⛩20)─5・K・③─「昆布文化」がなかったノルウェーに新しい動き。和食の「うまみ」。〜No.43 

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 和食における昆布文化・うまみ文化は、現代の日本人では、昔の日本民族が生み出し守ってきた日本固有の食文化である。
 現代日本人は、会った事も話をかけた事もない無名の祖先を疎かにしている。
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 2025年7月2日 YAHOO!JAPANニュース「海に囲まれているのに「昆布文化」がなかった国 ノルウェーの新しい動き
 海とフィヨルドの国なのに、なぜか昆布類を食べる文化がなかったノルウェー。その食卓文化には、じわじわと変化が起きています。食べられる海の草の魅力に気が付いてもらうために、「国立美術館」が始めた意外な企画とは?筆者撮影
 ノルウェー国立美術館が開催中の「新北欧料理」の展示では、美術館の「外」でも、わくわくする企画が催されています。
 今回筆者が参加したのは、食用の海藻を暮らしに取り入れる一歩を踏み出すための「昆布類を採って、味わう」イベント。新北欧料理のムーブメントでは、食用の海藻も重要な役割を果たしています。
 今回は首都オスロ近郊のネーソタンゲンのフィヨルド沿いで、実際に昆布類を採取し、その後ミュージアム前のパビリオンで調理する体験が行われました。
 ノルウェーは日本と同じように海に囲まれ、豊かな魚介類に恵まれた国です。しかし意外にも、長年この国では「海の中に食べられる海藻があること」や、「昆布を料理に使う文化」について、多くの人が知らずに過ごしてきました。
 今回の体験会では、Norges sopp- og nyttevekstforbund(ノルウェーキノコ・野草協会)のスタッフが、どんな種類の昆布が採れるのか、どう見つけ、どう調理できるのかを丁寧に説明していました。筆者撮影
 網の袋を使うと水が切れやすいこと、冷蔵庫では数日、乾燥させれば数年保存できること、キノコのように毒のある種類がないため初心者でも安心して採取できることなど、日常に活かせる実用的な知識も共有されました。
 講師からは「うまみ」「ふりかけ」「海苔」などの日本語も飛び出し、会場では驚きと関心の声があがりました。
 学んだ知識をもとに、早速フィヨルドで昆布探しを始める参加者。筆者撮影
また、「かつてバイキング時代には昆布に貨幣のような価値があった」といった話も披露され、海藻が未来の資源として再評価されていることが伝えられました。動物の餌や塩の代わりにもなることや、新しいフードシステムや労働市場にもつながるSDGs食材として注目されています。
 近年では、オスロ市内の一部スーパーでもわかめが販売されるようになり、イベント会場などでは韓国産の海苔が無料で配布されることも出てきました。新北欧料理の広がりとともに、「海藻を食べる文化」は北欧の市民生活に少しずつ根を下ろしはじめています。
 イベントの最後には、スタッフからこんな言葉も聞かれました。
 「海水中にある『気持ち悪い』と思っていたものが、素敵な発見になる。海藻の世界を知ると、もう海が以前と同じようには見えなくなりますよ」
 それでは、当日の写真をご覧ください。
 オスロ中心部からフェリーで30分ほどでアクセスできる島ネーソタンゲン。港から徒歩5分ほどの岩場へ向かいました。 筆者撮影
 オスロの海藻はほとんど食用ばかりだそうで、「毒キノコのように危険なものはないから、むしろ安心して海藻ハンティングができる」とのこと。ノルウェーの市民はキノコやベリー狩りが大好きですが、食用の海藻の魅力に気が付いたら、フィヨルドに駆け込む人が増えそうです。筆者撮影
 一つリマインドしたいのが、これは「国立美術館」の展示に関連したイベントだということ。「美術館とはなにか」の概念を破壊している光景が筆者は好きです。筆者撮影
「ここを、こうして切るの」と専門家の隣で、真剣に話を聞いている参加者もいました。 筆者撮影
 森でのキノコ狩りと同じように、黙々と集中している人も。筆者撮影
 食用海藻のほかに、この島で採取できる「実は食べれる野草や花」の専門家もおり、実際にこのあと調理しました。筆者撮影
 フェリーで国立美術館のパビリオンに戻り、オスロで採取できる昆布類や野草を使用して、調理開始。昆布巻きのタラに参加者は興味津々。筆者撮影
 ノルウェー市民はキノコの知識は豊富ですが、日本ほど山菜を食べる食文化は発展していません。そのため、今の時期に採れる野草や花でサラダを作ったり、食べることのできる海藻を使用したチョコレートの試食もありました。筆者撮影
 たくさんの食べることができる昆布類は試食し放題。参加者は喜び、驚きながら口にしていました。筆者撮影
 このイベントの参加料金は約4300円ですが、島での海藻クラス+パビリオンでの料理教室で、合計5時間での体験と驚きの連続を考えると、「安いな」とさえ感じました。筆者撮影
 タラ、魚の卵、昆布で味付けされた野草や花と、贅沢なお皿。意外と苦めのサラダでしたが、この日1日の素晴らしい学ぶと体験が詰まった、特別な一皿に感じました。筆者撮影
 鐙麻樹
 北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会会員
 あぶみあさき。オスロ在17年目。ノルウェーフィンランドデンマークスウェーデンアイスランド情報発信。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。多言語学習者(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーションノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』北欧関連プロジェクト/コンサルティンング業はhello@nordicoffice.jpまで
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