🌏40)─8─日本のウイルスワクチン開発を潰したのは民主党政権の事業仕分け。平成21年〜No.122No.123No.124No.125 ⑥ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 ウイルスは攻めの細菌兵器であり、ウイルスワクチンは守りの細菌兵器である。
 日本国憲法は、全ての細菌兵器を非人道兵器であると否定している。
 事実、ウイルスワクチンを開発している国は高レベルの軍事的細菌兵器を研究している武器輸出国である。
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 2021年4月6日 毎日新聞「「事業仕分けで4学会廃止」は誤り  
 ファクトチェック「誤り」
 「日本で新型コロナウイルスのワクチン開発が成功しないのは、民主党による事業仕分けで『日本ウイルス学会』など4学会を廃止したことが原因」――。新型コロナを巡ってワクチン開発や確保に注目が集まる中、こんなツイートが拡散している。しかし、事業仕分けの対象は学会の存廃ではなく、しかも4学会が廃止された事実はない。このツイートは誤りだ。(ファクトチェックの判定基準→ https://mainichi.jp/articles/20210303/hrc/00m/040/001000d)【藤沢美由紀/統合デジタル取材センター】
 学会は廃止されていない
 ツイートは、「井上太郎」というアカウントから3月31日に投稿された。以下のような内容だった。
 <昔は世界トップクラスのワクチン開発国だった日本。その日本がいまだに武漢ウイルスワクチン不成功なのは、民主党による事業仕分けで、多くの国民が反対したにもかかわらず「日本ウイルス学会」「日本細菌学会」「日本寄生虫学会」「感染症学会」の4学会廃止したことが原因。感染拡大は民主党の責任>」
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 100年に1度、蔓延するかどうか分からない疫病・ウイルスの為に、巨額の研究資金を毎年支出するのは無駄であるとして、数多くなった保健所を統廃合して減らし、幾つかあった世界レベルの専門研究所を廃止した。
 その結果が、武漢ウイルス(新型コロナウイルス)の蔓延であり、ワクチン開発ができなかった原因であった。
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 立憲民主党日本共産党などの野党は、国民の政治不満やメディア・報道機関の政策批判を利用して、政府に対して武漢ウイルス(新型コロナウイルス)封じ込めとワクチン接種の失敗責任を激しく追及している。
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 武漢ウイルス(新型コロナウイルス)ワクチン開発ができなかった日本は、財政赤字解消の為に国策としてワクチン開発後進国に転落した。
 科学者は反対したが、政治家は賛成した。
 反自民党のメディア・報道機関は、支持した。
 民主党の後継政党が、現・立憲民主党などの野党である。
 日本人も疑問を持たず、むしろ官僚や学者を追いつめる政治家に感激し声援を送っていた。
 日本は、世界でのナンバーワンもオンリーワンも捨てた。
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 民主党やメディア・報道機関は、先進国日本、科学立国日本、ウイルスワクチン先進国日本・もの作り国家日本を潰した張本人、A級戦犯である。
 それは、1980年後半から徐々に、静かに始まっていた。
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 自己責任からいえば、現代日本人の自業自得である。
 特に、反政府・反国家・反体制・反権力そして反民族の左翼・左派・ネットサハ、過激派マルクス主義者にそれが言える。
 その深刻な被害は、日本国、日本民族に広く及ぶ。
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 現代日本人は、民族的な歴史力・文化力・伝統力・宗教力そして科学・化学・薬学・医学・物理・数学など理系総合力がない。
 その傾向が、哲学・思想・イデオロギーを重視する文系マルクス主義の高学歴な知的エリートや進歩的インテリに強い。
 蛸壺化、ガラパゴス化した視野狭窄の理系エリートも同様で、その醜悪さは東日本大震災・第一福島原発事故における民主党政権とメディア・報道機関で露呈した。
 それが、科学的根拠のない「そうあってほしい・そうあるはずだ・そうあるべきだ」という安全神話である。
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 現代日本人は、昔の日本人、特に1980年前の日本人よりも、さらには戦前の日本人よりも酷い。
 現代日本人とは、リベラル派戦後民主主義世代(団塊の世代団塊ジュニア)である。
 リベラル派戦後民主主義世代の口癖は、「経済成長はもういらない」である。
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 日本民族の歴史を語る資格がない現代日本人が、リベラル派・革新派そして一部の保守派やメディア関係者の中に多数存在する。
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 2009年11月21日 しんぶん赤旗「「仕分け」に異議あり 学術・文化団体
 日本学術会議
 日本学術会議は20日、金澤一郎会長の談話を発表しました。
 談話は、行政刷新会議事業仕分けで、基礎科学や科学技術関連の項目について厳しい判定が出ていることに懸念の声も聞こえるとし、中・長期的視野に立った学術研究推進が重要と指摘。科学・技術の成果は多くの研究者の長期にわたる継続的努力の積み重ねであり、多くの研究計画が多数の研究者の議論の積み重ねで作られており、「基礎研究への投資がたとえ短期間であっても大きく減少することは、研究を実際に担う人材の離散を生じる」だけでなく、国際競争力の低下、国家的損失を招くことは明らかだとのべています。
 生物・薬学分野9学会
 生物学や薬学分野9学会の会長と理事長が連名で、19日、政府に若手研究者の育成・支援の強化を求める要望書を提出しました。13日の行政刷新会議による「事業仕分け」で若手研究者の研究費や雇用にかかわる予算を減らすことが求められたのに対し、この判断が日本の科学技術の発展を大きく損なうことを憂慮するとして提出したものです。
 要望書は、民主党が科学技術政策で21世紀のわが国がめざすべきは「科学技術で世界をリードする国」でなければならないとのべていることを指摘。「科学技術を発展させるには、大学院生や若手研究者に希望を与え、その創意性を最大限に引き出すことが何よりも大切」だと強調しています。
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)に象徴される先端的研究成果も、大学院生やポストドクター(博士課程修了後の短期雇用研究者)が研究開発の現場を支えている状況であることを説明。仕分けの議論では、こうした現状への認識が正確になされていなかったとのべています。
 そのうえで、若手研究者に対する体系的な育成・支援策を示すこと、大学院生に対し欧米なみまたは現状以上の支援を行うこと、ポスドク等の任期つき研究者をわが国の科学技術の基本的な担い手と位置づけること、定職を得た若手研究者に創意性と自立性が十分発揮できるよう研究支援を強化することを求めています。
 ウイルス学会・細菌学会など
 行政刷新会議事業仕分けで、文部科学省感染症研究国際ネットワーク推進プログラムが「廃止または予算縮減」とされたことを受け、日本ウイルス学会、日本細菌学会など4学会の幹部らが20日、緊急記者会見し、プログラムの継続と発展を強く訴えました。
 ウイルス学会の野本明男理事長は「なくすことは感染症に対するわが国の安全にとって大変問題。海外の研究者との信頼関係の上に成り立っており、一度つぶしたら二度とできず、日本の国際的信用は失墜する」と述べました。
 この事業は、今年度まで5年間実施してきた海外研究拠点形成プログラムの第2期に当たります。国内8大学2研究機関とアジア、アフリカの8カ国12施設とをネットワーク化し、人材交流や共同研究を実施。その実績は国内外で高く評価され、今後、フランス・パスツール研究所の国際ネットワークとの連携も予定しているといいます。
 基礎科学研究団体
 行政刷新会議の「事業仕分け」で次世代スーパーコンピューター開発予算が来年度計上見送りを含む削減を求められた問題で、シミュレーションにかかわる基礎科学の研究者たちでつくる「計算基礎科学コンソーシアム」が18日、緊急声明を発表しました。
 声明は、スーパーコンピューター半導体技術やバイオテクノロジーなど、やがて国民生活につながる最先端の技術開発で役立っているだけでなく、素粒子や宇宙など基礎科学の研究でも重要な役割を果たしていると強調。世界最高性能を持つスーパーコンピューターの開発は、「新たな革新的技術を開拓する原動力であ」るとして、「プロジェクトの遅延無き継続を強く求める」とのべています。
 芸団協
 日本芸能実演家団体協議会野村萬会長、72団体、9万5000人)は18日、「行政刷新会議事業仕分け』に関する意見」を文部科学省に提出しました。
 今回の事業仕分けについて、これまでの文化政策形成を無にするような議論が進められているとし、その仕分け結果を政権としてそのまま採択することに異議を表明。「施策の成果評価が成されていないことを短絡的な理由で一律に廃止・削減を実施することは、日本における文化芸術活動の停滞を招く恐れがあり、拙速である」とのべています。
 オーケストラ連盟
 日本オーケストラ連盟(児玉幸治理事長、加盟30団体)は19日、行政刷新会議が進める「事業仕分け」の「文化への予算」について、文部科学省に意見書を提出しました。
 意見書では、今回の仕分け事業が、まず削減ありきの前提で進められたこと、これまでの文化政策形成を無にして経済効率や数値で示せる成果、効果だけを優先することについて、「世界の通念からも非常識な結論であり恥ずかしい思いさえする議論の結果」と批判しています。
 また、このままでは芸術の質の低下は避けられないとし、「長期的視点に立脚する文化政策ビジョンに基づいた予算編成」となるよう求めています。」
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 JIJI.COM
 時事ドットコムニュース>特集>ドキュメント鳩山内閣>普天間移設、現計画前提とせず
 ドキュメント鳩山内閣
 11事業、500億円を廃止
 政府の行政刷新会議で、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」を開始する会議メンバーら=2009年11月11日、東京・新宿区の国立印刷局市ケ谷センター【時事】
 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は11月11日、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」作業を行い、農林水産省所管の「農道整備事業」(要求額168億6700万円)や「里山エリア再生交付金」(84億600万円)など、11事業で約500億円の廃止を決め、初日の作業を終了した。
 仕分け作業は、東京都新宿区の国立印刷局市ケ谷センターの体育館で、三つのワーキンググループに分かれて公開で実施。初日は農水、国交、厚生労働、文部科学各省の所管事業が対象になった。
 農道整備事業については「農道を一般道と区別する意義は薄い」との意見が大勢を占め、森林とこれに隣接する集落を一体的に整備する「里山エリア再生交付金」に関しては、「目的外利用が目立つ」などとしてそれぞれ廃止の結論に達した。このほか、農水省の「田園整備事業」(6億3500万円)、厚労省の「若者自立塾」(3億7500万円)などの廃止も決めた。
 廃止対象以外では、国交省の「下水道事業」(5188億円)など5事業について、「自治体の方が少ない予算で効率的に整備できる」といった理由から地方・民間移管を決定。診療報酬については、開業医と勤務医の年収格差を是正する方向で見直す必要性を指摘したが、診療報酬制度そのものには踏み込まなかった。薬価も見直すとしたが、具体的な方法に言及しなかった。
 ただ、診療報酬明細書(レセプト)のオンライン化のための機器の整備費補助(同215億1800万円)については、内容を再検討するため10年度予算では計上を見送ることで一致した。(2009年11月11日配信)
 刷新会議、仕分け対象決定
 行政刷新会議であいさつする鳩山由紀夫首相(中央)。右手前は仙谷由人行政刷新担当相=2009年11月9日、東京・首相官邸【時事】
 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は11月9日、首相官邸で第2回会合を開き、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」の対象を決定した。対象は、診療報酬や薬価、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)のうち基地従業員の給与に充てる労務費など447事業。複数の事業をまとめて議論することから、審議項目数で見ると約220件になる。11日から同会議の下のワーキンググループ(WG)が仕分け作業を始める。
 9日の会合であいさつに立った鳩山首相は「聖域なく見直す」と強調。さらに、仕分け対象にならなかった類似事業も見直すよう各省庁に指示した。
 仕分け対象のうち、診療報酬については厳しい労働環境に置かれている勤務医対策に主眼を置く。薬価の見直しは、後発医薬品ジェネリック医薬品)の普及促進が狙い。
 政府開発援助(ODA)、地方交付税交付金、義務教育費国庫負担金、まちづくり交付金、国道や河川・ダムの維持管理費、各省庁が所管する独立行政法人向けの運営費交付金なども仕分け対象になった。
 仕分け作業は、民主党国会議員7人と川本裕子早大大学院教授ら民間有識者56人に、各省副大臣政務官を加え、3グループに分けて行う。第1弾は11~13日と16、17日の計5日間、第2弾は24~27日までの計4日間、いずれも東京・市谷の国立印刷局の体育館で行う。作業の様子は一般に公開され、インターネットでも同時中継される。
 政府は、事業仕分け財務省の査定を通じ、95兆円台まで膨らんだ概算要求額を3兆円以上削減することを目指している。これに関連し、財務省首脳は9日夜、「1兆円は必ず切ってもらう」と述べ、3兆円の目標到達に向け、仕分けで最低1兆円の削減が必要だとの考えを示した。(2009年11月9日配信)」
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 YAHOO!JAPANニュース「なぜ、日本は「ワクチン後進国」なのか? 豊田真由子が思う「理由」と「背景」
 2/6(土) 15:45配信
 豊田真由子
 新型コロナウイルス感染症の収束に向けた鍵のひとつは、ワクチン接種です。しかし、日本の国産ワクチン開発はなかなか進まず(行われてはいます)、そして、購入を約束していた海外メーカーのワクチンは、(当然に予想されたことではありますが)世界で争奪戦の様相を呈しており、新型コロナワクチンが日本国内に入ってくるのは、当初の予定より大幅に遅れることが判明しました。
 【写真】イスラエルではすでに国民の36%が、1回目のワクチンを接種
 こうした中で、「日本は世界有数の科学技術・経済大国であるはずなのに、どうして、国内でワクチンが製造されず、輸入に頼らなくちゃいけないの?国や国内のメーカーは、何をしているの?」というご質問を受けます。
 実は、これには、歴史的経緯に基づく、日本の特異な事情があります。物事は、なんでもそうだと思いますが、「ある特異な状況が生じるには、相応の理由・背景があり、その状況を解決するためには、その理由・背景がなんであるかをきちんと知り、そこから根本的に対応していく必要がある」と思いますので、そこを明らかにしていきたいと思います。
 (※「ワクチンの効用とリスクを考える」(2020年12月4日)も、併せてご参照ください。)
 主な理由として、以下のようなことがあります。。
(1)1970年代からのいわゆる「予防接種禍」の帰結として、国、国民、メディア、メーカー等が皆、予防接種そのものについて消極的になり、国内の開発・製造力が、極めて限定的になった。
(2)新興感染症への対応は、国家の危機管理の問題であり、ワクチンは、国と国民を守るための国防のひとつでもある、という意識が欠如している。
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(1)予防接種禍を受けた流れ
 日本は1980年代まで、世界的に見てもワクチン開発国のひとつでした。しかし1970年代以降、種痘(天然痘)ワクチンによる脳炎や、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風三種混合)ワクチン、MMR(麻疹・流行性耳下腺炎・風疹新三種混合)ワクチンによる無菌性髄膜炎など、重篤な副反応の報告があり、ワクチンへの不信感が広まっていきました。
 そして、国の責任や補償について、各地で集団訴訟が相次ぎ、裁判は長期化。結果として、国側の敗訴あるいは和解となり、「予防接種は効果の少ない一方で、副反応が多発するこわいもの」という、正しくない認識が、国民のみならず医療者の間にも定着してしまいました。特に予防接種は、乳幼児を中心にしたものでもあり、保護者の間に、子どもにワクチンを受けさせたくない、という考えが広まりました。
 こうしたことにより、国は予防接種に消極的になり、以降、ワクチン政策はほぼ止まってしまいました。1994年の予防接種法改正により、接種要件が「義務」から「勧奨」接種へと緩和され、接種形態も「集団」から「個別」接種へと、移り変わっていきました。このような状況を受け、それまで世界に先駆けて、水痘や、百日咳、日本脳炎ワクチンなどの開発に取り組んできた日本の製薬業界も消極的となり、国内での新たなワクチンの大規模な開発は、ほとんど行われなくなりました。
 2000年代に入っても、日本脳炎ワクチン接種後の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)発症やHibワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン同時接種後の死亡事案、子宮頸がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種勧奨差し控え等の事例があり、ワクチンの負の面を強調する報道もあり、国民の不安は増大しました。
 もちろん、実際に重篤な副反応で亡くなった方・苦しむ方とご家族にとっては、本当に取り返しのつかないことであり、甚大な苦しみであり悲しみです。『ワクチン接種によって、重篤な副反応が発生する確率は高くはない(数十万人・数百万人に一人程度)』といっても、ご本人とご家族にとっては、それは『1分の1』、人生のすべてなのです。公的な救済も必要ですし、耐え難い苦しみを、広く伝え、理解を深めていくことも、とても大切です。
 ただ、そのことと、社会全体におけるワクチンの効用を否定することは、やはり、分けて考える必要があります。一般的に、ワクチンを接種することで、一定程度、個人の感染を予防する・重症化を防ぐことができ、公衆衛生の観点からは、ワクチン接種により地域や国で多くの方が免疫を得ることで、感染拡大を抑えることができます。
 ワクチンを接種しなかったことで、「接種していたならば失われなかった命」が失われ、「接種していたならば救えたはずの重症化や後遺症」が生じます。
 我が国では、麻疹、風疹、水痘、おたふくかぜなど「ワクチンで予防することができ、他の先進国では、ほぼ制圧された疾患」の流行が繰り返されています。これを日本人が旅行等で海外に持ち込むため、例えば海外メディアで「日本は麻疹の輸出国」などと非難・揶揄されることがあります。
 これは、「感染症の発生動向を監視し、ワクチンによって感染症をコントロールするという戦略そのものの考え方」の問題ですから、当然、新型ウイルスによる新興感染症への対応についても、この流れが続くことになります。
 2010年6月、新型インフルエンザ(H1N1)パンデミックを受け、専門家による対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けました。国内のワクチン生産力は著しく衰えていましたので、政府の資金的支援が必要でしたが、実際に行われたことは逆でした。国の研究機関における基礎研究と、民間企業の開発応用を、資金的に橋渡しする財団が、いわゆる『事業仕分け』の対象となり、国として研究開発をサポートする仕組みは機能しませんでした。
 今、日本で新型コロナワクチンが手に入らないことには、こうした経緯・理由があります。したがって、こうしたことを踏まえた上で、では、一体、今後どうしていくことにするのか?
 「ワクチンには、態様・頻度は様々であるが、避けがたい副反応が出ることがある。リスクをゼロにはできない。それでも、ワクチンには、個人・社会の感染を防ぐ、死者・重症者を減らすという重大な効用がある。だから、希望する人がワクチンを使用する。」ということの意味を、改めて、考えるべきときだと思います。
(2)感染症対策のひとつであるワクチンは、国の危機管理の問題
 日本が購入予定の新型コロナワクチンのひとつに、米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンがあります。モデルナは、2010年創業、2014年からワクチン開発に参入した新しい企業ですが、新型コロナ禍が発生すると、2020年3月半ばにはすでに臨床試験を開始しました。「ワープ・スピード」を掲げる米政権の後押しを受け、モデルナには米国保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金が出され、米政府は、1億回分を15億2500万ドルで購入する契約を結んでいました。
 これは、新型コロナ禍が発生してからの政権の動きですが、本当のポイントは、それよりずっと前にあります。モデルナは、2013年の段階で、mRNAワクチン等の開発で、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)から、約2450万ドルの補助を受けていました。
 これは何を意味するのでしょう?
 人類の長い歴史を見ても、戦争においては、直接の戦闘によるものだけではなく、飢餓や疾病、特に感染症による軍の被害は甚大でありました。特に、軍が、大きく地域を移動し、「その現地の人々にとっては一般的であっても、当該国の兵士にとっては、免疫を持たない新たなウイルス」に直面した場合、当該軍における感染は急激に拡大します。
 したがって、国防という観点からも、「感染症を如何に防御するか」というのは、極めて重大な問題なのです。(なお近年は、細菌・ウイルス兵器への対応等も求められています。)
 新興感染症対策は、国家の危機管理の問題です。台湾が2019年12月末の時点で、いち早く武漢での新型肺炎の発生を、WHOに報告できたのはなぜか?韓国が、個人のプライバシーも含め、国民に対する国家の強いコントロールが可能になっているのはなぜか。(一般論として、これが民主主義国家として望ましいかどうか、という議論は、もちろんあるわけですが。)イスラエルで、すでに国民の36%(330万人)が、新型コロナウイルスワクチンの接種(一回目)を終えられた(2021年2月5日現在)のはなぜか?
 もちろん、SARS、MERSなどの教訓を踏まえているといったこともありますが、そもそも、これらの国・地域は、それぞれ、中国、北朝鮮アラブ諸国と、極めて高度の緊張関係にあり、国と国民の中に、戦時危機とそのために何をすることが必要であるか、という意識が常にあります。「国と国民の命を守る」ということについて、政府や国民が、常日頃から、どれだけ真剣に考え、具体的に準備をしているかが、反映されているのです。
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 もちろん、どのウイルスのワクチンであれ、ワクチンを接種するかどうかは、最終的に個人の判断に委ねられることです。ただ、今現在も、そしてこれまで長きにわたっても、我が国で、その判断の根拠となる正確な情報がきちんと広く届けられてきたか、また、新型コロナワクチンについていえば、接種を希望する人にとって、必要なワクチンが入手できる状況にあるのか、地域や国の感染拡大を抑える有効な策として、ワクチンが適時に提供されるのか――我が国の現下の状況は、悲惨な状況にあると言わざるを得ません。
 そして、それは決して、今に始まった問題ではなく、歴史的に、ある種の民意の反映として、ワクチン接種に消極的な国とならざるを得なかった、そして、“平和”が長く続いてきた中で、一方で「真に国と国民を守るとはどういうことか、そのために何をしなければならないか」といった根本的な問題について、我が国では、きちんと考えられてこなかった、ということの結果でもありました。
 感染拡大を抑えるために、新型コロナワクチンの接種が、希望する人に、迅速に適切に進められていくよう尽力するとともに、上述したような前提に立って、改めて、個人は、あるいは、国は、なにをどう考えて、変えていくのか(あるいは変えていかないのか)といった議論を、意義あるものとして、進めていくべきではないかと思います。
 ◆豊田 真由子 1974年生まれ、千葉県船橋市出身。東京大学法学部を卒業後、厚生労働省に入省。ハーバード大学大学院へ国費留学、理学修士号(公衆衛生学)を取得。 医療、介護、福祉、保育、戦没者援護等、幅広い政策立案を担当し、金融庁にも出向。2009年、在ジュネーブ国際機関日本政府代表部一等書記官として、新型インフルエンザパンデミックにWHOとともに対処した。衆議院議員2期、文部科学大臣政務官、オリンピック・パラリンピック大臣政務官などを務めた。
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 東洋経済
 政治・経済ニューズウィーク日本版
 日本が「ワクチン開発競争に負けた」納得の理由
 あまりに鈍感すぎたこの国の感染症対策
 「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部 2020/11/29 16:00
 日本が「ワクチン開発競争に負けた」納得の理由
 あまりに鈍感すぎたこの国の感染症対策
 「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部 2020/11/29 16:00
 世界のワクチン開発競争に日本が「負けた」理由は……(写真: Graphs/PIXTA
ファイザーとモデルナのワクチン治験が最終段階に入るなか、日本がワクチン開発競争に出遅れたのは必然だった。キーパーソンへの取材で見えてきたこの国の障壁とは。
日本はなぜ出遅れたのか
 新型コロナウイルスのワクチン開発で、日本はなぜ出遅れたのか。開発の先頭集団を走る欧米や中国の製薬企業は臨床試験の最終段階の途上にあり、早ければ10月末にも試験の結論を得て年内承認の可能性もある。対する日本はといえば1社が第1/2段階に進んだが、多くの臨床試験入りはこれからだ。
 当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
 日本政府の姿勢は「海外頼み」に映る。米国のファイザーとモデルナ、英国のアストラゼネカとの間で計2億8000万回分の購入について基本合意に達するか、あるいは交渉を進める。その調達のための、6714億円という巨額の支出はあっさり閣議決定された。
 健康被害の責任は日本側が負うという、海外メーカーの条件も丸のみを強いられた。だが、なぜ最初からそんな不利な状況に追い込まれているのか──。
 国内で開発の先頭を走るバイオ製薬企業アンジェスの創業者、森下竜一と会ったのは9月初旬のこと。森下は医師で大阪大学寄附講座教授でもある。都内のホテルで会うと、諦めと不満を口にした。
 「国産ワクチンを買い取ると政府が先に表明していれば、海外勢から価格を引き下げたり好条件を引き出したりする交渉ができたはずなのに」
 森下は25年近く血管疾患の遺伝子治療に身をささげた第一人者で「アメリカと対等に研究や治療を」という意欲的な研究姿勢を貫いてきた。血管を新生させる因子の遺伝子情報をプラスミドと呼ばれるDNA分子に書き込んで培養したアンジェス遺伝子治療薬は昨年春、苦労の末、国内初の承認にこぎ着けた。
 プラスミドに新型コロナの遺伝子情報を書き込んで開発したのが、アンジェスの「DNAワクチン」だ。「仮に米企業に量産化のめどが立たなければ、日本への輸出を渋ったかもしれない。ワクチンを開発も輸入もできない国は、経済再開の道筋を見いだせない。国の『生死』をワクチンが握る。それほどの戦略物資だ。そう繰り返しているが日本は政府も企業もなかなかピンときていない」
 コロナ禍が始まって10カ月、第2波のピークが過ぎた頃から急に、ワクチンに注目が集まり始めた。「ワクチン賠償 国が責任/海外製薬から調達促進」と見出しを打った記事が日経新聞朝刊の1面トップに出たのは8月20日健康被害の賠償責任を免じることでより多くの供給を海外製薬企業から引き出す、という内容は、来夏の五輪に向け地ならしを急ぐ政府の観測気球と見えた。
 記事は「国内勢も開発中だが実用化は海外勢より遅く量も乏しい見込み」という見立てを前提としていたが、私は何か釈然としなかった。日本の新型コロナの人口100万人当たりの死者数は13人程度。600人以上になる英国や米国、そして100人超のドイツと比べて抑えている。国民の自粛の苦しみがあってこそのことだった。
 ところが今度は、抑え込みに失敗した欧米の製剤を多額の税金で買わされる。なぜこうなったのか。日本に何が欠けているのか、それを知ろうと取材を始めた──。
 モデルナの早期開発の陰に米軍事機関あり
 インタビューを通じて、森下が歯ぎしりしていた相手は、米国だった。「軍が民間と一緒に積み上げてきたものがあって、日本とは全然違う」
 念頭にあるのは、世界の開発競争の先頭を走る米バイオ企業モデルナのmRNAワクチンだ。モデルナは生物学者デリック・ロッシが2010年に創業し、14年からワクチン開発に参入した。新型コロナ禍が発生すると、今年3月半ばにはもう臨床試験を開始していた。
 「ワープ・スピード」を掲げるトランプ政権の支援は桁違いで、モデルナには保健福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)経由で9億5500万ドルの補助金を出し、1億回分を15億2500万ドルで買い取る契約を結んだ。ただ、ここまではコロナ禍が起きてからの支援で、森下が言う「積み上げてきたもの」は別にある。
 8月下旬、ワシントン・ポストなどがモデルナについて興味深い情報を報じた。ワクチン開発で「ある機関」から2460万ドルの支援を受けていながら、特許申請に際してその報告義務を怠ったという内容だ。ある機関とは、国防総省傘下の防衛先端技術研究計画局(DARPA)。創業3年目の13年の段階で、mRNAワクチン等の開発でDARPAの補助を受けていた。
 その点について森下に問うと、こう答えた。「mRNAワクチンというのは、軍が関与して開発されてきた『お買い上げ物資』だ。派兵地で感染症が起きたらすぐに兵に接種させる」
 確かに4隻もの米空母で集団感染が相次いだのは記憶に新しい。加えて、mRNAワクチンやDNAのワクチンが軍に適しているのには、理由があるのだという。
 森下によればこれらのワクチンでは、抗原タンパク質の遺伝子情報をRNA(リボ核酸)やDNAに組み込んで注射する。細胞内で抗原タンパク質が合成され免疫反応が誘導される仕組みだ。製造過程での感染リスクが低く、遺伝子情報さえ分かれば1カ月前後で開発でき、化学薬品と同じ要領で化学合成を通じて量産できる。ただし投資をすれば、設備には維持管理の経費がかかり始める。
 森下が続ける。「企業側も製造工程を一度つくると、流行がない限り赤字で補助金頼みになる。米軍は毎年数千万ドルをこうしたバイオ企業にばらまき、平時から多様な様式のワクチンを確保してきた。臨床試験の第1、2段階くらいまで進めておけばよく、いざパンデミック(世界的大流行)が起きたら、種の近い病原体のワクチンを応用して最短で大量生産・投入できる」
 確かに、モデルナの創業者ロッシは今春、14年以降、現在までに鳥インフルエンザなど7つの感染症のmRNAワクチンで臨床試験に入っているとメディアの取材に答えている。今回の見事なワクチン供給は、科学者の知性の差というより国家の安全保障投資の差なのだ。
 ワクチンが新幹線や原子力に代わる「武器」に?
 「戦略物資」とする視点から森下は「新たなワクチン同盟圏ができつつある」と予想した。共産党創100年を来年に控える中国はアフリカや東南アジアに次々とワクチン提供を申し出て一帯一路圏への影響力を誇示した。ロシアが臨床試験の終了を待たずにワクチンを承認したのは、経済停滞下での起死回生策と映る。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は中ロ双方に秋波を送るなどしたたかだ。
 「渡航制限を緩和するなら、同じワクチンを使う国から始めるのは合理的だから、そこから世界が改めて色分けされていく可能性もある。同盟国でも、ワクチンを打っていなければ合同軍事演習もできない」
 そう言う森下は日本にはワクチンの戦略が欠けているとみる。「自国分の開発に躍起のアメリカも、物量に余裕ができれば次第に中国と同じことをやり始める。日本もワクチンが増えれば、新幹線や原子力に代わる外交上の武器になるのに」
 次に会ったのは、防衛省防衛研究所の社会・経済研究室長、塚本勝也だ。まだ機密の多いDARPAについて、数冊の専門書の書評を書いていた。塚本はこの組織のルーツが米国の「技術敗戦」の反省にある点から解き明かした。
 「きっかけは1957年のスプートニク・ショックだ。ソ連人工衛星打ち上げの先を越され威信を失ったアメリカは、翌年に前身のARPAを置き、後に軍事に領域を絞ってディフェンスのDがついた。冷戦終結で脅威は核から生物化学兵器に移り、ワクチンの重要性が高まった」
 91 年の湾岸戦争終結後、イラクが生物化学兵器を製造していた痕跡が見つかった。95年に日本で地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教は、93年に炭疽菌を屋外で実験的にまいていた。01年の9・11 同時多発テロ直後には炭疽菌を使ったテロで米国に死者が出た。
 危機感を強めた米軍は自らワクチン開発への関与を始める。注目された新しい技術が、RNAやDNAのワクチンだったことは先に触れた。
 「注意がいるのは、従来のワクチンに比べ免疫反応が長続きしない可能性があること。当面の作戦に間に合う期間だけ免疫反応が一時的に上がればいい、という発想がある。そうした軍需由来のワクチンが民生用として適しているかどうか」
 さらに危ういのは、そのワクチンの短期的な成功が軍事以上に国際政治に影響する点だと、塚本は言う。
 「米国が中国の知的財産窃取を問題にするなか、中国が成功すれば国家の沽券(こけん)を示すことになる。これを新たなスプートニクとする見方もある。個人的な見解だが、これと向き合う民主主義の国は、国家の沽券で安全性を犠牲にしていいのか」
 国産ワクチンを「備える」ことの重要性
 軍事・外交上の果実を重くみるほど、ワクチンの安全性への配慮が後景に退きかねない、という警鐘だ。
 ワクチン研究は、芽が出るかどうか見えずとも感染症が来た「その時」に向けて必要不可欠な投資だ。
 現実に死地に兵を送り出し感染症のリスクにさらしてきた米国は、丸損になる可能性を踏まえてもなお、準備に資金を投じてきた。戦争を米国に委ねている日本で、政治はこうした備えへの投資を決断できるのか。
 日本がワクチン開発で出遅れた理由について国立感染症研究所所長の脇田隆字に問うと、こう答えた。「この20年間を振り返れば、新型コロナを含め繰り返し新興・再興感染症が起きているのに警戒感は維持されなかった。『日本はなんとかなるだろう』と。でも今回の反省があって変わらなかったら、よほど鈍感ということになる」
 鈍感だったのは誰なのか。09年に新型インフルエンザが流行した際、麻生太郎政権は海外から大量のワクチン輸入を進めた。後に余ると、同年8月の総選挙で野党に転じていた自民党議員がこれを批判した。
 翌年6月、専門家による新型インフルエンザ対策総括会議は「ワクチン製造業者を支援し(略)生産体制を強化すべき」と結論付けた。インフルエンザワクチンの集団接種がなくなった80年代以降、接種率が低下し、国内の生産力は衰えていたからだ。
 縮小市場に対し、政府の資金的支援が必要だったが実際に行われたことは逆だった。脇田が振り返る。「日本にも国立研究機関における基礎研究と民間企業の開発研究を資金的に橋渡しする厚生労働省外郭の財団はあった。しかし民主党政権事業仕分けでやり玉に挙がってしまった。米国のような研究開発のサポートの仕組みはその後も不十分だ」
 備えへの投資については、自民党民主党も真剣さを欠いていた。将来を見据えるどころか、その場しのぎのパフォーマンスをしていたのだ。
 そして09年にも20年にも、同盟国が戦略物資として融通してくれる、という甘えはなかったか。自国優先主義が跋扈(ばっこ)するトランプ後の世界でもそれで国民を守れるだろうか。現実的に考えてワクチンは万能ではないし、開発を急ぐために安全性が犠牲になってはいないか。
 脇田は国産ワクチンの価値を強調した。「遅いと言われてきたが、早ければ年内には臨床試験に入る。従来でいえばワープ・スピードに近い速さで、安心なワクチンができる。確立された技術を使った開発だから」
 不活化ワクチンを開発中の、明治HD傘下のKMバイオロジクスは早ければ11月から、組み換えタンパクワクチンを開発中の塩野義製薬は年内には臨床試験を始める予定だ。
 「高齢者や基礎疾患がある人には、できるだけ早く届くRNAワクチンやアデノウイルスベクターワクチンを接種してもらう。一方で、新しいワクチンによる未知の副反応を心配する人もいる。そういう懸念があれば、国産のワクチンを使うことができるという選択肢が重要になる」
 ワクチンを避ける人も出るなかで、ウイルスの根絶は不可能だ。それでも対コロナの国家戦略の中で、ワクチンという物資の価値を見定めなければ、備えの欠如に右往左往する愚が繰り返されることになる。
 <2020年10月27日号掲載>
 広野真嗣(ノンフィクション作家)
 1975年、東京都生まれ。1998年に慶應義塾大学法学部法律学科卒業。神戸新聞社記者を経て2002年に猪瀬直樹事務所にスタッフとして入所、データマンとして活動する傍ら、2007年より石原都政猪瀬都政で東京都専門委員。2015年10月よりフリーランスとして独立。2017年、『消された信仰―「最後のかくれキリシタン」‐長崎・生月島の人々』で第24回小学館ノンフィクション大賞受賞。
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