- 作者:岡 美穂子
- メディア: 単行本
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・ ・ {東山道・美濃国・百姓の次男・栗山正博}・
日本人は、海外から火薬を購入する為に同胞の日本人が奴隷として海外に売り飛ばされても気にはしなかった。
日本人とは、薄情であった。
そてが、日本のルネッサンス時代の実情であった。
日本人は、賢く、優しく、そして「まごころ」を持っていたとは真っ赤な嘘である。
日本人は、心がねじ曲がって、醜かった。
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ヴァレリー「他人を攻撃したって、つまらない。攻撃すべきは、あの者達の神だ。敵の神をこそ撃つべきだ。でも、撃つには先ず、敵の神を発見しなければならぬ。ひとは、自分の真の神をよく隠す」
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12〜13世紀の地球環境は寒冷期にあって、ヨーロッパの大地は農作物が育ちにくい土地で、貧しい人々は狩猟と牧畜でかろうじて生きていた。
封建領主は、領地からの収入が乏しい為に、隣国や豊かな土地を侵略して掠奪し、敗戦国から人々を奴隷として強制連行して死ぬまで牛馬の如く重労働を強いた。
征服された人々は、戦って独立を勝ち取り奴隷の身分から解放されのではなく、強力な領主のリーダーシップに従って新たな侵略戦争に参加し、占領地から新たな奴隷を強制連行して自分達の下に置いて待遇を改善した。
ヨーロッパ世界の階級社会は、こうして生まれた。
譬えれば、血に飢えた凶暴な海賊であるバイキングの時代である。
は、の中世ヨーロッパは、厳格にして不寛容なキリスト教によって支配された暗黒時代であった。
高度な古代ギリシャ・ローマ文明に息づいていた、洗練されたギリシャ・ローマ文化と多岐にわたる価値観に基づいた学問と人間的で愛すべきオリンポスの神々は、絶対神の単一価値観で完全に破壊され尽くされていた。
キリスト教会は、人間の果てしない邪な欲望を利用する事で、世俗権力を宗教権威の下に組み伏せた。
絶対神の代理として人の生死と免罪を支配するや、半強制的に人々に寄進を強要して富を独占して腐敗堕落した。
宗教に基ずく貧富の格差が、社会全体を閉塞させ、人々から自由と人間らしさを奪った。
聖職者は、「知」を独占して一般市民に文字の読み書きを許さず、キリスト教の教えは口頭で直に教えた。
一部の封建領主は、キリスト教会に多額の献金をし、保護する事を条件で許されていた。
キリスト教会は血筋を重んじ、高位の聖職は封建領主の子弟が就任し、下位の聖職や修道士などは庶民出がなった。
出自が卑しい聖職者は、重要な高位の聖職に就く事はなく、もし高位に上ったとしても地方に追いやられてバチカンの中枢に入る事はなかった。
高位の聖職は、血筋を根拠とした黒衣の貴族に支配されていた。
キリスト教世界は、排他的な黒衣の貴族によって支配されていた。
地球が温暖化して、ヨーロッパ各地でも安定して農産物が生産できる様になるや、農耕牧畜がようやく定着した。
農民は、多く収穫できた農産物を売って大金を手にするや、さらに遠くで売りさばく為に出かけていった。
仲買人は、売りに出られに農民から作物を買い込んで、各地で開かれる市場に作物を持ち込んで利益を上げた。
封建領主は、領地内の市場での売り上げを増やす為に交通路を整備し、通行を安全にする為に治安を確保した。
商人は、市場の幾つかを常設市場とするために定着化した。
人口が増えた市場には手工業と金融業が発達し、さらに多くの人を集めて都市に発展した。
都市は、絶えず外敵の侵略の脅威にさらされていた為に高い城壁が設けられた。
大陸の都市は、開放的な無防備都市ではなく閉鎖的な武装都市が常識である。
都市空間は、住宅地と工業・商業地帯と人工公園の三つに分けられた。
公園とは、閉鎖空間に生まれた単なる場所である。
富を蓄えた商人らは、より自由な商いをしてさらなる富を独占する為に、キリスト教会の支配を破壊する為に、人間の解放を唱ったルネサンスを始めた。
諸国の国王も世俗権力を、キリスト教の宗教的権威より上位に置くためにルネサンス運動を支持し、商人を保護する事で多額の献金を得た。
キリスト教会は、宗教権威を守る為に、有力商人の子弟を新たな黒衣の貴族に取り立てて高位の聖職を与えた。
有力商人は、下賤の出身ゆえに王侯貴族にはなれない為に、階級を上げるべくキリスト教会に多額の献金をして高位の聖職を手に入れた。
ルネッサンス後のヨーロッパ世界は、キリスト教会と王侯貴族と商人による、陰謀と暗殺が絶えない陰惨な時代に突入した。
王侯貴族と商人は、現実世界の富の独占の為に。
キリスト教会は、死後の魂の救済の為に。
王侯貴族や商人は利益を共有する為に妥協したが、キリスト教会は排他的信仰ゆえに妥協を拒絶した。
商人は、王侯貴族に戦争をさせる為に戦費を提供し、国家財政を支配し戦利品の一部を手に入れて莫大な利益を独占した。
新たな上流階級の出現により、資本による貧富の格差が拡大した。
ヨーロッパ世界は、貧富の格差による階級闘争が絶えない社会である。
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キリスト教会は、非文明の野蛮人を教養人として生まれ変わらせる為に、隣人愛信仰を教え、民族宗教と土着信仰を異教として攻撃し、異教の偶像を破壊した。
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西欧諸国は、バチカンの許可を得て「殺すか、奴隷にする」という神聖な使命の下で、すざまじい勢いで植民地獲得の侵略戦争を起こしていた。
キリスト教会は、政教一致の大原則の下で、領主の宗教が領民の宗教として布教活動を行い、新たな教区で信仰の自由を認めず反キリストの異教を撲滅していた。
キリスト教徒は、一神教における「絶対神の愛」を広げる為に、世界中で宗教戦争を起こしていた。
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中国「祖先を忘れるのは、源のない川であり、根のない樹である」
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戦国時代に、日本から海外に輸出できる製品などは何もなかった。
南蛮貿易で火薬などの貴重な品を購入するには、金山・銀山を持たない戦国大名は、日本人を奴隷として売るしか方法がなかった。
国際交易において、攫ってきた人を奴隷として売る事が当たり前な時代であった。
南蛮貿易の実態も、人身売買であった。
日本人の多くが、奴隷として国外に売られていた。
戦国乱世の時代は、殺し合いに勝つ事が正義であり、負ければ悪であった。
生きるか死ぬかの二者択一が、戦国の世の習いであった。
そこには、綺麗事は存在しない。
それとても、大陸な戦争に比べれば子供の喧嘩にすぎなかった。
非白人非キリスト教国日本は、アフリカと同じ様に、キリスト教白人商人によって、奴隷狩りの大地になろうとしていた。
キリスト教に於いて、絶対神の隣人愛信仰を受け入れない者は、牛や豚や鳥と同じ獣とされた。
キリスト教徒白人は、絶対神から、「愛」の文明を持たない人間を獣同様に支配する事が許されていると信じていた。
中世キリスト教は、個人が絶対神に対して信仰する事を契約する事で、唯一の神から死後の魂の救済と永遠の命の保証と生前に於ける恩寵を受ける普遍宗教である。
中世キリスト教会と現代キリスト教会は、別物である。
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戦国時代。戦続きで村の男衆は足軽や人足で駆り出され、村には女衆が多く残された。
戦には戦死が付きもので、村に帰れなかった男衆がいた。
夫を失った妻や父親を失った娘が、村にいた。
サムライはもちろん百姓でも、家を維持する為に子を作らねばならなかった。
夫婦間の道徳心の少ない百姓は、父親や夫の浮気公認で、寝所への夜這いや神社仏閣の夜祭りで父親の分からない子供を作った。
日本の神や仏は、キリスト教や儒教の様に倫理・道徳に厳格ではなかった。
日本男子は、自分の妻や娘が産んだ子が誰の子供であっても気にせず、父親を特定せず自分の子として育てた。
自分が誰の子か分かたない男にとって、自分の秘密を握る母親は恐ろしい存在であった。
戦で何時死ぬか分からない男にとって、家を守る為には、女が裏切らないように命を犠牲にしても守らねばならなかった。
世界常識から見て、日本人の性風俗は曖昧で救い難いほどに淫乱で、男女の混浴は当たり前であった。
男女の仲が厳格に裂かれ、社会が硬直したのは、教育勅語で儒教倫理が徹底された明治以降であった。
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戦国大名は、兵士を引き連れて街道を使って戦場に向かった。
重立った武将は、街道の旅籠に金を払って宿泊した。
中級以下の武士は、寺社や民家に金を払って泊まった。
足軽や小物は、神社などに野宿したが、出征の為の経費が出ない為に自腹の手弁当であった。勝ち戦であれば、多少の恩賞が得られた。
それ故に。下級武士以下は、戦場周辺で乱取りなどの略奪行為を行った。
目に余るほどの乱暴狼藉を働くや、旅籠のある町は力を持って彼らを追い出すか、今度来たときは倍の宿泊料を要求した。
町人や百姓は、武器を持ち、逃げ惑う事なく町や村を守っていた。
日本の庶民は、大陸の人民のように権力者に支配され搾取され虐げられるだけの惨めな存在ではなく、寧ろ、隙あらば領主に楯突いてやり込める強さを持っていた。
為に。進軍する戦国大名は、行く先々の町や村に予め迷惑料を払っていた。
金がなければ、戦はできないし、領地も増やせなかった。
多くの戦国大名は、足軽の手持ちの食料の範囲でしか行動ができなかった。
織田信長は、大量の兵糧米を用意して行軍した為に、遠方への行軍が可能であった。
主家を失った食い詰め浪人達は、食べ物と給金を呉れる織田信長に仕える為に尾張に押し寄せた。
織田軍の強さは、食料と給金が得られて生活に困らないというと安定した安心感による。
織田信長が最も恐れたのは、油断も隙もない強かな庶民と財力を持つ宗教団体が手を組み軍事勢力として政治に介入する事であった。
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戦国時代の領主は、年貢を納める百姓や商いで運上金を納める町人が安心して生産活動できるように、「掟」を定めて領地経営に力を入れていた。
最優先課題は、領民を増やす事であった。
その為に領内の女性を守り、子供を多く生んで貰う為に未亡人や娘に男を斡旋した。
領主は、女性や子供の誘拐は厳しく取り締まり、行方が分からなくなると総出で探した。
日本は、昔から独自の仲人制度が存在していた。
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日本の合戦は、同じ様な武具甲冑であった為に、同士討ちが多くあったと言われている。
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商船が頻繁に行き来する瀬戸内海などの沿岸領主は、商船から領海内の通行税や難所を無事に通す為の水先案内料を徴収する為に水軍・海賊を雇っていた。
水軍・海賊に特化したサムライは、陸地の領主と契約してその支配下に入っていたが、行動の自由を保障され支配海域の安全を守っていた。
日本の水軍・海賊は、世界の海賊とは本質的に異なり、商船を襲い殺戮の末に積み荷を奪う事はなかった。
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1530年〜1587年 第21代当主・大友義鎮(よししげ・宗麟)は、明との交易が途絶えていた為にカンボジアのアンコールワット王朝に、「日本九州太邦主」を自称して国書を送って交易を行っていた。
カンボジアと大友氏との人的交流も盛んとなり、多くの日本人がカンボジアやベトナムに移住して各地に日本人町をつくった。
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ヨーロッパのルネッサンスは、ビザンチン帝国が滅亡し、古代ギリシャ・ローマ文化にササン朝ペルシャの影響を受けたビザンチン文化が、キリスト教原理主義が支配する暗黒の中世ヨーロッパに再輸入され、人間が教会支配から解放されて花開いた。
日本のルネッサンスは、明日の命さえ分からない戦国の戦乱の中で、今この一時の安らぎを得る為の心の有り様を自らに問う事から始まった。
自分中心で他人を排除した不寛容な儒教的教養を排除し、他人を思い遣り気遣う仏教的慈悲心と自然の中に神々を見出して崇め慈しむ神道的清明心が、寛容にしておおらかな日本文化の源泉である。
ヨーロッパ・ルネッサンスは、中世キリスト教会の絶対神支配から脱して、人の肉体と魂を実感する古典古代文化の復興であった。
日本・ルネッサンスは、中国や朝鮮を支配する冷厳で硬直した儒教的東アジア価値観を乗り越えて、神代からの神道文化と南アジアの仏教文化と南蛮のヨーロッパ・ルネッサンス文化で、豪商や豪農の間で花開いた。
ヨーロッパ・ルネッサンス文化のパトロンは、豪商や領主から王侯貴族へと代わり、洗練された上流階級の教養となった。
日本・ルネッサンス文化の実践者は、豪商や豪農から身分低い町人や百姓の嗜みとなった。公家は独自の古典的貴族文化を守り、サムライは浮き世を離れた禅宗的武士道で雲水的赤貧生活にこだわった。
日本・ルネッサンス文化は、正統派儒教である朱子学を教養とはしても実生活に取り込まなかった事で、庶民文化として百花繚乱と花開いた。
東アジア文化とは、排他的儒教を盲信する中国の読書階級と朝鮮の両班階級のみの労働蔑視の硬直した文化であった。
人類史に於いて、文化とはヒトやモノが活発に交流し生まれる。
外からの刺激のない所に、光り輝く文化は生まれない。
文化は、他人からもたらされるモノでもなく、他人から授かるモノでもなく、そうした借り物の文化は根付く事なく消え去る。
同時に、個性を持たず他者に依存して生きようとする自立心のない所にも、独立した文化は生まれない。
島国日本の和風文化は、中華文化に支配された半島の朝鮮文化とは違って、独立した固有の孤立した文化である。
日本の和食文化は、「もったいない」の心から、身の回りで生産される少ない食材を余すところなく利用して味わい尽くして残さない事であった。
和食は、食べ物は神々の命・魂を頂戴するという神道的信仰心から、強欲にならず腹八分とし、少ない料理を残さず綺麗に頂いて感謝する事である。
他人から略奪し庶民から搾取した山海の珍味を山盛りにして、嵐の後の残骸のように食い散らかし捨て去る中華料理や朝鮮料理とは対極に存在する。
両者の違いは、和食では身の回りの食材を大事にし、中華料理や朝鮮料理では遠くから取り寄せた食材を粗末にする、と言う事である。
日本の食文化と東アジアの食文化は、正反対的に異なる。
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万世一系の男系天皇制度(直系長子相続)は、宗教的な悲惨な殺し合いを避け、個人的欲得による無益な血を流さない為に、ムラ的社会で自然発生的に誕生したものである。
1000年以上の時を経て、幾世代の先祖によって、神の裔とする天皇中心の民族神話が語り継がれてきた。
1221年 第84代順徳天皇『禁秘抄』「およそ禁中の作法は、神事を先とし、他事を後にす」
天皇の全てに優先する最大の責務は、皇祖皇宗に対して「国平らかに、民安かれ」と祈る皇室祭祀であった。皇室に伝わる一子相伝の秘儀である「祈り」が、国事行為である政治よりも優先されるべき行為であった。
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- 作者:高瀬 弘一郎
- 発売日: 2002/02/01
- メディア: ハードカバー