🕯188)─1─日本の仏教と科学が示す輪廻と転生。〜No.393No.394 

   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 日本仏教は、宋王朝時代まで大陸仏教の影響を受けたがそれ以降は無縁となって日本独自で発展して仏教であり、現代の中国仏教や韓国仏教とは全然違う仏教である、
 つまり、日本仏教は解釈から異端仏教である。
   ・   ・   ・   
 2022年5月17日 MicrosoftNews JBpress「仏教と科学が示す輪廻と転生
 池口 恵観
 © JBpress 提供 地球で観察できるアンドロメダ銀河は210万年前の光。そこには1兆個の星があるという
 月の1日は地球の1か月の長さがあり、大宇宙の空間には、その星の一昼夜が地球上の数百年に相当する星が存在するかもしれない。
 太陽系のある銀河系は端から端まで15万光年の広さがある。
 地球から見える、いま輝いている月の光は1秒前、太陽は8分前、アンドロメダ銀河は210万年前の光である。
 私たちは宇宙を感じようとする時、空を見上げるものだが、もし、天空に星や月が存在しなかったら、夜空に星は煌めかず、淡い月の光が夜の世界を彩ることもない。
 となれば、虚空の闇の中で人類は大いなる宇宙の存在も知らず、天文学はもちろん、宗教的情操も、いまほど豊かにはならなかったであろう。
 太古の昔より、旅人たちが星や月に導かれて目的地へ旅したように、人類は長い歳月を星や月と密接に関わりをもってきた。
 普段私たちが見ている宇宙とは、銀河系や太陽系などの宇宙を指す。
 密教には独自の宇宙観がある。
 それは宇宙とは森羅万象そのものであり、外的な宇宙空間だけでなく、内なる世界という次元的な要素を含んでいる。
 人間は世間から生まれ出て、世間の中に葬られてしまうように捉えらえられがちだが、包括的見地からすれば、人は天地から生まれて天地に葬られ、そこに森羅万象を司る大いなる者の采配があると想像できる。
 弘法大師空海は、当時最先端だった仏教思想である密教を学ぶため唐に留学し、その奥義を修得して帰国。真言宗を開いた。
 真言とは、大宇宙を司る大生命体を擬神化した大日如来の教えが真実の言葉という意から、それを唱えることで自らが如来と一体となるというのがその奥義である。
 言葉を超えた領域の世界であることから真言秘密と称された。
 密教では私たちの天空に広がる大宇宙と、自身の内部に宿る小宇宙が一体化して連動することを瑜伽の境地と明示している。
 仏教の概念と科学の概念
 釈迦が2600年前に開いた仏教の視点には、現代に通じる深淵で浩蕩たる自然観、宇宙観を有している。
 例えば「四劫説」という概念。
 「四劫説」とは「成」・「住」・「壊」・「空」と世界の構築から破滅までの4つの段階を表す。
 まず、「成劫(じょうこう)」とは大地、草木、衆生など成立する段階で、「住劫」とは、それらが安穏に存続する期間。
 「壊劫(えこう)」とは衆生たちが破滅に向かう位置で、「空劫」とはすべてが破滅し尽くされて何一つ残っていない界層の4つを表している。
 こうした世界や国家、社会といったものが成立してから破滅に至り、消滅するといったことは、今なお繰り返されている。
 仏教の世界観における宇宙の単位は「三千大千世界」に表される。
 世界の中心にある高い山・須弥山のまわりを、太陽と月・地獄界・兜率天梵天界が周る太陽系のような世界を小世界と称し、宇宙にはそうした世界が無数に存在するという。
 それらが千個連なる銀河系のような世界を小千世界と呼び、小千世界が千個の集団を中千世界。
 中千世界が千個まとまったものを大千世界と称している。
 「三千大千世界」では、私たちが棲む銀河系宇宙と同じようなものが無数に存在するとしている。
 その宇宙は「久遠の本仏」という法身仏が司り、すべての小世界も、その「本仏」が統べるとしている。
 「三千大千世界」では無数の銀河系について説かれているが、現代の天文学においてそうした無数の銀河があるのはすでに常識である。
 NASA(米航空宇宙局)の「Hubble Space」望遠鏡は、宇宙の果てに1万の銀河があることをとらえた。その1つの銀河系には5000億という星と惑星が存在するという、まさに「三千大千世界」といえよう© JBpress 提供 NASA(米航空宇宙局)の「Hubble Space」望遠鏡は、宇宙の果てに1万の銀河があることをとらえた。その1つの銀河系には5000億という星と惑星が存在するという、まさに「三千大千世界」といえよう
 人の魂と体を構成する元素の循環
 宇宙に存在する一切の森羅万象はすべて、地・水・火・風・空といった五大から構成されている。
 この五大は、分解してはまた集まり、集まってはまた分解するという離合を繰り返す。
 私たち人間の身体だけでなく動物も植物も、その生命が終われば、その客体は分解され、一見、無に帰したようにも見える。
 だが、それは元の元素に戻っただけの話といえる。
 分解してはまた集まり、集まってはまた分解するという離合を繰り返すのは物質的な客体だけでなく、意識や精神も同様のようだ。
 「阿字の子が 阿字のふる里 たち出でて また立ち還る 阿字のふる里」
 弘法大師空海が詠ったこの歌は、人が死んで肉体を脱ぎ捨てるということは、この地球を超えた世界の住人となることを意味し、肉体を構成していた原子は無限の宇宙に還り、精神や魂も永遠に循環を繰り返すということを示唆している。
 それは、死を経て大いなる生命を生きるということであり、元々私たちの意識は大いなる宇宙生命体の意識体だったが、地球上で活動するために「我」という個別の意識と客体を与えられ、命が終焉すると意識や精神は肉体から離れて、元の大いなる意識体に還ることを表している。
 『平家物語』に「三界広しといへども五尺の身置き所なし。一生程なしといへども一日暮し難し(三界広しといえども五尺の身を置く場所もない。一生短しといえども一日の暮らしも難しい)」 との一節がある。
 三界とは欲界・色界・無色界の三つの世界を表し、それは命あるものが何度も転生し、人だけでなく、動物なども含めた生類として生まれ変わる、輪廻する世界を三つに分けたものだ。
 それは単なる思想ではなく、この大宇宙を動かしている基本原理といえる。
 輪廻転生という概念は紀元前8~9世紀にインドで成立した。
 紀元前6世紀ギリシャの哲学者・プラトンも感覚的事物は絶えず流転するという万物流転思想から、輪廻転生する霊魂は、時空を超越した永遠の実在であり、純粋な理性的思考によって認識できるとしている。
 霊性とは何か
 地球は肉体を持つものの棲家だが、広大な宇宙空間に当てはめて考えてみれば、仏教が説く天界に生きる神仏の存在は、単なる絵空事とは限らない。
 仏教では「如来」や「本仏」といった大宇宙の森羅万象を一つの生命として擬神化したが、「極楽の荘厳」を意味する大乗仏教の経典『無量寿経』の一節を見ると「如来」や「本仏」といった神仏とは大宇宙に存在する無数の星に存在する生命を暗示しているかのようである。
 「仏、阿難(釈迦の十大弟子の一人・アーナンダ)に告げたまわく。乃往過去久遠無量不可思議無央数劫に錠光如来世に興出して無量の衆生を教化し度脱して、みな道を得せしめて乃し滅度を取りたまいき」
 久遠の闇の中に幽かなる生命の灯がともり、「次に如来ましましき。名をば光遠と曰う。次をば月光と名づく。次をば栴檀香と名づく。次をば善山王と名づく。次をば須弥天冠と名づく・・・」
 と、延々神仏が出現する描写は、人間の棲む次元では捉え得ない、様々な存在を表し、この世を超えた存在として表現している。
 死後、極楽浄土を説く浄土教では「いそぎ仏になりて」とある。
 それは、万人の中に存在する「仏」になろうとする働きだけを指すだけではなく、この世の生を全うし、人としての肉体を脱ぎ捨てることをも意味する。
 死は、すなわち小さな自己を捨てて、人間を超えた宇宙的な存在に変身する、ということなのだろう。
 私たちには外の世界と心で交じり合う感性のほかに、人間を超えた存在を追い求める霊性という働きが備わっている。
 そうしたことは、すでに死んで、この世にいないはずの者が、永遠の次元から現在に深く介入し、人間の五官を超えたところの別次元から、私たちの周りを自由に飛び回り、私たちに人間に働きかけているかのようでもある。
 また、いまだ死んでいない生者が、死者の世界と交わるといった事象は、個別的な思いが深ければ深いほど、そうしたことは起こり得るとされる。
 宇宙の共通原理
 海水や湖、川などの水は太陽の熱などで蒸発すると、水蒸気となって気流に乗って移動し、やがて上空の冷たい空気によって冷やされると、小さな水滴や粒となり、それが雲になる。
 水蒸気の粒は他の粒と結合すると、雨となって降り注ぎ、雨は湖に溜まったり、川となって海へと流れ出る。
 それが再び太陽の熱で蒸発し、水蒸気となって空に上がり、雲となり、雨や雪となって大地や海に降り注ぐ・・・、水の循環である。
 だが、循環を繰り返すのは水だけではない。
 大宇宙にきらめく星から、小は素粒子に至るまで、存在するすべてが循環している。
 極微の世界では、大きさが1億分の1センチの原子、分子の世界、そして10兆分の1センチの素粒子の世界に至るまで、地球が自転しながら太陽の周りを公転しているように、電子は自転しながら原子核のまわりを回転している。
 原子は原子核とそれをめぐる原子群とに分けられるが、原子核は陽子と中性子からできている。
 この原子核の中は渦巻く混沌の世界で、互いに飛び違い回転し、あるものは瞬時に消滅し、また、別のものが生じる。
 つまり、極微の世界では肉眼には見えないものたちが、忙しく生涯を終えれば、再び転生するのである。
 © JBpress 提供 極微細の世界は超高速でスピンしているという。素粒子は物質を構成する最小単位。原子はその元素の性質を失わない範囲での最小単位である
 極微細な素粒子の世界が回転、消滅、再生を繰り返しているのと同じように、広大無辺な大宇宙も回転、消滅、再生を繰り返している。
 太陽系の惑星は自転しつつ、太陽の周りを回転し、太陽系を含む銀河に所属するすべての小宇宙は、自転する星を抱えて自らも回転し、小宇宙群を抱える大宇宙自体も数億光年のスケールで回転している。
 それは、未知の物理的メカニズムが存在することを意味する。
 太陽は恒星だが、恒星は水素とヘリウムを主な成分としたガスの塊である。
 巨大な恒星が燃焼し尽くし、末期症状を迎えると、輝きを増して数万倍の明るさになり、やがて崩壊する。
 輪廻とは循環であり、転生とは変化である。
 「諸行無常」という言葉には、森羅万象の営みの中に、この宇宙に存在するものすべてが、形を変えて転生しながら循環を繰り返す、という宇宙の絶対的な原理が見て取れる。
 人が生きることで必ず経験する老い、病、そして死。変化とは人が避けることのできない人生の法則であり、私たち一人ひとりの客体も、魂や精神も、形を変えながら、これからも永遠に循環し続けるのであろう。
 次ページにこれまでの連載一覧。
 これまでの連載:
 本日4月8日は釈迦生誕2646年、その生涯を振り返る:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69594
 春分の日、お彼岸の先祖供養の方法と意味:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/69283
 厄年に災難が起きるは本当か、厄除け・厄払いの正しい方法とは:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68812
 キューバ危機に学べ:台湾有事は指導者の慢心が引き起こす:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68565
 除夜の鐘、人間の煩悩の数はなぜ108なのか:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68235
 中露海軍日本一周の意図:北海道はロシア領、沖縄を中国領に:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67637
 原因不明で治療が困難な病気の実体は何か:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67309
 中国やアフガニスタンで民主主義が不可能なわけ:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66888
 日本人大虐殺を命じた米大統領靖国問題https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66423
 小室圭さんと池袋の上級国民に共通する私利私欲:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66143
 30年後に日本は消滅と言い放った、中国首相の言葉が現実味:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65770
 仏教が教える人間が生きる意味と意義:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65546
 疫病が蔓延すると、『般若心経』を写経してきた歴代天皇https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65354
 眞子さまと小室圭さんにお伝えしたい仏陀の言葉:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65090
 宗教に共通する教え:幸せの本質とは何か:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64793
 占星術の起源と科学的根拠:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64081
 恨みを晴らす妖術、邪術、その手法と歴史:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63717
 閃きはなぜ生まれるか、閃きを生むためには:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63270
 風水が解き明かす京都と東京(江戸)の繁栄:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62997
 武田信玄上杉謙信がかけ合った呪術合戦とその代償:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62755
 魔力さえもたらす「呪い」の力、その歴史と論理:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62585
 喜びの中に悟りがある理由:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62367
 最澄空海、その違いを知る:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62268
 病を治す手のひらの知られざるパワー:https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62120
 神秘の力を操るためのアプローチ(その1)(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61866
 死と背中合わせの百万枚護摩行、達成後に異変(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61725
 史上初、百万枚護摩行をいかに成就したか(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61634
 空海が示す「法力に遠近なし、千里即ち咫尺なり」とは(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61471
 なぜ、物質に霊験は宿るのか(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61366
 死の境地で生まれるもの(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61212
 密教の「密」とは何か(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61105
 意識の記録を変換させることは可能か(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60962
 無知無明を消滅させるもの(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60837
 人を司る、形なきものの影(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60664
 見えない世界に挑み、現象の背景に迫る(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60510
 苦行により人は救われるのか、苦行とは何か(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60394
 悟りと煩悩を繋ぐもの(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/60178
 神の手を持つ医師が祈りを捧げる理由(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59981
 弘法大師空海:一指を以って招けば星月も落ち来たり(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59804
 ヒトの意識、その循環に迫る(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59631
 修験道密教の違い:継承される力とされない力(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59475
   ・   ・   ・