🎑80)81)82)─1─造形美。完成一歩手前の美。歪な美。華道。~No.175No.176No.177No.178 ⑯

いけばな―知性で愛でる日本の美 (新潮新書)

いけばな―知性で愛でる日本の美 (新潮新書)

  • 作者:笹岡 隆甫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/11/01
  • メディア: 単行本
   ・   ・   ・   
 関連ブログを6つ立ち上げる。プロフィールに情報。
   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・   
 日本の伝統的芸術・芸能・文化は、花鳥風月と虫の音である。
   ・   ・   ・   
 日本の美における、
 調和・均衡・律動に基づく形式美の多くは、完成・完熟・充足・安定した安心できる左右均衡ではなく不完成・未熟・不足・不安定なような左右不均衡である。
 様式美は、左右不対照と白銀比である。
 美に対する感性において、日本は移ろいやすい感傷的な情念美であり、中国・朝鮮は揺るがない合理的な観念美である。
 日本の情念美は、余分なものまで加えに加えた豪華絢爛にして豪放磊落を騒々しくうるさく煩わしいと倦厭し、必要最小限まで取り除き、質素、簡素、簡潔に仕立てる。
 世界で理解されやすいのは、日本の湿った情念美ではなく中国・朝鮮の乾いた観念美である。
   ・   ・   ・   
 趣がある美とは、完成されたモノではなく完全一歩手前のモノである。
 黄金の国・ジパングでは、金銀財宝をちりばめた豪華な物には趣がなく野暮ったいとして嫌われていた。
 吉田兼好「花は盛りに、月は隈なきをのみ 見るものかは」
 日本文化は、心に余裕を持つ事を大事にする精神文化である。
 全く価値がなさそうな粗末なモノや不均整で格好なモノにこそ美が宿ると考え、そして愛した。
 朝鮮の雑器や東南アジアの痰壺が、究極のワビとされた。
 千利休は、フィリピンで日常使う素焼きの壺を高く評価して高額で売っていた。
   ・   ・   ・   
 同じ火山地帯でも、日本は木の国であり、イタリアは石の国である。
 日本列島には、マントル対流により幾つものプレートがぶつかり、その上にある幾枚もの地殻が複雑に潜り込んでいた。
 その潜り込む強力な圧力で岩盤が粉々に砕かれ、幾く方向からも押しつぶされ擦られて砂となった。
 砂は、水を貯め込み、栄養素を閉じ込め、草木の根を地中深くまで生やす事をゆるした。
 水と緑の日本列島は、砂岩・砂山列島であった。
   ・   ・   ・  
 華道
 池坊専好「常に危機感をもってます。花って、美術品みたいに博物館に収蔵していただくわけにもいかないですし、生ける人間も有限。いくら素晴らしい技術と哲学を持っていたって、伝えていかないと途絶えてしまうわけで、つかの間なんですよ。だから盤石と思ったことはないです。いつも危機感を持って、一瞬一瞬が勝負だと思っています」
   ・   ・   ・   
 2019年6月22日 産経新聞「精神的充足求め…?華道を学ぶ中国人急増
 京都市の生け花教室で花を生ける中国人ら。左は未生流笹岡の川口志秀講師=4月3日、京都市中京区(永田直也撮影)
 日本の伝統文化・華道を学ぼうと来日する中国人が急増している。国内で華道をたしなむ人は減少するなか、なぜ中国人が華道に魅了されるのか。背景には“爆買い”などに代表される物質的な欲求を満たされた後、精神的な充足を求める思いがあるとみられている。
 「この枝をこうして曲げてみて」「花の顔を上に向けましょう」-。4月上旬の夜。京都市中京区の未生流笹岡の華道教室で、未生流笹岡の川口志秀(しほ)さん(43)が2人の中国人を流暢(りゅうちょう)な中国語で指導していた。
 幼い頃から日本文化に興味があり、花好きの母の影響もあって華道を始めたという重慶出身の大学院生、羅豫(ルオ・ユ)さん(22)は、「気持ちが穏やかになる。どうすれば作品が美しく見えるか考えていると、感受性が養われます」と目を輝かせる。京都市内のホテルでインターンとして働く羅さんは、この日が4回目の稽古。いずれは母国で華道教室を開くのが夢だという。
 休暇を利用して来日している南京出身の会社社長、劉越さん(27)はこの日、入門の次の段階にあたる「初伝」の免状を受け取った。経営する会社のロビーに花を生けて「社内の雰囲気を良くし、従業員の文化的な教養も高められたら」と考えているという。
 中国への留学経験があり、未生流笹岡で国際部長を務める川口さんは「多くは免状の取得を意識している。日本への滞在時間は限られており、1日3~5時間ほど集中して指導する」と話す。
 同流派によると統計はないものの、中国人の生徒は数年前から急増。そこで個人や団体を問わず、幅広く中国人生徒を受け入れるようになったという。
 日本で稽古を受けた後、母国で教室を開く人も少なくない。中国でも各流派が華道の教室を開催しており、教室を開くことができる師範代の取得も可能だが、本場・日本で学びたいという声は多い。
 国内の華道人口は少子化や多文化の影響もあり年々減少する中、外国人は華道人口を支える存在として期待されている。生け花の発祥、華道家池坊も、近年は中国からの生徒が増加。北京、上海、香港の3カ所に支部を構えており、現地の支部で直接学んだ人たちが指導者になるために来日するケースが多いという。
 担当者は「来年は東京五輪もあり、今まで以上に日本文化に興味を持つ外国人が増える」と指摘。「世界的に生け花人口を増やすチャンスとみている」と話した。」
   ・   ・   ・   


   ・   ・   ・   

草の辞典 野の花・道の草

草の辞典 野の花・道の草

花戦さ (角川文庫)

花戦さ (角川文庫)

花戦さ [DVD]

花戦さ [DVD]

  • 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
  • 発売日: 2017/12/06
  • メディア: DVD