🌈36)─1─江戸時代の庶民は老人文化として「日本的退廃の美学」であり、「朽ちていくものの美学」であった。~No.70No.71 @ ⑤

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本は、中国や朝鮮比べて儒教の影響力は弱かった。
 儒教の影響力が弱かったがゆえに、日本民族日本人は正直で素直で真っ当に生きて生活ができた。
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 イソップ物語「犬とオオカミ」。
 犬は、自由を失いながら食べる。
 オオカミは、飢えても自由を選ぶ。
 武士は、忠実な犬である。
 庶民は、オオカミである。
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 「滅びの美学」は、死を覚悟した武士・サムライの武士道であるが、百姓・町人の庶民とは無関係である。
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 百姓や町人の庶民は、生き様は「日本的退廃の美学」である。
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 日本的退廃の美学ゆえに、江戸時代は緩やかに人口が増加していった。
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 江戸時代の人口で、武士は約5%で、百姓や町人の庶民は90%であった。
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 日本の女性は、ギリシャ神話のアマゾネスににて、積極的であり、攻撃的であり、好戦的である。
 日本人女性は賢く、日本人男性はぼんくらである。
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 日本民族日本人にとって、「滅びの美学」は文学上の言葉の綾(アヤ)で現実には存在しないかった。
 武士に憧れる日本人だけが、愚かにも、「滅びの美学」という空想の産物をオモチャの様に弄んでいるに過ぎない。
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 庶民は、次から次と困難・苦難が押し寄せてくる為に絶望する暇がなく、正気を保つ為に悲観的ではなく楽観的に生き抜こうとした。
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 庶民は、何をやっても世の中を変えられない事を知っていたし、如何に努力しても得られるものは少ない事を知っていた。
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 庶民には、夢や希望を持った所で、変えられない、変わらない、得られない、与えられない、と言う現実が存在していた。
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 庶民にあるのは、明日・将来・来世でなく、今日・現実・現世だけであった。
 庶民には、安定した仕事などはなく、収入も保証されていなかったし、守りべき家族はいても、残して伝えるべく家や家柄などはなかった。
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 庶民の生活は、如何に努力をしても報われる事はない。
 今を、刹那的に虚無的に不健全な雰囲気で生きる。
 確かなのは、今の、この場の現実のみである。
 今、この時、この場所に、私が生きている。
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 日本は、現実主義である。
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 武士は、今日・現実の家禄・俸禄を守り、昨日・過去と明日・未来に繋がる家・家柄・家門の為に生きそして死んだ。
 死ぬ武士には、文学・文芸・芸能・芸術などは無縁で、あるのは実利としての政治と権力闘争のみであった。
 政治と権力闘争に必要だったのは、生産性とは無縁の儒教の観念教育だけであった。
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 日本民族日本人は、偉そうな事を言ったとしても、所詮は苦悶しながら堕ちていく愚かな人間である。
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 日本人の生き様に合っているのは、中華儒教ではなく、日本神道や日本仏教であった。
 そして、キリスト教マルクス主義も合わなかった。
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 中世キリスト教会は、日本人を奴隷として売買する事で大金を稼いでいた。
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 日本の庶民にとって、キリスト教マルクス主義共産主義)などは関心もなければ興味もない。
 キリスト教マルクス主義共産主義)も日本に根付かないのは、庶民の支持を受けられないばかりか嫌われたからである。 
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 キリスト教マルクス主義共産主義)も、天皇制度を破壊し、天皇家・皇室を根絶やしにしようとしていた。
 キリスト教は、インカ帝国ムガル帝国ビルマ王国を虐殺と共に滅ぼした。
 マルクス主義共産主義)は、ロシア帝国を虐殺と共に滅ぼした。
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 吉原などの遊郭や岡場所で女郎を買い、旨い食べ物を酒の肴に食べ、脳天気なほどに陽気に楽しんだ。
 庶民は、方丈記徒然草的な私小説や御上が禁止する歌舞伎や浄瑠璃文楽を好んだ。
 十返舎一九滑稽本井原西鶴の好色本を好み。
 浮世絵の枕草紙や春画を好み。翁と老女の図柄を好み。
 心中物に感動して涙を流した。
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 庶民の笑いは楽しくて切ない。
 影があるから、明るさは一際明るいが、見詰めていても眩しくはない。
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 江戸っ子は、「宵越しの金は持たぬ」と痩せ我慢で粋がっていた。
 現代日本人が捨てた逝き方である。
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 人生は泣き笑いである。
 泣いても、笑っても、怒っても、一日は一日であるのなら、心で泣いて笑いを振りまいて一日を過ごす。
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 粋な男は、「強きを挫き、弱きを助ける」である。
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 江戸は、落語の熊さんや八さんとかみさんの様に男より女性の方が賢く強かった。
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 庶民社会には、儒教の男尊女卑はない。
 日本の家・家庭は、女性の「カカァ天下」であり、男性の「亭主関白」である。
 庶民宗教は、女性の女房は角を核した「山の神」である。
 日本の女性は、鬼より怖く、幽霊より恐ろしい。
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 日本の民族宗教最高神は、天皇家・皇室の祖先神である女性の天照大神伊勢神宮)である。
 日本は、最高神の女性神が住まう尊い島である。
 日本民族は、最高神の女性神を母性神として崇拝している。
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 祭りや花火や相撲など、伝統的日本の行事の多くが先祖や死者への供養であって、現代の金儲け目的のイベントではない。
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 日本の民族宗教は、人を対象とした祖先神・氏神の人神崇拝であった。
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 三浦天沙子「笑って、笑って爽やかな逝き方
 多死社会を迎えるという日本。めそめそばかりでは空気が重くていけない。笑って逝けるなら周囲も当人もハッピーだ。
 筆者(小向敦子『すごい葬式』朝日新書)は、『老年学』と『笑い学』の研究者だそうだ。本書で取り上げられた死をめぐる事例は海外のものもあるが、日本のものが圧倒的に多い。日本人が江戸のものから持っていた、死をユーモラスで飾る文化を再評価して、爽やかに生と死を伝承できる国として世界の手本となろうではないか、とまとめる」
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 判官贔屓で、一代の英雄・英傑が不運に見舞われ堕ちていく哀れさに同情しながらも、本心では武士の馬鹿さ加減を軽蔑した。
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 庶民にとって、武士は憧れる存在ではなく、それ故に無理して武士になりたいとは思わなかった。
 むしろ、武士を「働きもしない穀潰し」と馬鹿にし軽蔑していた。
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 百姓や町人の庶民でも、成りたければ自由に武士になれた。
 武士になる条件は、大金で武士の株を買うか、才能・実績で幕府や大名からの要請・招聘・懇願であった。
 それ故、武士は権力を持ち弾圧を行う支配階級・搾取階級ではなかった。
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 庶民は、日本的「退廃の美学」で生きていた。
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 日本的退廃の美学とは、朽ちていくものの美学で、「色即是空」と「空即是色」である。
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 老人の慰め癒や励まは、何れは向かう西方浄土極楽往生に対する憧れである。
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 日本文化とは、花鳥風月プラス虫の音であり、苔と善玉菌であり、心情・情緒と観察・思索である。
 生まれ出ずる生命力の東の空と、日の沈みによって死の静寂が訪れる西の空。
 生命が溢れて命が充実した光り輝く眩しい中空には関心が薄かった。
 日本文化の死生観・生命観は、縄文文化・縄文宗教観に源流があった。
 縄文文化・縄文宗教観の根源的エネルギーは、エジプト文明同様に「ヘビ」である。
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 儒教の世を築こうとした幕府・御上は、庶民の日本的退廃の美学を打ち砕こうとして幾度も「奢侈禁止令」を発布し、歌舞伎や心中物を禁止したが失敗した。
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 日本的退廃の美学は、10年1日どころか100年1日と劇的変化、進歩、発展がなかった。
 日本文化、特に庶民文化は戯れを楽しむ「退廃文化」である。
 日本的退廃の美学とは、粋で鯔背(いなせ)で気風(きっぷ)であった。
 日本的退廃の美学の代表的な日本人が、死を承知で火事場に飛び込む命知らずの町火消しであった。
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 日本的退廃の美学は、西洋などの頽廃とは違う。
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 日本は、学識重視の能力主義による儒教科挙を排除していた。
 日本人は、中華世界を支配していた実利と競争を万能原理とする理想的教育社会を拒絶した。
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 庶民は幸福感を、能力を高め実利を求めてあくせく労働して富を築いき経済発展を遂げる事ではなく、日本的退廃の文学、文芸、芸能、芸術の嗜み、技術革新の楽しみとした。
 生きる楽しみを、実利と競争による経済的豊かさに求めなかった。
 そして、儒教の観念的教育理念を拒絶し、高級高度な知的活動にも興味を示さなかった。
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 庶民の文化とは、実利の経済成長ではなく、経済成長に貢献しない文学・文芸・芸能・芸術などの日本的退廃の美学である。
 日本的退廃の美学とは、現実的文系と論理的理系の調和である。
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 江戸時代のGDP(国内総生産)は、イギリスにせまる発展と繁栄を築いていた。
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 荻原聖人「格好悪い部分があるのが人間。僕の人生の中で、格好悪さを人一倍体験してきていると思うんです。だからこそ、格好悪さを作品の中に活かしていきたい」
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