需要転換のリスク
 このように国内市場が停滞する一方で、世界的なアニメ需要の急拡大に伴い配信を中心に市場が急成長している構図は、過去に業界が経験したある状況と重なって見えます。それは、2000年代後半のいわゆる「DVDバブル」とその後の市場縮小です。(グラフ「アニメ業界市場」でも2005年をピークにおよそ10年の縮小・停滞期が見てとれます)
 日本動画協会リリースより引用
 当時はDVDパッケージ市場が急拡大しており、ビデオメーカーは人気旧作タイトルを次々とDVD-BOXとして販売し売上を拡大させましたが、需要のあるタイトルには自ずと限りがありました。この状況は現在の配信サービスへの旧作カタログの充実と状況が似ています。そしてDVD市場の活況は、違法配信(海賊版)の台頭によってわずか数年で覆され、急激に縮小しました。
 この時はパッケージから配信へというメディアの転換が原因となったわけですが、現在はどうでしょうか。DVDに代わる「映像」分野の収益源は、Netflixをはじめとする「配信プラットフォームによる世界同時展開」ですが、旧作カタログの調達についてはほぼ一巡という状況です。そして、その最大の買い手であるプラットフォーム側で、「アニメでなければならない」というニーズが転換する兆しも見え始めています。
 象徴的なのがNetflixの日本におけるコンテンツ戦略の変化です。一時期はオリジナルも含めアニメ作品へ巨額の投資を行っていましたが、近年は『ONE PIECE』や『幽☆遊☆白書』といった「マンガ原作の実写化」に戦略の軸足をシフトさせています。
 これは、海外の需要の本質が「アニメ」という表現手法そのものにあるのではなく、その源泉である「マンガから生まれる強力なIP」にある可能性を見据えたもの、すなわち「需要の転換」の兆しとも捉えられます。
 帝国データバンクの調査などでも明らかなように、国内のアニメ制作現場は恒常的な人材不足に直面しており、国内の生産力はすでに限界を迎えつつあることも背景にあります。配信プラットフォームなどの需要側が、アニメコンテンツを切望(良い調達額を提示)しても、実際に納品(完成)されるのは3年以上、場合によってはいつになるのか見通せないというケースも耳にします。なかなかアニメにならないのなら、より幅広い層に訴求できる実写を、それも日本以外のスタジオで作る、という選択肢がプラットフォーム側に生じるのはごく自然な流れです。
 アニメは次なる高みを目指すことができるか?
 海外需要が成長の大きな柱となっている現在の活況が、生産力が限界を迎えつつあるなか、IP需要がその転換リスクという危うい状況の上に成り立っている可能性はないか、注意深く市場を見ていく必要があります。
 少子高齢化が止まらない国内市場の再構築が困難である以上、戦略的なリソースはより一層「海外市場」とそのニーズに応える生産力向上へ振り向ける必要があります。そして、海外市場でこそ「なぜ実写やゲームではなく、アニメでなければならないのか」という問いに対する答え、すなわち「アニメ」ならではの付加価値を作品の質とビジネス展開の両面で示し続けなくてはなりません。
 「4兆円」という数字はゴールではなく、変革を迫るスタートラインと捉えるべきでしょう。
 今週の注目ニュース(2025/10/27~2025/11/02)
Netflixワーナー・ブラザースディスカバリー買収を「積極的に」検討中と報じられる https://jp.ign.com/netflix/81490/news/netflix(2025年11月1日)
 →WBCの独占配信などニーズあるコンテンツの調達には貪欲なNetflix。以下の記事で紹介されているように広告事業は好調。それも背景に映画だけでなく広告との相性が比較的良いテレビ番組などの幅広いカタログと制作能力を持つWBは魅力的であるはずです。
Netflix、Q3決算は一時費用で減益も堅調。売上17%増、広告収益は倍増ペースへ | Branc(ブラン)-Brand New Creativity- https://branc.jp/article/2025/10/31/2086.html (2025.10.31 ※要登録)
ソニーグループ十時裕樹社長CEOが語ったAI時代のエンタメ 一問一答 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN251NX0V21C25A0000000/ (2025年10月27日 ※要登録)
 →一方ソニーは買収には消極的。
講談社など出版社17社&2協会、生成AI時代の創作と権利のあり方に関する共同声明 現時点の懸念と権利侵害への対応 | オリコンニュース(ORICON NEWS) https://www.oricon.co.jp/news/2415948/full/ (2025-10-31)
◆「Sora 2は著作権侵害」――出版・アニメ制作会社など集う国内団体が声明 OpenAIに要望書を提出(1/3 ページ) - ITmedia AI+ https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2510/28/news116.html (2025年10月28日)
 →筆者もSora2のリリース直後に日本のコンテンツ業界は舐められているという記事を書きましたが、各業界からの声明が立て続けに発表されました。注目は①オプトアウトではなくオプトインを求めている、②学習段階での著作権侵害の可能性を指摘し、許諾(=対価)を求めている、という点です。これまで国はAIの経済効果に期待し世界的に見ても緩やかな規制に留めていましたが、創造性を守るという観点から、改めてその向き合い方が問われるフェーズに入ったと言えます。
◆「6th EVENT The New Frontier」秋公演のフラワースタンドの返金対応について」ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames https://umamusume.jp/news/detail?id=2892 (2025.10.31)
 →推し活ブームの一方で、ファンの需要の高まりに応えきれない事業者が出てきた一例。直接の責任を負っていないCygamesが自ら返金費用を負担するに至っています。
ソニーGの映画事業、アニメの実写リメイクを拡大 幹部が意欲 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3058U0Q5A031C2000000/ (2025年10月30日 ※要登録)
 →こちらもアニメの実写化についての動き
テレビ朝日スーパー戦隊が放送終了へ 半世紀49作の歴史に幕 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC30C6D0Q5A031C2000000/ (2025年10月30日)
 →今週特撮ファンの間からは驚きの声が上がったニュース。記事でも触れた少子化の影響を受けた形ですが、仮面ライダーシリーズのように大人(往年のファン)の需要をうまく掘り起こせてこなかったことに加え、海外展開も低調だったことも悔やまれます。
経産省、エンタメ海外売上「20兆円」へ新戦略。「世界を席巻する支援」に転換、「作品に口出さず」など5原則も | Branc(ブラン)-Brand New Creativity- https://branc.jp/article/2025/10/30/2083.html (2025.10.30 ※要登録)
 →長らくその必要性は指摘されながら、市場がハリウッド映画などに比べて小さく参入の旨味がない、とされてきた「完成保証」やタックスクレジット(税額控除)というキーワードがようやく政策のメニューとして出てきました。新政権がこれらの「本当に必要なこと」を推進できるか、引き続き注目したいと思います。
東映アニメ、株価2カ月ぶり高値 営業利益5割増の5カ年計画を好感 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL300T90Q5A031C2000000/ (2025年10月30日 ※要登録)
 →東映アニメーションの5カ年計画には、アジア圏での制作拠点の拡大が強調されています。記事でも挙げたボトルネックの解消につながることに期待したいです。
TVer広告、2025年度上期売上昨年同期比 206%。2024年度通期に続き、二期連続で2倍超の成長率で推移 | Branc(ブラン)-Brand New Creativity- https://branc.jp/article/2025/10/27/2065.html (2025.10.28 ※要登録)
 →好調。アニメの見逃し配信ウィンドウとしても存在感が増しています。
 まつもとあつし
 ジャーナリスト・研究者
 専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授。IT系スタートアップ・出版社・広告代理店、アニメ事業会社などを経て現職。実務経験を活かしながら、IT・アニメなどのトレンドや社会・経済との関係をビジネスの視点から解き明かす。ITmediaにて「アニメのミライ」連載中。デジタルコンテンツ関連の著書多数。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士(プロデューサーコース)・東京大学大学院情報学環社会情報学修士 http://atsushi-matsumoto.jp/
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10月5日 YAHOO!JAPANニュース「日本は舐められている――生成AI「Sora 2」のアニメ「ただ乗り」(Weeklyアニメビジネス)
 Sora 2 公式サイトより https://openai.com/index/sora-2/
 9月30日にOpenAIが動画生成AI「Sora 2」を発表すると、その直後からユーザーが生成した動画がSNS上で次々と拡散されました。『ドラゴンボール』などの人気キャラクター同士の格闘シーン、『進撃の巨人』のような立体的なカメラワーク、『千と千尋の神隠し』や『君の名は。』を彷彿とさせる繊細な情景描写など、日本の著名なアニメ作品がほぼそのままの精度で再現されたものもあり、業界内外に衝撃が走っています。
 単にキャラクターデザインが似ているだけではなく、爆発のエフェクト、キャラクターの表情の作り方、緩急のついたアクションの組み立て方といった、アニメーターたちが長年かけて培ってきた「動き」の技術までもが、巧みに模倣されていました。
 多くの人がまず注目したのは、個別のキャラクターが巧妙に再現されている点です。しかし、問題はキャラクターの意匠(デザイン)だけではありません。日本のクリエイターたちが築き上げてきた表現のノウハウ、いわば日本アニメの「遺伝子」そのものが、私たちの知らないところで海外のAIに解析され、利用されようとしていることがあからさまになった、とも言えます。
 ディズニーはOpenAIの提案を「蹴って」いた
 Sora 2の発表後、「ディズニーはOpenAIと話してオプトアウトした」といった報道もありましたが、事実は異なっていたようです。10月4日、日本経済新聞の中藤玲記者がX(旧Twitter)で報じた業界関係者への取材によれば、その対応は以下のようなものだったといいます。
 「無許諾での著作物の複製・公開は一切認めない」という大前提を相手に確認させ、OpenAIが設定した「オプトアウトするか否か」という交渉の土俵にすら乗らないという、極めて毅然とした、交渉の初手のお手本のような対応です。
 一方で、日本のアニメスタジオや放送局、配給会社といったコンテンツ権利者に打診があったという情報は筆者の周囲でもいまのところ皆無です。
 その背景には、日本の著作権法がAIの「学習」段階においては、権利者の許諾を不要とするなど、世界的に見ても開発者に有利な環境であることが挙げられます。しかし問題なのは、Sona2がその法的な優位性に基づいて学習を行ったとみられるだけでなく、ユーザー自身にコンテンツを生成・投稿させ一義的な責任を回避しているように見える点です。
 OpenAI側が日本のコンテンツ業界を軽視し、「日本のコンテンツは自由に使っても当面は問題ない」と判断していたと評価せざるを得ず、はっきり言えば「舐められている」状態にあると言えます。
 日本アニメの「遺伝子」を守るためには?
 アニメ業界では人手不足も背景に、生成AIの研究や実証がはじまっています。そんな中、Sora2をはじめとした生成AIサービスから、「何を守るべきなのか」いまいちど確認が必要となっています。
 個別のキャラクターだけではなく、守るべきは、日本の「アニメ」が持つ技術の蓄積、すなわち「どう絵を動かせば人の感情が動かせられるのか」という、先人たちの努力の積み重ねによって培われた表現のノウハウ、いわば日本アニメの「遺伝子」だと筆者は考えます。この資産がAIによって無尽蔵に模倣され、価値が毀損されることが大きな問題です。
 ところが、この「遺伝子」を業界全体として守るには大きな壁があります。これがOpenAIが日本のアニメコンテンツの許諾を軽視した一因とも考えられるのですが、日本のアニメ業界の構造上、迅速かつ一致したアクションを取るのに時間が掛かる、という点です。多くのアニメは製作委員会方式で作成されており複数社に権利が分散しています。また、アニメスタジオは「作品は原作あっての賜物」という意識が強く「自分たちの権利を守る」という主張を主体的に発しにくいのも実情です。
 それでも行動は必要になってきます。一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)は公開したパブリックコメントの中で、AI事業者に対してと「オプトアウトの権利(自らの著作物を学習対象から外すように申請し、それが受理された場合には学習済みモデルからの削除を義務付ける権利)が認められるべき」と提言しています。このような具体的な要求を、業界全体の声として発信していくことが不可欠となります。
◆AI時代における知的財産権に関する意見 | NAFCA 一般社団法人日本アニメフィルム文化連盟 https://nafca.jp/public-comment01/ (2024年11月24日)
 まずは、製作委員会では幹事を務め、海外も含めた広報と販路を担うことが多いメーカーや配給会社が、問題に対して迅速に対応することが求められます。そして、個々の企業の動きと並行し、国としての行動も不可欠です。自民党の塩崎彰久衆院議員は、Sora 2の発表があった翌日の9月26日、「看過できない状況」とし、「日本のクリエイターと知財コンテンツ産業を守るため、早急に対応します」とX(旧Twitter)で表明しています。政府も業界の声を聞き、文化資産保護の観点からAI事業者との交渉を後押しするような、明確な姿勢を示すことが必要です。
 なお、残念ながら米国政府の仲裁に期待することは困難です。米国土安全保障省(DHS)が、人気ゲーム『ポケットモンスター』の映像やテーマ曲を、米移民関税執行局(ICE)による強制送還の様子を映した動画に無許諾で使用し、権利者である株式会社ポケモンが明確に否定する声明を出す事態となりました。「アメリカファースト」を標榜し、他国の映画に100%の関税を掛けると宣言しながら、自ら無許諾動画を投稿している政府に対して、日本のコンテンツ保護を働きかけるのは極めて困難と言わざるを得ません。
ポケモンのアニメ映像で「移民の取り締まり」を宣伝。米国土安全保障省SNSに批判相次ぐ | ハフポスト WORLD https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_68d363b2e4b0da7d3de279a6 (2025年09月24日)
 先例としてのYouTube ― 「訴訟」が有効な交渉カードに
 Sora2の投稿動画が個々のユーザーによって生成・公開されているという点もOpenAIの巧妙さをよく示しています。プラットフォーム側が直接的な法的リスクを回避しつつ、ユーザーを矢面に立たせる「人間の盾」とも言える構造になっているのです。このようにしたたかな巨大ITプラットフォームと、資本力では到底叶わない日本のアニメ業界は、対等な交渉のテーブルに着くことができるのでしょうか?
 先行事例としてはYouTubeが挙げられます。2000年代中頃に登場した当初、YouTubeはアニメを含むあらゆるコンテンツが無断でアップロードされる「無法地帯」であり、権利者にとっては収益を奪う存在でした。この状況を大きく変えたのが、権利者による訴訟アクションです。特に2007年、米メディア大手バイアコムYouTubeに対し10億ドルの損害賠償を求めた訴訟は象徴的なものです。
◆米ViacomGoogleYouTubeに対して10億ドルの損害賠償訴訟 https://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/03/14/15067.html (2007年03月14日)
 法廷闘争は、賠償金を得るだけが目的ではありません。相手を交渉のテーブルに着かせ、新たなルールを構築させるための極めて有効な戦略です。
 厳しい追及に直面したYouTube(および親会社のGoogle)は、巨額の投資を行い権利者が自らの著作物を管理できる「Content ID」というシステムを開発しました。これにより、現在では権利者は無断アップロードされた動画を「ブロックする」だけでなく、「広告を掲載して収益化する」という選択も可能になりました。
 結果として、かつての「無法地帯」は、プラットフォーム、権利者、そして(公式コンテンツを視聴できる)ユーザーのそれぞれにメリットがある、世界最大の収益分配プラットフォームへと変貌しています。Sora 2のような生成AIの場合は、より問題は複雑になりますが、日本のアニメ業界や国も、このYouTubeの事例に学ぶべき点は非常に多いと言えます。
 また既に生成AIを巡っては、音楽や新聞の分野で訴訟が進んでおり、権利者側に有利な判断も生まれています。こういった動きも注目しておく必要があるでしょう。
◆音楽生成AIのSunoとUdioを全米レコード協会が著作権侵害で提訴 - ITmedia NEWS https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2406/25/news101.html (2024年06月25日)
◆読売新聞、生成AIめぐり米企業提訴 記事無断利用は「著作権侵害」:朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/AST871W57T87UTIL00LM.html (2025年8月7日※要登録)
 OpenAIの行いは違法性が強く疑われ、リスペクトを欠いている
 奇しくも、OpenAIがSora 2を発表した今週、サム・アルトマンCEOは日本を訪れ、日立製作所との提携強化や、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長と生成AIをめぐる協議を行うなど、その動向が華々しく報じられました。
 しかし、それらのニュースの裏側で、OpenAIは日本のクリエイターたちが長年かけて築き上げてきた文化資産を無断で学習し、誰でも容易に模倣できるサービスを平然とリリースしていたことになります。オプトアウトの打診すらなく、ユーザーを「人間の盾」として利用するその手法は、著作権法不正競争防止法に抵触する可能性が強く疑われるだけでなく、何よりも日本のアニメと、それを支えるクリエイターたちへのリスペクトを著しく欠いています。批判を受けアルトマン氏は「個人BLOG」に著作権への配慮を行うことを表明し一部フィルタリングも開始されましたが、「著作権所有者もキャラクター使ってファンが楽しむのを歓迎している(We’ve heard from a lot of rightsholders who are very excited for this new kind of “interactive fan fiction” and believe it will bring them a lot of value.)」といった旨も記されており、問題を十分に認識しているか不透明です。また本稿執筆時点でOpenAIとしての表明は行われていません。一連の問題の経緯や対応からも巨大AI企業との向き合い方を今一度見直すべきタイミングになっていると感じます。
◆OpenAIのアルトマンCEO、渦中の動画生成AI「Sora」の改善方針を明かす 日本のコンテンツにも言及 - ITmedia AI+ https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2510/04/news033.html (2025年10月04日)
 今週の注目ニュース(2025/9/29~2025/10/05)
 今週のアニメビジネス関連の主要な動きやコラムなどを紹介します。
◆U-NEXT HD、動画配信の伸びに注目 最高値更新なるか - 日経ヴェリタス https://www.nikkei.com/prime/veritas/article/DGXZQOUC02AK90S5A900C2000000 (2025年10月4日※要登録)
 →アニメ視聴ではAmazon Prime Videoと並ぶ2頭体制になりつつあります。Netflixの調達規模縮小の一方、U-NEXTとの競争を意識してか、Amazonの投資が旺盛になっているようにも見受けられます。
◆北欧の若者を魅了する日本のポップカルチャー、その受容の形から見えてくる「ポリローカリゼーション」|icn-crrd(文化資源研究開発☆地域間ネットワーク) https://note.com/icn_crrd/n/n0b22e3580cab (2025年10月4日※要登録)
 →筆者が所属する研究団体からのリポート。「日本には行ったことがないし、行く必要も感じない。なぜなら、アニメはもうここで自分たちの文化になっているから」という北欧の若者のコメントも紹介されており、日本のポップカルチャーの現地化が進んでいることが窺えます。
◆AI俳優にハリウッドの労組が反発、人間の芸術性脅かすと批判 - Bloomberg https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-10-01/T3FHM9GOYMTC00 (2025年10月1日)
 →今回のコラムとあわせて読んでいただきたい内容。実在の俳優のAIへの置き換えには既にハリウッドで大きな反発が起っています。アニメキャラクターやその表現のノウハウをどう守るのか、というテーマとも通じるものがあります。
◆推し活にも節約の波 チケットやグッズ高額に「ついていけない」 - 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0965W0Z00C25A9000000/ (2025年10月1日※要登録)
 →学生を見ていても物価高も重なって国内消費の喚起は限界を迎えつつあると感じます。
◆『サイレントヒルf』、発売翌日に全世界累計出荷本数100万本を突破。『サイレントヒル2』よりも早いペースでの達成 | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com https://www.famitsu.com/article/202509/54021 (2025年09月29日)
 →アニメではありませんが、日本の地方が舞台、女子高生が主人公とローカルな世界観がそのまま世界に受け入れられていることを象徴するニュース。シナリオを『ひぐらしのなく頃に』で知られる竜騎士07氏が務めていることも注目です。
◆アニメ・マンガ ― 物語がブランドを越境させる https://www.advertimes.com/20250929/article515798/ (2025年9月29日)
 →コンテンツツーリズム学会会長も務める増淵氏による連載コラム。「受け手に委ねるストーリーテリング」「共創文化」といったキーワードも登場します。
 まつもとあつし
 ジャーナリスト・研究者
 専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授。IT系スタートアップ・出版社・広告代理店、アニメ事業会社などを経て現職。実務経験を活かしながら、IT・アニメなどのトレンドや社会・経済との関係をビジネスの視点から解き明かす。ITmediaにて「アニメのミライ」連載中。デジタルコンテンツ関連の著書多数。デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士(プロデューサーコース)・東京大学大学院情報学環社会情報学修士 http://atsushi-matsumoto.jp/
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