✨39)─1─敬虔なキリスト教徒は、昭和天皇の改宗を諦め次世代の明仁皇太子に期待した。1948年~No.167No.168No.169 @ 

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   ・   ・   {東山道美濃国・百姓の次男・栗山正博}・  
 一神教キリスト教徒は、祖先の人神と絶対神を同列に扱う事を拒否した。
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 1948年 カトリックプロテスタント両教会は、日本での布教活動を活発化させた。同時に、国内外で天皇の戦争責任を問う声が再燃し、天皇の退位を要求する声も広がった。
 バチカンは、戦争犯罪国家日本をキリスト教に改宗させ、「神の愛」で誰にでも好かれる平和な国家に生まれ変わらせる為に動き出していた。
 国際常識として、没個性の日本人は、権力に弱く、権威に盲従すると、信じられていた。
 日本人は、「御上の命令」に反抗することなく、唯唯諾諾と従う民族であると。
 小崎道雄は、日本キリスト教協議会を結成し、皇室がキリスト教に関心を持ち、皇后陛下など多くの皇族が聖書を学び洗礼を受ける可能性が高いと語りながら、布教活動を始めた。
 雑誌『聖書知識』(塚本虎二)「わが国のクリスチャンで、天皇陛下が一日も早く基督教の信仰に入られることを念願していない者はあるまい。私もその一人である。国の象徴としての重い御責任と長い伝統の重圧を思う時、陛下が一日も早くイエス・キリストの十字架を信じられて、身も心も軽く、希望と満悦とに溢れられることを祈らざるを得ない。しかしこれは飽くまでも陛下個人に対する深い同情と親愛の念によるのであって、決して陛下の入信によって我が国の基督教化を早く楽にしようとする為であってはならない。それはカトリックのすることで、私達は夢そんな愚かなことを考えてはならない。それは陛下の為にも国の為にも、勿論基督教の為にも、百害あって一益もない。宗教は国の社会の上層部と結びつくときに堕落する。我が国の仏教がその最もよい例である。ことに基督教はキリスト自身が言ひ給うたやうに、社会の下層部を正客とする宗教である。盲人、聾、?、貧乏人等々、小さい人達にのみ正解される宗教である。従ってまづ下に広った後上に伸びる時に健全であり、上から下に降りる時、それは極めて不健全である。コンスタンチン大帝の回心によって基督教はローマに広まったが、しかし堕落した。ことに今なを皇室中心主義であり、陛下が何と言っても最大の人気者であられる我が国に於いては、特にその危険が大きい。私はたとひ陛下が基督教に入られたとしても、それが飽くまで陛下個人の、教会教派に無関係な、ただ聖書一巻を以て神とキリストに直結する静かな隠れた信仰であって、その為に基督教が日本に盛んになったり、或る教会教派が(無教会もふくめて)勢力を得るような結果にならぬものであることを祈って止まない」
 アメリカ人宣教師スタンレー・E・ジョンズらは、「もし天皇が改宗すれば、それは紀元311年のコンスタンティヌス大帝の改宗にも比すべき歴史的事件となるであろう」と公言していた。
 世界史を知る者は、キリスト教が公認された為にローマ・ギリシャ神話や北欧神話など多くの伝統的民族宗教邪教として消滅させられたかを知るだけに、日本がキリスト教化されたとき日本神話と皇室神道神社神道が滅ぼされると恐怖した。
 一神教は、神話的な多神教を許すさず、絶対神と対等を主張する如何なる神も認めなかった。
 マッカーサー「自分の持っている権力を行使しさえすれば、天皇と7,000万人の日本人を一夜にしてキリスト教徒にしてしまう事もできる」
 もし。日本人が本当に「御上の御意向」に弱い没個性的民族であれば、マッカーサーの厳命や昭和天皇の洗礼でいとも簡単にキリスト教に改宗した事であろう。
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 20世紀に、カトリック教会やプロテスタント諸派やその他の諸教派など聖書の解釈で分裂したキリスト教界を、一つに取りまとめようという世界教会主義エキュメニズム)に基ずくエキュメニカル運動(一致促進運動)が起き、世界各地にキリスト教会による教会協議会だ設立されていた。
 日本のプロテスタント諸派キリスト教会・教団とキリスト教関係団体は、キリスト教協議会(NCC)を創設した。
 日本のNCCは、戦前にキリスト教会が軍部の侵略戦争に協力した事を反省し、絶対神への信仰心と絶対平和主義で反天皇と反国家を基本方針として打ち出した。
 (NCCのホームページ)
 「1,NCCは、日本国家によるアジア・太平洋地域への侵略戦争に協力した日本基督教連盟から続く過去の歴史を自らのものとして受け止め、神とアジア・太平洋地域の人々になした罪責を告白し、正義と信頼に基づいた平和な関係を築く努力を続けます。」
 昭和天皇と軍国日本が犯した、絶対神の御心への冒涜を断罪した。
 異教の為に罪人とされた日本人の魂と汚れた日本の大地を浄化する為に、絶対神の福音をあまねく滲透さべく天皇制度と神道信仰を排除しようとした。
 それは、地球上の異教徒を殲滅し、数多くの民族宗教を消滅させた、中世への先祖帰りであった。
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 1月 アメリカのキリスト教会は、日本の歴史教科書『西洋の歴史』に反キリスト教的記述があると抗議の声を上げた。
 1月12日 ジョージア州のジョン・J・アグニュー牧師は、マッカーサーに対して、「教科書の記述が本当ならば、日本の非軍事化の為にキリスト教が費やした努力、日本の子供達に与えた感銘と宝珠の言葉を台無しにする」と激しく抗議する手紙を送った。
 1月14日 ジョージア州のマジョリー・ベンソン「キリスト教に対する酷い間違いであり、多くのクリスチャンを激怒させるものである。……これはキリストに対するだけでなく、アメリカのキリスト教徒にとって耐えるこの出来ない侮辱である」
 マッカーサーは、アメリカの聖職者から数多くの抗議の手紙が届いた為に、二代目の民間情報教育局局長ニューゼントに調査を命じた。
 ニューゼント局長は、前任者のダイク大佐とは違って中立よ公平さを欠き、上官のマッカーサーが気に入るように報告を改竄した。
 民間情報教育局教育課長マーク・T・オアは、ユナイテッド・プレス紙のインタビューに「執筆者がGHQの指示に従わなかっただけある」と答え、「1947年に成立した教育基本法では宗派色の強い内容を公立学校で教える事を禁止しており、教義について疑問を抱くような教科書は排除するのが我々の政策である」と基本方針を示した。
 GHQは、言論の自由と信教の自由と教育に於ける中立及び公平を無視して、キリスト教会に配慮する為に強権を発動して教科書検定を行った。
 宣教師は、「従軍牧師は占領政策に関与してはならない」という不文律を無視して、日本をキリスト教化する為にアメリカ世論を利用して宗教政策と教育政策に影響力を行使した。
 民間情報教育局は、言論の自由の立場から、「出版活動の自由は、公平に、全ての組織、団体に対して認めなければならない」としてカトリック・ダイゼジェスト誌のみを優遇して出版する事を認めなかった。
 マッカーサーは、日本を民主主義化する為に必要な事として、日本語版の販売許可を出すように命じた。
 「カトリックであろうと、共産主義者であろうと、言論は自由でなければならない」
 アメリカで出版されていたヘレン・ミアーズの『アメリカの鏡・日本』を、日本語に翻訳して出版する事禁止した。
 マッカーサー「占領が終わらなければ、日本人は、この本を日本語で読む事は出来ない」
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 3月 国務省のジョージ・F・ケナンは、新たなアジア戦略とソ連共産主義勢力の封じ込め政策の為に来日して、マッカーサーと会談した。
 マッカーサーは、敗戦で生じた精神的空白・政治的空白を民主主義とキリスト教で埋め一億の劣った東洋人に自由を与えたと、自分の業績を自慢した。
 フロジャック神父は、バチカンを訪れ、、ピウス12世に謁見して天皇の伝言を伝達した。
 キリスト教会は、没個性的な日本人は「御上」という権威に対して盲目的に従い、日本の絶対の指導者であるマッカーサーの威光でわけもなく改宗できると、高を括って軽蔑していた。
 だが。日本人は、中国人や朝鮮人とは違い、脅し、なだめ、利益をちらつかせても、意のままに踊るせる事は出来なかった。
 3月9日 読売新聞「(天皇キリスト教)再建日本にとってのキリスト教精神の宗教的滲透は、好むと好まざるとにかかわらず一つの重要な課題でなければならない。この問題はやがて国家の象徴であるが人間天皇としての陛下の信仰問題としてクローズアップされよう」
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 4月 アメリカのCIAとバチカンは、イタリアに共産党政権を誕生させない様に秘密工作を展開した。ピウス12世は、総選挙にあたってイタリア国民に、反共産主義のデ・ガスペリ政府と与党キリスト教民主党を支持する様に訴えた。戦犯として追われているナチス関係者やイタリア・ファシストの残党を集めて「インターマリウム」を組織し、CIAから活動資金を得て共産主義組織を攻撃した。アメリカのスペルマン枢機卿は、不法手段で巨万の財産を得たジョゼフ・ケネディやマフィアとの関係の深いユダヤ人の実業家ローゼンスティールらの協力を得て、米国政府に圧力をかけた。スペルマン枢機卿は、アメリカが押収したナチス・ドイツの隠し資産の一部を反共産主義陣営の政治家や教会に流して、社共連合政権を潰した。
 スペルマン「バチカンは、反共産主義をイタリアの世論にアピールする為に、アメリカの資金を必要としている」
 4月4日 日本プロ野球の開幕。GHQは、日本人の愚民化として「パンとサーカス」策を行い、日本の伝統を破壊し西洋流を浸透させる占領政策を実施した。
 その最たるものが、キリスト教化と英語公用語化であった。
 特に、日本の文化や宗教を大改造する為に英語の普及に力を入れた。
 欧米植民地では、世界言語である西洋語の普及に伴い数多くの民族言語が消滅した。
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 6月7日 ニューヨークのフランシス・スペルマン枢機卿は、メルボルンカトリック教会100年祭に出席した帰途に日本に立ち寄った。8日 上智大学で総勢700名の歓迎会が開かれた。土井大司教キリスト教会関係者の他に、芦田均首相や森戸辰男文相や田中耕太觔ら前文相ら政府関係者もバチカンとの関係強化の為に出席した。
 芦田均首相は、GHQ主動という印象を隠蔽する為に、昭和天皇の反対を押し切って宮内省改革を断行した。
 GHQに好印象を与える為に、松平慶民宮内府長官と大金益次郎侍従長を更迭し、無教会主義クリスチャンの田島道治を宮内府長官に三谷隆信侍従長に任命した。
 清水二郎を東宮職にするなど、宮中の主要部署にキリスト教徒を配置した。
 皇族の子弟を教育する学習院院長に、安部能成を任命した。
 旧態依然の宮中を新たな時代に適応できる様に改革するべく一大人事を行い、多くのキリスト教徒を天皇や皇族の周囲に配置した。
 ラッセル・ブライアン「日本を訪問したスペルマン枢機卿は、9日天皇に謁見した。天皇キリスト教との関係については、日本の宮内府とその他の有力筋では、現在天皇の近辺ではキリスト教の影響が次第に増大しているが、皇室の伝統からしても直ちに天皇キリスト教に改宗される事はできないだろうと述べている。日本側の見解を総合すると、天皇は皇太子その他の皇子達がキリスト教の影響下におかれるのを熱心に望んでいるものとみられる」
 6月9日 スペルマン枢機卿は、昭和天皇と会見した。
 スペルマン「昭和天皇キリスト教に改宗する可能性の噂について、話し合う事はなかった」
 日本をキリスト教化しようとしていた敬虔なキリスト教徒は、昭和天皇の優柔不断さにがっかりすると共に昭和天皇を憎み、迷える日本人を絶対神の隣人愛で救済する為に明仁皇太子の改宗に期待した。
 スペルマン枢機卿が、バチカンに、昭和天皇の改宗問題をどう報告したは不明である。
 6月17日 カナダの外交官ハーバート・E・ノーマンは、松平康昌元侯爵の情報として、「昭和天皇はスペルマン枢機卿カトリック教徒になる事について話し合った」と本国に報告した。


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昭和天皇(上)

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