🎑114)─1─なぜゴジラやガメラはアメリカで支持された?~No.255 

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 2023年2月11日 YAHOO!JAPANニュース 専門マスター「【なぜゴジラガメラアメリカで支持された?】日本の怪獣映画が受け入れられた知られざる背景とは?
 二重作昌満 博士(文学)/PhD(literature)
 こんにちは♪
 文学博士の二重作昌満(ふたえさく まさみつ)です。
 段々と春の足音が聞こえてくる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
 私は寒いのが苦手なので、早く暖かい春になって欲しいなと感じております(笑)。
 さて、今回のテーマは「世界で活躍する日本の怪獣」です♪
 突然ですが、皆様は「怪獣」と聞くと何を思い浮かべますか?
 ゴジラ(写真右)とガメラ(写真左)人形(筆者撮影)
 ゴジラ? ガメラ? バルタン星人?
 私達日本人の生活の中でも、映画やテレビなど、大衆娯楽の対象として、    
 長きに渡って愛され続けている怪獣達。
 ゴジラガメラなど、各社が生み出した怪獣達の歴史は約70年に渡り、現在も新作が発表されていることからも、もはや日本が世界に誇る文化といっても過言ではないと思います。
 そしてその人気は日本だけに留まらず、海外でも怪獣達はスターとして活躍しており、近年では日米スター怪獣の対決を描いた『ゴジラVSコング(2021)』の公開等、その勢いは留まることを知りません。
 そこで今回は、なぜ米国で日本の怪獣達が愛されるようになったか、その歴史を紐解いていきたいと思います♪
 ※「私、怪獣映画を観たことがないわ」という皆様のために、本記事は概要的にお話をしております。お好きな物を片手に、ゆっくり本記事をご覧頂ければと思います。
 【怪獣映画は金の卵?!】日本政府が怪獣映画の制作を支援していた事情とは?
 ところで皆様、ゴジラガメラをご覧になったことはありますか?
 ゴジラは、1954年に公開された東宝製作の怪獣映画「ゴジラ」に登場した怪獣のことです。本作は、ビキニ環礁の水爆実験によって眠っていた生物が怪獣ゴジラとなり、東京を破壊するというのが主な内容です。また核実験に対する警鐘や平和への祈り等、戦後の日本を想起するメッセージ性が強かったのも特徴でした。
 水爆大怪獣ゴジラ(2022年筆者撮影)
 円谷英二ミュージアム tette テッテ 須賀川市民交流センター
・住所:〒962-0845 福島県須賀川市中町4-1
・TEL:0248-73-4407 
・公式サイト:https://s-tette.jp/museum/index.html(外部リンク)
 一方でガメラは、1965年に公開された大映製作の怪獣映画「大怪獣ガメラ」に登場した怪獣です。本作は、核兵器を積んだ機体が北極の氷山に落下したことで伝説の怪獣・ガメラが目覚め、東京を破壊するのが主な内容です。ワニガメモチーフの怖い外見とは裏腹に、「子どもの味方」いうキャラクター性を持ち合わせていたのが、ガメラの特徴でした。
 大怪獣ガメラ(2020年筆者撮影)
 さてさて、日本で有名なこれらの怪獣達ですが、彼らが出演した作品は日本での公開後、アメリカを筆頭に外国へと輸出され、人気を博していたことはご存知でしょうか?
 ゴジラアメリカで公開されたのは1956年のこと。先述した第1作『ゴジラ(1954)』を『ゴジラ・キング オブ モンスターズ(Godzilla:King of Monsters)』と改題し、ご存知ブロードウェイで公開したところ、4日間で1万7千ドル(当時の日本円で約600万円ほど)の大ヒットを記録しました。
 米国で販売されたゴジラのビデオ・DVD(筆者撮影)
 「アメリカで日本の怪獣映画はヒットする」ことを受け、アメリカの映画会社は「ゴジラ」を配給した東宝と共に、日米合作の怪獣映画の製作に乗り出した他、大映アメリカのテレビ会社の発注に応じて『ガメラ(1965)』や『大魔神(1966)』をシリーズ化することとなりました。
 「じゃあ、日本の怪獣映画がこんなにアメリカに入ってきたのは、アメリカの会社からの要請なんだね?」となると、決してそれだけではありません。
 実は、当時の日本政府が打ち出した産業振興策の中において、外貨獲得のための映画制作支援が含まれていたのも背景にありました。
 つまり、「日本からの輸出が好調な映画産業を政府が支援して、外国の市場からも収入を得ましょう!」ということです。
 なぜ日本映画に白羽の矢が立ったといえば、先のゴジラのように、外国市場で日本映画、特に特撮映画が好調な成績を残していたのが背景にあります。
 肝心の財政投資額はなんと20億円!!そこで各社は財政支援を受け次々と特撮映画の製作にかかり、1966年から1967年にかけて14本も特撮怪獣映画が公開される状況でした。
 米国で販売されたガメラのDVD(筆者撮影)
 こうした事情により、日本からアメリカに次々と怪獣映画が輸入されたほか、米国でリメイクされる形での怪獣映画の公開等、日本の怪獣達はアメリカで認知されながら現在に至っています。これらの過程があったからこそ、現在もアメリカ各地で日本の怪獣達を題材にしたファンイベントが毎年開催されたり、おもちゃ屋さんに行けば日本と同様にソフトビニールの人形が買える、レコード屋さんに行けばDVDが買える状況ができたわけです。
 アメリカで販売されたゴジラの玩具(筆者撮影)
 ちなみに、アメリカではクリスマスやブラックフライデー等で家族や友人達に「ギフト」を送る習慣があります。玩具も例外ではなく、お店で購入するか迷った怪獣人形が、後でチェックした際はなくなっていたこともしばしば。こうした商品の回転率の早さもアメリカ市場の特徴かもしれません。
 ハワイにセブンがやってきた?ウルトラマンはハワイの観光大使
 「怪獣映画がアメリカに浸透したのはわかる。ところで、ウルトラマンみたいな日本の特撮ヒーロー番組はどうなの?」
 もちろん、アメリカにもこれらの番組は多く輸入されました。その中でも、たくさん放送された州のひとつが、皆様もよく知るハワイでした。
 ハワイでは1973年に東映制作の特撮ヒーロー番組「人造人間キカイダー」がKIKU-TV(日本語テレビ局)で放送がされて大ヒットしたことに伴い、日本から次々に各社の特撮ヒーロー番組がハワイへと輸出されるようになりました。
 ビショップ博物館内 キカイダー展示(2014年筆者撮影)
 ビショップ博物館(BISHOP MUSEUM)
 住所:1525 Bernice St, Honolulu, HI 96817
 メール:claudette@bishopmuseum.org
 電話番号:808-847-3511
 URL:https://www.bishopmuseum.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/(外部リンク)
 その1つが、円谷プロ制作の『ウルトラセブン(1967)』。セブンは本編を英語音声、さらに主題歌を「およげ!たいやきくん」の子門真人さんが歌う形でハワイにてテレビ放送されました。番組放送だけでなく、玩具の発売のほか、ワイキキ・シェル(Waikiki Shell)でのウルトラセブンショーの開催、「ULTRA 7 SEVEN CLUB」と題したファンクラブも結成されたのだとか。
 ところで、実はウルトラマンハワイ州観光大使を務めたことがあったのをご存知でしょうか?
 2014年にハワイ州観光局と円谷プロの提携企画として「ウルトラハワイ」が開催されたのをきっかけに、ウルトラマン達が観光大使に任命されました。当時ホノルルで開催された文化交流催事「まつりインハワイ」では、ウルトラマン達がカラカウア通りをパレードしたほか、4体のウルトラマン立像がオアフ島内で設置される等、約1年間に渡り観光大使としての任務を果たしていたのです。
 DFS内 ウルトラマンティガ立像(2014年筆者撮影)
 T ギャラリア ハワイ BY DFS(一時閉店中)※2023年2月現在の情報です。
住所:330 ロイヤル・ハワイアン・アベニュー、ホノルル、ハワイ96815
 電話番号:+1 808 931 2700
 公式サイト:https://www.dfs.com/jp/hawaii/stores/t-galleria-by-dfs-hawaii-store(外部リンク)
 PCC内ウルトラマンゼロ立像(2014年筆者撮影)
 ポリネシア・カルチャー・センター(Polynesian Cultural Center)
 住所:55-370 Kamehameha Hwy, Laie, HI 96762
 電話番号:+1 800-367-7060
 公式サイト:https://polynesia.jp/(外部リンク)
 私はウルトラハワイ開催当時、ハワイと日本をよく往来していたのですが、空港(現:ダニエル・K・イノウエ国際空港)を出入りするとウルトラマン達が飾られたショーケースに遭遇したり、DFS等でお土産を買いに行くと、自分の背丈よりも大きいウルトラマン達の像が各所で立っていたりと不思議な光景でしたね・・。
 空港内ウルトラハワイショーケース(2015年筆者撮影)
 ダニエル・K・イノウエ国際空港( Daniel K. Inouye International Airport)
 住所:300 Rodgers Boulevard Honolulu, HI 96819
 電話番号:+1 808-836-6411
 URL:https://airports.hawaii.gov/hnl/(外部リンク)
 いかがでしたか?
 国や文化は違えど、「私達が幼少期に馴染んできたものが、外国でも受け入れられている」と聞くと、ちょっぴり胸が熱くなりますよね。
 日本生まれの怪獣達は、これからもきっと世界を舞台に活躍していってくれるでしょう。
 皆様が海外旅行等で外国へ赴いた際、もし本記事のことを思い出して頂けたら、ぜひ現地のおもちゃ屋さんや本屋さん、レコード屋さんと、日本の怪獣達の姿を探してみてください。
 日本で暮らしていると感じることのなかった、新たな発見があるかもしれません。
 (参考文献)
・菅野正美、「MAGAZINEHOUSE HOUSE MOOK ゴジラ徹底研究 GODZILLA」、株式会社マガジンハウス
・山崎准・(株)グレイル・酒井寿子、「別冊宝島809 ガメラ最強読本 GAMERA」、宝島
・鉄尾周一、「MAGAZINE HOUSE MOOK 大人のウルトラセブン大図鑑」、株式会社マガジンハウス
・山下大樹・嶌田美智子(ノトーリアス)、「特撮ヒーローの常識 70年代篇」、双葉社
・大場吾郎、「テレビ番組海外展開60年史 文化交流とコンテンツビジネスの狭間で」、人文書院
・吉田伸浩、「てれびくんデラックス愛蔵版 ウルトラマンギンガS超全集」、小学館
 この記事を読んで頂き、「海外での日本特撮やアニメ作品の展開に興味を持った」という皆様、私の過去の記事やTwitterにて、海外現地での様子や商品展開についてもお話をさせて頂いております。宜しければ、ご覧ください。
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