💄59)─1─夫婦別姓とは夫婦同姓の家庭を捨て「私」が一人で生きて行くという覚悟。~No.120No.121 @ 

   ・   ・   ・
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 アメリカでは、女性を、既婚女性であれば「ミセス」と敬称で未婚女性であれば「ミス」と敬称で区別して呼んでいる。
 キリスト教世界は、厳格な家父長社会であった。
 キリスト教では、女性・イブは男性・アダムの肋骨から作られたと言われている。
   ・   ・   ・   
 人類史・世界史・大陸史とは、地球を単一価値観で統合する為に多様性を根絶する歴史である。
 此まで、数え切れない民族の文化や言語や宗教が抹殺されてきた。
 ローカルである日本民族も、その運命の線上にある。
 夫婦別姓は、その意味合いを含んでいる。
 歴史・文化・宗教・習慣としての伝統的夫婦同姓家族は、グローバル化の波によって廃絶されようとしている。
 地球から古いローカルが消滅して、グローバルによって新たに生まれ変わる。
 普遍的価値とグローバル文化による民族的価値観とローカル文化の破壊。
 ローカルは、グローバルに淘汰される。
  ・   ・   ・   
 2015年11月4日 産経ニュース「「名前は譲れない命そのもの」「女性の活躍望むなら制度変更」 夫婦別姓訴訟原告会見
 記者会見する原告団長の塚本協子さん(左)ら=4日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
 4日の最高裁大法廷での弁論後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した夫婦別姓訴訟原告団長の塚本協子さん(80)は「名前は譲れない命そのもの。別姓を望む人たちを救済してください」と訴えた。
 また、原告の吉井美奈子さんは「(政府が)女性の活躍を求めるのなら、法制度を変えるべきだ」と指摘。榊原富士子弁護団長は、「氏は人生に深く根ざし、失えば個人の尊厳が失われる。国に変える意思はなく、社会を変えるのはこの機会だ」と期待を込めた。
 午前に会見した再婚禁止期間訴訟代理人の作花(さっか)知志(ともし)弁護士は、原告の女性について「離婚、子供、再婚と法律に翻弄されたことを、裁判所に伝えたいと裁判を続けてきた」と代弁した。
   ・   ・   ・   
 11月5日 産経ニュース「「家族観が壊れる」「男女の倫理観に悪影響」 今も根強い反対論 夫婦別姓・再婚禁止期間の違憲
 夫婦別姓を認めず、女性の再婚禁止期間を設ける民法違憲性が問われ、4日に結審した最高裁の訴訟。両規定をめぐっては、改正に向けてかじを切りかけた時期があった。法相の諮問機関である法制審議会が平成8年2月に決定した民法改正要綱は、選択的夫婦別姓導入と再婚禁止期間も100日に短縮するよう求める内容だった。それから約20年間、改正されなかった背景には、「家族観が壊れる」などとする根強い反対論があったからといえそうだ。
 家族法の専門家ら学識経験者などで構成された法制審民法部会は、3年から議論を開始。女性の社会進出などを反映し、実態にそぐわないとの批判もあった、婚姻を中心とする民法の家族関係に関する規定の本格的見直しを行った。法制審の要綱には、2つ以外にも男女の結婚可能年齢を同年にするなど、複数の改正が盛り込まれた。
 答申を受け、国会では議論が始まったが、「日本の家族観を損ねる」「機が熟していない」などの反対意見があり、答申に基づく法案提出には至らなかった。
 一方、この時の法制審が、後の最高裁判断に影響を与えたケースもある。非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法規定を違憲とした25年9月の最高裁決定では、相続の同等化を求めた法制審答申に言及しつつ、結論を導き出した。
 今回、最高裁が判断することになる2つの規定について、この20年間、議論はどのように進んだのか。
 国連の女性差別撤廃委員会は、選択的夫婦別姓を採用し、再婚に関する性差を撤廃するよう再三求めている。その一方で、国の世論調査を見ると、選択的夫婦別姓導入に賛成とする声は、法制審答申同年の8年には32.5%。導入反対が39.8%だった。5年後の13年には賛成が42.1%に上昇したのに対し反対は29.9%。その後は、賛成の減少が進み、18年は賛成36.6%に反対35.0%、24年は賛成35.5%に対し反対36.4%が上回った。
 さらに国会の保守系議員を中心に、選択的夫婦別姓には「日本の家族観が壊れる」、再婚禁止期間撤廃には「男女の倫理観に悪影響を与える」などの声もあり、現行規定の維持を求める意見が今も根強い。
   ・   ・   ・   
 12月13日 産経ニュース「【どうなる?夫婦別姓】問われる家族のあり方 「日本人の道徳観に悪影響も」
 夫婦別姓を認めない民法の規定は違憲なのか−。選択的夫婦別姓を求めた訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は12月16日、判決を言い渡し、初の憲法判断を示す。明治以降100年以上続いてきた「夫婦同姓」の規定は、これまでにも見直して別姓を認める方向に舵がきられたことはあったが、慎重論が強く法改正は見送られてきた。家族のありかたを根本から問い直すことにもなり、識者からは「日本人の道徳観に悪影響を与える可能性もある」と懸念の声が上がる。
 夫婦が同一の姓を名乗ることを定めた現行法については現状、賛否が分かれている。平成24年に内閣府が行った世論調査では、「現行の法律を改める必要はない」が36・4%、「法律を改めてもかまわない」が35・5%と拮抗(きっこう)している。一方、内閣府の調査では、夫婦の姓が違うと「子供にとって好ましくない影響があると思う」とした人は67・1%で、「子供に影響はないと思う」とした28・4%を大きく上回った。
 松山市に住む主婦、酒井恭子さん(59)は、先月4日に行われた夫婦別姓をめぐる最高裁大法廷の弁論を報じる新聞記事に違和感を覚えた。「嫁いだので改姓する。私には、それが当たり前のことだった。今でもそれは自然なことだと感じています」
 酒井さんは昭和57年に見合いで結婚し、夫の姓に改めた。5人の子供を育てながら、パートにも出た。姓を変えたことで支障を感じたことはなかったという。「今のままでいい。一つの姓の下で家庭生活を送ることで、家族に一体感が生まれていると思う。(夫婦同姓の規定は)むしろいいことではないでしょうか」
 都内に住む井上大介さん(41)=仮名、川野希美子さん(41)=同=は平成23年、お互いの姓を残すために事実婚を選んだ。相続や子供の姓の決め方などを明記した「婚姻契約書」を作成、法的に有効な公正証書にした。
 子供は保育園児の長女が川野姓、生まれたばかりの次女は井上姓だ。「家族の中で姓が違うことを子供自身がどう受け止めるか、という迷いはあった。だが、子供のことを考えていない親はいない。子供が不安にならないよう丁寧に説明していきたい」と井上さんは語る。
 約20年間、事実婚だった萩原宏幸さん(49)、里実さん(50)=いずれも仮名=夫妻は、5年前に婚姻届を出した。「萩原」は里実さんの姓だ。子供は大学生を筆頭に3人。末子の就学、自宅購入のタイミングで、宏幸さんの父の「もう(法的に結婚しても)いいんじゃないか」という一言が背中を押した。
 「思ったよりも違和感はなかった」という宏幸さん。2人姉妹の長女である里実さんは「結婚して名字を変え、育った家の文化や家族の歴史に区切りをつける。私はずっとその踏ん切りがつかなかった。夫が先にその壁を飛び越えたんです」と話した。
   ◇
 日本大学法学部の百地章教授(憲法学)の話「夫婦別姓を選択すれば、親子別姓にもなる。夫婦の事情のみで、自分自身に決定権のない子供の姓を決めることがいいのか。親子の一体感の希薄化や子供の不安感などが生じ、成育に支障を来すことも考えられる。別姓が2代、3代と続けば、自分自身の家系をたどることが困難になることが想定され、祖先を敬うという日本人の道徳観に悪影響を与える可能性も出てくる。また、一部の世論調査では賛成・反対が拮抗しているとされるが、賛成の多くは『自分は同姓を選ぶがしたい人は別姓にすればよい』という消極的な考え方だ。通称使用も広く認められており、本当に別姓を望んでいる人は少数派。どんな影響が生じるか分からない中、少数の意見を尊重し国の制度を変えることが正しいことなのか。推進派にはこの視点が欠けている」」
   ・   ・   ・   
 12月16日産経ニュース「夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断
 「再婚禁止期間」訴訟、最高裁違憲判決が出され、「違憲判決」と書かれた紙を掲げる原告側の人たち=16日午後、最高裁(宮崎瑞穂撮影)
 【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF]
 民法で定めた「夫婦別姓を認めない」とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は16日、「規定は合憲」とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。原告は「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」などと主張したが、「夫婦や親子など家族のあり方が損なわれる」との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗(きっこう)してきた。
 一方、「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする規定をめぐる訴訟で、大法廷は「規定は違憲」と初判断。100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。
 夫婦の姓について原告側は「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」と主張。「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為にあたる」と指摘していた。国側は「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている。婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」と反論。規定に違憲性はなく国会の立法不作為にもあたらないと主張していた。
 「再婚禁止期間」訴訟、最高裁違憲判決が出され、「違憲判決」と書かれた紙を掲げる原告側の人たち=16日午後、最高裁(宮崎瑞穂撮影)
 両規定をめぐっては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。」
   ・   ・   ・   
 12月16日 産経ニュース「共産・穀田国対委員長「夫婦同姓の強制で不当な判決」 最高裁の夫婦同姓規定合憲判断で
 共産党穀田恵二国対委員長は16日の記者会見で、最高裁大法廷が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて「判決に驚いている。逆に言うと、夫婦同姓の強制を行うということだ。女性差別の規定であり、不当な判決だ」と批判した。
   ・   ・   ・   
 12月16日 産経ニュース「社民・吉川幹事長代行 夫婦別姓「合憲」判決を「怒り禁じ得ない」と批判
 社民党の吉川元・幹事長代行は16日、最高裁夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、「原告の長年にわたる悲痛な訴えに真摯(しんし)に応えた判決とはいえず、怒りを禁じ得ない」との談話を出した。
 吉川氏は「結婚による同姓の強制は、改姓を望まない人に社会的な不利益のみならず自己喪失の痛みと苦しみを押しつけている」と指摘。その上で「判決は姓を人権問題として捉える視点を欠いており、『個人の尊重』『両性の本質的平等』を定めた憲法に反するという原告の訴えが聞き入れられなかったことは極めて残念である」とした。
 最高裁が「結婚や姓の制度の在り方は国会で議論されるべき事柄」としたことについても、「司法の場に救いを求めた原告の希望を踏みにじるものである」と批判した。」
   ・   ・   ・   
 12月16日産経ニュース「【夫婦別姓】国連委勧告は公平か? 関係者が熾烈なロビー活動
 夫婦別姓の推進派が民法改正の根拠に挙げるのが、国連女子差別撤廃委員会による日本への勧告だ。過去、日本に複数回出された勧告では、別姓導入や再婚禁止期間撤廃などを求めた。ただ、「国連は関係者や団体による熾烈(しれつ)なロビー活動の現場」(外務省関係者)との指摘も多く、どの程度公平な視点で結論が導き出されたのか、冷静な分析が必要となりそうだ。
 同委員会は女子差別撤廃条約締約国から選出された専門家23人で構成。うち22人は女性だ。今年2月には林陽子弁護士が日本人としては初めての委員長に就任したが、来年2月に予定されている日本の審査からは規定により外れる。林弁護士によると、審査は委員から選出した調査担当者が中心となり、対象国政府の報告や関連NGO団体の調査、国連機関のデータなども踏まえて、結論を出す。
 日本への勧告にあたっては、別姓導入に向けて活動する複数の団体が積極的に資料提供してきた。資料には、かつて民主党政権が閣内の反対で別姓導入に向けた民法改正を断念したとの趣旨が記され、「政治不信を深め、別姓導入を求める訴訟を起こした」などの表現が盛り込まれている。
 国連や関係者による調査・報告などについて、外務省関係者は「偏った内容が散見されることは確か。そうした情報を後ろ盾に日本について間違ったイメージを植え付けようとする動きもあり、精査が必要だ」としている。」
   ・   ・   ・   
 12月16日 産経ニュース「【夫婦別姓】夫婦同姓「合憲」で「合理的な判決」「女性差別不当判決」 各党の受け止めはそれぞれ…民主党は別姓法案準備
 最高裁大法廷で判決に臨む寺田逸郎裁判長(中央奥)ら =16日午後、東京都千代田区(大西史朗撮影)
 最高裁民法の「夫婦別姓を認めない」とする規定を合憲とする初判断を示した16日、自民党は選択的夫婦別姓制度より通称使用の拡大を目指す意見が多いだけに安堵の声が広がった。一方、民主党は「判決は新たな立法まで排除していない」(蓮舫代表代行)として、夫婦別姓の実現に向け法整備に取り組む考えだ。
 菅義偉官房長官は16日の記者会見で、「国の主張が基本的に認められたと考えている」と評価。選択的夫婦別姓制度の導入については「慎重に対応していくことが大事だ」と述べた。
 自民党稲田朋美政調会長も「合理的な判決だ」と指摘。「党内の多くが親子別氏になる選択的夫婦別姓より同姓を認めている」とした上で、「女性の社会進出に伴う通称使用を拡大することを公約しており、そうした方向性が多数意見と思う」と述べた。公明党の魚住裕一郎参院会長は「国会の判断に委ねるという趣旨なので、さらに議論を巻き起こしていくよう取り組みたい」と強調した。
 一方、民主党岡田克也代表は水戸市内で記者団に「合憲だから何もしなくてよいわけではない」として、来年の通常国会にも夫婦別姓を認める法案を提出する考えを明らかにした。共産党穀田恵二国対委員長は「判決は夫婦同姓の強制を行うことになり、女性差別の規定。不当な判決だ」と語った。維新の党の今井雅人幹事長は「基本的には最高裁の意向を尊重したい」と述べた。」
   ・   ・   ・   
 12月17日 産経ニュース「【夫婦別姓】「法的に認められない数少ない先進国」「女性の権利後退した」英紙 最高裁判決にかみつく
 「夫婦同姓」の民法規定を「合憲」とした日本の最高裁判決について、英紙ガーディアン(電子版)は16日、「経済成長に向け女性が職場でより大きな役割を担うよう安倍晋三首相が促す中、判決は日本での女性の権利が後退したと見なされる」と論じた。日本は夫婦別姓が法的に認められない数少ない先進国だとも指摘した。
 同紙は、判決により、夫婦別姓を望むカップルにとって結婚を届け出ないのが唯一の選択肢となるが、事実婚の場合、相続や親権をめぐる問題を抱えてしまうと解説した。
 「夫婦同姓」の民法規定については、結婚が個人ではなく、家族を結ぶものだとの伝統的な見方が反映されていると紹介。明治時代の女性は自分の家族を離れ、夫の家族の一部になるのが通例だったと説明した。
   ・   ・   ・   
 12月17日 産経ニュース「【夫婦別姓】世界標準から遠い判決
 元最高裁判事の泉徳治弁護士の話 夫婦別姓訴訟は、人権のグローバルスタンダードから遠い判決となった。姓は個人の人格の象徴で、同姓を強制する民法規定は、個人の尊厳、両性の平等に反する。生来の姓を継続したいとする人が少数派であっても、その人権を無視してよいということにはならず、個人の人権を救済するのが裁判所の役割だ。選択的夫婦別姓制度の採用は世界の潮流であり、日本だけが遅れるわけにはいかない。一方、再婚禁止期間訴訟は当然の判決が下った。」
    ・   ・   ・   
 12月17日 産経ニュース「【夫婦別姓】タイやドイツ、義務付け撤廃も「子供迷う」「8割の女性は夫姓」
 夫婦別姓訴訟の最高裁判決を前に最高裁に入る原告とその家族、弁護士ら=16日午後、東京都千代田区(大西史朗撮影)
 外国では、タイやドイツのように、結婚後に同姓を義務付けていた制度を撤廃し、姓の選択を自由化した例もある。
 タイでは結婚後に妻が夫の姓に変えることが義務化されていた。男女平等に反するとした憲法裁判所の違憲判断を受けて2005年、夫か妻いずれかの姓にする選択に加え、夫婦がそれぞれ結婚前の姓を名乗れるよう法律を改正した。夫婦の姓を並べる「結合姓」も可能になった。
 夫の姓を選んだ女性医師(31)は「一家に二つの姓があると、子供がどちらの家族に属するのか迷うと思った」と話す。
 ドイツは連邦憲法裁の決定を機に1994年から選択的別姓が認められた。それまでは夫婦で一つの姓を選ばなければならず、合意できない場合は夫の姓が自動的に採用されていた。
 結合姓も制度変更前から認められているが、ドイツのメディアによると、今も8割程度の女性が夫の姓を選択。メルケル首相は前夫の姓で、現在の夫とは別姓だ。(共同)」
   ・   ・   ・   
 12月17日 産経ニュース「【夫婦別姓】子供の視点を踏まえて議論を 現制度には一定の意義 夫婦同姓規定「合憲」判決
 最高裁大法廷で判決に臨む寺田逸郎裁判長(中央奥)ら=16日午後、東京都千代田区(大西史朗撮影)
 「夫婦同姓」を合憲とした最高裁大法廷の初判断は、日本の伝統的な家族観に沿うものだ。「わが国に定着した家族の呼称として意義があり、呼称を1つに定めることには合理性が認められる」。最高裁はそう位置づけたが、一方で「選択的夫婦別姓」導入の可否については明確な判断を示さず、国会に結論を委ねた。
 別姓推進派が「男女平等」や「個人の尊厳」など、夫婦各自の権利を強調することが多い半面、これまで子供の視点からの議論が尽くされてきたとはいえない。家族法学者がそろって「社会的弱者」と位置づける子供。親の選択次第で自分の意思に関係なく親子別姓を強いられた場合、精神的に未成熟な子供への心理的影響は不明だ。
 また、夫婦が互いに譲らず子供の姓を決定できなかった場合、家族内で子供が微妙な立場になりかねない。別姓を導入した諸外国では、夫婦がもめた際、子供の姓を裁判で解決することがほとんどだが、司法の結論が出るまで子供の立場が揺らぐことに変わりない。さらに、こうした経緯で決まった姓に愛着がわかず、家族関係が希薄になることも考え得る。
 子供にどのような影響を与えるのか判然とせず、善後策もない段階で、それでも導入することに社会的意義はあるのか。日本の将来を考慮すれば、大人の事情ばかりではなく、これからを担う子供に重点を置いた議論が必要だろう。(大泉晋之助)
   ・   ・   ・   
 12月17日 産経ニュース「【夫婦別姓】夫婦同姓規定「合憲」判決読み解き 通称使用広がり「不利益緩和される」 子供の姓も問題視
 最高裁大法廷の多数意見が、夫婦同姓規定を判断する上で重視したのが、「結婚で姓が変わる人の不利益」だ。
 多数意見は姓の変更で「仕事上の不利益」「アイデンティティーの喪失感」などが生じることを一定程度認めた。さらに、寺田逸郎長官も補足意見で「人々のつながりが多様化するにつれて、窮屈に受け止める傾向が出てくる」と指摘している。
 それでも現規定を合憲としたのは、通称使用の広がりにある。民間調査機関「労務行政研究所」によると、平成7年に旧姓使用可能な企業は約18%だったが、上場企業約3700社を対象に行った25年には約65%まで進んだ。また、公務員は本人の申し出で職場での旧姓使用が可能。弁護士など多くの国家資格も仕事上の通称使用を認めている。こうした背景から、多数意見は「通称使用が広がることにより、不利益は緩和され得る」とした。
 また、別姓導入の可否についての議論に対し、子供への視点が欠かせないことも示唆している。寺田長官は補足意見で、「嫡出子との結びつきを前提としつつ、夫婦関係をどうするのかに議論の幅を残す」と指摘した。
 子供の姓に関しては、(1)結婚後のどの時点で姓を選択するのか(2)一組の夫婦に複数の子供ができた場合、子供ごとに姓を選択するのか(3)「きょうだい」で統一とするのか−などの議論がある。民法改正を答申した8年の法制審議会(法相の諮問機関)でも意見が割れ、「姓は結婚時に決め、複数の子供はどちらかの姓に統一する」とした。ただ、海外では子供の姓が別々のケースもあり、そのあり方に“解”は出ていない。こうしたことから寺田長官は、子供視点での議論の深まりを求めている。
 一方、反対意見を述べた3人の女性裁判官は、婚姻した夫婦の96%が夫の姓を名乗る現状を問題視。「女性の社会的経済的立場の弱さなどがあり、意思決定の過程に現実的な不平等がある」と言及した。
 その上で、「個人の尊厳と両性の本質的平等に照らして合理性を欠く」と反論した。」



   ・   ・   ・

みんな「夫婦」で病んでいる

みんな「夫婦」で病んでいる

  • 作者:本田 りえ
  • 発売日: 2015/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)