💍29)─1─日本で急増する陰謀論集団「Qアノン」信奉者…背景に野放し状態の「ブログ」文化が。〜No.109No.110No.111 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 2022年9月20日 MicrosoftNews AERA dot.「日本で急増する陰謀論集団「Qアノン」信奉者…背景に野放し状態の「ブログ」文化が
 © AERA dot. 提供 神真都Qの集会(c)朝日新聞社
 米国の5、6人に1人がその主張の柱を信じているとされている陰謀論集団「Qアノン」。昨今は日本でも信奉者が急増している。その裏側には、匿名性の高い「ブログ」の存在があると専門家は指摘する。朝日新聞国際報道部記者で、『Qを追う 陰謀論集団の正体』の著者でもある藤原学思氏が、陰謀論が広がる土壌ができつつある日本社会のバックグランドを探り、処方箋を提示する。
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■「Qアノン」信奉者の投稿が「アメブロ」教育ジャンルで1位に
 著名人が多数利用する「アメーバブログ」のページに飛ぶ。検索窓に「Qアノン」と打ち込む。いくつものページがヒットする。
 たとえば、9月1日にとある女性がした投稿。前米大統領のトランプのネット上での動きを紹介し、「水面下での軍事作戦が、本物だということを証明してくれた!!」と興奮した様子で書き込まれている。
 トランプは8月末、自身の立ち上げたSNSで、「Q」の過去の投稿や関連の主張を、400万人のフォロワーに向けて拡散していた。これは米国の主要メディアですぐにニュースになった。アメブロの投稿は、それを受けてのものだろう。女性は「新世界が近づいて」いると、喜びに満ちた書き込みをしている。そしてこの投稿は、アメブロ内の「教育ジャンル」で1位になっていた。
 Q――。 2017年10月、英語圏の匿名掲示板に突然現れた謎の人物だ。20年12月まで5千件近く投稿を続け、「世界は小児性愛者に牛耳られている」「米民主党のエリートや主要メディアの幹部がそこに所属していて、彼らはいずれ逮捕される」「トランプが影の救世主として我々を救ってくれる」といった荒唐無稽な主張が生まれ、広がるきっかけをつくった。
 そうした陰謀論、あるいはそれを信じる集団が「Qアノン」と呼ばれる。
■日本でも浸透するQアノン 記者に攻撃的なコメントも
 私は米国を拠点にQアノンについて調べる過程で、「日本のQアノンコミュニティーの拡大には、ブログが大きな役割を果たした」と専門家から聞いた。ツイッターフェイスブックはQアノン関連の投稿に規制をかけているが、アメブロは野放しのように見える。
 運営元のサイバーエージェントに2月に問い合わせたところ、「定義の難しさから、情報の真偽を判断基準とした記事削除は行っていない」とのことだった。社会的な責任が高まるプラットフォーマーとして果たしてこれでいいのか、疑問が浮かぶ。
 日本にも浸透したQアノンとは何か。信奉者はどんな人たちなのか。そして、Qとは誰か。
 朝日新聞デジタルの連載をもとにした『Qを追う 陰謀論集団の正体』では、それらをできるだけ丁寧に書こうと努めた。日本のインターネット空間において、Qアノン側の陰謀論があまりにもあふれすぎており、それに対抗できるような事実を提示したかった。
 もちろん、そうした試みを快く思わない人たちもいる。
 私のツイッター(@fujiwara_g1)には、「メディアは洗脳装置」とか「印象操作」とか「ニュルンベルク法で有罪になる」とか、そういったコメントが寄せられた。彼らのアカウントを見てみると、ほとんどが「QAJF」という日本のQアノン関連団体へのシンパシーを表明している。
 これは「Eri(エリ)」という仮名を使う女性がつくった団体だ。エリは日本のQアノン現象を考える上で最も重要な人物の1人で、団体のSNSに登録しているメンバーは5千人近くいる。
 私は、彼女たちの投げかけてくる攻撃的な言葉に反論しようとは思わない。彼女たちは、自分たちが「真実」の側にいると思い込んでいる。Qの信奉者であることを一種のアイデンティティーにしている。どんな言葉をかけようとも、なかなか響きづらい。
 では、放置すればいいのだろうか。そう言ってもいられない。「家族がQアノンにはまって、苦しんでいる」。そんな声を取材でたくさん聞いた。米国では、5人から6人に1人がQアノンの主張の柱を信じているという世論調査がある。
 私やあなたの、すぐそばにいる大切なひとが、あすにも、陰謀論というラビットホール(うさぎの巣穴)にはまってしまうかもしれない。そして、そこから抜け出せなくなるかもしれない。
■事実という名の石を置く
 こうした状況を、記者として少しでも改善する一つの方法は、ラビットホールの中に言葉を投げたり、あるいは直接手を差し伸べたりすることではない。むしろ、その穴の周辺を囲むように、できる限り多く、事実という名の石を置いておくことだ。その石は、穴に入ってしまいそうなひとを思いとどまらせ、穴から出られそうなひとがつかむものになるかもしれない。
 たとえば「Q」は《全体像を把握しているのは、両手で数えられるほどだ。その(10人以下)うち、3人だけが非軍人だ》と言う。信奉者はこれを「Qの正体」と考えている。でも、私の取材では、どうもそれは違う。一つひとつファクトを積み重ねる作業は、ウソを拡散・増幅させるよりも、ずっと大変な作業だ。でも、誰かがそれをやらなければ、ウソがより本当の顔をして歩くようになる。そんな社会は住みやすいものではないだろう。
 米国で連邦議会議事堂が襲撃されたように、誤った正義感は一線を越えた事件につながってしまいかねない。
 情報が簡単に国境を越える現代において、日本も陰謀論から逃れることはできない。Qアノンの派生団体「神真都(やまと)Q」の幹部らは、新型コロナウイルスのワクチン接種会場に侵入した罪で起訴された。
 検察側の冒頭陳述によると、ワクチン接種の会場に押し入り、「抗議」を示す行為は「凸(とつ)」と呼ばれていた。「犯罪行為を犯している医者を止めにきた」「接種をすることは犯罪だ」――。被告らは、そんな言葉をぶつけていたという。
 陰謀論は、単なる「論」ではなく、ひとを動かし、ひとを傷つかせる。
 だからこそ、インターネット上で、実社会で、Qアノンのような陰謀論がどのように広がり、社会をむしばんでいくのか。その過程に目をこらさなければならない。Qを、Qアノンを、私はさらに追う。」
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